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■女たちの羽衣伝説(4)

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千里は結局その日はお昼までカラオケ屋さんで作曲の仕事をし、午後からレッドインパルスの練習に行こうかと思ったのだが、キャプテンから電話が掛かってきて、体調が悪いみたいだから、少し休養して7月13日の朝からチームに合流するよう言われた。しかし身体を動かさないのは気持ち悪いので、都内の体育館に行き軽く汗を流した後、スタバに行って、音楽の作業を継続した。
 
夕方帰宅したが、私、会社に出なくていいのかなあとも思う。《ヤマゴ》は「そちらは何とかなる」と言っていたので、自分もそう考えることにした。
 
でも私ってプログラムなんて書けないのに、どうしてソフトウェア会社なんかに勤めているんだろう?とそれも不思議に思った。
 
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そういう音楽中心で軽く運動を入れる生活を1週間ほど続けたある日、カラオケ屋さんで楽曲の編曲作業をしていたら、《ヤマゴ》が
 
「移動するよ」
と言った。
 
「どこに?」
「見れば分かるから、これから1時間くらいJソフトのお仕事して」
と言う。
 
「私、何すればいいの?」
「システムの提案」
「へ?そんなの私分からないよ」
「分かる範囲で話せばいいんだよ」
「ふーん」
 

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そんなことを言っていたら、唐突に自分がどこかのオフィスビルのような所にいるのを認識する。自分の身体を見ると、なんだか女性用のビジネススーツのようなものを着ている。
 
あれ〜? 私なんでこんな格好でこんな所に居るの?
 
と思ったものの
「村山君、どうかした?」
と隣に居る人物が話しかける。あっと・・・・この人は確かJソフトの社長の山口龍晴さんだ。こないだまで専務だったが、6月から社長に就任した。前の社長は会長に退いている。
 
「あ、はい。何か忘れ物してなかったかなと思って」
「うーん。まあ忘れていた時は忘れていた時だな」
 
そう言って社長がノックをして事務所の中に入る。
 
「お世話になります。Jソフトウェアと申します。支店長様はいらっしゃいますか?」
と山口社長が言う。
 
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すると
「はい。伺っております。こちらでしばらくお待ち下さい」
と言われて、応接室に通されお茶が出るが、2人ともまだ手をつけない。2〜3分で男性が2人入って来た。
 
「お世話になります。支店長の毛利と申します。こちらは今回の担当となります川島です」
と言って、ふたりが名刺を出すので、山口社長と千里も立ち上がって名刺を出す。それで挨拶しようとして、千里は
 
「あっ」
という声を出した。川島信次も同様に
「あっ」
という声を出していた。
 
「何何?どうしたの?」
「もしかして知り合い?」
 
「いや、先日ちょっと東京駅で出会って」
と千里。
「電話番号だけ交換したのですが」
と信次。
 
「え?まさか恋人同士?」
と毛利支店長さんから言われて、信次は「いやその・・・」と焦ったような顔をし、千里もいきなり「恋人?」などと聞かれて、頬を赤らめてしまった。
 
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そしてこの瞬間、千里が僅かに残っていた霊感のほとんどを喪失したことを千里は全く意識していなかった。
 

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千里は毎日適当な体育館で2時間程度の練習をしていたのだが、明らかに自分のバスケ能力が落ちているのを感じた。そこで7月13日にチームの練習場に行った時、2軍に落として欲しいと申し入れた。しかし今年は既に選手登録の期限が終わっていて移動ができないというので、66,村山十里という名義をつくり、それを二軍選手名として登録することにした。それで以降千里は川崎の1軍練習場ではなく、横浜の2軍練習場に行って練習をすることにした。
 
千里はこのあと翌年の春に名古屋に引っ越すまで、だいたい午前中は横浜でバスケ練習、午後からは音楽制作、という生活を続け、時々突然Jソフトの社内や、信次の会社に移動するということを体験していた。唐突に自分の居場所が変わることについて、千里は最初は不思議に思ったものの、その内あまり気にしなくなった。
 
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Jソフトの仕事に関してはどうも自分は打ち合わせにだけ出ればいいようだと分かったので、用意されている資料を見ながら主として信次と2人で打ち合わせすることが多かったが、信次があからさまに自分に好意を示し、何度もデートに誘うので、千里はその扱いに困っていた。
 
