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■ファロスよさらば-Farewell to Phallus(6)

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「毎年2万人くらいの男性が赤紙もらってこの島に来るんだけど、2000人くらいは島内の喧嘩とかで死んでしまうんだよ。女性を取り合って喧嘩始める男って多いから」
 
確かにそういう喧嘩は見たし、自分がゲットした女性の横取りを試みられたこともある。そういう場合、女性の意志を確認した上で、どちらでもいいと言われた場合は私は後から来た男性に譲っていた。それで私は男性時代この島で喧嘩したことは無かった。
 
「あと犯罪を犯して刑務所送りになる男も1000人くらい毎年発生する。主として強盗とか、詐欺とかだね」
「まあ、そういうことする人はどこにでもいるでしょうね」
 
「あとどうしても女性をゲットできなくて、冬に野宿してて凍死する人もいる。この島は2月には零下20度まで気温が下がるからね」
「ほんとに女性をゲットできないなんて、あるんですか? 男10万人に対して女15万人もいるのに」
 
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「この島に居る女性は基本的に男性からデートを申し込まれたら先約が無い限り応じなければいけないけど、暴力を振るわれたら、即刻デートをキャンセルできるし、過去にデートして暴力を振るわれたことのある男のデート申し込みは拒否できる。だいたい凍死するハメになるのは、そういう暴力的な男だよ」
「ああ」
 
「あと女性をえり好みする男も危ない。理想が高すぎると死を招くね」
「うーん」
 
「それから精神的におかしくなってしまう人とか、糖尿病になって生殖能力が無くなってしまう人や、自信喪失からEDになってしまう人もいる。毎日セックスだけの生活してたら、おかしくなる男もいるよね」
「はあ」
「そういう人たちは本土の病院送り。生殖能力や勃起能力が無くなってしまったら男性資格も剥奪されるから、その後、炭鉱やウラン鉱とかで働く人も多いらしい」
「へー」
 
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炭鉱は危険な職場であることから女性の労働が禁止されているが、男性資格を喪失して女性扱いになっている人は働いてもよい。女性扱いされると会社勤めなどではあまりまともな給料をもらえないが、炭鉱ではけっこう良い給料をもらえるのである。ただし炭鉱事故は毎年起きているし、死者は年間1000人を超える。炭鉱の給料が高いのは、そういう危険の見返りである。
 
更に給料が高いのがウラン鉱山だが、ウラン鉱山で働いているとどうしても被爆する。基本的には年間100日以上働いてはいけないことにはなっているものの、複数の名前を使い分けたりして実際にはほぼ毎日坑内に入ったり、精錬作業に従事している人が多いとして、実態解明を求める市民運動も起きている。
 
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「だいたい3年間きちんと生殖奉仕を勤め上げることができるのは全体の7割の1万4千人くらいと言われているよ。でもその内結構な人が延長奉仕を希望する。これは毎年100人以上の子供を作った実績のある人でなければ認可されないけど、ある程度の精力があればクリアできる条件だよ。実際には4000人くらいは延長奉仕になってる」
「ああ」
 
「それからハルコちゃんみたいに女性の身体になって特別奉仕生になる人も3000人くらい。でもハルコちゃんみたいに女性として適応できる人はその中の3割程度というよ」
「残りの人は?」
「精神的におかしくなっちゃう人、どうしても女性として振る舞うことができず、強制退所になって本国に送り返されちゃう人、そして自殺しちゃう人。実は毎年500人くらい自殺している」
「きゃー」
 
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「それから本土に帰らず軍務に就く人もいる。それも4000人くらいかな。ここでセックスだけの生活をしていたら、今更ふつうの生活に戻れないと感じる人もいて。特に身体の丈夫そうな人にはかなり軍務の勧誘がされるんだよね」
「ああ」
 
「だからここに来た人の中で、ハルコちゃんみたいに元々女の子でも通るような優しい感じの子は本当に女の子に性転換させて、がっしりしてどこから見ても男という人は兵隊さんになってもらおう、という振り分けがなされるのよ」
「なるほど!」
 
「で結局、2万人来て、ふつうに3年間の奉仕を終えて本土に帰還する男性は1000人くらい。20人に1人って感じね」
「それで、ここに来ると生きて帰ってこれない、なんて話になる訳ですね」
「そうそう」
と言って、ミズホさんは笑っていた。女性の生殖奉仕は「見た目が」50歳までできるので、若作りして60歳くらいまではこの島にいるつもりだと彼女は言う。
 
