【夏の日の想い出・秘密の呪文】(5)
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(C) Eriko Kawaguchi 2021-04-04
チョコのCM曲を歌ったYe-Yo(甲斐絵代子)のCDが思いがけずヒットしてしまった件に付いて、コスモス社長が
「信濃町ガールズの子は様々なCMに出ている」
と発言したのに関して
「過去のそういうCMが見たい!」
という声が多数寄せられた。
それで、コスモスは川崎ゆりこ副社長、および古くから信濃町ガールズの状況を見て来ている、花ちゃん(最初期メンバー:オリジナル10 *1)、花咲ロンド(同左)、川井唯(エレメントガード *2)、海浜ひまわり(女子寮雑用係! *2)を集めて話しあった。
(*1)信濃町ガールズ発足時のメンバーを“オリジナル10”という。
花ちゃん、花咲ロンド、仲原恵海(透明姉妹)、月嶋優羽(三つ葉)、米本愛心(ColdFly5)、佐藤ゆか・南田容子(リセエンヌ・ドオ)、今井葉月、溝口ルカ(ブンブン)、白鳥リズム
全員何らかの形でデビューしており、引退した子が現時点ではひとりも居ない。
(*2)肩書きは現在のもの。
川井唯は、警備員→エレメントガードだが、警備員の肩書きは現在でも有効でライブでアクアを守る特命を帯びている他、しばしば事務所のお留守番役をしている。髪も短いし体格が良いので、よく男性と誤認される。
海浜ひまわりは、事務所のタレント→女子寮不法滞在者→女子寮雑用係、と変遷。雑用係にはなったが、部屋はもらえず寮の倉庫で暮らしている。
月嶋優羽(つじま・ことり)は、§§プロを退所してオーディションを受け(事実上)合格。“三つ葉”を結成した。
米本愛心は優羽(ことり)の成功を見て自分も退所してオーディションを受けたが、書類だけで面接も無しにColdFly20に合格を告げられリーダーに指名された。そして行ってみて、自分以外は歌は音痴でダンスもできない子ばかりであることを知り愕然とする。初期のColdFly20は、歌もコーラスも全て愛心のみで音源制作していた。昨年ColdFly20が解散。助っ人やテコ入れで来ていたメンバーと一緒に新たにColdFly5を結成した。
「CMはどのくらいあると思う?」
「おそらく200-300本」
「ひゃー」
「度胸付けのために積極的に出演させたからね」
「確保できる限りビデオを集めない?それでネット公開」
「ここに出てます、とか矢印で示すといいね」
「チラッと映っているだけのも多いし」
「それネットで公開するにもボリュームがありすぎる。あけぼのテレビで番組作っちゃおうよ」
「ああ。それでもいいかも」
「各々のビデオはどこかに保存されているかなあ」
「各CMの提供元が持っている可能性もある」
「番組のCMとかだと、番組録画していた人がついでに録っている可能性もある」
「募集してみると色々出てくるかも」
「番組の司会は誰がする?」
「ここにいる内の誰かだな」
「じゃ、まつりちゃん(花咲ロンド)」
「え〜、私が!?」
「だって古くからいるしね」
「何か変なこと言ったら叱られそう。花ちゃん、一緒にやってくれません?」
「花ちゃんは忙しすぎるし」
「じゃ夏津美ちゃん(海浜ひまわり)一緒にやってあげなよ」
「ああ。遠慮無く好きなこと言えるのは夏津美ちゃんくらいかも」
「不法滞在者からタレントにカムバックかな」
結局この番組『CM信濃町記念館』はアクアやひろかたち、デビュー組のCMも扱うことになり、出演しているのが誰か当てる、クイズ形式のバラエティとなる。レギュラー解答者が“豪華”で、松浦紗雪!、松梨詩恩、田船智史(バインディング・スクリュー)、楊健民(音楽プロデューサー:台湾からリモート出演)。それにゲスト回答者として、毎回信濃町ガールズの誰かが席に座る。初回出演したのは信濃町ミューズのリーダー・桜井真理子であった。
「みんな内輪の人間ばかりじゃん」
と私はレギュラー回答者のラインナップを見て呆れたように言った。
「いや、内輪の人間でないと、信濃町の子たちの顔が分かりません」
と事実上のプロデューサー・海浜ひまわりは言う。
「そりゃそうだろうけどね」
完璧に楽屋ネタ番組で、いいのか?とは思ったが、この番組は週1回放送となり、アクアやありさ・ひろかの古い映像も見られるとあって人気番組となったのである。
ローズ+リリーは12月23日にアルバム『ホームワーク』を出したばかりなのだが、1月6日(水)には『Rose+Lily CD File 01』というアルバムを出した。これは、(ダウンロード以外では)入手困難になっている、初期のシングル収録曲の音源が欲しい人のためのものである。
実を言うと、一部オンラインストアにも登録していない曲があった。それは当時須藤さんが元の作者に無断で収録していたもので、今回、★★レコードが各々の元の作者に連絡を取り謝罪の上改めて許可を取って収録することができた。
『Rose+Lily CD File 01』収録曲
(『明るい水』2008.8.11収録分)
『明るい水』(宮崎和子・鍋島康平)
『ふたりの愛ランド』(チャゲ・松井五郎)
『七色テントウ虫』(吉住尚人)
『恋のコンチェルト』(クリスティアン・ペツォールト/須藤美智子)
『甘い視線』(ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン/須藤美智子)
『ふたりの愛ランド』はオリジナル歌唱者:石川優子とチャゲ、『七色テントウ虫』はリリーフラワーズのカバー、『恋のコンチェルト』は通称“バッハのメヌエット”、『甘い視線』は“エリーゼのために”。
(『その時』2008.9.27収録分)
『その時』(上島雷太)
『遙かな夢』(マリ&ケイ)
『恋に落ちて』(湯川れい子/小林明子)
『渚にまつわるエトセトラ』(井上陽水・奥田民生)
『A.S.A.P.』(秋元康/後藤次利)
『恋に落ちて』はオリジナル歌唱者:小林明子、『渚にまつわるエトセトラ』はPuffy、『A.S.A.P.』はLittle Kiss。
(甘い蜜』2009.1.23収録分)
『甘い蜜』(上島雷太)
『涙の影』(マリ&ケイ)
『終わり無き恋』(ライオネル・リッチー作詞作曲マリ訳詞)
『せつなくて』(マリ&ケイ)
『終わり無き恋』はオリジナル歌唱者:ライオネル・リッチーとダイアナ・ロス("Endless Love")。
ところで、ニューイヤーライブで美しい舞を披露してくれた、常滑舞音だが、ライブを観ていた風帆伯母が私に訊いてきた。
「あの子の舞は藤中流みたいだったけど、もう名前は取ってるの?」
