【悪夢の城】交通センター
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
千秋は目の前の信号が点滅し出すのを見ると、思い切って走り出した。風圧。髪が顔にまとわりつく。フレアースカートが足にからみつく。横断歩道にかかると同時に信号が赤になる。がそのまま勢いで駆け抜ける。そして渡りきった直後。後ろで車が動き出した音がした。
後ろは振り返らない。自然に振る舞おう。その方がきっと長生きできる。千秋はバスセンターの中を足早に歩いた。そしてそのまま地下道に降りる。みすみすバスに乗るようなヘマはしない。エスカレータを駆け下り、地下鉄乗り場へ急いだ。プリペイドカードで改札を通り、更に下へ行くエスカレーターをまた駆け下りる。運がよかった。今到着したばかりの電車。千秋は行く先も確かめずに乗り込んだ。ドアが閉まる。
(1998.3.17)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
【悪夢の城】交通センター