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■ファロスよさらば-Farewell to Phallus(8)

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アキコと結婚して1年近く経ったある日、私は勤めているサイドヌードルの店が支店を出すことになり、その店長に任命されたので、登記用に戸籍謄本を取得するため市役所を訪れた。
 
私のハルキの戸籍は「死亡」ということで抹消済みで、代わりにハルコの戸籍が作成されている。つまり実は私は戸籍上は生まれながらの女性なのである。サザンバード島で特別奉仕生になった人だけが、こういう「純正女性戸籍」を持っていて、実は性転換していることを相手に告知せずに男性と結婚することも可能である。謄本の申し込みをして、椅子に座って待っていたら、右手の方の窓口で係の人と揉めている赤ちゃん連れの女性が居た。
 
私はその女性に見覚えがあったので、近寄っていった。
 
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「どうしたの?ユミコ」
「わあ!ハルコ、久しぶり!」
 
何でも彼女は今抱いている子供をしばらく前から育てていたらしいのだが、民生委員さんからその子供の戸籍が無いと言われ、自分の子供として出生届を出そうとして、今度は出生証明書が無いと言われて拒否されたらしい。
 
「なんで出生証明書が無いの?病院で産んだんじゃないの?」
「自力で産んだ。色々事情があってね」
 
「わあ、良くひとりで産んだね。でも、そんな難しい話は戸籍係の窓口では無理だよ。弁護士の先生を頼んで、家庭裁判所で審判してもらった方がいい」
と私も言ったので、ユミコはその日は出生届の提出を諦め、いったん出直すことにした。
 

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私は自分の戸籍謄本を取ったあとで、市役所内の喫茶店で彼女と話した。彼女は人目をはばからずにおっぱいを出して授乳していた。わあ、いいなと思う。女の身体になっても、こういうことだけは自分にはできない。
 
「もう5年ぶりくらいかな。ほんとに久しぶりだね」
「うんうん。懐かしい。今どこに住んでるの?」
 
私たちはお互いの住所を交換した。
 
「へー、ハルコ、女の人と結婚したんだ?」
「うん。実は大学生の時の恋人だった人なんだよ。向こうは一度結婚して離婚してるし、こちらは性別を変えちゃったけど、お互いに傷持ちで、何となくバランス感覚が出来ちゃって」
 
「ああ、それもいいね。それにハルコ、レスビアンセックス巧かったし」
「ふふ。ユミコともたくさんしたね」
「うん。ハルコほどの恋人にその後出会ってないよ、私」
「もしかして、ユミコってレスビアン?」
「そうそう。男とのセックスはサザンバード島で食傷したから」
「ああ、なるほど」
 
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子供の件に関しては、やはり弁護士さんに相談しようということになり、弁護士さんとの初回相談料は取り敢えず私が出してあげることにした。
 
「でも、子供って本当にユミコが産んだの?」
「そうそう。本土に帰ってきてから、娼婦で学資稼ぎながら大学に通って、卒業してから妊娠したんだよ」
「へー。でもその時は男の恋人がいたんだ?」
「ううん。私は一度も男の恋人は作ってない」
「へ?じゃどうやって妊娠したの?」
 
「ふふふ。サザンバード島でお土産にもらった冷凍精液」
「えー!?」
 
「妊娠奉仕しませんか?とも誘われたんだけどね。妊娠奉仕は1回200万サークルもらえて魅力的だけど、本土暮らしもしてみたかったから断って戻ることにして、その代わり、冷凍精液をお土産にもらったの。普通は持ち出し禁止なんだけどね。お目こぼししてもらって」
 
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「わあ。じゃサザンバード島で採取した精液なんだ」
「誰の精液だと思う?」
「え?私が知ってる人?」
「そそ」
 
「えっと・・・ユミコと親しくしてた男の子と言うと、ケンちゃんとか、マサキちゃんとか、アスミ君とか・・・うーん、誰だろう」
「ハルコのだよ」
「へ?」
 
「私、サザンバード島に来てから1200回目のセックスをハルコとしたでしょ?」
「うん」
「その時の精液を記念に保存していたのを持ち出したんだよ」
「えー!?」
 
私は絶句した。
 
「じゃ、この子って、まさか・・・・」
「そ。ハルコの子供だよ」
 
私はサザンバード島で2000人の子供を作った。しかしみんな公的な機関で育てられ、その子供たちの顔も一切見ていない。しかし今目の前に自分の遺伝子を分けた子供がいる。私はこの子が急に愛おしくなった。
 
