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■女の子たちの気合勝負(2)

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「でも千里、おっぱいが全然無いね」
「まあ、そうですね」
「女性ホルモン、どのくらい飲んでるの?」
 
女性ホルモンを飲んでいることは蓮菜や留実子などごく少数の友人以外には秘密にしているのだが、敏美は千里の「性的未発達」の状態から推測しているのだろう。この人には隠す必要もない。
 
「あ、えっと。プレマリンとプロベラのジェネリックを1日1錠ずつです」
「少なすぎる! それじゃおっぱい大きくならないはずだよ。1日100錠くらいずつ飲めばいいのに」
「そんなに飲んだら死にます!」
 
「それにその飲み方だと男性化を止めきれないよ。その内、あんた声変わりも来ちゃうし、男っぽい身体になっちゃうよ。せめて2〜3錠飲みなよ」
「そうですね・・・・」
 
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「まだ精液は出てる?」
「あ、私、元々精通が来てません」
「なるほどねー」
 
と言って敏美は少し考えているよう。
 
「まあ、それでさ。女装グッズのお店のクーポンが当たっちゃってさ」
「へー」
「何でも品物が半額で買えるんだよ。でも私、半額で買うようなものが無くてね」
「女装グッズってどんなのがあるんですか?」
 
「まあ性転換パッドとか」
「何ですか?それ」
「お股の所に装着すると、女の形になるという」
「へー」
「でもほとんどジョークに近いよ。装着してるのがしっかり分かるから、彼氏とのお遊び用という雰囲気。それ付けて女湯に行ったら通報されるね」
 
「あははは」
「ふつうに女物の下着やスカートに靴も売ってる。実は大きいサイズのパンプスとかあるから、結構それで重宝している人もある」
「ああ。女装する男性は靴で苦労するかもですね」
「ウェストは頑張れば絞れるけど足のサイズは縮めることができない」
「骨格ですからね」
 
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「千里は足は何p?」
「22cmです」
「小さいね!私は24.5cmだから、ギリギリで普通のお店でも女物の靴が買えるけど25cm以上になると入手困難になるよね」
「そうでしょうね」
 
「あとは付け乳とかね」
「それ胸に装着するんですか?」
「うん。装着というか接着というか。これけっこう完成度が高くてさ。女性でも乳癌とかで乳房を取っちゃった人が付けたりするんだよ。肌の色のバリエーションがあるから、近い色のを使えば、人工的なものを装着してるようには見えない」
 
「へー。それいいな」
「興味ある?」
 
「あります」
「千里にサイズ訊いてパンプスを送ってあげようと思ってたんだけど、22cmならふつうのお店で買えるし、このクーポン使って、付け乳を買ってみる?私が5000円までは出してあげるから、後は自分で払って」
 
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「いくらくらいするんですか?」
「安いので2万円くらい。高いのは20万円くらい」
「きゃー」
「まあ3万円のを選んだとして半額で1万5千円。その内5千円、私が出してあげるよ」
「じゃ1万円で、おっぱいが買える?」
「うんうん。でももう少し出した方がいいかも」
「じゃ2万円くらいまでは出してもいいかな」
 

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それで敏美に連れられてそのお店に行った。
 
「そちらさん、中学生か高校生じゃないですよね?」
とお店の人に訊かれたが、敏美が
「ああ。この子、童顔なのよ。これでも25歳なんですよ」
などと言う。この店は当然18歳未満立入禁止である。
 
12歳も年齢鯖読みなんて!と思ったが千里も笑顔で
「私、こないだも車運転してて検問で警官に、君高校生じゃないの?とか言われたんですよ」
などと言っておく。お店の人もあまり追求しない雰囲気ではある。
 
「それでこの子の肌の色に合う、ブレストフォームが欲しいんだけど。このクーポン使って」
と言って、敏美がプリントされたクーポンを見せる。
 
「ご予算はどのくらいで?」
「割引して2万円くらい」
 
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お店の人が頷く。
 
「ちょっと脱いでもらえますか? バスト付近の肌の色を確認したいので」
と言われたので、カーテンの閉まる試着室で千里は上を脱いだ。
 
「ああ。ホルモンしておられます?」
「ええ。2年ほど飲んでますが、なかなかおっぱい大きくならなくて」
「あれは効く人・効かない人あるんですよねー」
 
などとスタッフさんは言っている。
 
「でも白いですね」
「あまり日焼けしない体質みたいで」
 
それでスタッフさんは色見本を千里の胸付近に置き、チェックしていた。
 
「サイズはどのくらいにしますか?」とスタッフさん。
「どーんとHカップくらいにしたら?」と敏美。
「Bカップでいいですー」と千里。
 
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「今リアルの胸がAAAカップくらいなのでBにするとなると3サイズアップですね」
 
それでそのサイズのブレストフォームをいくつか持って来てくれる。
 
「ちょっと当ててみましょう」
と言って胸に当ててくれる。
 
「これ割と好きかな。これはおいくらですか?」
「税込み48000円です。接着剤2本サービスします。クーポンを使って24000円になりますが」
 
敏美さんが5000円出してくれると言っている。ということは自分は19000円払えばよいことになる。
 
「じゃこれください」
 
ということで、それを買った。敏美によく御礼を言う。付け方が分からないと言うと、お店の人が貼り付けてくれた。
 
「すっごい本物みたい」
 

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で・・・ブラジャーをつけようとして、入らないことに気付く。
 
