【悪夢の城】大仏洞穴

前頁目次

 
結局、その街で開いている店はひとつも無かった。それより人通りも全くない。といって廃墟の街という訳ではないから、ただ眠っているのだろう。一体は今は何時なのか。 
さすがに、疲れた千秋は、一軒の店の軒先に座り込み、そのうち疲労が眠気を誘い、ダメっと思ったがいつの間には眠ってしまった。 
千秋は小鳥の鳴き声で目を覚ました。もう夜が明けかかっていた。千秋は再び立ち上がった。 
朝になったら人が通らないだろうか。その時、急に右手の路地に入ってみたくなった。そこを通り抜けていく。夜露が服をしめらせていて少し寒い気がする。着替えたいが今はそれは叶わない。 
路地は突然開けていた。目の前に大きな穴が開いている。これは何だろう。何だか核ミサイルのサイトか何かのようだ。一体ここはどこなのだろう。 
千秋はゆっくりとその穴に近づく。道が螺旋状になっている。下に降りていけるようだ。どうせ行く先はよく分からない。千秋は中に降りてみることにした。 
遠目にはその螺旋状の道の途中にたくさん小さな穴があいているように見えた。そこに実際に行ってみると、そのひとつひとつに何か仏像が祭られていた。一体一体に名前が書かれていて、何とか如来とか何とか菩薩とか書かれているが、さっぱり分からない。しかし千秋は何だかありがたいもののような気がして、ひとつずつにお参りをしていった。 
もう100個くらいの仏像にお参りをしただろうか。千秋はそろそろこの螺旋状の道を降りていくのも疲れてきて、少し休もうかと思った。その時、突然ブーンという重たい音がした。千秋はその音のする方、穴の中心部の方を見た。 
すると、その奥の底の方から何かが上がってくるのを感じた。それは見る見る間に大きくなってきて。やがてゆっくりと、千秋の目の前に立ち上がってきた。それは巨大な仏像だった。千秋は仏像のことは何も知らなかったが、それを見た瞬間「あみだ様だ」と思った。そしてそのあみだ様は頭を穴の少し上の方に出したあたりで止まった。その時、千秋はそのあみだ様の頭頂の所に光を見た。朝日だ!夜が明けたんだ。千秋は、何か大きな感激に包まれた。そして思わず手を合わせて、無心でその仏像を拝んだ。 
(2000.03.02  元は1994年頃に見た夢)
 
前頁目次