「あの子自身はお稽古に通ったことないらしいです。お母さんが藤中流の名取りの資格を得ていたらしいんですけど、名取り披露の費用が無くて名前は取らなかったらしいんですよ。そのお母さんの舞を小さい頃から見ていたので彼女もある程度舞えるらしいです」
「ライブを観た感じでは、既に名取りレベルだと思った。良かったら私が名前をあげようか?」
「でも名取り披露の費用を持ってないと思いますよ」
「それ、あんたが出してやんなさいよ」
「風おばちゃんが出すんじゃないんだ!」
「冬ちゃん、お金持ちでしよ?」
「はいはい」
それで舞音(まね)に尋ねてみたら、お金が掛からないなら名前は取ってもいいというので、風帆伯母に出て来て頂くことになった(要するに東京に来たかったんだと思う)。
ドライバーの佐良さんに名古屋まで迎えに行ってもらい、風帆伯母を連れてくる。東京在住の藤中流の高弟さん(風帆伯母の師匠)にも来て頂いて、舞音には振袖を着せて、足立区の研修所のスタジオで舞を見てもらった。
風帆伯母(藤中明風 70)も高弟さん(74 実は引退した先代家元の妹:現・家元の叔母に当たる)も舞音の舞を見ながら頷いている。それで名取り審査合格となり、常滑舞音は“藤中明音”の名前を頂いたのである。
「名取り披露は、あんたんとこの、あけがたテレビだっけ?」
「あけぼのテレビかな」
「そうそう。そこでライブしてやんなさいよ」
「まあいいけど」
と私は答えたのだが、話を聞いた常滑舞音は
「え〜〜〜!?テレビで中継するんですか?素人なのに」
と戸惑う。
「家元の高弟さんがプロと認めたんだから大丈夫」
常滑舞音がひとりでは恥ずかしいと言うので、私の従姪の七美花(既に名前も持っているし、中学時代に名取り披露も終えている。現在準師範として認定されており、多分数年内には師範代の資格を取るだろう)にも舞わせることにした。
ついでにもうひとり誰かに舞わせようと思った時、私はライブでもうひとり舞を舞った羽鳥セシルのことを思い出した。東京に出て来ているついでに彼女の舞を風帆伯母にビデオで見せると
「自己流だけど筋はいい。1年くらいお稽古させたら名取りレベルになるかも」
というので、お稽古に通わないかと打診してみることにした。
「じゃテレビで映すのは無理か。もう一人くらい欲しいんだけどなあ」
「じゃ東京の中高生で藤中流の名取りさんを誰か出させるよ」
「そう?だったらお願い」
それで一週間後に風帆伯母から連絡があった。
「男の子でもいい?」
「うーん。男の子はテレビ映えがしないけど、まあいいですよ」
「それが振袖の似合う男の子なのよ」
「は?男の子なのに振袖を着るんですか?」
「あまりにも似合うから、小さい頃から着せていたらしい」
「じゃ振袖で舞うんですか?何歳です?」
「今高校3年生。3月に卒業する。以前教室に通っていて、あんたはもう名前あげてもいいレベルだと言ってたけど、本人がお金が無いですーといって、保留になっていた。最近は忙しいみたいでなかなか教室に顔出してないけど」
高校3年なら受験も大変だろうしと私は思った。私は確認する。
「女舞で名取りレベルなんですね?」
「そうそう。男舞をさせるにはパワー不足なのよ。女舞は優雅なんだけど」
「へー。でも高校生なら振袖着せてもまだ行けるかな。写真とかあります?」
「確認して連絡させる」
それで彼のお師匠さんから直接こちらにFAXがあった。発表会か何かの写真のようだ。振袖で舞っている写真である。確かに可愛い。でも写真を見て私は溜息をついた。そして風帆伯母に電話した。
「この子、木下宏紀君(*3)ですよね?」
「あら、知ってるの?」
「うちの研修生です。タレントの卵ですよ」
「もしかして女の子タレントになるの?」
「男の子タレントだと思いますが」
「もったいない。手術代出して性転換手術受けさせて、女の子タレントとしてデビューさせてあげなよ。アクアちゃんみたいに」
「アクアは別に性転換とかしてないんですけどね」
と答えつつ、木下君は怪しいよなと私は思った。
(*3)木下宏紀は芸名を付ける前に本名でかなりのファンが付いてしまったことから、コスモスと本人との話し合いにより、本名で活動することになった(実は“羽柴みのり”という名前がクレジットされたことが数回あるが、この名前はかなり熱心なファンしか知らない)。§§ミュージックおよび§§プロで、本名で活動するのは、大宮どれみ(*4)以来になる。
(*4)「本名が芸名みたいだから、そのままでいいじゃん」と新宿信濃子さんが言った。しばしば「おジャ魔女どれみ」から採ったんですか?と訊かれるが、1983年生まれなので、おジャ魔女どれみの放送(1999-2003)よりずっと前である。お母さん(1958生)はジュリー・アンドリュースのファンで、彼女のヒット曲『ドレミの歌』から名前を取ったもの。お姉さんは“大宮さくら”で姉妹揃って芸名みたいな名前である。“さくら”は同じくジュリー・アンドリュースのヒット曲『チムチム・チェリー』(with ディック・ヴァン・ダイク) から採ったものだが、厳密に言うとこの曲のタイトルは Chim Chim Cheree (Chimney:“煙突”の言葉遊び) であり桜(cherry) とはスペルが少し違う。
「まあ“大宮すーぱーかりふらじりすてぃっくえくすぴありどーしゃす”にならなくて良かったね」
「そんな寿限無みたいな名前、きっと市役所のシステムに登録できない」
「パスポートは3〜4段書きかな」
でもそういう訳で、木下宏紀君にも名取りをさせて(彼自身のお師匠さん及び先日の高弟さんに見てもらう。費用は舞音同様、私が個人的に出す!)、その上で、あけぼのテレビでの名取り披露は、木下宏紀→常滑舞音→今田七美花、という順序でおこなうことになった。
木下君は、私が費用出すから名前を取りなよというのには同意したものの、
「ボクが振袖でテレビに出るんですか〜?」
と恥ずかしがっていた。
「今更だと思うけど。君も『ボクは女の子になりました』と記者会見でもする?」
「すみません。ボクは一応男の子なので。でも振袖はカメラの前で着てもいいですよ」
「そう?でも睾丸はもう取ったんでしょ?」
と私はハッタリを掛けてみる。
「それよく誤解されるけど、睾丸を取ったりはしませんから」
「別に去勢したり性転換しても退団とかにはしないからね」
「なんでボクいつも誤解されるんだろう」
ということで、彼の去勢疑惑(高校卒業するというのに声変わりしてないのは去勢している以外に説明不能だと思うのだが)は保留のままである。
現在のタレント・研修生の中でこの3月に高校を卒業するのは下記である。↓で括弧内は本名。
今井葉月(天月西湖?聖子?)、原町カペラ(森下比南代)、南田容子(本名同)、木下宏紀(本名同)、三田雪代(大西香緒)、安原祥子(田中優子)
