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■女子大生たちの二兎両得(4)

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8時すぎに貴司の携帯に着信があるが、見るとお母さんである。千里は代わりに取った。
 
「おはようございます、お母さん。貴司さんは今寝てるんですよ」
と千里が答えると
「あんた、千里ちゃん?」
と驚くような声。
 
「看病してくれと言うので、千葉からやってきました」
「ほんとに! 千里ちゃんが付いててくれるなら私安心だわ。でもあんたたち仲が復活したの?」
「あくまで友だちということで」
「へー!」
とお母さんは言っているが、何だか嬉しがっている風である。
 
昨日の午前中に貴司がひとりで病院に行き風邪と診断されたこと。しかし夜中に随分熱があがるので夜間診療所に連れて行ったら風邪ではなくインフルエンザだと言われてタミフルを処方してもらったことなどを話す。
 
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「大変だったね! でもそれって千里ちゃんが付いてなかったら、まずいことになってた」
 
「夏にかかるときついみたいですね。とにかく寝ているように言ってます」
「でも千里ちゃんまで移らないように気をつけてね」
「マスクしてるから大丈夫ですよ」
 
貴司の会社には貴司の妹を名乗ってインフルエンザにかかったので一週間ほど休むという連絡を入れた。友紀と麻依子にも一週間くらい休むとメールした。
 
麻依子からメールがある。
《どうしたの?秋田(飽きた)?》
《商売(飽きない)は大阪。友だちの看病なのよ。インフルエンザ》
《友だちって彼氏?》
《えへへ》
《じゃ移らないように気をつけてね》
《うん。大丈夫。ありがとう》
 
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友紀からもメールがある。
《どうしたの?風邪でも引いた?》
《風邪じゃなくてインフルエンザだって。私じゃないんだけどね》
《もしかして恋人の看病?》
《そういう訳でもないんだけど、誰も頼れる人が居ないなんて言うからさ。今西日本某都市》
《おお、愛の力で直してあげてね》
《うん》
 
友紀が『恋人』というのを男と思ったか女と思ったかは若干不安がある。
 

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日曜日になると、かなり熱が下がってくる。
 
「千里、看病疲れしてない? 昼間は外出しててもいいよ」
「じゃ、ちょっと汗を流してこようかな。貴司ボール貸してよ」
「いいよ。7号球だけど」
「うん。男子チームに居た時に慣れたから」
 
バスケットボールのサイズは男子は7号球、女子は6号球というものを使う。直径でいうと、男子のは24cmくらい、女子のは23cmくらいでサイズ差は微妙だが、扱う時の感覚は結構違う。
 
「ああ、そうだよね。シューズは?」
「突然したくなった時のために1ついつも車に乗せてる」
「おっすごい」
 
それで動きやすい服装に着替えて、貴司のマイボールを持ち、車の中に置いていたバッシュを持って、近くの体育館まで歩いて行った。
 
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受付で使用料金を払い、シューズを履き替えて中に入る。バスケットのコートがあいているので、そこで取り敢えずスリーを撃つ。うーん。いまいちかな。
 
ドリブルで走り回る練習をする。ゆっくり走ったり、スピードを出して走ったり。敵が目の前にいることを想定して、急激に進路を変えたりする。ドリブルする手を替えるのも前で替えるのと、後ろで替えるのと両方やる。そして制限エリアにドライブインしていって、タイミングを外してシュート!
 
30分もやっていると結構楽しくなってくる。しかし1人では寂しいなあ。練習相手がいるといいのに。
 

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などと思っていた時、突然真後ろからこちらにボールが飛んできた。
 
振り返ってキャッチする。
 
「相変わらず凄いね」
とその人物は言った。
 
「花園さん!」
 
それはかつて愛知県のJ学園で、同校を日本一に導いたスーパー・シューター花園亜津子であった。
 
「花園さん、大阪に住んでおられるんでしたっけ?」
「ううん。愛知だよ。今日はちょっと友だちの所に来たんだけど、なんか1日でも練習休んだら、変な気分なんで、ちょっと汗流しに来た。村山さんは大阪?」
 
「私は今千葉なんです。でも友だちの所に来てて、以下同文」
 
ついお互いに微笑み会う。
 
「ちょっと手合わせしない?」
「私、受験勉強とかで中断してたからだいぶ勘がにぶってますけど、それでもよければ」
「その状態でどのくらいか見極めてあげるよ」
 
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それでふたりで1on1をやる。攻撃と守備を1回交代でする。シュートできるかボールを奪われたら交代である。
 
