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■七点鐘(3)

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12月。私は山梨県にある地場中堅企業を取材に訪れた。
 
最近男女共同参画社会ということで、企業でも女性の管理職を増やすよう求められているのだが、この会社は昨年までは女性の管理職がゼロだったのに、わずか1年で管理職の5割が女性になり、取締役も7人の内3人が女性という構成になったというのである。
 
その話を聞いて、今年の春は有名大学卒の女子が大量に入社し、実力のある人が多いので、ひょっとしたら数年後には女子の管理職の方がずっと多くなるかも知れないという。また優秀な人材が入ったことで、この会社はここ数ヶ月急速に営業成績を伸ばしているのである。
 
私が取材を申し込んだのは、その女性取締役のひとりで常務の肩書きを持つ人ある。まだ30代のように見える。
 
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「初めまして、このような者です」
と言って私は雑誌社の名刺を渡す。向こうも常務取締役の名刺をくれた。名刺がカラフルである。会社の名刺を白一色ではなく、このようなカラフルなものに変えたのも、女性取締役が増えてかららしい。
 
お茶とケーキを持ってきてくれたのは若い男性の社員だった。この会社ではお茶くみなどの仕事も男女分けずに割り振っているという。
 

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「御社ではどのような形で女性の管理職を増やしたのですか?」
 
「まあその話は大雑把に言えばズルなんですけどね」
と常務さんは笑いながら言った。
 
「まず、ひとつは管理職のポストを増やしたんです。それまで当社には管理職の数は30個ほどあったのですが、これを10個増やして40個にしました。ですから実は管理職だけど、部下が居ないなんて人もいるのですが、そのあたりはまあ取り敢えずは良いことにしようということで」
 
「まあ最初はそういうのでもいいですよね」
「その増やした10のポストに、女性社員の中で結構頑張っている人たちを就けました。いわゆるライン&スタッフのスタッフに当たる部分のポジションではあったのですが、その後の人事異動でラインの役職に移動してきた人も数人います」
 
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「実力がある人にはそれだけの職務をやってもらっていいですよね」
 
「でもこれだけだと女性の役職者は25%にすぎません。そこで男性管理職の人たちに呼びかけたんです。あなたたち女性になりませんか?と」
 
「それで女装役職者が大量に生まれた訳ですか」
と私は笑顔で言う。
 
実はこのことが話題になって、結構テレビに流れたり、ネットにも書かれたりしたおかげで、会社の知名度が上がり、結果的に営業成績のアップにつながったのである。
 
「10人先着で募集したんですが、12人応募してきまして。内1人はどう見ても女に見えないということで却下させてもらって、あとの11人を女装管理職にしました」
 
「たくさん応募がありましたね」
「お手当を出したので。女装手当を月2万と、化粧品・衣服手当を初年度だけ3万、2年目からは1万です」
 
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「それは結構大きいですよ。でも女装管理職の女装の基準とかはあるんですか?」
 
「女性管理職になる条件は3つです。通勤中の服装は自由なので、会社内や取引先などに行く時は、女子制服あるいは女性用ビジネススーツを着ること。女性的な名前を仕事用に登録して、それで名刺を作り、会社のデータベースにも登録すること。給与明細もその名前で出しますが、源泉徴収票は戸籍名で発行します」
 
「なるほど」
 
「それとあとひとつが、社内では女性的な言動を心がけるとともに、社外やプライベートでも極度に男っぽい言動は控えて、できれば女性的か中性的な服装をすること。ヒゲやすね毛はきちんと処理し、眉毛も細くしてお化粧もしておくこと。髪も女性的な髪型にすること。髪は自毛が基本ですが伸びるまでは一時的にウィッグの使用も認めます」
 
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「結果的にプライベートもかなり女性的にならざるを得ないんですね」
 
「実際には全員、自宅から女装で通勤してきています。休日はトレーナーとジーンズのような格好で過ごしているようです。休日も外出する時はメイクしている人もいるみたいですよ。奥さんと一緒に出かけていて姉妹と思われたという人もあるみたいで」
 
「なるほど。奥さん公認ならいいですね。お化粧とかも楽しそうだし」
 
「みんな楽しんでいます。最初は化粧品会社の人を招いてお化粧のレッスンをしたのですが、わいわいと騒いでました。女装手当・衣服化粧品手当を原資にして、かなりお化粧が好きになって、ネイルアートとかまでしている人もいますよ」
 