リセエンヌ・ドオは南田の卒業で2名が高卒になってしまうが、まだ高校生のメンバーがいる限りはリセエンヌ・ドオを名乗り続けるらしい。今回高校を卒業するこの6人中で大学に進学する予定のメンバーは居ない。全員タレント活動に専念する。実際このメンバーは、端役やモデル、音源制作の補助などの仕事がわりとあり、毎月結構良いギャラをもらっているのである。
また、この3月に中学を卒業して高校に進学するメンバーは11人もいる。↓で括弧内は本名。彼女たちの中で未デビューメンバー8名は信濃町ガールズから信濃町ミューズに自動的に異動する。
東雲はるこ(月乃岬)・町田朱美(落合茜)・七尾ロマン(雪渡知香)
今川容子(上野有里絵:信濃町ガールズの現リーダー)・坂田由里(川口朋世)・青木由衣子(松田志帆)・左蔵真未(広原恵美)・山本コリン(魚中広菜)・甲斐波津子(緒方飛蝶)・常滑舞音(杉浦舞美)・直江ヒカル(上田信貴)
(この学年の研修生には自宅に住んでいる子が居ない。コロナ下で通勤での感染リスクが低い寮生活を勧めたのもある)
一応戸籍上は女子10人と男子1人だが・・・
上田信貴は4月から女子になる可能性があり、その場合は女子11人ということになる。一応彼(彼女?)の部屋は女子寮にもリザーブされている。
先日は千里が女子寮に来て、上田君にリザーブされている部屋から“隠しカメラ”と“盗聴器”を合計10個!撤去した。むろん女子寮生たちが彼(彼女?)の性別を確認しようと仕掛けておいたものである。
11人の進学先はこのようになっている。書いている所要時間は車での時間である。コロナが落ち着くまでは電車・バスでの通学は禁止しており、全員§§コールセンターのドライバーが送迎する(ドライバーは基本的に固定:全員女性ドライバー)。
足立区T女子高校(女子寮から7分)
今川容子・坂田由里・青木由衣子・左蔵真未
(北千住駅をはさんで西にT女子校があり、東に男子高のA学園がある)
葛飾区E学園(共学)(女子寮から15分)
甲斐波津子・常滑舞音・山本コリン
北区のC学園女子高校(女子寮から20分)アクアの母校。白鳥リズム在籍中。
東雲はるこ・町田朱美
葛飾区のL高校(共学・制服が無い)
七尾ロマン(女子寮から20分)
直江ヒカル(男子寮からなら40分)
4つの学校に分散するが、どれも足立区内か、あるいは足立区から近い場所にある。上田信貴は世田谷区の男子寮からなら通学時間がかかるが、女子寮に移動したら通学時間が半分になる!
七尾ロマンはラピスの2人とライバル意識が物凄く強いので別の高校にした方が良いだろうというコスモスの判断から結果的に上田君と同じ高校になった。
ここは規則が物凄く緩い(但し酒・タバコだけは厳罰を食らう)し、単位制で取っている授業にだけ出席すればよい。朝礼のようなものも無い。授業選択の自由度も高いので実は芸術系やスポーツ系では結構レベルの高い授業も受けられる。一方主として知的障碍のある子向けに陶芸・木工・手芸・園芸・農業などの職業訓練の授業もあり、障碍の無い一般の生徒も受けられるので単位数稼ぎに受けている子もいる。生徒会長や執行委員は選ばれるが、それ以外の委員会活動は無い。むしろ大学などのシステムに近い高校である。
最短3年で卒業できるが単位制なので4〜5年掛けて卒業してもよい。そもそも学年が存在しない:単に入学してからの年数で慣習的に“1年生”“2年生”とは呼ばれるが、実は非公式の呼び方である。4年生は普通にいるし、5年生も数人いる。過去には8年生までやった子もいたらしい。但し“ホーム教室”は4年生以上はひとつの教室(通称“浦島教室”)にまとめられる。朝礼等が無いのでホーム教室は主としてお弁当を食べるための部屋である(個人ロッカーもある)。
子供のいる生徒のために託児所まである凄い高校である。避妊具を保健室で無料配布もしており、不用意な妊娠を避けるよう常々注意されている。妊娠した場合、父親も呼び出して、出産前に婚姻届を出すよう勧告される。出産前1ヶ月と出産後2ヶ月は自動的に休学扱いになるが、通信で授業数を補うことができる。実は設立者がキリスト教団体なので、中絶は禁止までしないが(レイプによる妊娠でない限りは)勧めない。学校厚生委員さん(多くが設立した教会のシスターさんたち)が本人達の親と会って折衝してくれたりする。
成績もうるさく言われないので芸能活動もしやすい。出席日数は必要だが、忙しい生徒のために補講をしてくれるし、期末で赤点を取っても何度でも追試してくれる。性別意識が揺れている上田君向きの学校を探している内に見つけた高校だ。実は過去に在学中に性別を変えた子もいたらしい。
実は入試も無い(基本的に推薦入学のみ。日本語が出来て、入りたいという意志があれば入れる:日本語試験が課される場合はある:葉月が通ったS学園同様、他の高校を退学して(させられて)ここに入る子もわりといる)ので、ここを知っていたら、3年前に今井葉月はここに入学させれば良かった、と私とコスモスは言い合った。もっともあまりに忙しすぎて卒業に4〜5年掛かったかも知れない。
当時は研修生もあまり多くなかったし、学校の出席が辛くなるほど忙しい研修生も想定外だった。結果的に私たちも高校に関する情報が少なかったのである。木下宏紀や中村昭恵なんて、5年前の高崎ひろか・品川ありさより、よほど多くの仕事をこなしている(もらっている給料も当時のひろかたちより上)。
しかし11人もまとめて中学を卒業した(内デビュー済3人)ので、信濃町ミューズが倍増して18人になった。↓で学年は4月からのもの。
2000年度生れ
悠木恵美 2017RGC9位
2001年度生れ
桜井真理子 2018RGC4位 (リーダー)
2002年度生れ
木下宏紀 2016RGC10位(信濃町ガールズ最古参)
三田雪代 2017RGC2位
安原祥子 2018信濃町ガールズ東海に入団。2020年本部昇格。
2003年度生れ(高3)
太田芳絵 2019RGC4位
春日ライト (応募参加) 本名篠原倉光。
2004年度生れ(高2)
中村昭恵 2017RGC3位
斎藤恵梨香 2019RGC10位
夢島きらら 本名弘原如月。2017信RGC大阪予選で上位になり信濃町ガールズ関西入団。3年間地方ガールズとして活動した後、2020春に本部昇格、都内の高校に進学した。
2005年度生れ(高1)
今川容子 2018RGC2位
坂田由里 2018RGV3位
青木由衣子 2018RGC7位
左蔵真未 2019RGC5位
山本コリン 2019RGC富山県予選優勝。北陸4位(1=東雲はるこ 2=七尾ロマン 3=町田朱美) 信濃町ガールズ北陸で半年活動した後2020年春に本部昇格。
甲斐波津子 2020VGC9位
常滑舞音 2020VGC12位
直江ヒカル 2017応募入団。
男子メンバーが4人(木下宏紀・春日ライト・夢島きらら・直江ヒカル)もいる!
