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■少女たちの国際交流(6)

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「ところでミヅハって何だろう?」
「罔象女神(みづはのめのかみ)でしょ。日本の水の女神の名前」
とコハルが解説する。
 
「日本は神様の名前、たくさんあるね」
とヒメ。
 
「水の神様では宗像の三姉妹神とか、海神(わだつみのかみ)とかもいるし。きっと多数の部族が統一されてひとつの国にまとまっていく段階でそれぞれの部族が信奉していた神様をぜんぶ並列していったんだと思う」
とコハルは言う。
 
「それはいいことかもね。征服したらそちらの神様は廃止されたり、悪魔ということにされちゃう場合も多い」
と留実子。
 
「私はキリスト教徒だけど、日本の神様に関する考え方って悪くない気もするよ」
とヒメは言う。
 
「キリスト教だってたくさん天使さんがいるじゃん。日本の神様とキリスト教の天使さんたちはある意味、似たようなものかもね」
とコハルが言うと
 
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「あ、その方が考えやすい」
とヒメは言っていた。
 
「大天使ミカエルがアポロンで天照大神(あまてらすおおみかみ)かもしれないし、大天使ガブリエルがアルテミスで天宇受売神(あめのうずめのかみ)、大天使ウリエルがデーメーテールで木花咲耶姫神(このはなさくやひめのかみ)、聖母マリアはヴィーナス、イシュタル、イシス、サラスヴァティで弁天様、市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)かも」
などとコハルが言うが
 
「なんか話が難しい」
と他の3人は言った。
 
「日本の神様の中心っているの?」
とヒメが尋ねる。
 
「最高神は天照大神(あまてらすおおみかみ)。でもこれはいわば社長みたいなもの。その上の会長みたいなのが天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)」
とコハルが説明する。
 
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「また難しい名前だ」
とみんな言う。
 
「中世の神仏混淆思想では、天照大神は大日如来と同じとみなされている。大日如来は起源的にゾロアスター教のアフラマヅダとつながっているから、キリスト教の神ヤハウエともつながるかもね」
 
「へー!」
 

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「でも天照大神って女神様だよね?」
と少し日本神話に関心のあるタマラが言う。
 
「実は天照大神が男神か女神かについては古くから議論がある」
とコハルは言う。
 
「そうなんだ?」
「天照大神は男神だと信じている人も多い。文献的には天照大神が女神とされているのは、日本書紀の中で、素戔嗚尊(すさのおのみこと)が『姉』と呼んでいるところが数ヶ所あるからなんだけどね」
 
「姉なら女かもね」
「男の姉ってあまり居ないよね」
とリサさヒメが言うと留実子は何だか悩んでいる。(この当時は千里は敏和の実態を知らない)
 
「その直前に天照大神が男装するシーンもあるし。男装したのなら女ではないかと」
 
「まあ女だから男装できる訳であって、男は男装できないだろうなあ」
などとリサが言うと、留実子が何だか居心地の悪そうな顔をしていた。千里は平気な顔をしていた。
 
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「ねね、こっち気持ちいいよ」
とリサが呼びに来たので、そちらに移動する。
 
ここは「露天風風呂」である。露天風呂にしたい所だが、北海道ではそんな物を作っても半年間は使用不能になる。ここはガラス張りでむしろ温室のようになっている。今の時期だと白く雪で覆われた山の風景を見ることができて、開放感もある。
 
ここに入る時、千里は身体の前面をタオルで覆っていた。また留実子もタオルで覆っていた。
 
「僕が前を覆っているのと千里が前を覆っているのは意味が違う気がする」
と留実子が小声で言う。
 
「そうだなあ。少し意味が違うかもね」
と千里は答えた。
 
浴槽は広く、他に客が居なかったのもあり、ヒメがはしゃいで泳いでいる。オトメも泳ぎたそうにしていたが
 
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「お風呂で泳ぐのはよくない」
「お姉ちゃんの悪いまねをしないように」
などとタマラやリサは言っていた。
 
