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■少女たちの星歌(2)

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2002年4月、千里は小学6年生になった。
 
今年の始業式は4月5日(金)に行われた。この学校では4年生から6年生まではクラス替えが行われないので、また同じクラスである。クラス委員は4年生の時は玖美子と高山君、5年生の時は佐奈恵と佐藤君が務めたが、6年生では蓮菜と中山君が指名された。蓮菜がクラス委員になったので保健委員は美那になった。なお千里は3年連続で放送委員をすることになった。概して放送委員や図書委員は“専門職”なので、1度なると高校卒業までずっとやらされる傾向にある(実際千里も高3まで9年間放送委員をすることになる)。
 
担任は1組は我妻先生のまま、2組は戸坂先生が羽幌町(はぼろちょう)の学校に転任して行ったので、昨年6年生を担当していた伊藤先生(男性)がそのまま担任になった。結局1組は4−6年の3年間我妻先生になったが、2組は4年の時は近藤先生、5年では戸坂先生、6年では伊藤先生と1年交代になってしまった。
 
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始業式の翌日4月6日は第1土曜なのだが、今年4月から学校は土曜日が全て休みになったのでこの日は休みだった(3月までは第2・第4土曜のみ休みだった)。そして6-7日の連休明け、4月8日(月)に入学式が行われた。
 
千里たち6年生の鼓笛隊は入学式で『勇気100%』を演奏して新入生を歓迎した。この曲は“卒業生を送る会”が終わった後、3月中にたくさん練習していたものである。また児童会長の典子が(今回はドラムメジャーの衣装のまま)1年生を歓迎する言葉を述べた。
 
ちなみに千里はファイフの担当で、ファイフ担当は全員女子でスカートを穿くので、千里は当然スカートを穿いた(三段論法)。
 

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新学期早々、身体測定があるが、どうも千里と留実子のデータベース上の性別はいまだに訂正されていないようで、留実子の書類は男子と一緒に、千里の書類は女子と一緒に出力される。それで保健委員の美那と田代君は、留実子の書類は女子の方に混ぜ、千里の書類は女子の先頭に置いて、これまでと同様に身体測定に臨んだ。4月は通常の身長・体重の測定だけでなく、視力・聴力の検査も行われたが、千里は両目とも2.0だったし、聴力も問題無かった。更にその後、医師の健診とX線間接撮影まである。千里は医師の健診では
 
「バストは普通に発達してきてるね。生理は乱れてない?」
「はい。定期的に来ています」
などと会話し(次の番の恵香が頷いていた)、X線でもごく普通に女子として検査を受けた。
 
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身体測定の翌週には体力測定も行われた。
 
実施項目は、握力、上体起こし、長座体前屈、反復横とび、立ち幅とび、50m走、ソフトボール投げ、シャトルランである。
 
千里は握力は最初左10kg, 右8kg と申告しようとしたが、ちょうどそばを桜井先生が通りかかり
「こら手抜きするな」
と注意された。仕方ないので“割と本気”で握り、左30kg 右25kgと出したものの、
「まだ手抜きしている気がする」
と言われる。
「限界ですよぉ」
と言ったら
「まあ今日の所はこれで勘弁してやる」
ということになった。
 
上体起こしは10回(30秒で)、長座体前屈は25cm、反復横とびは24点!?, 立ち幅とびは120cm, 50m走は12秒と、手抜きの極致の数字を出していくが幸いにも(?)見とがめられなかった。
 
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シャトルランは15回で済ませようとしたら桜井先生が睨んでいたので再測定する羽目になる。結果は80回で
「すごい」
と中山君が驚いていた。男子でもクラスでベストスリーに入る数値であった(1位は留実子!)。
 
しかしもっとも辛い種目であるシャトルランを結果的に2度やる羽目になった(手抜きした千里が悪い)。
 

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ソフトボール投げは最初10mだったが、今度は通りがかりの我妻先生から
「ソフト部のエースがその数字はあり得ない」
と言われる。
 
そもそもソフトボールのピッチャープレートからホームまでの距離が10.67mあるので、10mしか投げられないなら、ボールがホームに届く前にバウンドしてしまう!
 