なお、春日ライト(篠原倉光)・夢島きらら(弘原如月)はこの機会に芸名を付けた(実はコスモスが付け忘れていた!)。性別曖昧な芸名になったのは、“万一女の子になりたいと言い出した時のために”という川崎ゆりこの提言に基づくものである。このふたりは普通に男の子に見えるので、女の子になりたいと言い出しそうには見えないのだが。(オーディションを受けた頃はまだ女の子でも通っていたが)
直江ヒカル(上田信貴)は、2017年春に信濃町ガールズの団員募集試験に合格して入団した。当時小学6年生である。実は試験の際、コスモスは彼が男子であることに全く気付かなかった!
何気なく履歴書を見ていて、性別で男に丸が付けられていたから
「君、ここ性別間違ってるよ」
と言ったら
「ボク男子です」
と答えたので仰天したという。
彼は地域の少年合唱団にいたのだが、小学6年生になるとそれまでソプラノで歌っていたのがテノールに異動されたことに不満を持ち、裏方のテノールではなく、花形のソプラノで歌える場所を求めてオーディションを受けたらしかった。当時から HighD(D6)が出ていたが中学時代にレッスンを熱心に受けている内に既に High-F(F6)まで出るようになっている(「夜の女王のアリア」が歌える。)
むろん彼は声変わりしていない。木下宏紀みたいに低い声を開発して声変わりを偽装することもしていない。
「ボク声変わりは遅れてるみたいです」
などと言っているが、恐らくは小学生の内は女性ホルモンで声変わりを抑制しておいて、中学生になってからすぐに去勢してしまったのではないかと思う。
信濃町ガールズの1年先輩に門脇真悠(後の大崎志乃舞)・木下宏紀がいて、どちらも女性的男子だったのを見ていたし、きっと姫路スピカあたりに
「こんなに可愛いのに男になるなんてもったいない。女の子になりなよ」
とかかなり唆されているのではないかという気がする。
でも明らかに女性指向のある木下宏紀とは傾向が違うようで、結構男装でも歩いてるし、葉月や木下君と違って、わりと男子控室にいることが多い。でも弟(妹?)には自分のことを「お姉ちゃん」と呼ばせている。
また、タンスの中身がほぼ女物(篠原君による)らしい木下君に対して、上田君の場合は「タンスの中身は男物・女物半々なんですよ」と言っていた。
その木下君のほうだが
「高校卒業するからもう男物は要らないよね」
とお姉さんから言われて、僅かに(?)あった男物の服は全部捨てられてしまったらしい。
「男子制服は捨てないで。通学に困る」
と言って、ゴミ袋の中から男子制服を回収する。
「あんた女子制服も持っているんだから、それで通えばいいじゃん」
「叱られるよう〜」
と言って、男子制服だけは残してもらったらしい。なお彼は元々ワイシャツは“持っていない”らしく、いつも男子制服のブレザーの下にはブラウスを着ている。だいたい彼はワイシャツではバストが入らない気がする。学校ではトイレはどうしてるんだろうと思って訊いてみたことがある。
「基本的に個室を使います」
と言っていた。
まあ女物の下着だったら、立ってはできないだろうね。もしちんちんがまだあったとしても。
「女子トイレの個室?」
「男子トイレですよ〜。女子トイレ使ったら通報されますよ」
「大丈夫な気がするけどなあ」
彼は放送局とかでは、“かなり叱られた”ので、自粛して女子トイレを使用している。むろんそれで問題になったことはないのもアクアと似ている、(上田君は男子トイレを使うようだ−上田君にちんちんがあるとは思えないのでたぶん個室なのだろうけど)
上田君は学校の体育の授業では男子更衣室で着替えるらしい(よく着替えられるものだ)が、木下君は先生が個室を用意してくれていて、そこで着替えているらしい。
彼には仕事場にも女性的な服装で来ていいよと言っているが、現時点ではまだ高校の男子制服で放送局などには入っているようである(でも女子控室を使用し苦情が出ないのはアクアと同じ)。川崎ゆりこは彼に何とか信濃町ガールズの女子ユニフォームを着せようとあれこれ画策しているがまだ数回しか成功していないようだ。(木下ファンの間では貴重な映像として共有されている)
さて、大量のクリスマスプレゼントをさばいた熊谷市のプレゼント仕分け場であるが、クリスマスプレゼントの後は、年賀状・御年賀のプレゼントをさばいた後、1週間程度の休みを経て、1月中旬くらいからバレンタインのプレゼントの処理が始まる。
バレンタインの贈り物はだいたい↓のタレント宛てに来る。
(1) アクア だいたい毎年トラック100台分
(2) 白鳥リズム だいたい毎年トラック10台分
(3) 西宮ネオン トラック2-3台分
女子のタレントに性別関係無くバレンタインを送ってくるファンもあるが、女子の場合はむしろ3/14のホワイトデーの方が主力である。
木下宏紀・上田兄弟(姉妹?」)にも100個以上来るが、トラックの台数で数えるほどではない。今年は山鹿クロム・三陸セレン宛のものが各々数十個来て、本人たちも驚いていた。クリスマスの時よりずっと増えている。クリスマスの時は直筆のお礼状を書かせたが、この数になっては、もう直筆は無理である。しかし取り敢えずこの2人は“男子タレント”として認識されているようである。
「でも過去には研修生宛のものってほとんど無かったのに今年の新人研修生には彼ら以外でも多いですね」
と川崎ゆりこは言った。
「やはりあけぼのテレビにどんどん出しているからだろうね」
「時間の都合の問題で若い子中心になってますからね」
「水谷姉妹や斎藤恵梨香も多いでしょ?」
「本人たちも驚いています。やはり2019年末の源平記で認識された子も多いし」
常滑舞音と木下宏紀の名取り披露公演は2月14日(日)バレンタイン!に行われることになり、その日は東京の蒲田演舞場からあけぼのテレビでネット放送(無料放送)されることになった。
舞音と宏紀は、それに向けて、東京の藤中流の師範さん(風帆伯母の姉妹弟子のお弟子さん:姪弟子?)から公演演目を週に2回お稽古を付けてもらった(お稽古代も私が出す:1回のお稽古代が1人3万円!)。
その一週間前の2月5-7日には青葉がジャパンオープンに出場するために東京に来る。私はちょうど1月末に引き渡されたDo228(19人乗り)を能登空港に迎えに行かせた。なお、Do228のパイロットは新中央航空のOBさんをスカウトした(実はN航空パイロットさんのコネ)。
全日本の時はホンダジェットを使ったので、選手だけ疲れない飛行機を使用し、部長さんなどのスタッフは車で移動してもらったのだが、今回はスタッフも一緒に連れてくることができた。所要時間は少し掛かったが (Do228は巡航速度315km/h Honda-Jet:682km/h).