「私も泳ぎたいけどやめとこう」
とタマラ。
「私も同じく」
とリサ。
 
「あれ、そういえばシサトはいつも水泳の授業は見学だよね?」
とリサが言う。
 
「私、カナヅチだから」
と千里は言う。
 
「練習しなきゃ泳げるようにならないよ。と1年生の時から私言ってるけど」
とタマラ。
 

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「でもうちのお父ちゃん言ってたけど、こうやって裸で入るのは日本だけらしいね」
とタマラ。
 
「ああ、そうなんだっけ?」
「アメリカとかでは水着で入る所が多い。それで男女一緒」
「なるほどー」
 
「中国とか韓国は?」
「さあ、中国人や韓国人の友達がいないしな」
「勲男のフィリピンはどうだろう?」
「あの子、日本で生まれて日本で育ってるからフィリピンのこと知らないかも」
「それは私たちも同じだね〜」
 
「でもその割には勲男は日本語ヘタ」
「まあ家庭内であまり日本語使ってないんだろうね」
 
「うちもほとんど英語だし」
「うちもほとんどフランス語だし」
 
「そういえば、なぜ千里も留実子もタオルなんかで身体を隠してる?」
とリサが言う。
 
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「いや別に大したことでは」
と留実子。
「同じく」
と千里。
 

「女の子同士恥ずかしがることないのに」
とリサが言う。
 
「僕そろそろあがろうかな。まだみんなゆっくりしてて」
と言って留実子は湯からあがると脱衣場の方に行った。
 
「るみちゃんは、男の子になりたいんだよ。だから自分のこと男の子だと思っているから、女の子に裸を見せるのを恥ずかしがっているんだよ」
と留実子の背を見送りながら千里は言った。
 
「うーん。でもそれなら、るみは男の子なのに私たち女の子の裸を見ていた訳?」
「身体を見ないように視線を外してたよ」
「だったらいいか」
 
「るみちゃんってちんちん付いてるの?」
「付いてないよ。欲しいみたいだけど」
「ふーん」
 
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「でも千里はタオルを取りなさい」
と言ってリサがタオルを取り上げてしまう。
 
「うーん。まあいいけどね」
 
「千里、別にちんちん付いてたりはしないよね?」
「見ての通りだけど」
 
「うん。確かにお股に変な物は無い」
「女の子なんだったら恥ずかしがらなくていいのに」
「千里も男の子になりたいんだっけ?」
「なりたくなーい。私は女の子になりたい」
 
「女の子になりたいって、今既に女の子じゃん」
「まあそうだけどね」
 
玲羅が悩むように腕を組んでいたが、コハルは優しく微笑んでいた。
 

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「私、お兄ちゃんのおちんちん見たことない」
と後で家に帰ってから玲羅が言っていた。
 
「そんなの人に見せるもんじゃないもん」
「おちんちんはあるの?」
「内緒」
「でもお風呂の中で見たけど無かったよ」
「おちんちん付いてたら女湯には入れないよ」
「じゃやはり無いんだ?」
「内緒」
 
「お兄ちゃん、トイレも女子トイレに入るみたい」
「女の子の友だちと一緒ならトイレも一緒に入るよ」
「男の子の友だちとなら男子トイレに入るの?」
「私、男の子の友だちって居ないし」
「確かに居ないみたいね!」
 
「それに今日はスカート穿いてた」
「スカート好き〜」
「スカート穿くのは女の子じゃないの?」
「私女の子だもん」
 
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玲羅はまた悩んでいた。
 

12月24日(金)。
 
その日はクリスマスイブなので、勲男の家に集まってクリスマス会をしていた。料理作りについては、勲男はあまり戦力にならないので、タマラ・リサ・千里・の3人と各々の母も勲男の家に行き、朝から勲男の母と一緒に料理を作った。
 
それでお昼に合わせてパーティーを始める。参加したのは子供たちは先日温泉に行ったのと同じメンバー、タマラ、リサ、ヒメ、オトメ、千里、玲羅、コハル、留実子、勲男の9人の子供と、会社を早退してきた勲のお父さん、そして勲男・タマラ・リサ・千里の母の大人5人、合計14人という賑やかなものである。
 
勲男のお父さんが買ってきたケーキをみんなで分け、シャンメリー(おとなはシャンパン)で乾杯。フライドチキンやローストビーフ、それに散らし寿司などを食べながらおしゃべりした。
 
