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「忍、もう寝た?」
「ううん。まだ」
「ね。Hしたくない?」
唐突な鈴音の提案に忍はドキッとした。したくない訳がない。でも・・・・・
「したいけど、しない」
「やはりしたいんだ」
「だって・・・・・」
「それは男の子の本能として?」
「違う。本能じゃなくて、その・・・・鈴音のことが好きだから」
忍はついにその言葉を言ってしまった。
「・・・ありがとう。私も忍のこと好きだよ」
そのことばを聞いて忍は天にも舞う気持ちになった。
「ちょっと明かり付けていい?」
と鈴音がきく。「うん」と言って忍は部屋の明かりをつけた。
「えっとこれ、忍に。バレンタインは明後日だけど学校で渡すのは恥ずかしいから」
と鈴音はチョコレートの箱をバッグから取り出して忍に渡した。
「これは・・・」
「えへへ。忍に買いに行ってもらったのに、それ渡すのもちょっと間抜けだけど。これ、忍に渡したかったから欲しかったんだ。一応リボンだけ自分で結び直した」
「ありがとう」
忍は嬉しくて感激して涙が出そうだった。
「チョコのおまけに私も付けちゃう。私とHしたい場合は60秒以内に私の唇にキスしてください」そう言って鈴音は目を瞑った。
忍は一瞬迷ったが、すぐに気持ちを決めた。そして時計で確認してから「ごめん。1分たっちゃった」と言って、鈴音の《頬》にキスをした。鈴音が目を開ける。
「鈴音のこと好きだからHだってしたい。でも今はまだしちゃいけない気がして。そういうのするのって、もう少し先でもいいかな、と。そもそも赤ちゃんできちゃったりしたら困るし」
「私産んでもいいよ。うちのお母さんだって16で私を産んだんだし」
それであんなに若いのか。でも
「いや、高校生なのに妊娠出産は、まずいって」
「一応、避妊具なら、私持ってきてるけどね」
「え?」
「えへへ。お母さんが持たせてくれた。もししたくなったら使いなさいと言って」
「・・・もしかしてお母さん、僕のこと」
「男の子だってことは分かってたよ。でも女の子の姿が可愛いと言ってた」
「参ったな」忍は頭を掻いた。鈴音のお母さんは分かってたから、わざと性別を曖昧にして、うちのお母さんと話をしてくれたんだ。
「避妊具使ってみる?」
「えっとね。。。。凄くしたい。でも」「うん」
「大学に合格するまでとっとく。合格発表にふたりの受験番号が出た時にさせて」
「1年後までお預けか・・・いいよ。えへへ。実は私も忍からHしようと言われたら、どうしようかと思ってたんだ。自分で言っといてなんだけど。まだそういうことまでする心の準備ができてなくて」
そのことばに忍は苦笑した。自分だってHする心の準備はない。1年後にと約束したけど、それまでに鈴音とそんなことできるだけの心の準備できるのかな・・・
「じゃ、寝ようか」と鈴音が笑顔で言うので、忍はもらったチョコを自分のバッグにしまい、部屋の明かりを消してベッドの中に入った。鈴音との距離はさきほどより心持ち近い感じがする。40〜50cmくらいだろうか。
Hしなかったの惜しかったかなとチラッと忍が思った時、また唐突に鈴音が言った。
「忍、Hしないなら、あれ我慢できないでしょ。ひとりでしていいよ。私、見ないふり・聞こえないふりしてあげるから」「あれって・・・・」
「男の子って、毎日するんでしょう。あ、私が気づかない内に昨日も今日もしちゃった?」
忍は困ったように答えた。「確かにほとんど毎日してるけど・・・でも昨日も今日もしてないよ。女の子の格好してたら、いじったりできない気がして」
「へー。我慢もできるもんなんだ」「うーん。我慢してるのとはちょっと違う感覚」
「あ、そうか。今は身も心も女の子なのね」「そうかも。アレをいじると男の子に戻ってしまいそうで」「じゃ、自分で触らなきゃいいのね?」
そう言うと、鈴音は毛布の中に潜ってきて忍の腰の付近に両肘を乗せた。「え?」
そして静かに時が流れていった。。。。
その晩はとても深く眠った感じだった。鈴音とあんなことをしたからだろうか。鈴音はこういう格好までさせたお礼などと言っていたが、あまりにも気持ち良かったので、忍はしてもらっただけでは悪い気がして、鈴音にもしてあげた。しかしそもそも女の子のあそこなんて見たこともなかったけど、何とかうまくできただろうか・・・・でも女の子の構造って、ああなってたんだなあと思い起こす。この旅で、忍は女の子の色々なことを知ってしまったが、最後に残されていた謎の部分を知ってしまった気がした。『あ、だから秘部なんていうのだろうか?』