先月来た時は、浦和の新しい家に小型水泳練習場を作ったと聞いていたのだが、今回はプールが完成したというので、私はどんなものを作ったのか興味を持ち、見せてもらいに行った。
「冬だから話したけど、他人には言わないでよね」
などと千里は言っていた。
「あれ?イナバのガレージが無くなってる」
と私か言うと
「うん。昇降式駐車場を改造して一段増やしたから必要無くなった」
「へー」
(Before改造)
0 (地上)
┏━━━┓
┃ B1 ┃(地下)
┣━━━┫
┃ B2 ┃
┗━━━┛
(After改造)
0 (地上)
┏━━━┓
┃ B1 ┃(地下)
┣━━━┫
┃ B2 ┃
┣━━━┫
┃ B3 ┃
┗━━━┛
「プールは地下に作るから、プールを作った後だと駐車場の地下への拡張ができなくなる。だからプール作る前に拡張工事をしたんだよ」
と千里。
「パズルみたいな話だね」
駐車場のエレベータで下まで降りる。ここ(B2)は以前は最下層だったが、現在駐車場はもう1段下まである。しかしエレベータはここまでである。
駐車場と母屋を結ぶ通路(?)を通って母屋の側に行く。
アコーデオン・ドアを開けて地下シュート練習場に入る。向こう側の“壁に見える”隠しドアを開けて向こう側の空間に入る。ここは普通に見ればトイレがあるだけである。
前回来た時は左側の隠しドアを開けて地下ラウンジに行ったのだが、今日は千里は右側の隠しドアを開けた。
「なるほど、こちらにも隠し部屋があった訳だ」
「ここに来られるのは、私と青葉、冬と龍虎までだから」
「了解、了解」
「コスモスちゃんまでは連れてきてもいいよ。彼氏は無しで」
「了解〜」
右側の隠し部屋には正面にエレベータがある。
「このエレベータでだけ地下プールに行けるんだよ」
「複雑だね」
「色々公(おおやけ)にできないものが多いからね」
公(おおやけ)にできないとは、千里が数人いるとか、龍虎が数人いるとかいう話かな、と私は思った。
そのエレベータで下に降りた。
「凄いね、これは」
25m×2コースのプールがある。天井は多くの部分で5mほどあるが、片側の端は5mほどにわたり天井が低くなっている。そこが駐車場の部分のようだ。
千里が機械室のような所に入りスイッチを入れると機械音がする。
「浄水装置?」
「うん。次亜塩素酸で消毒するからコロナは多分大丈夫」
「しかし水道代が大変そう」
「泳いでみる?」
と言われたので折角だから少し泳がせてもらったが、競技用のプールで水深が2mあり、背は立たないので最初はちょっと恐かった。取り敢えず5往復した。私はとっても遅いので5往復に10分掛かっている。千里も一緒に泳いだがさすが、スポーツ選手なだけあり、私が5往復する間に16往復したようである(往復した回数と所要時間が表示されるようになっている)。
「冬って運動不足かと思ったけど、わりと頑張ったじゃん」
「そう?でも筋力無いから遅くて遅くて」
「連続して250m泳げただけで偉いと思うよ」
「久しぶりだったけど何とか頑張った」
「まあ青葉なら20往復するだろうけど」
「世界レベルだからね!」
結局休み休み2時間程泳いで結構よい運動になった。
「冬ならいつでも来て泳いでいいから」
「たまに運動させてもらうかも」
泳いだ後は浄水施設を20分後に停止するようタイマー設定してからB2階にエレベータで戻る。エレベータを降りた所にバスルームがある。シャワーも2セットあるので、ここで身体を洗わせてもらつた。バスタオルを借りて身体を拭いてから、ラウンジの方に行く。
「あれ?前回来た時より狭い気がする」
「冬は勘がいいね。実はラウンジを削って部屋を増設したんだよ」
「へー!」
「小部屋が2個だったの4個に増設したから」
(再掲)
千里がトントンと壁(?)をノックする。
「はい」
という聞き慣れた声がする。
「え!?」
と私は声をあげた。
「入っていい?」
「どうぞ」
と言って“龍虎”が隠しドアを開けてくれた。
「龍ちゃん」
「おはようございます、ケイ先生」
という訳でそこには龍虎(アクア)が居たのである。
龍虎はドラマの台本?を読んでいたようである。
「隠れ家に使うといいよ、と言われてこの部屋をもらったんですよ」
と可愛いミッキーのルームウェアを着た龍虎が言う。どうもFのようだ。
「今日はマンションを彩佳たちが掃除してくれているから、向こうに居られなくてこちらに来ました。ポルシェ置いてる八王子の家もあるけど、あそこだと食事に困るから」
「ああ」
「まあここだと私がいなくても誰か私の代理がいるから食事に困ることはない」
などと千里は言っている。“代理”というのがどうも3〜4人いるっぽい、千里の影武者なのだろう。
「君はFだよね?」
と私は龍虎に確認する。
「そうですよ。今日はMがお仕事に行ってるんです。“こうちゃんさん”(山村マネージャー)は、ボクが1人になったと思っているから、仕事の量がだいたい1人分に減ったから、ゆっくり休めて助かります」
「彼が気付くまでそのままにしておくといいね」
「そのつもりです。もっとも、こうちゃんさんはFが残ったと思っているから、『アクアは女の子になりました』という記者会見しようよとか言ってますけどね」
「してもいいんじゃない?」
「ここだけの話だけど、最終的にはMが残ると思うんですよ。ボクは多分数年以内には消えるんじゃないかな」
「Fちゃんそれでいいの?」
「最終的にボクが完全に1人に戻っても、ボクはMの心の中で人格としては生きていくから問題無いです」
「二重人格みたいな感じになるのかな?」
と私は千里に尋ねる。
「まあそのあたりはなってみなければ分からない」
と千里は言っているが本当に分からないのかも知れない。
「だからボクは自分が消える前に赤ちゃん産みたいんですよ」
と龍虎Fは言った。
「・・・・・」
私は千里を見た。
「この子の妊娠中はMが1人で仕事すればいいよね?」
と千里は言っている。
