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■七点鐘(4)

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私はこの会社の取材内容を記事にまとめていた時、ふと10月のフィギュアスケート・ペアの性転換した妹に続いて、今回は性転換社員に会ったなというのを考え、唐突に、龍沼伝説の取材で訪れた時にお世話になった月目さんのことを思い出した。
 
「あなたはこれから1年ほどの間に7人の性転換者に会うでしょう」
と彼女は言った。
 
私は彼女の家はどこの集落だったんだっけ?と思い、地図を広げてみた。
 
私は首をひねった。龍沼集落に行く群馬県道777号は、途中に枝道のようなものが記載されていないのである。
 
地図にも載らない、小さな村道か林道なのだろうか?と私は考えた。
 

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2月。
 
私は群馬県警が画期的な新しい取締車両を採用したという話を取材に行った、それは『ナイトライダー』に出てくるナイト2000のように、自分の意思を持ち、自律的に走行し、犯人の逮捕などもできるという車両だというのである。日本では自動車の自律走行は法的にはまだ完全解禁されていないのだが、この車両は特例で認められたのだという。
 
私が訪れたのは、県警の高速隊本部である。
 
説明してくれたのはまだ22-23歳に見える若い警部補さんであった。この年齢で警部補ということはキャリア組なのだろう。
 
「何か格好良い車ですね。最高速度は?」
「一応仕様上の最高速度は340km/hなんですけど、サーキットで試してみたら400km/hを超えました」
 
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「それは凄い」
「但しそれだけの速度を出す時は半マニュアル半オート運転なんです。人間とコンピュータが共同で運転している時だけ200km/h以上の速度が出るようになっています。人間だけの時は最高180km/h、コンピュータだけの時は最高120km/hに制限されています」
 
「なるほど」
 

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「でもこの車両、まだ警視庁にもないんでしょう?よく群馬県警で採用されましたね」
 
「実は関越の無法な車に手を焼いているんですよ」
「なるほどー」
「ですから、この車は主として関越や上信越道などで使います」
「やはり高速道路ですよね」
 
「それと実はこの車の開発者は私の父なんです」
「そうだったんですか!」
「私は中学生の時から、この車のテストパイロットを務めていました」
 
「それで、ここに最初に導入されたんですか」
「実際、この車を操縦できるのは、僕と僕の弟の2人だけなんですよ。だから僕が壱號機を使い、弟が弐號機を使っています。弟は今大学在学中で、卒業したら、警視庁に入って、弐號機を警視庁で使うという方向で話を進めています」
 
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「じゃ、この車の専用操縦者として警察にお入りになったようなものですね」
「そうです」
 

「良かったら実際に運転している所を見せていただけませんか?」
「いいですけど、ここから先は記事にしないで頂けますか?機密事項なので」
「はい、それでいいです」
 
警部補はキーを取ってきたが、その鍵ではなく自分の目で鍵穴の所を見ている。ああ、生体認証なんだな、と私は思った。
 
「実はキーでもドアを開けることができますが、乗り込んでから3分以内に生体認証をしないと、運転席から射出されてしまいます」
 
「怖い仕様ですね」
「この車はけっこう軍事的なんですよ」
と言って警部補が乗り込む。
 
「助手席にどうぞ」
「射出されませんよね?」
「運転席に私が座っているから大丈夫ですよ」
 
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それで助手席に乗り込む。座席はしっかりと身体全体を受け止める作りになっている。スポーツカー特有の強烈な加速度に耐えられるようにする構造なのだろう。
 

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警部補はドアをロックしてから、突然ズボンを脱ぎ始める。
 
「何をなさるんです?」
「操縦するのに必要なんです」
 
警部補はズボンの下に、まるで女性用のショーツのような下着を着けていた。そういう趣味なのかなあと思っていたのだが、そのショーツのようなものまで脱いでしまう。すると、そこには・・・
 
「あなた女性だったんですか?」
と私は驚いて言った。
 
「そうですね。医学的には女です。戸籍上は男ですが。16歳の時に性転換手術を受けました」
 
「それは随分早いですね!でもそんなに早く性転換なさったのに、戸籍は直されないんですか?もう20歳過ぎておられますよね?」
「はい。私は23歳です。でも女として生きる意思は無いので」
「はあ」
 
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まあ人には色々事情があるのだろうと思っていたのだが、警部補はハンドルの下にあるボタンを押すと、そこから棒状のものを取り出した。棒状というより実は、男のペニスに見える。
 
「へ?」と思っていると、警部はそれを自分のお股のスリットの中に入れようとしている!?
 
「実はこの車を操縦するには、操縦桿を自分のヴァギナに入れないといけないんです。そして腰の使い方で動かします」
 
「え〜〜〜!?」
「処女の人にはお勧めできません。この車にバージンを捧げてしまうことになるので」
「あなたは処女ではないのですか?」
「高校の同級生にバージンは捧げましたよ」
「へー。しかし不思議な操縦方法ですね」
 
「最初に作った零號機は逆にペニスを操縦管に挿入する方式だったんです。だから中学生の頃はそれで操縦していましたよ。でも、でもそれだと操縦している間ずっと勃起してないといけない。何度かうっかり途中で射精してしまって小さくなり、車とのコンタクトが外れて、あやうく事故る所でした。それで、これは危険だということで、壱號機は逆に自分のヴァギナに入れる方式に変更しました。それでこれに乗るために私は性転換手術を受けたんです」
 
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「この車を操縦するために性転換ですか?」
「はい」
「嫌じゃ無かったですか?」
 