それを10回ずつした。
 
「かなわん!」
と花園さんが音を上げる。
 
1on1は花園さんが攻撃の場合、5回千里が停めた。千里が攻撃の場合は、9本がシュートにつながった。
 
「何が勘が鈍ってるよ? 全然凄いじゃん」
「でも筋肉とか無茶苦茶落ちてるんですよ」
 
「ああ、たしかに瞬発力は落ちてるかもね。でもその前に村山さんのフェイントにどうしても騙されるんだよ。裏を書いたつもりが、裏の裏を書かれてるんだよなあ」
 
「ちょっと息抜きにシュート対決しましょうよ」
「よし」
 
お互いに30本ずつ撃った。
 
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当然どちらも全部放り込んだが、花園さんは全てネットに直接放り込んだのに対して、千里はバックボードに当たって入ったのが5本、リングに当たってから入ったのが7本あった。
 
「確かに勘を取り戻してないね」
「卒業した後、しばらくは何もやってなかったんですけどね。今月初めから地元のクラブチームに入って練習を再開したばかりなんですよ」
 
「クラブチーム? 村山さん、進学校だから大学のバスケ部かと思った」
「大学のバスケ部には入らないつもりだったんですよねー。でもだったら趣味のレベルでやらない?と誘われちゃって」
 
「だったら、そのクラブチームを関東一にしちゃいなよ」
「とりあえず先週の千葉大会では優勝しましたが」
「そりゃ村山さんが居れば当然でしょ」
 
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「花園さんはWリーグでしたよね?」
「うん。だけど企業チームは企業チームで悩みがあってさ。人数が少ないから練習に不自由がある」
「ああ、J学園なんて部員数が凄かったでしょ?」
「そそ。その中でのベンチ入り競争が熾烈だった。でも企業チームはベンチ枠から外れたら解雇されてるから、結果的にあの高校時代の厳しさが無いんだよ」
 
貴司の所はベンチ枠から外れている選手にはバスケ手当が支給されないことと勤務時間内の練習ができる特権が使えないだけで、趣味としての参加が容認されている。それでベンチ入りぎりぎり付近では常に競争が行われていて、それがまだ若いチームの活力のひとつにもなっている。ああいう企業チームは少ないのかも知れない。
 
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その後、走りながらのパス練習をした後、1on1を5回ずつやってその日の練習を終えた。
 
「またやろうよ」
「半年休んでたから勘を取り戻すのに半年くらいかかりそう」
「じゃ9月くらいに手合わせしない?」
「しましょう」
 
そういって千里は花園さんと携帯の番号とアドレスを交換して別れた。
 
マンションに戻ると、貴司は寝ていた。熱はかなり下がっているがまだ苦しそうだ。汗を掻いているので、貴司が寝ているまま着替えさせる。90kgの体重をひとりでは支えきれないので、《きーちゃん》と《びゃくちゃん》が手伝ってくれる。洗濯機を回してから自分もシャワーを浴びて、新しい下着・服に替える。
 
シチューが食べたいと言ってたなと思い、クリームシチューを作り始めた。
 
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結局千里は火曜日まで貴司の看病を続けた。
 
「何日も看病してくれてありがとう。だいぶ楽になったよ」
「速く結婚しなよ。そしたら奥さんが看病してくれるよ」
 
「千里が奥さんになってくれるということは?」
「千葉と大阪じゃ結婚生活は困難だね」
 
「・・・・せめてフィアンセにならない?」
「フィアンセって将来の夫婦ってことでしょ? 私たちは過去の夫婦だしね」
「過去は過去で、また将来もってことはあり得ると思う。そういうカップルっているよ」
「私、今の大学に4年間通うし。そのあと修士にも2年行くと思うし。6年間遠距離恋愛はしたくない」
 
「確かに遠距離はしんどいけど・・・」
「恋人とか愛人にならなくても、私はいつでも貴司の友だちだから。今回みたいなことがあったらいつでも遠慮無く呼んでよ。何とかするからさ」
「うん」
 
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「そして私は貴司が他の女の子と付き合っても、セックスしても、結婚しても平気だよ」
 
「さすがに今セックスする元気無い」
「あはは、はやく体調回復させて緋那さんとやりなよ」
「さすがに振られた気がする」
 
「そうかな。まだ完全に終わった訳じゃないと思うよ。彼女があの時帰ったのは、そのまま居れば決定的なことを言ってしまうからだと思う。自分の暴走を防止するために帰ったんだよ。あの子、冷静だよ。話し合ってごらんよ」
 
「千里、それでいいの?」
「もちろん私は貴司の恋路を邪魔すると思うけどね」
 
「千里、僕のこと好き?」
「人に訊く前に自分で言うもんだよ」
 
「千里、僕は千里のことが」
と貴司が言ったところで千里はその唇に指を当てて言葉を停めた。
 
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「病気が治ってから、ゆっくり考えなよ」
「うん、そうする」
 