「まあ元々1人なんだし。でもFちゃん、種をもらうアテでもあるの?」
と私は訊く。
「えへへ。この世の中にボクが間違い無く女の子であることを確信した人物が1人できちゃった」
「へー!」
と言いながら私は再度千里を見る。
「彼には自分はアクアの従妹(いとこ)だと言ってるんでしょ?」
「ええ。ふたり並んでいる所を彼には見せているし。でも生年月日が同じで名前も同じ“りゅうこ”という従妹という話には半信半疑っぽい」
「龍ちゃんの本当の従妹(長野美奈代)はまだ小学生だもんね」」
「あの子のこと知ってるのはワンティス関係者の他は、千里さんやケイ先生だけですね」
「龍ちゃんの三従妹違い(みいとこちがい)なら芸能活動してるけどね」
と千里は言った。
「本当ですか!?」
「向こうは多分龍ちゃんとの関係を知らない」
「ボクも知りませんでした!」
「それどういう人?」
と私は千里に訊いた。
「というか“みいとこちがいい”という関係がよく分からないんですけど」
「兄弟姉妹同士の子供がいとこ(従姉妹/従兄弟)、いとこ同士のこどもがまたいとこ(又従姉妹/又従兄弟:再従姉妹(再従兄弟)とも)あるいは“はとこ”、その子供同士がみいとこ(三従姉妹/三従兄弟)。いとこの子供は“いとこ違い”例えば、冬と今田七美花ちゃん(若山鶴海)が“いとこ違い”だよね」
「いとこ違いとも言うのか。従姪(いとこめい)と言ってた」
「うん。いとこまではその呼び方もある。又従姉妹の子供が又従姉妹違い、三従姉妹の子供が三従姉妹違いだよ」
「へー」
「英語なら兄弟姉妹はbrother/sister (sibling), 従姉妹(従兄弟)は cousin, 又従姉妹(又従兄弟)は second cousin, 三従姉妹(三従兄弟)は third cousin」
「second, third なのか」
「いとこ違いはcousin once removed, またいとこ違いは second cousin once removed. みいとこ違いは third cousin once removed」
「何か難しい」
「ちなみに、いとこ違いの子供は cousin twice removed になる。日本語だと従姪孫かな」
「もうその辺になるとよく分からない。もう全部“遠い親戚”でいいや」
「私と冬も“遠い親戚”だね」
と千里。
「そうなんですか?」
「つながっているのは分かるけど、説明しきれない」
と私。
「私と青葉も遠い親戚、私と桃香も遠い親戚。冬と政子ちゃんも遠い親戚、丸山アイとも“遠い親戚”」
「凄いですね!みんな親戚なのか」
「世界は一家、人類は皆兄弟姉妹」
と千里は古い言葉を言っている。
「で、そのボクの“みいとこ違い”というのは?」
「神田あきらちゃんだよ」
「♪♪ハウスの?」
「こないだセシルちゃんのチョコのCMでシヴァ神に扮してた?」
「シヴァじゃなくてシリウスね」
「あ、今のは本気で間違い」
「どういう関係なんですか?」
と龍虎が訊くので、千里は図を描いてみせた。
「これは凄い」
と私は驚いたが、龍虎も驚いている。
「よくこんなに調べたね」
「これは“こうちゃん”が調べたものなんだけど、龍ちゃん聞いてなかった?」
「聞いたことありません。鶴秋大叔父さんとこに孫が10人いて、全員ボクのまたいとこたちというのは知っていましたが」
「龍ちゃんの曾祖父さん、亀吉さんのお兄さんが亀正さんで、そちらが本家筋になるみたいね。龍ちゃんの家系は傍系になる」
「なんかその一族の名前、すごくない?」
と私は言った。
「亀正さんは1912年大正元年に生まれたから、亀正。息子3人の内長男は、紀元2600年(西暦1940年)に生まれたから亀紀。うちの祖母ちゃんの紀子さんと同い年だな」
「その年生まれの人には“紀”の字を使う人多い」
「1942年は日本がアメリカに連戦連勝していた時期だから亀勝。1945年は戦争が終わって平和な時代が来たから亀和」
「極端な兄弟だ」
「亀紀さんの3人の子供は私も分かる」
と私は言った。
「浩宮(ひろのみや:現在の今上)と同い年だから亀浩、礼宮(あやのみや:現在の皇嗣殿下)と同い年だから春礼で、清子(さやこ)内親王と同い年だから清美だ」
「そうそう。だから読み方も、かめひろ・はるあや・さやみなんだ」
「難読名前になってるな。長男を除いて」
「しかしテレビに出したいほどの記念日一族だ」
「ああ、唆せばきっと出る」
という千里の言い方から、もしかして誰か私の面識のある人なのかなとも思ったが、話は先に進む。
「亀浩さんの子供は、この年マッキントッシュを買って感動したから、りんご」
「マックなのか!!」
「その下の男の子2人は“平成”を分割したね」
「そそ。1989,1990年は明仁天皇が践祚即位した年と即位の礼を実施した年」
「でも最後のはボクにも分かります。プリキュアの雪白ほのか、美墨なぎさ、九条ひかりですね」
「そういうこと」
「だけどこれ凄い。りんごさんは18歳でほのかさんを産んだんですか」
「できて慌てて結婚したらしいよ」
「あはは」
「龍ちゃんは結婚してから産みなよ」
「彼はそのつもりだと思います。結婚は公にできないけど、ちゃんと入籍しますよ」
「でも入籍した後でFちゃんが消えちゃった時はどうする?」
「Mに代役ざせますよ」
「ちんちん付いてるじゃん」
「眠り薬飲ませて、病院に連れ込んで、性転換手術しちゃいましょう。ボクも協力しますから、彩佳はボクにちんちんが無くても気にしないから構いませんよ」
「やはり龍虎のちんちんは命運尽きてるな」
「まあそういう訳で、この、ほのかちゃんが、神田あきらだよ」
「凄いお話を聞きました」
「いやほんと凄かった」
「そういえば千里さんと青葉さんの親戚関係とかは?」
「私の父方の祖父が十四春というのだけど」
「昭和14年生まれ?」
「そそ。そのお姉さんでイタコになったモモさんという人がいて、その人の曾孫が青葉だよ。青葉から見たら母方の曾祖母さん」