「別に嫌では無かったです。父から言われた時はびっくりしましたが、親公認で女の子になれるなんて素敵じゃないですか」
 
「女になりたかったんですか?」
「別に。女になりたかったら、女装して過ごしていますよ」
「確かに」
「でも女の身体は快適ですよ。記者さんも性転換してみません?」
「あ、いえ。遠慮しておきます」
 

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それで警部補は車を出したが、この車にはアクセルとかブレーキというものは無い。ハンドルだけは付いているものの、実際には200km/hを超えると、このハンドルは人間の側からは一切操作不能になると言う。
 
「これ速度調整はどうするんですか?」
「これも記事にはしないで欲しいのですが、私の性的な興奮度に応じて速度が上がるようになっています」
「え〜〜!?」
 
「だから自分の性的な興奮度を自分の意思でコントロールすることが求められます。こうやって市街地を40km/hで走っている時は軽い興奮度ですが、高速に乗ったら、セックスかオナニーでもしているかのような状態まで興奮度をあげる必要があります。私の興奮度があがると、操縦用ジョイスティックの出入りの速度も上がって、こちらの興奮状態が維持しやすいようになるんです」
 
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「はぁ・・・・」
 
ジョイステッィクね・・・・。
 
「そもそもこちらのペニスと車の操縦管で操作する場合、どうしても射精で終わってしまう問題があるんですよね。女の興奮度は徐々に上がっていって昂揚を維持して、万一逝ってしまっても徐々に下がって行くから、こちらが女の身体である方がうまく行くんです」
 
「なるほど」
 

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実際そのあと警部補は関越に乗って走行車線を120km/hで走行していたが、顔が物凄く気持ち良さそうである。
 
ところが走行している内に追越車線を、物凄い速度で走って行ったスポーツカーがあった。
 
「行きますよ」
と警部補が言うと、ハンドルを操作してこちらも追越車線に出る。赤色灯を出す。警部補が目を瞑って頭をヘッドレストに付け、かなり気持ち良さそうな表情をする。「あ、あ、」と喘ぎ声まで出している。そして車はみるみる内に速度を上げていく。
 
目を瞑っていていいのか?と私は不安になったものの、ちゃんと進行方向は車が自動的に制御しているようである。警部補はもう気持ち良すぎるのもあるのかハンドルから手を離しているが、そのハンドルは自動で動いている。
 
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やがて前方にさっきのスポーツカーが見えてくる。向こうは速度をあげたようだが、こちらも速度が上がる。警部補の喘ぎ声が激しくなる。
 
しかしどうやって掴まえるのだろうと思っていたら、車の前方から何かが飛び出した。
 
物凄い爆発音があり、前の車が停止する。こちらの車も停止する。警部補は「ふぅっ」とため息をつくようにすると急いでパンティーを上げ、ズボンも穿いた。
 
そして前の車に行くと
「群馬県警だ。道路交通法違反の疑いで現行犯逮捕する」
と告げてドライバーに手錠を掛けた。
 
そして電話で応援を呼んでいた。
 

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私は事故処理が終わるのを待って警部補と一緒に高速隊本部まで戻ったが、警部補は帰りもずっと気持ち良さそうな顔をしていた。
 
「あの前の車を停止させたのは何ですか?マシンガンか何か?」
「小型のバズーカですよ」
「凄い」
「ああでもしないと止まりませんから。但しあれはこちらが250km/h以上出してないと反動でダメージが来ます」
 
と警部補は恍惚の表情の中から言う。
 
「ああ。でも日本の警察も凄い武器を使うようになりましたね」
と私は半ば『いいのか?』と思いながら感想を言った。
 
見せてもらったお礼を言ってから高速隊本部を去ることにするが、私はふと思いついて尋ねた。
 
「弟さんが弐號機を操縦なさるということですが、もしかして弟さんも性転換手術を受けられたのですか?」
 
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「そうですよ。中学3年の夏休みに手術を受けさせました」
「大変ですね!」
 
「私は自分が手術された時、別に何とも思わなかったんですが、弟は嫌だ嫌だと泣き叫んでいました」
「ああ」
 
「だから最後は逃亡しようとするのを男性看護師数人で取り押さえて手術室に連行して性転換しました。さすがに手術が終わった後は、泣きながらも自分が女になったことを受け入れましたが」
 
「まあ手術されちゃったら受け入れざるを得ないですね」
「でも弟はそもそも僕よりも女になる素質があったと思いますよ」
「へー」
 
「あいつは小さい頃から結構女の子に間違われていたし。今はスカート穿いて女子大生として大学に通っているんですよ」
 
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「じゃ結果的には女としての生き方にハマっちゃったんですかね?」
「だと思います。僕は別に女になるつもりないから、戸籍は男のままですけど弟は戸籍の性別と名前も変えちゃったんですよ。だから今は法的には妹ですね」
 
「だったら、性転換して良かったのでは?」
「だと思いますよ。あいつは多分、そのままでも20代のうちに性転換していたような気がします。どうせ性転換するなら、早いうちがいいんですよ。おっぱいも僕より大きいし」
 
おっぱい!?
 
「警部補さんは、おっぱいあるんですか?」
「ありますよ。女性ホルモン飲んでるから。でも僕はBカップで弟はDカップなんです」
 
「なるほどですね〜」
 
「記者さん、物は相談ですが、あなたも性転換手術受けて参號機のパイロットになりません?あなた、結構女になる素質ありますよ」
と警部補は小さい声で言った。
 
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「あはは。失業した時に考えます」
と私は焦って言った。
 
でも女になる素質があるって!??
 
そんなこと考えたこともなかったが。。。。
 
 
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