取引先の担当者をムゲにはできないものの、自分は桃香と実質結婚している状態だし、まだ貴司のことも思い続けていた。貴司とは6月15日にどこか(市川だったのだが現時点では忘れている)でデートしたのが最後で、その後は会っていない。
 

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ところで千里(千里A)が実際には音楽活動とバスケの練習の日々を送っている間、Jソフトの方には《きーちゃん》:千里Bと《せいちゃん》:千里Cが代わりに出社してシステム設計やプログラミングの仕事をしていた。信次との打ち合わせにしても、全体的な話やシステム導入計画などの話は千里Aがしていたものの、細かい仕様については千里Bや千里Cがしていた。
 
つまり信次は実は千里A・千里B・千里Cの3人と接していて、その微妙な性格の差にドキドキし、それがまた信次の恋心を刺激していた。
 
特に千里Cは実際には《せいちゃん》の女装なので、元々「男らしい女」や性別曖昧な子が好きな信次はこの千里Cにかなり魅せられていったのである。信次がいちばん興味を引かなかったのは純粋女性である千里Bである(信次は実は純女恐怖症なので、多紀音にはそもそも全く関心を持てなかった)。しかしこれらの「落差」は恋の「押したり引いたり」の状況を作り出していた。
 
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『信次君って青龍のことがいちばん好きみたいだね』
と《きーちゃん》も言う。
『あんたが信次君と結婚してあげたら? 千里はやはり貴司君忘れきれないみたいだし』
 
『俺は男と結婚する趣味はねー』
『性転換したら?』
『せいてんかん〜〜!?』
『ちょっと手術してちんちん取っちゃえばいいじゃん』
『やだ。絶対やだ』
『別にちんちんなんて無くてもいいのに』
 

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そして9月。信次は千里との打ち合わせが終わった後、少し話したいと言って千里を近くの喫茶店に誘った。千里はその「話」とは「恋人になって欲しい」ということだろうと想像が付いたので気が進まなかったものの、仕事の関係上断る訳にもいかないので喫茶店に付いていった。
 
そしてその場で信次は千里にプロポーズした。
 
千里は「恋人になって欲しい」ではなく、一足飛びに「結婚して欲しい」と言われたことに戸惑った。その場ではビジネスが絡むので自分ひとりでは決められないので上司と相談して回答すると答えた。
 

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千里から事情を聞いた山口社長は大いに困った。それで千里に申し訳無いが、君が元男性であったことを先方にカムアウトして欲しいと言った。千里もそんなことをするのは嫌だったが、自分の性別について告知しないまま結婚することは許されないので、社長と一緒にその話をしに行った。
 
するとこちらが社長を伴って出て行ったので、向こうも信次だけでなく支店長も同席することになってしまった。
 
こんな場所で自分の性別のことを言わないといけないのかと千里はもう、逃げだしたい気分だったものの、仕方ないので
 
「私は生まれた時は男性だったのを5年前に性転換手術を受けて女性に生まれ変わりました。ちなみに戸籍は既に女性に訂正しています」
とその事実を告知した。
 
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すると信次はさすがに驚いたようで、しばらく考えさせてくれと答えた。
 

千里は当然信次はプロポーズは取り消すと言ってくると思っていたのだが、信次は翌日連絡してきて自分の回答を言いたいと言った。それでまた山口社長・千里、信次と毛利支店長の4人での話し合いがもたれた。
 
ここで信次は千里が元男性であったとしてもやはり結婚したいと言った。千里はそんなのそちらの親御さんが認めるわけありませんよと言ったのだが、彼は親は説得すると言った。
 
そこまで言われると千里も断る理由が思いつかず、千里は彼のプロポーズを受け入れてしまった。
 
ただこの時点ではまだ千里は、彼はああ言っているけど、たぶん実際には親の説得は無理だろうと思っていた。
 
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ただ彼とのデートはしていた。4回目のデートではとうとうホテルに行ってしまった。
 
千里は「桃香ごめん、貴司ごめん」と心の中で言いながら、ベッドに入って目を瞑った。
 
彼がベッドに入ってくる。直接入れようとするので
「悪いけどコンちゃん付けてくれない?」
と要求した。
 
「あ、ごめんごめん。妊娠はしないだろうからいいかなと思ったんだけど、やはり付けた方がスムーズに入るのかな?」
などと言って付けてくれた。
 
「結婚したら生でもいいよ」
と千里は取り敢えず言っておく。
 
それで信次とセックスしてしまったのだが、千里にとっては実に5年ぶりの男性とのセックスになった(と本人は思っている)。千里は貴司が阿倍子と婚約して以来、彼とデートはするものの、セックスは断固拒否していたのである(でも何度か許したことを今は忘れている)。
 
