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■女子大生たちの二兎両得(2)

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それで夕方千里が体育館で練習をしていたら、18時頃、麻依子がやってきた。
 
「おはようございまーす」
と千里が挨拶すると
「おはようなんだ!?」
と麻依子は楽しそうに言う。
 
「村山さんのことだから、クラブに参加した以上、多分毎日練習するつもりじゃないかと思って来てみた」
「溝口さんのレベルだと、このチームのメンツではあまり練習相手にならなかったんじゃないかな。でも私も半年くらい練習してなくて、随分衰えてますよ」
 
「それはお互い様だな。実は私を誘った人が入院しちゃったんだよ。ハシゴを外された感じだった。時間が合えばふたりで毎日練習しない?」
「そうですね、当面の間」
 
それで取り敢えず、お互い苗字で呼び合うのも何だしということで名前の呼び捨てということにする。
 
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その日はコートの両端を走りながらパスを交換し、向こうまで到達したらシュートというのをかなり練習した。
 
「千里、マジで力が落ちてるな」
「麻依子も、高校時代の切れが無い」
 
「鍛え直さなきゃ」
と言って、ふたりは微笑みあった。
 

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7月4日(土)。千里は朝から浩子に呼び出されて市民体育館に出て行った。
 
「今日試合があるなんて全然知らなかった!」
と千里が言うと
「4日から試合だから、前日の3日までに登録が完了していないといけなかったんだよ」
と言われる。
 
昨日監督の所に届いたというチーム名の書かれたシールを自分の登録証の裏面に貼り直す。
 
「金曜日にシールが間に合うようにするには、30日が限界だったんだよ」
と監督は言っている。
 
なるほど。それで月末までということだったのかと千里は納得した。
 
クラブ選手権などというので何十ものチームが参加するのかと思ったら女子は8チームだけのようである。1回戦のあと、準決勝・決勝ということであった。
 
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スターティング5は、PG.浩子 SG.千里 SF.夏美 PF.夢香 C.麻依子である。交代要員はガードタイプの美佐恵、フォワードタイプの菜香子・沙也加の2人でベンチに居るのは8人だ。
 
「千里ちゃん入ってくれて助かったぁ。ガードは交代要員がいなかったから、これまで人数のやりくりが大変だったのよ」
などと浩子が言っている。
 
「でもメンバー15人くらい居るって言ってなかった?」
「試合に出てくるのはこの程度のメンツだね。私今日は生理中で試合に出る自信無かったから助かった」
となどとバックアップ・ガードの美佐恵。っつーことは、5ファウルで退場になったような場合以外は、出せないってこと?
 
「あと、茜って子がたまに出て来てくれるんだけどね」
「あはは」
「あとのメンツはほぼ幽霊部員だな」
 
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1回戦の相手は、ホワイトブリーズと格好良い名前のチーム。実際にはお母さんたちでバスケ始めてみました、という感じのチームであった。後で聞いたら、若いメンバーも居て、ママさんバスケの団体「家庭婦人連盟」の登録要件(独身女性は43歳以上)を満たしていないので、普通のクラブチームとして登録しているらしい。このチームには、こちらも八分くらいの力でプレイさせてもらった。千里や麻依子・浩子はもとより、夏美のレベルでも相手とのマッチアップは全勝で、こちらの攻撃機会は全て得点に結びついた。千里も敢えてスリーは使わずに中に進入していってシュートを撃つパターンを使用していた。
 
それでも90対28というトリプルスコアでの圧勝であった。
 
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午後から準決勝が行われる。
 
この相手は暴走ギャルズというちょっと危ない名前のチームだが「暴走」は実際には「房総」に引っかけたものらしい。千里たちと同様に大学生・若手OL主体のチームだった。みんな、しっかり日々の練習をしているという感じでコンビネーションがきちんとできていた。ただ、やはり趣味の範囲は越えていない感じで、1回戦の相手よりは手応えがあったものの、102対46というダブルスコアであった。この試合で千里は試運転的にスリーを5回撃ち、全て放り込んだ。
 

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夕方になって決勝戦になる。
 
この対戦相手サザン・ウェイブスはほんとに「クラブチームです」という感じのチームだった。昨年のこの大会でも優勝しているらしい。こちらは全力で行く。
 
結構強い。若い選手が多いが、おそらく高校では県大会レベルなら上位で活躍したのではないかという感じの選手が何人も入っていた。それでもマッチアップすると千里や麻依子の敵ではなかった。
 