「それはかなりハマってますね。トイレはどうしているんですか?」
 
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「一応男子用トイレの使用は禁止しています。でも女子トイレに入る勇気は無いようなので、男女共用の多目的トイレを使うよう指導しています。それで社内に多目的トイレを増設したんですよ」
 
「それはいいことですね」
「これが結構好評でした。着替えなどにも使えるというので、女装管理職だけでなく一般の社員もよく利用しているんですよ」
 

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「取締役も同じ仕組みなんですよ。それまで5人だったのを定員を2人増やしてその増やした2人に女性を登用するとともに、1人は男性から女性に転換してもらったんです」
 
「なるほどー。常務さんは、その増員で常務さんになられたんですか」
「あ、いえ。私は元々男性の常務だったのが、性別変更して女性になった口です」
 
「え〜〜!?でも、あなた男性には見えません」
 
「みんなから言われました。私は実は会長の息子でして」
 
と常務さんは頭を掻きながら言う。彼女(彼?)の声は、女性の声にしか聞こえないし、見た感じも女性として不自然なところが全くない・
 
「それで、みんな女になるのは嫌だと言っているから、お前が女になれと言われて、スカート穿いてお化粧して勤務することにしたんです」
 
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「凄い。でも声も女性の声に聞こえますけど」
 
「ああ。私は両声類なんです。男の声も出ますよ」
と言って常務さんは男の声を出してみせた。
 
「凄い。自由自在なんですね」
「もっとも最近はずっと女の声で話しているので、男の声の出し方を忘れてしまいそうです」
 
「ああ、そうなるかも。髪はウィッグですか?」
「実は趣味でロックバンドやっているもんで、元々自毛が長かったんですよ。切れ切れと親父には言われていたものの、取締役の特権でバックれて長いままにしていました。それで、お前その髪ならいっそ女になれと言われて」
 
「ああ、ロックバンドですか!」
「結果的にバンドの方も女装でやってます。だから男性ボーカルが女性ボーカルになっちゃったんで、あんたとこのバンド、ボーカル交代したの?とか言われました。実は交代したんじゃなくて性転換したんですけどね」
 
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「凄い」
 

「社内で女装レベル審査委員会というのを作っているのですが、私はその審査で100点もらっちゃいました。まあ会長の息子というので審査が甘くなった可能性も高いですが」
 
と常務さんは言う。
 
「いや、あなたのレベルは充分100点だと思います。誰もあなたを見て男だなんて思いませんよ」
 
「それで、あんた本当は元々女になりたかったんだろう?性転換したら?とか言われるんですよ。自分でも本当に手術したくなりそうで自分が怖いです。実際女装審査の100点というのは、性転換すべしというレベルだそうで」
 
「常務さん、マジで性転換を考えてもいいと思いますよ」
「なんか1年後に取材に来られたら、性転換しちゃいましたと私言ってるかも」
 
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などと言って常務さんは笑っている。
 
「他の管理職さんたちはどうでした?」
 
「実は女装管理職を作ったら、平社員の間でも、女装してみたいと声が出ましてね。それで平社員でも、届けを出せば女装社員になっていいことにしたんですよ」
 
「ほほぉ!」
「ただし女装管理職に出しているような、女装手当・化粧品手当は出ません。あくまで本人の趣向の範囲としています」
 
「なるほど、なるほど」
「それと、女装勤務を選択した場合、最低3年間は男装社員には戻らないことが条件です。コロコロと性別を変えられると困るので。これは女装管理職も同じです」
 
「それは確かにそうですね」
 
「今、平の女装社員が実は50人ほどもいるんですよ」
「それは凄い!ここ、社員数は800人ほどでしたっけ?」
 
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「正社員が700人とパート・派遣が400人ほどいます。うち戸籍上男性である人は600人ほどで、その中の50人ですから比率的には8%くらいですか。結構そういうのを希望する人がいるもんだと思いました」
 
「LGBTの傾向がある人は全体の1割くらい居るといいますからね」
「多分自分も女装で勤務したいけど、それを言い出す勇気が無いと思っている人もいますよ」
「いるでしょうね」
 