仕方ないので本気で投げたら、推定60m(白線を引いていた所の遙か先)ということになった。ホームからホームラン・ラインまでの距離が約53mなので、エースなら当然そのくらい投げられるはずだった。測定係の子が
「なんでそんなに手抜きしてたの?」
と呆れていた。
 

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その日、千里が“珍しく”剣道部の練習に出て、準備運動をしていたら、体育館の向こう側で練習していたミニバスのボールが転がってきた。千里がボールを掴む。向こうの方で「すみませーん」と言っている背の低い女子がいた。バスケ部員にしては随分小さい。3年生くらいかな?と思う。千里は
 
「行くよー」
と言って彼女に向けてボールを投げた。
 
ボールはゆっくりとした山なりの軌道で飛び、ピタリとその子の手に収まった(3年生くらいかと思ったので手加減して投げた)。
 
その子が驚いたような顔をし、ボールを持ったままこちらに来た。
 
「先輩、いいボールを投げますね!」
とその子は言った。
 
「私、兼部でソフトボール部にも入っててピッチャーしてるから」
「ソフト部のピッチャーですか!さすがですね。あ、私5年の森田です」
 
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嘘!?5年生だったの?
 
「私は6年の村山。頑張ってね」
「はい、ありがとうございます」
 
これが千里と森田雪子のファーストコンタクトだった。本当は2月にも一度見ているのだが、その時、雪子は留実子に見とれていたので、千里のことは認識していなかった。雪子は(本人としては)女の子には興味が無いつもりである。でも今まで好きになった相手は全員女子!なお、雪子はまだ留実子が女子であることに気付いていない!
 

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4月20日(土)、千里たちN小ソフト部は、今年もK小学校のチームと練習試合をした。千里は(走り込みの成果で)昨年より結構スピードアップした直球に時折りカーブを混ぜる投球。K小を1ヒットのみ、2塁も踏ませず完封して、昨年の練習試合で最終回2アウトから逆転サヨナラヒットを打たれたのの雪辱を果たした。
 
「村山さんに出場資格があったら脅威だ」
 
と向こうの学校の監督は言っていた。向こうの学校としては春の大会にむけていいシミュレーションができたようである。実際、K小はこの敗戦に奮起して、地区大会で優勝することになる。
 

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4月23日(火)、千里の学校では社会見学が行われた。
 
社会見学は遠足と違ってバスでの移動なので楽である。
 
小さな町なので、あまり見学するような場所も無いのだが、今年は1年生は消防署、2年生は礼受牧場、3年生は新信砂浄水場(この時期はまだ留萌ダムの完成前)、4年生は佐賀家漁場(ニシン漁の漁具などが残る)、5年生は留萌新聞ときて、6年生は水産加工場であった。実は千里の母の勤め先である!
 
母は「今日はスカート穿いて来ないでよね」と言っていたが、実際には千里は学校にスカート姿で登校したことはない(*2)。それで、蓮菜たちに根性無しと言われる。
 
(*2)これは本人的見解。蓮菜的見解では、千里は小学生の頃、さすがに冬季はズボンだが、夏季はスカートを穿いて学校に来ていることが多かったと言っている。
 
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千里の母の他にも、ここに務めている保護者は何人もいて、あちこちで挨拶がかわされていた。
 
「これだけ知り合いが多いと悪いことできないな」
と留実子が言うので
「悪いことって何するの?」
と尋ねると
「たとえば頭を丸刈りにしてくるとか」
などと言っている。
 
「それはやめときなよー。お母さんが可哀想だよ」
と千里は言っておいた。
 
もっとも留実子はかなり髪を短くしている(中学に入ったらこの短さは注意されるかも)ので、丸刈りにしなくても今の髪でも普通に男の子に見える。むろん留実子は床屋さんに行く。千里は美容室に行く!
 

