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■桜色の日々・高校進学編(6)

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避妊のことについてかなりしつこく言われた後、妊娠した場合の対処についてもしっかり指導があった。
 
「とにかく独りで悩まないこと。友だちでもお母さんでも、あるいは保健室の先生でも他の女の先生でも、誰でもいいから相談すること。妊娠中絶する場合、できるだけ早く中絶する必要があります」
と先生は説明する。
 
「まず23週目以降はもう中絶は禁止されます。ここまで来ると、その中の子は立派な赤ちゃんです。それを中絶するのは赤ちゃんを殺すのと同じ。ですから、そこまで行ってしまうともう産むしかなくなってしまいます」
みんな真剣な顔で聞いている。
 
「12週目以降でも、実際問題として出産させるのと同じ方法で赤ちゃんを取り出します。取り出した後の処置は敢えて言いません。想像してみてください。母体側も出産するのに近い負荷が掛かります」
 
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「基本的に中絶は10週目くらいが限界と思ってください。できたら6〜8週目までにする必要があります」
 
ここでひとりの生徒が手を挙げ「先生」と言って質問を求める。
 
「何週目という言い方って、実際にセックスした時からの数え方じゃないですよね?」
 
これは本人は知っていて、他のみんなにも知って欲しくて発言を求めたという感じの質問である。
 
「はい、そうです。妊娠何週目というのは、最終月経のあと何週たったかというのを表しています。排卵、結果的に受精は月経の2週間後に起きていますから、妊娠6週目というのは、セックスしてから4週間後、妊娠8週目というのは、セックスしてから6週間後です。ですから、避妊せずにセックスしてしまった場合に、次の月経が来なかったら、即産婦人科に飛び込んですぐに中絶してもらわないと、間に合わないんです」
 
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生徒の間から思わず「わあ・・・」という声が漏れた。
 
「ですから、そういう思いをしなくてもいいように、セックスする時は何がどうあろうと。絶対コンドームです」
と先生は力説した。
 
その後、先生は緊急避妊薬についても説明し、万一避妊せずにセックスしてしまった場合は、妊娠の恐怖におびえる前に産婦人科に飛び込み処置をしてもらうよう言う。しかしこれはあくまでも非常手段であり、基本的にはちゃんと避妊をしっかりしなければならないと再度強調した。
 
最後に先生は「コンドーム、念のため何箱か持って来てるから、使う必要が出てくる可能性のある人にはあげるから、私の所に取りに来るように」
と言った。
 
一番前の席に座っていた子が「2枚ください」と言って、もらっていた。(ホントに欲しい子が来やすくなるように、わざと言ったように見えた)
 
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少し休憩をはさんで、今度は恋愛に関するビデオを上映する。高校生が多数出演している。告白するシーンも、告白して成功するもの、撃沈するものを見せ、思いが叶わず泣いている子を友人がカラオケに誘って一緒に騒いだりする展開なども見せられる。内心好きな男の子がいるのに、他の男の子から告白されて悩んでしまう子。二股を掛けていてバレてしまい、双方の恋人を失ってしまうパターン。彼女がいる男の子に猛烈なアタックを掛けて略奪してしまうパターン。そしてその彼氏を奪われた女の子が泣いているシーン。
 
「恋愛には何が正しいとか、どっちが悪いとか、何が本来のやり方だとか、そういうのはありません。それぞれが各々の場面で、自分ならここでどう行動したいかというのを考えてみてください」
と先生は言った。
 
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性教育の方のビデオはみんなが真剣なまなざしで見ていた感じだったが、こちらの恋愛の方のビデオは、かなり見ながら泣いている子がいた。失恋の経験をしている子には、いろいろ自分の心の傷をえぐられてしまうようなビデオだという気はした。でもこういう様々なシチュエーションを疑似体験しておくことは、絶対に後で役に立つ。私はそう思った。
 
でも恋人を奪われた場合か・・・・あの時、自分はどうすれば良かったんだろう・・・私自身も心の傷が痛むのを感じていた。
 

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やがて夕食の場で男女合同となる。私と令子・みちるが話していると荻野君も寄ってきたので、一緒にあれこれおしゃべりした。令子は男の子と話したことで少し気持ちが落ち着いたように見えた。(つまり私には「男子の友人」
という機能は無いんだな、というのも再自覚する)
 
夕食後、一度自分たちの泊まる部屋に入ることになる。部屋割は4人部屋で1クラスの女子20人が5部屋、男子20人が5部屋である。私は令子・カオリともうひとり隠岐から出てきたという、市香という子と同室になった。
 
「よろしくお願いしまーす」
「よろしくお願いしまーす」
と挨拶する。
 
「でも昨日もちょっと教室で注目の的になってたけど、吉岡さん、ほんとに男の子なんですか?」
「ほんとだよ。何なら解剖してアレ見せてあげようか?」と令子。
「そういうのはやめようよぉ」と私は言った。
 
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「でも、苗字呼びは堅苦しいよ。同室になったよしみで、名前で呼び合おうよ。敬語も無し」とみちる。
 
「そうだよね。じゃ、私は市香(いちか)あるいは『いっちゃん』で」
「晴音(はるね)なので『ハル』で」
「みちる、なので『みーちゃん』で」
「えっと、特に決まった愛称は無いけど、令子(れいこ)です」
 
