【悪夢の城】交通センター

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千秋は目の前の信号が点滅し出すのを見ると、思い切って走り出した。風圧。髪が顔にまとわりつく。フレアースカートが足にからみつく。横断歩道にかかると同時に信号が赤になる。がそのまま勢いで駆け抜ける。そして渡りきった直後。後ろで車が動き出した音がした。
 
後ろは振り返らない。自然に振る舞おう。その方がきっと長生きできる。千秋はバスセンターの中を足早に歩いた。そしてそのまま地下道に降りる。みすみすバスに乗るようなヘマはしない。エスカレータを駆け下り、地下鉄乗り場へ急いだ。プリペイドカードで改札を通り、更に下へ行くエスカレーターをまた駆け下りる。運がよかった。今到着したばかりの電車。千秋は行く先も確かめずに乗り込んだ。ドアが閉まる。
 
(1998.3.17)
 
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