前半こそ43対36とけっこう良い勝負をしたものの、後半になると千里がどんどんスリーを放り込み、麻依子もマジでリバウンドを取って自分で放り込む。この2人がどんどん得点したことから、最終的には97対60という大差でローキューツが勝ち優勝した。
 

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「県の大会で優勝したのは初めてだよ」
「創部3年目にしての初優勝だ」
「それはめでたい、めでたい」
「去年はこの夏季クラブ大会も冬季クラブ大会も準決勝で負けちゃったもんね」
 
「今年は麻依子が入って春の大会は準優勝だったし、かなり行けるかもと思ったけど、千里まで入ってくれて優勝できて嬉しい。このまま選手権にも優勝して全国に行きたい」
と夏美。
 
「私は正直な話、取り敢えずここでしばらくトレーニングして勘を取り戻して、どこか適当なチームに移籍と思ってたんだけど、千里が来て結構マジになっちゃったよ」
と麻依子。
 
すると、これって貴司のファインプレイか??
 
「だけど千里、今日の試合は、まだまだだったな」
「麻依子もなまってるね」
「お互い頑張ろう」
 
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とふたりが言っていたら浩子が「あれでまだまだなの〜?」と言っていた。
 

「千里、次は8月8日のシェルカップ、その後は9月5-6日の関東選抜だから」
と浩子が言う。
 
「今日の大会で優勝したので関東大会進出ですか?」
と千里が訊いたら
「ノンノン」
と浩子は言う。
 
「この大会はあくまで千葉のローカル大会。関東選抜は去年の12月にやった千葉県選抜大会の1−2位のチームが出るんだよ」
し浩子。
「一応、1位だったからね」
 
「あれ?じゃ別の大会では優勝経験があったんだ?」
と千里は言うが
「ノンノン」
と浩子は言う。
 
「クラブの大会には、選手権大会というのと選抜大会というのがあるんだよ。千葉県の場合、9-10月に選手権をしてその1〜2位のチームが関東選手権というのに出る」
「うん」
 
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「それで選手権大会で3位以下のチームで12月に選抜大会というのをやってその中の1−2位が関東選抜に出るんだよ」
「トップが抜けてるのか!」
 
「だから関東選抜は俗に裏大会、裏関といわれる」
「へー」
「東京なんかは選手権と選抜と兼ねた大会をして、1−2位が関東選手権、3−4位が関東選抜に出る」
「なんか不思議なシステムだ」
 
「まあ、クラブチームならではのシステムだよね」
「できるだけ多くのチームに機会を与えるというか」
「特定のチームが過負荷にならないようにするというか」
 

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7月9日(木)の朝、朝のジョギングを終えて、シャワーを浴び、朝御飯を食べていたら、貴司から電話が掛かって来た。何だろうと思い取ると、弱々しい声がする。
 
「千里〜。悪いけど、ちょっと助けて」
「どうしたの?貴司」
 
「風邪引いちゃって、熱が出て、身動きができない」
「それいつから?」
「昨夜から。風邪薬飲んだけど、まだ熱が下がらない」
「病院は?」
「9時になったら頑張って行ってくる。それでさ」
「うん」
「うち、全然食料のストックが無くて、悪いけど、御飯を作ってくれないかと思って」
 
「そんなの彼女に言いなよ」
「あの子、今週いっぱいキャンペーンガールでビジネスフェアに出ていて、頼めないんだよ」
「私って彼女の代理?」
「違うよぉ。友だちのよしみでお願い」
 
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千里はマジで、彼女がいる貴司の所に私が看病しに行っていいものかと悩んで言ったのだが、そういう状況では仕方あるまい。貴司の妹さんたちは札幌と旭川だし、まだ自分の方がよほど近い。
 
「しょうがないなあ。じゃ、行ってあげるよ」
 
それで千里は友紀に、今日は急用で学校休むとメールをし(出席を取る授業では代返をしてくれるはず)、麻依子にも今日は練習に行けない旨メールする。近くの時間貸し駐車場まで行く。実は昨夜買い出しをしたので、そのままこちらに車を置いていたのである。
 