「へー。やはりイタコとか、霊的な家系なんですね」
「青葉はね。私は霊感無いけど」
「いい加減そういう嘘はやめましょうよ」
と龍虎にまで言われている。
「千里、その元イタコというのが、青葉の事実上のお師匠さんだった人だっけ?」
「それは別の曾祖母さんなんだよ」
「色々いるんだ!」
「青葉は霊的な血筋が濃すぎるんだよ。ああいう子は“あちらに取られる”危険があるから、私も気をつけているんだけどね」
「あちらって?」
「あまり深く考えない方がいい」
「イタコをしていた人は、青葉のお母さん・礼子さんのお父さんのお母さん。青葉の事実上の師匠“岩手のおしらさま”と言われた賀壽子さんは、礼子さんのお母さんのお母さん」
「血が濃いですね」
「ちなみに礼子さんのお父さんのお父さんはお寺さんの家系だよ」
「きゃー」
「青葉のお父さん・広宣さんのお父さんのお母さんはレコードというものが売られ始めた頃、実は歌手をしていた。佐藤千夜子の弟子みたいな人で、佐藤千夜子が中山晋平との不倫とかで騒がれてイタリアに逃げ出してしまった後、その代役をかなりさせられた人らしくて」
「へー」
「この人が占いのできる人で、この新人は売れるかどうかというのをピタリと当てていたらしい」
「凄い。でも青葉が歌がうまいのはそのあたりの遺伝もあるのか」
「広宣さんのお母さんも歌手だった」
「音楽的な遺伝も凄いな」
「そしてその人のお母さんは神職さんの家系で自身も優秀な巫女だった」
「青葉が実に特殊な家系であることは分かった」
「ほんとに凄いパワーの持ち主だよね。私みたいに霊感の無い人間にはよく分からないけど」
「またそういう嘘言ってるし」
と私は言ったのだが
「でも本当に霊感のある人は皆さん、自分は大したことない、霊感とか無いとおっしゃいますよね」
と龍虎は言う。
「ああ、わりとそうかも」
「自分は霊感が強いとか守護霊が強いとかおっしゃる方はたいてい大したことない」
「ああ、それは思ったことある。何でだろ?」
千里はひとこと言った。
「ダークサイドに落ちたくないからさ」
私はその言葉の意味を少し考えてみた。
「私と桃香はね。その大正14年生まれの十四春さんの奥さん・天子さんの又従姉妹に当たる人で咲子さんという人がいて、その人の孫が桃香」
「またいとこ?」
「親族関係としてはまたいとこだけど、同じ家に住んでいて、ほとんど姉妹のようにして育ったらしいよ。今でも毎年1回会っているし」
「元気でいいですね」
現在、咲子は96歳、天子は88歳なので、咲子は自分が先に逝くことを覚悟しているが、どちらも高齢なのでどうなるかは分からない。
「青葉と桃香はね、青葉の父方の曾祖母さんに麻杜鹿(まどか)さんという人がいて、その人のお姉さんの安紗呼(あさこ)さんの曾孫が桃香」
「だんだん分からなくなってきました」
「私と青葉は、私の父方の親族と、青葉の母方の親族でつながっている。私と桃香は、私の父方の親族と、桃香の父方の親族でつながっている。青葉と桃香は、青葉の父方の親族と桃香の母方の親族でつながっている」
「千里さんだけどちらも父方なんですね」
「私の父方の親族筋に霊能者の中村晃湖さんもいる。青葉にとっても親族になる」
「三つ葉の子とは?」
「花山波歌(かやま・しれん)は、咲子さんの曾孫。だから私にとっても桃香にとっても親戚」
「凄い」
「私と冬の場合は、冬の従姉の純奈さんが、私の夫の従兄の暢彦君と結婚したから親戚になった」
「何か今までの話に比べるとシンプルな気がします」
「冬と政子ちゃんは、冬子のお母さんのお姉さんの息子・薙彦さんの奥さん・桜子さんが、政子ちゃんのお母さんのお姉さん・舞弓さんの娘さんに当たる」
「難しい」
「それともうひとつ、冬のお父さんのお姉さんの娘・秋恵さんが、政子ちゃんのお父さんの弟さんの息子と結婚している」
「よく分からないけど、ダブル親族というやつですか」
「わりとあるケースだよね」
「政子のその伯母さん・舞弓さん自身の旦那さんが、 楠本龍太というんだけど、その人の弟・楠本玄司さんの娘が楠本京華で、丸山アイのマネージャー。龍太さんの妹・久保虎世さんの息子が丸山アイだよ」
「息子?娘じゃなくてですか?」
「まあアイちゃんは性別が無いから息子でも娘でもいいけどね」
私は呆れていた。
「千里、どうして私や政子の親族について、私でも何か見ないと説明できないようなものをそらで説明できる?」
そういう訳でこの日は複雑な親戚関係の話をしたので、龍虎の恋愛話の件はあまり詳しくは聞かなかった。相手がどんな人か龍虎Fは言わなかったが、芸能人かな〜?という気はした。
彼氏の件については時が来たら、ちゃんとコスモス社長にも言いますとFは言っていたので、それを待つことにする。
さて、今年2021年は2月2日が節分で3日が立春だった。この日、あけぼのテレビでは“単に豆をまくだけ”の豆まきを放送した(30分番組)。
いちばん広い第12スタジオにちゃんとマスクに手袋をした、下記のメンバーが並び、コスモス社長の「鬼は外!福は内!ウィルスも外!」という掛け声で豆まきをした。
豆まきした人:アクア、品川ありさ、高崎ひろか、西宮ネオン、ラピスラズリ、白鳥リズム、姫路スピカ、川崎ゆりこ、秋風コスモス(以上10人)
みんな男女関係無く裃(かみしも)姿である。
スタジオは事前に“お掃除ルンバ隊”がきれいに掃除しており、豆は全て個包装されたものである。ちなみに、大豆・落花生・五色豆・一口チョコ・ゼリー・アポロチョコなどが混じっている。どこかのテレビ番組のようにワサビ入りチョコとか、どこかのプロダクションみたいに金貨が入っていたりはしない。なお大豆の豆は近くにある太田神社(京都の大田神社とは無関係で那須与一ゆかりの神社)で拝領してきたものである。