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えーん。私の方が浮気しちゃったよ。
 
と思いながらも、久しぶりのセックス自体は心地良く感じた。桃香とのセックスでは味わえない感覚がある。私ってやはりレスビアンではなくヘテロなんだろうな、と千里は再認識した。
 
信次は「僕腕フェチなんだよね」と言って、随分千里の腕を触っていた。
 
「こういうたくましい腕に参っちゃうんだよ」
などと言っていた。
「それ最初から言ってたね」
と言って千里は微笑んで信次が千里の腕をなでなでするのを見ていた。
 
信次は千里の乳首も吸ってくれたが、そこから液体が出てくるので驚く。
 
「千里ちゃん、おっぱいが出るの?」
「あ、それ私ずっと女性ホルモン飲んでるから、その副作用でお乳も出ちゃうことがあるみたい」
「へー。これもっと吸ってもいい?」
「いいけど、美味しくないでしょ?」
「いや、千里ちゃんのおっぱいなら美味しいよ」
 
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と言って信次はたくさん千里のおっぱいを吸っていた。
 
男の人って赤ちゃんになりたい願望があるのかなあと千里はその様子を眺めていた。そういえば貴司も時々私と抱き合いながら赤ちゃんことばになってるしなと、と千里は信次に抱かれながらも貴司のことも考えていた。
 
あ、これがジュディ・オングの歌にあった
「好きな男の腕の中でも違う男の夢を見る」
ってやつかな??
 
でも私けっこう信次のこと好きになってきたかも!?
 
えへへ。私の初恋の人・(青沼)晋治と同じ名前の読みだしね〜。
 

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信次の母親の承諾は偶然のいたずらで取れてしまった。
 
信次の母・康子が何と千里がたまに出ていた茶道教室の生徒さんで、しばしば彼女は千里にうちの嫁になってくれない?と言っていたのである。康子は千里が元男性であったというのにショックを受けていたものの、元々千里のことを気に入っていたので、ふたりの結婚を認めてくれたのである。
 
千里は絶対、親の承認がとれるわけないと思っていたので、承認されてしまったことに衝撃を覚えた。
 
えーん。これ結婚せざるを得ないじゃん。どうしよう!?
 
それで千里は桃香のアパートに戻ると桃香に土下座して謝った。
 
「何〜〜〜?結婚するだとぉ?」
と桃香は当然のことながら激怒する。
 
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しかし取り敢えず「一戦交えた」上で、桃香は条件を出した。
 
「私と交換した指輪は持っていて欲しい」
「うん。それはずっと持っているよ」
「私ともずっとセックスを続けること」
「ごめーん。それは勘弁して。不倫になる」
「千里、細川さんとも不倫してるくせに」
「う、う、・・・・」
「じゃキスだけでもいい」
「分かった。それで妥協する」
 
「早月におっぱいはあげること」
「うん。ちゃんとおっぱいあげるよ。私の娘だもん」
 
「1年したら離婚して私の所に戻って来ること」
「そんな無茶な!」
 
結局その件は1年後に再度話し合うということで桃香は妥協してくれた。
 

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千里が桃香・貴司以外の新たな男性と結婚するという話を聞いて、青葉は当惑するような顔をしていたものの、桃香の母・朋子は喜んでいた。
 
「良かったね。お嫁さんにしてくれる人が出たんだね」
 
それで千里も貴司に職場気付けで、手書きの手紙を送り、自分も結婚することにしたので、今後はもうデートはしないようにしようと言った。千里は貴司との愛の証であった古い金色のストラップも手紙に同封して送り返したのだが、貴司は「結婚おめでとう」と言い、デートを控えることは同意するとも言った上で、このストラップだけはそのまま持っていて欲しいと言って送り返してきた。千里はその件については妥協することにし、再度机の引き出しにしまった。実はこのストラップは偶然にも桃香ともお揃いなのである。
 
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また貴司のお母さんにも電話で連絡した。お母さんは
 
「貴司の曖昧な態度で悩ませて申し訳なかった。幸せになってね」
と言ってくれた。
 
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女たちの羽衣伝説(4)

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