「あの後、彼女とセックスしたんだよね?」
「えっと、したことはしたんだけど・・・・」
「ん?」
「やはり逝けないんだよぉ」
 
「ああ。やはり、逝けないおちんちんは切っちゃう?」
「やだー」
 
「テンガで練習した?」
「した」
「逝けた?」
「逝けない。ふつうに手で握ってやっても、どうしても逝けない」
 
「ああ、重症だね。あとで性転換手術の付き添いしてくれる会社の案内をこちらに送っておこうか」
「いやだよぉ」
 
「逝けなかったらおちんちん切られると思ったら逝けたりして」
「それは、危険な道への1歩という気がするから、何とか普通に頑張ってみる」
「ふふ。頑張ってね」
「でも、チンコよりバスケ鍛えたいし」
「だったら女子バスケ選手になる道だ。身長188cmの女子はすぐ強化選手になるよ」
「それもいやだぁ!」
 
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火曜日の夜10時に貴司のマンションを出て、車を運転し東京方面へと向かう。さすがに疲れたなと思い、一宮PAで仮眠した。
 
2時頃目が覚めてトイレに行ってくる。個室で少しボーっとしていたがハッと我に返り、流して手を洗い外に出る。
 
『俺が運転しようか?』
と《こうちゃん》が語りかけてくる。
 
『ごめーん。その方がいいみたい。お願い』
『よっしゃ』
 
眷属たちの中でもうひとり《きーちゃん》も運転ができるが、貴司の看病でだいぶ手伝ってもらっている。疲れているはずだ。荒っぽいので、あまり気が進まないがここは《こうちゃん》に頼んだ方が良いだろう。
 
取り敢えず自販機でコーヒー(無糖)を買い飲んでいたら、近くに赤いランエボ(三菱・ランサーエボリューション)が停まる。荒々しくドアが開き飛び出して来た人物を見てびっくりする。
 
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助手席から降りて来たのが桃香だったのである。
 
運転席から降りて来たのも女の子だが、先日千葉駅で揉めていた女の子とは別の子だ。しかし今日も桃香はその車を運転していた女の子と揉めている。やれやれ。女の恋人が何人いたんだ?
 

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「だから広実とはあくまで友だちとしてなら付き合っていいと言った」
「友だち同士セックスくらいしてもいいじゃん」
「友だちはセックスはしないものだ」
 
ああ。何だか耳が痛い。
 
「じゃせめてキス」
「キスもしない!」
「じゃ手を握ろうよ」
「そういうこともしないのが友だちだ」
 
ああ、すごーく耳が痛い。
 
ふたりは5分くらい言い合っていた。が、その内、桃香がこちらに気付く。
 
「あれ? 千里?」
 
今日は貴司のマンションを出た後、ちょっと蒸れたかなと思いウィッグを外していたのである。服もポロシャツにジーンズだ。これだと桃香は普通に自分を識別するだろう。
 
「桃香、こんばんは」
 
すると、桃香はつかつかと近づいて来て、いきなり千里の唇にキスする。ちょっと待て!
 
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「すまん。広実、これが私の新しい恋人なんだ」
 
何〜〜〜!?
 
「桃香、しばらく恋はしないと言ってたのに」
「うん。女の子とは恋はしない。実は男女の愛に目覚めてしまったんだよ」
「へ。だってその子、女の子だよね?」
 
「いや、女の子に見えるかも知れんが、これは男の子なんだ」
「うそ」
 
もう仕方無いな。
 
「ボク間違い無く男だけど」
と千里は広実の方を向いて男声で言う。
 
「えーー!?」
 
「女同士の恋より男女の恋の方が100倍楽しいと思うよ」
と桃香は言う。
 
「そんなことはない。女同士の方が楽しいって桃香も言ってたじゃん」
「済まん。やってみたら楽しかったんだよ。セックスも気持ちいいし」
「その子としたの?」
「もう10回くらいしてる」
 
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そんな馬鹿な。
 
「今夜もたぶんすると思う」
 
御免!もうおちんちん無いから無理!
 
「もうビアン辞めちゃうの?」
「うん。私は男の子と結婚するつもりだから」
 
「分かった。だったら諦める。でも、今夜この後、桃香どうするの?」
 
「千里、誰かと来てるんだっけ?」
「ううん。ひとりでドライブしてた。今から千葉に帰る所」
「だったら乗せてくれ」
「いいけど」
 
それで桃香は
「私は彼と一緒に帰るから」
と彼女の方に言った。
 
「じゃ私、このまま高岡に帰る」
そう言って彼女は自分のランエボに戻った。
 
 
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