それで取り敢えずいつも行っている24時間営業のスーパーに行き、食料を買い込む。
 
あのマンション、ほんっとに何も食材が無かったよなあと思い、基本的な調味料から買う。
 
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塩(いつも使ってる自然塩)、砂糖(きび砂糖)、味噌・醤油(味加減が分かるようにいつも使ってるメーカーのもの)、みりん(これは普通に万上)、お酒(いつも使ってるメーカーの)、米酢、ウスターソース(ブルドック)、サラダ油、一味唐辛子、ブラックペパー(GABANのミル付き)、チューブ入りのショウガ・ニンニク・ワサビ(ハウス)、豆板醤(とうばんじゃん)、味の素のコンソメ(顆粒)、丸鶏がらスープ、理研のダシの素(素材力こんぶだし)。。。。
 
などと買っていたら、だんだん楽しくなってきて、料理用ラム酒、料理用ブランデー、ホワイトペパー、カレーパウダー、オイスターソース、八角、シナモン、グローブ、クミン、鬱金(うこん:ターメリック)、甜麺醤(てんめんじゃん)、ラー油、ごま油、オリーブオイル、となんだか調味料が増殖してくる。
 
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それに、お米10kg、食パン2斤、ロールパン、蒸しパン、甘食、山本山の海苔、卵2パック、牛乳、アクエリアスの2Lボトルを2本、うどん玉5個、充填豆腐、竹輪、乾燥ワカメ、出し昆布、干し椎茸、ウィンナー。それに病気ならお肉は鶏肉が食べやすいかなと考えて鶏の胸肉を2kg買う。ついでにおやつなども少々買ったが、あまりにも大量だったので、お店の人が車まで運ぶのを手伝ってくれた。
 
ほんとに買い出しをした!という感じだったので結構気分は楽しい。荷室を食料で一杯にして、千里は高速に乗った。買物の会計は18000円だった! 交通費とあわせて貴司に請求しなくては。
 

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車で行くと連絡したら、マンションの来客用駐車場に駐めてくれということで、駐車場を開けるidと暗証番号をもらう。
 
『ねぇ、きーちゃん、運転頼んでいい?』
と千里が後ろの子に訊くと
『うん。千里は寝てた方がいい。私とこうちゃんとで交代で運転するから』
と言うので、身体を預けて、千里は精神を眠らせた。
 
『千里、そろそろ起きなよ』
と言われて目を覚ましたのがもう桂川PAである。トイレに行って来てから自分で運転し、東名から、いつものように大阪府道2号に入って千里(せんり)ICを降りて、貴司のマンションに行く。駐車場入口でidと暗証番号を押して中に入り、客用駐車場と書かれたスペースに駐めた。
 
時計を確認したら12時であった。
 
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『こうちゃん、スピード超過してたでしょ?』
『千里ができるだけ速く貴司の所に辿り着けるように頑張ったんだよ。貴司、見に行ったみたら結構苦しんでいたしさ。褒めてほしいな。オービスのある所はちゃんと速度落としたぞ』
 
『まあいいや。今日は感謝しとくよ。ありがとね』
『このまま貴司の女になっちゃえよ。愛人ででもいいからさ』
『風邪で寝てるのにセックスなんてしたら悪化するよ』
『まあそうだろうな』
 

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貴司に電話してロックを解除してもらいマンションの中に入る。貴司はベッドで寝ている。熱さまシートを額に貼っている。
 
「病院行った?」
「何とか行ってきた。お腹すいた」
「待っててね。今御飯作るから。蒸しパンとかも買って来てるからまずはそれを食べているといいよ」
 
と言って、とりあえず山崎の北海道チーズ蒸しケーキとアクエリアスを出し、コップを持ってくるとなんとかアクエリアスを飲み、蒸しパンを食べていた。
 
「なんか少し落ち着いた。また寝てる」
「うん、寝てて」
 
それで貴司が寝ている間に、まずはお米を持って来て、御飯を炊く。
 
ライサーが無いのか・・・。後で買って来よう。
 
取り敢えず弱っている胃腸でも食べられそうな、キャベツとウィンナーのスープを作る。マナ板が小さいのしかないし包丁もペティナイフみたいなのしかないので結構苦労する。鍋をタイマーセットしてから、買って来た食料を車から部屋まで何度も往復して運んだ。
 
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