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「まあそれでその50人、女装管理職の11人、それに私も女装審査委員会のテストを受けたのですが、100点を出した人が私を含めて5人出ました。基本的には100点は性転換した方がいいレベル、90点は取り敢えず去勢くらいしてみようか、80点は真剣に自分の生き方を考えた方がいい、70点以上は女の声を出すレッスンに通う補助を出すよ、60点以上はプライベートでも女装生活するのお勧め、なんて言っていたんですが、実際問題として平社員で女装社員になった人はほとんど80点以上でした」
 
「やはり、そういう傾向のある人なんでしょうね」
「それで性転換した方がいい、なんて言ったら、その内2人が本当に性転換したいから、手術を受ける間、休職にして欲しいと言いまして」
 
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「おお!」
「実際には会社規定の有給休暇に加えて、特別休暇を2ヶ月あげました。2人とも性転換手術を受けて1人はもう復職して、もう1人も来月には復職予定です」
 
「そこまで理解のある会社はなかなか無いですよ」
「実はふたりともかなり実力のある社員で、将来的には管理職、役職にと思っていたので、その人たちが会社を退職せずに継続して勤務してくれることは会社にとっても大きなメリットがあるんです」
 
「そう考えてくれる会社がすばらしいと思いますよ」
 

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それで常務さんは、その女装テストで100点を取り、性転換を「推奨」されて手術を受けたあと、会社に復職したという社員さんを呼んでくれた。
 
彼女は物凄い美人だった。髪は胸くらいまである。
 
私は彼女と名刺を交換した。
 
「もう戸籍の性別変更も終わったんですよ。ですから年金手帳、健康保険証、源泉徴収票も全部女性名に切り替わりました」
 
彼女はまだ声の出し方が苦手なようで低い声だが、話し方が女性的なので、充分女性が話しているように聞こえる。
 
「実際かなり悩んでいたんです。仕事は辞められないけど、できたら30歳になるまでには手術を受けて性別を変更したいと思っていたので」
 
「だったら、まさに渡りに船だったんですね」
「ええ。女装管理職なんて話が出た時、私も係長だったら応募するのにと思いました」
 
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「彼女は主任の肩書きなんですよ」
と常務が補足する。基本的に主任というのは、平社員の扱いの会社が多い。
 
「その後、平社員でも女装社員に移行していいよというお話があったので、即希望しました。実はそれまでは、会社には男物の背広着て出てきても、家に戻ったら女の格好で過ごすという二重生活だったんです」
 
「なるほどなるほど」
「まだ男性社員のうちに、おっぱいは大きくしていたんだったね?」
と常務。
 
「ええ。18歳の時から女性ホルモンを飲んでいたので。それで実は手術の時はペニスが小さすぎてそのままでは膣が作れないというので、S字結腸法を併用したんですよ」
 
「でもそれかえって、結果的に良かったんだよね?」
と常務が言う。
 
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「はい。伸縮性が豊かなので、彼氏とセックスしても全然痛くないんです」
と本人。
 
「普通はペニスの皮膚を裏返してヴァギナの壁にするんですけど、それだと伸縮性が足りないんですよ」
と常務が説明する。
 
「へー。そうやってヴァギナ作るんですか?」
 
「それで伸縮性を確保するのに毎日、ダイレーションというのをしなければいけない。まあシューストレッチャーのようなもので伸ばすんです」
 
「大変ですね!」
「ところが、S字結腸の部分を膣に転用した場合、元々腸の伸縮性がいいのであまり問題は起きないんです」
 
「へー。だったら、基本的にそちらで手術した方がよくないですか?」
「その方法は大手術になるし、費用も高くなるのが欠点で」
 
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「ああ。それはまた大変だ」
「私の場合も陰茎反転法に比べて3割も高かったんですよ。手術時間も長かったようです。借金作っちゃったから頑張ってお仕事して返済しないといけません」
 
「でも性転換した後、ちゃんと普通にお仕事できるのはいいことですよ」
「ええ。みんなそれで苦労しているようなんですよね」
 
その後私はその人もまじえて、この会社のユニークな「女装社員制度」について色々楽しくお話させてもらった。性転換手術まで受けた人がいることについては常務さんと話した上、記事には記載しないことにした。
 

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