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「名前は?」
「ナツコ。夏に産まれたからナツコだよ」
「わあ・・・」
 
「そういう闇の精液で産んだから出生証明書が無いんだよ。病院で出産するには、精子提供者の署名か、精子バンクの出庫証明書が必要だもん」
 

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私はユミコとナツコの母娘を取り敢えず自宅に連れ帰った。
 
「えっと・・・こちらはどなた?」とアキコ。
「こんにちは。ハルコさんの元恋人のユミコと、私とハルコさんとの間の子供・ナツコです」とユミコは笑顔で挨拶した。
 
「へー」
と言ってアキコは少し呆れた顔をしている。
 
「結婚してまだ最初の結婚記念日も来ないうちに、愛人と隠し子を自宅に連れ込むとは良い根性してるね」
とアキコは言った。
 
「そう言わないでよ」
と言って、私はアキコに事情を説明した。
 
「ああ、そういうことだったのか。じゃ、今ハルコと付き合ってる訳ではないのね?」
「ええ。ハルコさんとたくさん男女型セックスしたのは、サザンバード島にいた7年前のことです」
 
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「じゃ問題無いよ。なんなら今晩は3Pして楽しもうか?」
「えー!?」と私とユミコは言ったものの、本当にその夜は3Pをしてしまった。
 
「ユミコちゃんテクニシャン。ハルコとはまた別の意味で刺激的だね」
などとアキコは言っていた。
 
アキコは弁護士の資格は持っていないものの、会社で法務関係の仕事をしているので法律に詳しい。ナツコの扱いについては、一筋縄ではいかないだろうと言った。
 
「本当は精子提供者であるハルコが認知届けをすれば出生認定を受けることができるはずなんだけど、困ったことにハルコは戸籍上、生まれながらの女なんだよね」
「うん」
 
「女が子供を認知することはできないから、通常の方法ではこの子を戸籍に乗せることは難しい。だから、この子は親が不明の子供ということで戸籍作成審判をするしかないよ」
「ああ。要するに捨て子を拾ったような形にするんだ」
 
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「法的にはそれしか手が無いと思う。それで、ユミコちゃんの養子にすればいいんだよ」
「法的には養子にするしか無いですか?」
「無いと思う」
「仕方無いですね。養子と記載されてるけど、本当の子供なんだよ、というのは子供にしっかり教えるしかないです」
 
「あ、待って。ユミコちゃん幾つだっけ?」
「28歳ですけど」
「じゃ駄目だ。独身女性は40歳以上でないと養子を取れない」
「ああん」
 
「誰かと偽装でもいいから結婚する?」
「無理。養子認可には実態調査をされるから、本当に夫婦生活を送ってないと、認めてもらえない」
「うーん」
 
「ね、アキコ、いっそこの子を私たちの養子にはできない?」
「ああ。。。。戸籍上はそうするけど、実際にはユミコさんが育てる、と」
「私もこの子には責任持つよ。私の遺伝子を分けた子供だもん」と私は言う。
 
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「ハルコさんの籍に入るんだったら構わないです。この子を知らない人の戸籍には入れたくないです」とユミコは言った。
 

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そういう訳で、私たちはこの子を私とアキコの養子にすることにした。私とアキコは夫婦ではないものの、ドメスティックパートナーなので、一緒に養子を取ることができるのである。
 
このあたりの手続きはアキコの知り合いの弁護士さんにお願いした。ナツコをいったん「捨て子」ということにして、戸籍を作成する審判をした上で、戸籍ができた所で、私とアキコの養子として届けた。
 
家庭裁判所の調査官がうちに調査に来て話を聞かれたが、私たちがちゃんと夫婦生活を送っていることを確認して、あまり細かいことまでは聞かずに調査官は帰って行った。約半年で私たちの養子縁組は認められ、ナツコは私とアキコの子供になった。
 
そして結局この子は、私とアキコとユミコの3人で育てることにした。ユミコは大学を出たところでナツコを出産したのだが、赤ん坊を抱えたままでは働けず実は経済的に困っていた。サザンバード島を出た時もらった退職金は大学の学資で全部使ってしまっていたのである。
 
