【悪夢の城】祭りの丘

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千秋が女主人の部屋を出てしばらくビロードの敷かれた廊下を歩いていくとドアがあり、開けるとそこは外でした。 
目の前に小さな丘があり、その上に塔が3つ並んで立っています。どこへ行っていいか迷っていると、向こうから白い古風な服を着た男性がやってきて「何をしているんです。早くこちらへ来なさい」と言いました。 
千秋は訳も分からずその男性に連れられて丘を登っていきました。
 
丘の上の塔の下に大勢の人が集まっていました。千秋がその男性に連れられて塔に近づくと人々はごく自然に道を開けて二人を通してくれました。 
千秋はいつの間にか自分も白い麻のようなものでできている服を着ていることに気づきました。まるで古代の巫女か何かのような貫頭衣です。さっき女主人の部屋を出た時は黒い絹の服だったはずなのに。女主人の部屋ではスリップは着せてもらいましたが下には何も着せられませんでしたし、恥ずかしくてそれまでは欲しいとは言えなかったのでスースーしたまま。しかしこの貫頭衣はその下にほんとに何の下着も付けていないので、いたってスースーしていました。 
3つの塔の内の左右の塔の下に一人ずつ千秋と同じような貫頭衣を付けた女性がいました。千秋は真ん中の塔の下に案内され、そこに立っているように言われました。何が始まるのでしょうか。 
千秋の前にやがて大きな俵が3つ運ばれて来ました。そこに先ほどの男性が大きな弓を持って現れました。誰かが太鼓を叩きだしたようです。なにかもの悲しいリズム。千秋はなぜか涙が出てきてボロボロ泣いてしまいました。太鼓の音が佳境に入ってきたころ、弓を持った男性が俵めがけて矢を射ました。矢は左の俵に命中しました。すると左の塔の前に立っていた女性が前に進み出てきました。 
どこからか輿が運ばれて来ました。女性はその輿に乗せられ、人々は移動を始めました。右の塔の前にいた女性がやってきて、千秋の手を引き「さぁ、行きましょう」と促しました。 
一行はやがて丘の向こう側に降りました。そこには大きな池があり、月が妖しく映っていました。 
輿がそこに到着すると、さきほどの男性が大きな剣を女性に渡しました。女性はその剣を受け取ると、自分の胸に深々と刺し、倒れ込みました。 
千秋はまるで映画でも見ているかのように、その女性が倒れるのをスローモーションで見ました。血が白い貫頭衣をみるみる赤く染めていきます。千秋を促してここまで連れてきた同じ貫頭衣の女性がしっかりと手を握ってくれなかったら、悲鳴をあげてしまっていたかも知れません。 
その倒れた女性はそのまま輿に乗せられ、池の水面に浮かべられました。男達が数人で輿を押しますと、輿は水面を進んでいき、やがて池の中央付近でぶくぶくと沈んで行きました。 
男達が千秋ともうひとりの女性を取り囲みます。千秋はもう訳が分からず頭の中が真っ白になっていました。 
赤い袴を履いた老女が出てきて、二人の前で鈴を振りました。そして二人は後ろ向きにされ、背中を老女からトントントンと叩かれました。すると群衆が二人の前に道を開けます。千秋ともう一人の女性は手を握り合ったまま、その道を導かれるように歩きました。 
二人は群衆の間を通過してしまいましたが、誰も後を追っては来ないようです。群衆からかなり離れてから、その女性が言いました。「走れる?」「え?はい」「走って逃げよう」
 
千秋はやっと恐怖感が出てきて、一緒に走りました。目の前に森があります。二人はその中に走り込みました。背後に太鼓の音が聞こえていましたが、やがてその音も小さくなっていきました。 
(2000.10.09  元は1990年頃に見た夢)
 
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