などと変な事を考えていたら、忍にくっつくようにして眠っていた鈴音が目を覚まし「おはよう」と言った。「おはよう」「ぐっすり寝れた?」「うん。ぐっすり。疲れ取れちゃった」「私も」忍は鈴音の額にキスをした。
ふたりで交代でシャワーを浴びてきた。一緒にシャワーしようか?と鈴音は言ったが、忍は「いや、ひとりずつにしよう」と言った。シャワーのあと、ふたりともガウンだけでベッドに腰掛け、体を寄せ合った状態でおしゃべりする。
「ね、提案」「うん?」
「今夜のことはふたりだけの秘密。公式見解としては、何も起きなかった」
「うん。いいよ。実際Cはしてないし。それに、この旅のこと自体、友達には言えない」「そうね。私は宮古島まで行ったこと、しゃべっちゃうかも知れないから、忍は黙っててね」「うん。しゃべったら女装だったことまでバレちゃう」
「じゃひとりで参加したことにしとこう」「あ、でもまた時々、鈴音の家に行っていい?」「うん、来てよ。お口でならしてあげるよ」「いや、それも合格まで封印」
「ふふ。一緒にお勉強するんだよね」「うん」「女装もさせてあげるね」「えっと」
「だって、忍の女装すごく可愛いんだもん。男の子の忍も好きだけど、女の子の忍も好きだよ」「うーん・・・」「だから、男の子の忍は私の恋人、女の子の忍は私の親友」「それならいいよ」「じゃ、忍がうちに来たら女の子の服に着替えてから一緒にお勉強ね」「あれ、そうなっちゃうんだっけ」「だって、恋人の方はしばらく封印するなら親友の方でしょ。だから忍は女の子。それに忍の女の子服、今回結構買ったしね。折角だから着てよ。それか、自分の家で女の子の服に着替えてからうちに来てくれてもいいし」「ごめん、鈴音の家で着替えさせて」「うん」
「でもこれで女装がやみつきになっちゃったらどうしよう」「最近、そういう人多いから構わないと思うよ。椿姫彩菜さんとか凄い美人じゃん。忍も、ほんとに可愛いからまたどこかに一緒にお出かけしたいな。春休みは女の子ふたりで遊園地とか行かない?補習の無い日に」「遊園地、いいけど女の子モードなの?」「だって女の子ふたりの方が何かと便利だよ。いつもくっついていられるのに、友達に見られても変な噂立てられなくて済むし。先生に見られたら受験控えて男女交際は・・・とか言われそうじゃん」「僕は女装がバレたりする方が恐い」「バレないくらいに完璧にすればいいし」「そういう方向か」
「夏になったら一緒にプールとかも行こうよ?」「水着はさすがに無理でしょ。胸がないし、あそこのふくらみは消せないし」「うーん。胸はパッド入れれば、ごまかせると思うけどな。下の方はどうすればいいのかな・・・・いっそ手術して取っちゃう?」「取るって・・・」「性転換手術。手術して私と同じ形にしちゃう?取っちゃうと性欲も女の子並みに弱くなるらしいから、受験に集中できるかもよ?」
「ちょっと待って。僕が性転換してもいいの?」「戸惑っちゃうけど、したいなら止めないよ。レスビアンという道もあるし」「いや、全然したくない」
「女の子の体を獲得したいとかは思わない?おっぱいも大きくして。あ、忍が完全に女の子になっちゃったら、もてそうだから、私嫉妬しちゃうかな・・・」
忍は一瞬、自分が女の子になってしまった状態を想像してみた。おっぱいがあってすべすべのお肌で、腰がくびれていて、そしてあそこは・・・・・と思った時、昨夜鈴音のあそこを見た記憶がフラッシュバックした。
「ん?悩んでる?」と鈴音がこちらの顔をのぞき込んでくる。「いや昨夜の記憶がよみがえってきて」「あら。女の子の体のサンプルとして、もういちどじっくり見せてあげようか?」「えーっと、また今度にする」
「うん。いつでも見たくなったらどうぞ。でも、取りあえず今日は夕方まで、女の子の忍でいてくれる?」
「もちろん。今日1日で終わっちゃうのが惜しいくらい・・・あ」
「やはり、忍って女の子願望あるのかな」
忍はその付近については深く考えないことにして、鈴音から渡された新しい服に着替え始めた。今日のパンティーはナイロン製のピンクベージュ、レース付きだ。でも、こういう下着を着れる女の子というのもいいな、と忍は思った。
「ね、昨日鈴音が穿いてたスカート可愛かったから、今日それ借りれない?」
「うん、いいよ。巻きスカートだから、ウェストの調整は何とかなるし」といって、鈴音がタータンチェックの巻きスカートを渡してくれる。それを穿いて鏡に映してみて、忍は『うん、可愛い』と思い、楽しい気分になった。
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■バレンタイン・パーティー(6)