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なお、この島の最高齢女性は72歳のカオルさんという人だが、彼女はノーメイクでも44〜45歳、メイクすると37〜38歳に見えてしまうし、声も可愛くて20代女性の声にも聞こえてしまう凄い人である。実は私は彼女と男性時代にも5回セックスしていた。「ここまで若く見えると化け物だね」などと、本人も言っていたが、精神的にもとても若い人で、彼女とはよくアイドルや少年誌・少女雑誌のマンガの話で盛り上がった。私がサザンバード島にいる間、本土のアイドル情報やコミックス情報をしっかりキャッチできていたのは彼女のお陰である。
 

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2年後、ユミコは22歳の誕生日でこの島を退所して大学に入るため本土に戻った。私たちは友人何人かで集まって、送別会をした。
 
「本土でもまた会えたら会いたいね」
と言って私たちは別れを惜しんだ。
 
私の生殖奉仕は更に続き、女性の身体になってから4年たって、私は準娼婦の資格を取得した。1200人目になってくれたのは、私の「最初の男」であった、ミチヒロ君だった。彼には機会を見て、自分が元男性であることを打ち明けていたが、それは全然気にしないと言われた。確かに結婚するとかではないし、セックスするだけの相手なら、うまく結合できれば良いのであって生まれながらの女なのか、元男なのかはあまり関係無いのだろう。
 
ミチヒロ君は3年間の生殖奉仕を終えたあと、延長奉仕をしていた。最初おどおどした感じでセックスしていた彼も、今や立派な男になっていた。これだけ男としてのセックスが上達すれば、本土に帰っても結婚して良い夫になるだろう。この島では男は仕事をしなくても良いのだが、彼は特に志願して、コンピュータセンターで午前中パートをして、SEの資格も取得していた。基本的に男性は人目に付く所で仕事をすることはできない。(無論働いてもこの島ではお給料は出ない。男性の場合あくまでも生殖奉仕の資金として毎月30万サークル支給されるだけである)
 
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私が採取した1200人の精液が、妊娠奉仕をする女性の子宮に注入され、800人が妊娠し、うち650人は既に出産していた。
 
私はこの島に来てから自分の精子で1000人の子供を作り、自分が女としてセックスして男性から採取した精子で更に800人の子供を作ったことになる。そんなにうようよ自分の子供がいるというのはちょっと変な気分だ。
 
そして自分の採取した精子での1000人目の妊娠を報告された日、私は管理局に退所願いを出した。女性の身体になってからも既に3年間の奉仕をとっくに終えているので、私はいつでも退所できる状態になっていたのである。
 

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「お疲れ様でした。結局8年間の奉仕になりましたね」
「ええ。この島も居心地がいいですが、また新たな自分の人生を切り開いていきたいと思って」
「頑張ってください。それではこれはあなたの新しい身分証明書です」
 
と言って渡されたカードは名前が「ハルキ・男」ではなく「ハルコ・女」になっている。
 
「この身分証明書があれば、女性として結婚することもできます。なおハルキの方は既に戸籍から抹消されていますので」
「分かりました」
 
そうして私は本土に戻った。8年ぶりの本土はなんか変な感じがした。サザンバード島はとても空気がきれいだったので、少しよどんだ空気で私は最初咳をしてしまった。
 
私はサザンバード島の生殖センターでは男性時代の3年間に貯金を150万サークルしたが、それは女性時代にほぼ使ってしまった。そして女性になってからは給料などももらってないが、5年間の奉仕の代償として退職金に500万サークルもらったので、それだけあれば2年くらいは何もしなくても食べていける。しかし私はすぐ就職するつもりだった。男性では無くなったので、もう営業職はできないが何か仕事を見つけなければ。
 
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(女が営業をすると男よりどうしても楽に相手に射精させて契約成立させられるので競争適正化法という法律で、女性の営業行為、営業マンに付いていく行為は禁止されている)
 
まずは島にいる間にアパートの契約予約をしていた不動産屋さんに行き、賃貸契約を済ませた。借りるのは3畳一間で風呂無し、トイレ共同などという所だが家賃が2万サークルと格安である。それから私は職安に行き、仕事を探している旨を言う。
 
「ああ、サザンバード島帰りの方ですか。向こうでは何かお仕事されてました?」
「ええ。サイドヌードルの手打ちの職人をしていました。サイドヌードルだけでなく、ウィートヌードルやパスタヌードルも打てます」
「おお、それは凄いですね。ではその関係を見てみますか?」
「あ、それもいいですね」
 