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高岡猛獅は、ゴールデンウィークの直前に照絵たちのアパートにやってきた。
 
「なかなか時間が取れなくてごめん」
「ツアーの準備大変なんじゃないですか?」
「君のハズバンドが代わりにギター弾いてくれているから、抜け出して来た」
 
きっと英世が「たまには龍ちゃんに会いに来てやってください」とか言ったのだろう。
 
「龍、元気か〜?」
などと言って猛獅が呼びかけると、龍虎は機嫌が良いようで、笑顔で笑っている。抱き上げて「高い高ーい」などとやっているが龍虎も楽しそうである。
 
「そうだ。龍に洋服買ってきたよ」
と言って、猛獅が取り出したのは・・・キティちゃんの可愛いロングTシャツと七分丈のパンツである。
 
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う・・・キティちゃんを着せるのか?
 
きっと似合うけど!
 
「いやぁ、こないだ来た時はうっかりこの子の性別勘違いしてて、男の子の服買って来ちゃったから、今度は間違えないように女の子用を買ってきた」
 
などと猛獅は言っている!
 
もういいや!と照絵は思った。
 

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猛獅が(大人用に)ケーキを3個買ってきてくれたので、英世の分は冷蔵庫にしまい、お茶でも入れようとやかんでお湯を沸かしていたら、今まで機嫌がよかった龍虎が急に泣き出す。
 
「あっ、おしめかも。今替えますね」
「いいよ、いいよ。僕が替えるよ」
「すみません。おむつはベビーベッドの下ですから」
「OKOK」
 
照絵は、おしめ交換すれば、龍虎が男の子であることにさすがに気付くよな、と思いながら紅茶を入れていたのだが・・・・
 
猛獅は、おむつの交換を終えたようなのに特に何も言わない。
 
「交換したおむつはどこに捨てればいいんだっけ?」
「あ、トイレの大きな汚物入れに」
「じゃ捨ててくるね」
 
猛獅の様子が全然変わらないのに疑問を感じながら、照絵は夕香からもらったマイセンのコーヒーカップを出して、それにティーサーバーで入れたブルークボンドの紅茶を入れた。
 
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(このコーヒーカップのセット(5個組)は後に照絵が龍虎に夕香の遺品として渡し、龍虎の宝物となる)
 
おむつを捨てた後トイレで手を洗ってきた猛獅は、ケーキを食べながら今度のツアーの演出予定について「まだ内緒だからね」などと言いながら、楽しそうに語っていた。
 

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4月27日(土)はソフトボールの地区大会が行われた。千里は選手として登録できない(と思われている:従ってソフト部員としては登録されていないので、男子としての登録証も無い!)ので、スコアラーとしてベンチに入った。結果は5−1で負けであり、1回戦で姿を消した。
 
「ああ、千里が登録できたらなあ」
とキャプテンの麦美が嘆く。麦美は千里が剣道部には女子として登録されていることを知らない。
 

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高岡猛獅は、事務所社長の奥さんから声を掛けられた。
 
(この奥さんは高岡たちが亡くなった翌年2004年に癌で亡くなる)
 
「あんたたち、去年生まれた赤ちゃんのお世話はどうしてるんだっけ?ベビーシッターさんとか雇ってるの?」
「知り合いに預かってもらってるんですよ」
「ごめんねー。あんたたちの結婚のことも、赤ちゃんのことも公(おおやけ)にできなくて。レコード会社の人が今明らかにしたらワンティスの人気が落ちるから、せめてあと2年くらい伏せて欲しいと言ってさ」
「まあ仕方ないですね」
 
「子供は男の子だったよね?」
「女の子ですよ」
 
「あれ?そうだったっけ。ごめん、男の子かと勘違いしてた。でも女の子だったら、15年後にはアイドルデビューとかすることになるかもね。あんたたちの娘ならきっと歌もうまいだろうし」
 
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「それもいいなあ」
「そうだ。ホロスコープ作ってあげようか」
と言って、奥さんは自分の机の所に猛獅を連れて行った。
 
「名前は?」
「高岡龍子です」
「“りゅう”はどんな字?」
「ドラゴンの龍です。難しい方の字」
「かっこいいー!生年月日と時刻、出生場所を教えて」
「2001年8月20日 14時21分、神奈川県町田市」
 
それで奥さんは自分のパソコンで龍子(?)の出生ホロスコープを作成し、プリントして、猛獅に渡したのであった。
 
奥さんは占星術的にはこれこれこうだと、ホロスコープを見ながら解説してくれたが、猛獅は「さっぱり分からん!」と思った。
 

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