掃除の様子、また蒔かれた豆を信濃町ガールズのメンバーが1度に10人ずつ数回に分けて拾う(ひとり10個まで)様子なども放送される。豆まきした人、拾った人に一言ずつ何か言わせた。ミューズのリーダー桜井真理子は「早くコロナが終息しますように」、ガールズのリーダー今川容子も「早く普通に生活できるようになりますように」と言った。若いメンツでは、甲斐絵代子(Ye-Yo)は「チョコばかり10個拾っちゃった」、常滑舞音は「ステーキ食べたい」などと受け狙い?の発言をしていた。
ローズ+リリーの32枚目のシングル『マチカ・マチリカ(秘密の呪文)』は(2021年)2月3日(水)立春に発売された。当日はあけぼのテレビのスタジオから、私とマリ、八雲課長の3人が並んで発売記者会見をする。収録した3曲のショートバージョンをビデオ(スタジオ収録)で流してから、リモートでつながっている記者さんたちの質疑応答を受けた。
2月5日(金)、アクア主演の映画『君はダイヤモンド』が劇場公開された。例によって三密回避のためアクアや監督の舞台挨拶は行わない。挨拶を収録したビデオをネット配信することで代えさせてもらった。また、これも三密回避のため、DVDも来月には発売されることになっている。
木下宏紀と常滑舞音の名取り披露公演は、2月14日(日)あけぼのテレビでネット放送された。(無料放送だが★★チャンネルとЮЮネットで同時配信)
公演(番組)は次のように進行した。場所は大田区の蒲田演舞場(実はあけぼのTVからも近い!)で、中継機器を朝から持ち込んで設営している。
私(振袖!)の開会の辞。
藤中明凰(木下君の師匠)の挨拶
木下宏紀(藤中明紀:振袖!!)の名取り口上
木下宏紀の舞を披露(伴奏は明凰の弟子たちによる伴奏を事前録画)
風帆伯母(藤中明風)の挨拶。
常滑舞音(藤中明音:むろん振袖)の名取り口上。
常滑舞音の舞を披露(伴奏は明風の弟子たちによる伴奏を事前録画)
(幕間)私(若山冬鶴)が自身の三味線で「めでた」を歌う。
今田七美花(藤中咲海:若山鶴海:当然振袖)の挨拶
今田七美花の舞を披露(伴奏は事前に本人!が演奏して録画したもの)
私の閉会の辞。
1時間番組で各々の舞は15分ほどである。CMは入れないつもりだったが、常滑舞音が出るというので、彼女がクッキーのCMに出演したブルボンさんがスポンサーになってくれて(実際常滑舞音が出演したバージョンのCMが流れた)制作費が結構回収できた。もっとも私は公演費用として個人であけぼのテレビに400万円払っているので、あけぼのTVとして元々赤は出ないようになっている(スポンサー料もらったからと言って少し返してくれた)。
番組はどうしても年齢の高い視聴者が多かったが、木下君が出るというので、若い女の子たちが結構見てくれたようである。木下君の振袖姿、可愛い!と、とても好評だった。常滑舞音は、ついでに見てもらった感じもあったが、「この子可愛いね」と彼女についても好評だった。
舞自体については、最後に出て来た七美花がさすがに上手いので、番組として充分放送価値のあるものとなったようであった。むろん私は七美花には充分な謝礼を個人的に払っている。
視聴回線数としてはこの種の番組としては驚異的な10万回線ほどもあった。
この公演の翌日・月曜日、あけぼのテレビに常滑市長さんから電話が掛かってきて、偶然コスモスがそちらにいたので電話を代わった。
「昨日の日本舞踊の中継を見たんですが、あの常滑何とかちゃんって、もしかして、常滑市の出身ですか?」
「ええ。そうなんですよ。それでそこから芸名を取ったんです」
「あの子、可愛いですね」
「ええ。可愛くて元気のある子です」
「うちの市で作っている常滑焼のキャンペーンガールとかしてもらえませんかね?」
「本人は東京で芸能活動していますので、それで差し支えない範囲でしたら。またギャラは一般人の方を採用するのに比べるとかなり高額になると思いますが」
「ああ、それは予算を取りますよ。常滑焼きのキャンペーンソングとか歌ってもらえたらと思って。あの子、歌は歌えますかね」
「2020年度に契約したタレントの中ではかなり上手い部類ですね」
「でしたら一度詳しいお話ができませんか」
「いいですよ。では一度そちらにお伺いしましょう」
それでコスモスは多忙な中、常滑舞音を連れて実際に常滑市を訪問した。時間を節約したいので、東京ヘリポートからN航空のヘリコプターで郷愁飛行場に飛び、ホンダジェットでセントレアに飛ぶともう常滑市である。
「おお、A中学校のご出身ですか」
と笑顔の市長さん(むろんマスクをしている)とエア握手する。
少し話したところで市長さんが常滑舞音の歌を聴きたいというので、コスモス自身がポータブルキーボードで伴奏して、彼女にアクア(北里ナナ)の『少女の祈り』を歌わせたら、市長さんが「上手いですね」と感心していた(もし歌うことなった時のために前日に言って練習させておいた。愛知まで来る飛行機の中でも歌わせておいた)。
それで話はわりと簡単にまとまってしまう。結局楽曲もこちらで用意して、それをキャンペーン曲として市側に提供することになった。楽曲ができた所(仮歌段階)で市側に確認してもらってから制作に進む。
「マミちゃん、もうCM曲2曲目だね」
とコスモスは帰りの飛行機の中で常滑舞音(本名杉浦舞美)に言う。
「はい。嬉しいです。頑張ります」
「今年度の新人で、録音をつぎはぎせずに歌唱を丸ごと使用して音源化できるのは、今の所、七尾ロマン・恋珠ルビーと、マミちゃんの3人だけだから」
と言いつつ、コスモスはこの子は既に恋珠ルビーを歌唱力では追い抜いたと感じていた。本当に「1年後には1番になる」かも知れない。この子は拾い物だったと思う。
「へー、そういうものですか」
とマネは嬉しそうに言ったが、すぐ顔を引き締めて言った。
「褒めてくださってありがとうございます。でも天狗にならないように、もっともっと練習しますね」
「よしよし」
とコスモスは笑顔で言った。
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【夏の日の想い出・秘密の呪文】(5)