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紹介してもらったサイドヌードル店に行くと、実際にやってみろと言われた。そこでサイドパウダーをもらい、それに塩と水を混ぜて手打ちしてみせた。
 
「うまいね!採用!」
と人の良さそうな50歳くらいの感じの女性店主さんは言った。
 

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そういう訳で、私は3畳一間のアパートに住み、サイドヌードル店で働くという生活を始めた。実家には連絡してない。女になってしまったなんて言うと、母が嘆きそうで、なんとなく連絡しづらかった。実家では私はきっと死んだものと思われているだろうし。実際ハルキの戸籍には死亡と書かれているはずだ。
 
サイドヌードル店のお給料は月6万円であった。女性としては比較的高い額だが、この給料で暮らしていくのはなかなか辛い。
 
仕方無いなあ・・・・
 
私はやや消極的に決断をすると、娼婦協会に登録手続きを取った。準娼婦のライセンスを見せ、料金は1回3万円と登録して、営業許可証をもらう。営業日としては店がお休みになる水曜日を選んだ。これで協会から娼婦の仕事を回してもらえるのである。
 
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その水曜日、協会から連絡が入り、私は駅前に行って客を拾った。だいたいこういう行為はホテルですることになっている。私は客と一緒にホテルに行った。
 
「それでは縫合しますね。容器を貸してください」
「うん。よろしく」
 
客からファロスの保管容器を受け取り、取り出して、客の股間に縫合した。サービスで先頭の柔らかいグランの部分を舐めてあげると客は「おお」と声をあげた。
 
それから約2時間コースで客とセックスをした。ベッドの上で抱き合い、まずは彼のファロスをそのまま自分のマロスに受け入れて、正常位でセックスする。
 
その後、シックスナインをして、バックでも一度結合し、最後は対面座位で座って抱き合ったまま逝かせてあげた。2時間の間に4回も射精すると、彼はもう完全に精魂尽き果てている感じだった。
 
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「気持ち良かった。さすがにもう立たねえ。ファロス切られてもいい感じ」
などと客が言うので
「じゃ、切りますよ」
と言って、私はレーザーメスを取り出す。
 
「きゃはは、君はそれで切るの?」
「はい。切るのは一瞬ですよ」
「ああ。確かに時間のかかる切断方法は辛い」
 
レーザーメスのスイッチを入れると、レーザービームが出てくる。私はサービスのパフォーマンスで鉄板を切ってみせる。彼が「わあ」と嫌そうな顔をする。しかし情け無用。ファロスを付けたままホテルの外に出ることはできないから、私が切断してあげなければならないのだ。
 
股間にビームを向けて、0.3秒くらいで、彼のファロスとサックを切り落とした。
 
「うっ」と思わず彼が声を出したが、悲鳴などはあげない。悲鳴をあげてしまうとそれを私が報告しなければならないので、その報告によって彼は男性資格を失ってしまうのだ。
 
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私は微笑んでファロスとサックを保管容器に入れた。彼のショーツに夜用ナプキンを装着してあげる。彼は微笑んでショーツを腰まであげた。
 
私はサザンバード島にいる間に、切断師の二段を取得していた。女性としてこの社会で生きて行くためには切断師の資格は絶対に必要なものである。
 
しかし自分も自分のファロスとサックをこうやって保管容器に入れてもらってたよなあと思う。もう今はそれはできなくなってしまった。
 
料金は3万円だったのだが、彼は凄く気持ち良かったからといって5万もくれた。準娼婦の場合、5万サークルを超える報酬を受け取ったら違法になるがギリギリ5万までは許されるので、客の好意にあまえることにした。
 

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切断師の試験はファロスやサック、そしてサックの中にある睾丸などの構造に関する知識、また生殖全般に関する知識、万一切断した男性が気分が悪くなった時の応急処置や緊急止血法などといったものも問われるが、やはり大事なのは実技である。
 
4級のペーパーテストではファロスに関する簡単な知識を問われるが、これは元男性ならふつうに知っている程度の知識だから問題無い。4級の実技は医療用メスを使って、プラスチック製の疑似ファロスを5分以内に切断できれば良い。
 
3級になると、男性器の細かい構造を問われるがこれは意外に男性自身でも知らないことがあるので、勉強が必要だ。実技はプラスチック製疑似ファロスを1分以内に切断することと、切断したファロスを10分以内に縫合することである。
 
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