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私はサイドヌードルの店には午後から出て21時頃まで仕事をするので午前中は、主として私がナツコの面倒を見た。アキコはきっちり夕方5時には終わる職場なので、18時以降はアキコがナツコの面倒を見ることができる。問題はお昼から夕方までなので、ユミコはファミレスの夜間スタッフとして働き始めた。夕方から仕事に行き朝までである。朝9時頃帰宅して仮眠してからお昼すぎからナツコの面倒を見る。
 
ということで3人で分担してナツコのお世話をすることにしたのである。
 
私の所には孫はできないものということで諦めていた母も田舎から出てきてはよくナツコと遊んでいた。うちのきょうだいは5人もいて、実は誰も結婚していない。妹は大都会のビッグスロープに住んでいて、都会的な恋人は作るものの結婚する気は毛頭無いようである。弟たち3人はそれぞれ、ラッキーヒル、ラベルルーフ、ゴールドリバーといった地方都市で会社勤めをしているが、みんな女性には縁が無いようである。一番下の弟など「いっそ兄貴みたいに生殖センターでセックス三昧したいよ」などと言っていた。
 
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そういう訳で、母にとってナツコは初めての孫となったのである。
 
本当は私の遺伝子を分けた子が1000人、私が男とセックスして精子を採取した子が1000人、この国のどこかにいるんだろうけどね。その子たちは名前も知らなければ顔も見ていないし、どこにいるかも私には分からない。

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結局、私とユミコはまた準娼婦として娼婦協会に登録し、週に1回くらい男とセックスして、お金をもらうことも再開した。
 
やはり子供を育てるにはお金が掛かるのである。ミルク代、おむつ代だって大変だ。予防接種なども受けさせなければならないし、乳幼児教室にも顔を出さなければならない。
 
男とホテルでセックスする場合、毎回ファロスの縫合をしてからセックスし、終わったらまた切断することになる。実は切断する時というのが結構な快感であることを私は感じ始めていた。そのことを言うとユミコも実はそうだと言う。
 
「セックスしてる時は男に支配されてるけど、切断する時は完全に私が男を支配してる気分になれて快感なんだよね」
などとユミコは言っていた。
 
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ユミコの切断道具はギロチンという重力を利用したカッターである。元々は死刑で首を切る道具だったらしい。「ファロスを切る?首を切る?」などと客に訊いてから、男が「まだ死にたくないから、ファロスの方でお願い」
などと答えるのを聞いてから刃を落とす。ファロスを切る前に大根を切って見せるパフォーマンスをすると、男はみな嫌そうな顔をするらしい。
 
ユミコがギロチンを使い始めたのは実は最近で、元々サザンバード島で切断師初段を取った頃はゾーリンゲンカッターという古風なナイフを使っていた。「ツヴァイリング」などという銘が入っていた。ゾーリンゲンカッターは、ジャポン刀と並ぶ古代の二大名剣で、ユミコはアキコが使うジャポン刀にもかなり関心を持っていた。アキコの場合、通常はあんな大きな刀を持ち歩くことはできないのだが、彼女は自分の愛用している刀「ムラマサ」を男性器切断用として特別認可をもらっており、認可証をいつも持ち歩いている。
 
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その「ムラマサ」で実際にアキコがファロスを切断する所をみて、ユミコは
「格好いい〜」
とアキコのことを憧れの目で見ていた。
 
「男とセックスしている時はファロスが女に快感を与えてくれるけど、切断する時は『ファロスよさらば』って感じだね」
などとアキコは言う。
「確かにね。私の場合は永久にさよならしちゃったけどね」
と私も冗談で言い返すくらいの心の余裕はできてきた。
 

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そして結局、私とアキコ、ユミコとナツコは同じ家で暮らしている。基本的には私とアキコ夫婦の家にユミコとナツコが居候している形なのだが、実際には私たちは時々3Pを楽しむことがあった。また私が不在の時に、アキコとユミコだけで楽しんでいる時もあるみたいで、ちょっと嫉妬することもある。
 
でも私たちは仲良しだ。だからうまくやっていってる。そしてナツコを育てるという共通の目的があるのも、私たちの団結力を硬くしている気もする。
 
「子はかすがい」とは良く言ったものである。
 
「でも私たちが仲良くできているのも3人とも女だからだよね」
「そそ。ハルコが男の子だったら、けっこう私たち陰険な雰囲気になってたかも」
「ハルコのファロス無くなって良かったね」
 
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そんなことを話しながらおやつを食べているアキコとユミコを見て、私は微笑んだ。
 
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