【悪夢の城】パンケーキ

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千秋はあっけに取られた。目の前にあったのは広さ12畳くらいの見たこともない部屋である。 
そして、その部屋の床には一面化粧用のパンケーキが敷き詰められているのだ。いい香りがする。上質のファンデという感じである。壁はふつうのアパートのような何の変哲もないクリーム色の壁。そして一番向こうに丸い窓があって、その向こうはまっくらである。窓にはガラスもなにもないようだ。 
千秋はあまりのことに何も考えられずにたっぷりと3分はその部屋を見ていた。が、我に返ると、後ろを振り返った。 
そんな。
 
今乗ってきたはずのエレベータの扉はない。そこもただの壁であった。どうして? 
前を見る。窓の向こうには何も見えない。しかしこの部屋から出る道はその窓しかないようだ。千秋は靴のままパンケーキの床を踏みしめ、向こう側へ行き、窓をくぐり抜けた。 
(1998.12.11 元々は1975年頃に見た夢)
 
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