「ああ。Bカップのブラを買わなきゃね」
ということで、ノープラのまま店を出て、近くのスーパーに入り、ウィングのBカップのブラを2枚買った。
 
それで試着室でブラを着けてみたのだが・・・・。
 
「おっぱいが目立ちますー」
「そりゃBカップもあれば目立つけど、中学生が胸が無い方が変だよ」
「でも私、この後、伯父さんちに行かないと」
「カムアウトしちゃえば」
「母に叱られます」
「まあ、ゆったりした服を着て誤魔化すという手も」
 
ということで、ほんとにだぼだぼのトレーナーを買い、それを着た。ブラにトレーナーで7000円も使ってしまった。予定外の出費であるが、千里は胸が出来て嬉しい気がした。
 
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「それで下の方も処置しちゃえば、女湯に入れるよ」
「ああ。入りやすくなりますね」
 
「・・・・・千里、もしかして今でも女湯に入ってる?」
「あはははは」
 
「もう、おちんちん取っちゃったんだっけ?」
「取りたいです」
「じゃタックか」
「はい」
 
「タックした状態で女湯に入るのは、不法侵入で捕まるぞ」
「敏美さんは入らないんですか?」
「まあ、入るけどね」
「逮捕されますね」
 
「でも女湯に入るのは気合いよ」
「あ、それは同意します」
 
「でも何方式のタックしてるの?」
「何方式とかあるんですか?」
 

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それで敏美がチェックさせてというので、その日泊まる予定のホテルに行った。
 
チェックインして中に入る。元々ここは千里と美輪子の2人で泊まる予定にしていたので、敏美が一緒に部屋に行ってもホテルの人は何も言わない。
 
それでホテルの部屋に入り、千里はスカートを脱ぎ、ショーツも脱いで、その部分を敏美に見せた。
 
「陰毛がはえそろってるね」
「半年に1度くらい念のため外して再処理してます。その時は剃ります。前回やったのはお正月です。そろそろまたやらないと」
 
「でも。上手に処理してる」
「これ、このままおしっこができるんです」
「うんうん。私のやり方と似てる。でも、なんでこういう不思議な場所に、おしっこ出す場所を設置してるの?」
 
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「割れ目ちゃんの後ろから出すのが普通みたいですけど、私の小さくて届かないんです。だから割れ目ちゃんの途中に穴を空けました」
「なるほどー。結果的にこれ女の子のおしっこ出す位置とほぼ同じ場所になってるよ」
「へー」
 
「自分ののサイズ測ってみたことある?」
「縮んでいると2cmくらいです」
「あんた、それ立っておしっこできない」
「立ってしたことありません」
 
「でもそれでこの位置か。大きくなったら何p?」
「女性ホルモン取るようになってから大きくならなくなりました。小学6年の時に測った時は10cmありましたけど」
「じゃマイクロペニスではないんだな。でもあんた、男性機能もしかして既に死んでない?」
 
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「かも知れないですけど、男性機能が死ぬのは歓迎です」
「だよねー」
 
「睾丸はずっと体内に押し込んだまま?」
「実質停留睾丸状態ですね」
「それ、病気になったりする危険があるよ」
「異常を感じたら病院に行きます」
「で、異常が発生しているからと除去してもらう?」
「となったらいいですけどねー。でも私の勘ではこの睾丸、死んでないと思います」
「あんたの勘ならそうかもね。でも確かに睾丸ってしぶといんだよ」
 

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その後はまた町に出て、軽くドーナツを食べながら、ふつうのおしゃべりをして別れた。伯父さんの家に戻って来たのは16:50くらいだった。
 
「よし、千里が戻ってきたから料理始めよう」
 
というので、伯父さんの奥さん滝子さん、優芽子叔母さんと娘の吉子・愛子、そして千里と美輪子の6人で準備を始める。千里も髪をゴムで縛って作業に参加する。
 
「お魚をまるごと買っているんだけど」
「それは千里が得意」
「はい。3枚におろせぱいいですか?」
 
千里が鱗を落とした後で、はらわたを出し、きれいに骨の所で魚の身を削ぐと歓声が上がる。
 
「鮮やか」
「さすが漁師の息子」
「どうしたら、そんなにきれいに分離できるの?」
「これ気合いだよ。包丁の先に気を集中して、一気に刃を入れる」
「うーん。よく分からん」
 
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「でもそうしている所を普通に見ると、漁師の息子というより漁師の娘に見えたりして」
「うん。娘と言って」
「ほんとに娘でいいの〜?」
 

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「私、お料理の本忘れてきちゃった。フライドチキンの下味誰か分かる?」
「ああ。それも千里ができるはず」
「下味は塩胡椒、ニンニク・ショウガでいいです。揚げる時に衣に塩胡椒を混ぜます」
「ああ、そんな感じだった。さんきゅ、さんきゅ」
 
「だめー。私が切るとスライスじゃなくてミンチになっちゃう。これ誰か切ってくれない?」
「やりますよー」
と言って千里は吉子と代わったが、包丁が切れないことに気付く。
 
「包丁の研ぎ器はありますか?」
「あ、壊れちゃった」
「だったら、何か安物の磁器の皿とかありませんか?」
「これでいい?」
「磁器の皿の高台の裏で研げるんですよ」
「へー」
 
「あ、そういえば、おばあちゃんがよくそうやって研いでた」
「やはり千里って主婦だったりして」
「まあお母ちゃんよりたくさん晩御飯作ってるかな」
「ほんとに主婦なんだ!?」
 
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