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「クリスマスの歌を歌おうよ」
と言って、持ち寄っている楽器で演奏する。この日はリサが勲男宅にある電子キーボード、ヒメがヴァイオリン、千里がパンフルート、勲男がリコーダーを吹いて、他の子が歌うという形で進めた。曲目は「きよしこの夜」「アデステフィデレス」「まきびとひつじを」などのクリスマスっぽい曲である。
 

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それで「サンタが町にやってくる」を演奏していた時、ドアをノックする音があった。
 
勲男のお母さんが出るが口に手を当てて驚いている様子。異変を察した千里の母が子供たちに
 
「ちょっとあんたたちはそちらの部屋に行ってなさい」
と言って8人の子供たちを奥の部屋に行かせて、ふすまを閉めた。
 
千里たちは「何だろう?」と顔を見合わせながら静かにしていたが、勲男のお父さんの「勘弁してください。子供もいるんです。お願いします」などという声も聞こえる。
 
やがてガチャッという金属が噛み合ったような音が2つ聞こえ勲男の両親の嘆くような声が聞こえた。
 
「Hey what is going on?」
「Isao's parents are arrested?」
「Why!?」
 
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その内、ふすまが開く。
 
「イサオ君いる?」
と何だか怖そうな感じの男の人が尋ねる。
 
「君がイサオ君?」
と留実子に尋ねる。
 
「この子は女の子です」
とタマラが言った。
 
「俺が勲男だけど」
と本人が言う。
 
「悪いけど、君もちょっと一緒に来て」
「なんで?」
 
「あなた誰ですか?」
とリサが厳しい声で言うと男性は
「僕は警察のものだ」
と言って警察手帳を提示した。
 

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「勲男君。君のご両親は日本に滞在する許可を取らずに10年以上日本に居た。強制退去になるんだよ。君も一緒にフィリピンに帰ってもらう」
 
「帰ると言われても、俺フィリピンなんて住んだこともないよ!」
 
両親が日本で知り合って結婚しているので勲男は日本で生まれ、そして一度もフィリピンに行ったことはない。
 
「さ、ちょっと来なさい」
と言って警察官が勲男の腕をつかもうとすると勲男は抵抗する。持っていたリコーダーを振り回すので腕をつかまれ、彼はリコーダーを落とした。更に暴れて、そのリコーダーが折れてしまう。
 
他の子たちは息をのんで見ている。
 
「子供に乱暴はしないで」
と向こうの部屋に居たタマラのお母さんが言うと刑事は一瞬勲男をつかんでいた手を離した。すると勲男が逃げようとしてヒメにぶつかった。
 
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「あ」
 
そのぶつかった勢いでヴァイオリンが「バキッ」という音を立てた。更に勲男はヒメの上に乗るような感じで倒れてしまった。
 
「さあ、面倒を掛けないで」
と言って刑事が2人がかりで勲男をつかまえて、更に暴れる彼を無理矢理外に連れ出した。
 

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「ヒメ大丈夫?」
と言って千里はヒメに駆け寄る。他の子も寄ってくる。
 
「うん。大丈夫」
と言ってまだ顔が青ざめているヒメは何とか立ち上がった。
 
「ごめーん。千里のヴァイオリンが」
 
それは胴が完全に割れていた。これはたぶん修理のしようもないと千里は思った。床には折れたリコーダーも転がっている。それをリサが拾い上げた。
 

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「不法滞在だったんですか?」
と留実子が向こうの部屋にいるおとなたちに尋ねる。
 
「そうだったみたい」
と千里の母。
 
「実はあの人たちがオーバーステイなのは知ってはいたんだけど」
とタマラの母。
 
「在留特別許可を申請すれば通る可能性高いから、摘発される前に申請しなさいと言ってたのよね」
と言って唇を噛みしめている。
 
在留特別許可は、日本国内で安定して暮らしている場合、自分でオーバーステイになっていることを申告した上で申請すると結構降りるのだが、摘発されてから申請してもまず通らない。「順序」が物凄く重要である。
 
「勲男たち、どうなるの?」
とリサが尋ねる。
 
「両親はフィリピンに強制送還されると思う」
「勲男も?」
「たぶん」
 
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少女たちの国際交流(6)

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