「いや、実は先週、先生からうちに電話があって訊かれたのよ。新入生合宿で同室にしたい子で、心は女の子だけど、身体は男の子って子がいるんだけど、いいかって」
 
「私はそんなの聞かれなかったな」と令子。
「私も聞かれてない」とみちる。
「でもそもそも、ハルの身体は男の子じゃないよね」
「そうそう。ほら、胸に触ってごらん」
と、みちるが市香の手を取って私の胸に触らせる。
 
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「わあ、結構バストある」と市香。
「ハルは私より胸あるんだもん」と令子。
 

やがてR組の入浴の時間になる。お風呂は各階に男女用浴室各1ずつがあるが、収容人数の問題があるので、入浴はクラス単位で1時間以内という指定になっている。R組は1組と一緒に1階の部屋を使っていたが、入浴はR組が19-20時、1組が20-21時という時間帯であった。
 
「R組って要するに0組として処理されてる感じだよね」
「ああ、学校システムの内部では0になってる感じがする」
 
体育の授業も、R組と1組合同で男女別の授業になることが説明されている。
 
入浴ということで、お風呂セットを持ち、一緒に浴室に行く。今日はお互いにあまり話す時間が無かったものの、同室になった子の間で会話が成立していたので、ややザワザワした感じで、みんな浴室に向かう。しかし何人か目立つ感じの子がいる。
 
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昨日の入学式の日から何か騒がしい感じであった恵令奈、バナナガールなどという「二つ名」を自ら喧伝している頼子、あまり言葉は発しないもののクールにみんなを見つめている感じの水鈴(みれい)。妊娠の週数のことを質問した子だ。
 
その水玲は「令子ちゃんも一際目立つよね」などといって、早速令子をライバル視している感じである。
「いや。目立つのは何と言っても晴音(はるね)ちゃんでしょ?」
と、横からバナナカール頼子が口を出してくる。
「まあ、いろいろな意味で注目されやすいよね」と言ったのは、逆に控えめな雰囲気が優しい感じの弘海(ひろみ)だ。
 
「でも、晴音(はるね)なんて、女の子っぽい名前でよかったね。私なんか、しょっちゅう男と間違えられてたよ」と弘海は言う。
「あ、私の名前、本当は『はると』と読むんだけど、『はるね』と誤読されて女子の方に入れられてることが多かったのよ」
「へー」
「でも、中学の学籍簿は3年間『はるね』のままだったね」
「元はといえば小学6年の時の担任の間違いがそのまま継続してきてるんだよね」
「性別も結局そうだよね」
「うんうん」
 
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やがて浴室に到着し、脱衣場でみんな服を脱ぐが、やはり私に視線が集中している感じだ。でもこういう視線には慣れている。全然気にせずに令子たちとおしゃべりしながら服を脱いで行く。体操服の上下を脱ぎ、下着姿になると緊張感が和らぐのを感じる。このあたりもいつもながら快感。
 
そしてブラを取ってBカップのバストを露出させると、「胸、大きいね」と頼子が言って触りたそうにしているので
「触っていいよ」と言って触らせる。
 
「これ、フェイクじゃなくて、本物だよね?」
「うん。本物」
「やっぱりホルモン?」
「そうだよ。もう4年くらい飲んでるよ」
「へー」
「でも、頼子ちゃんも胸大きいじゃん」
「うん。バストでバナナをはさむのが目標」
などと言って「おぉ」とあちこちから声が上がる。
 
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更に私がショーツまで脱ぐと「えー!?」という声があちこちから上がる。「何も無いね」と頼子。
「何かあるのに女湯にいたら、即通報ものだよ」と私が笑って言う。
「もう手術して取っちゃったの?」
「まだ取ってません。偽装工作してますが、大目に見てください、お代官様」と私。「よし、今度山吹色のものを持って参れば見逃してやろう」と頼子。
「へへい。山吹色というとバナナでございますね?」
「うむ。そうだな」
などというやりとりに周囲から笑いが漏れる。
 
「ちなみに、タマは本当にもう無いよ」と令子が言う。
「へー!」
 
「だけど、そもそも女湯に場慣れしてる感じだよね」と水鈴。
「ああ、この子何度も女湯には入ってるからね。もう今更だよ。私ハルとは5〜6回一緒に入ってる」と令子。
 
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「小学校の修学旅行でも、中学校の修学旅行でも、女湯に入ったよね」とみちる。
「おお」
「実はこないだ家族で温泉に行った時もお母ちゃんと一緒に女湯に入った」
「おお!」
 

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結局その後はふつうの感じでおしゃべりしながら、浴室に移動し、各自身体を洗って浴槽につかり、また話に花が咲く。
 
「この中でクラス委員とか学級委員とか委員長とかしたことのある人?」
と浴槽の中で私は訊いた。
みちる、水鈴、頼子、市香、の4人が手を挙げた。
 
「あれ、令子ちゃん、したことないの?」と水鈴。
「ああ。なんか縁が無かったね。私、あまり人の面倒見が良くないし。交渉事も好きじゃないし」と令子。
「そのあたりが好きな、みちるがいたこともあるかもね」と私。
「結構同じクラスだったよね」とみちる。
 
「面倒見良くないのはよっちゃんもだなあ」
と頼子と同じ中学出身の信枝が言う。
「それはノンノ任せ。私は君臨すれども統治せず」
「象徴なの?」
「カリスマと言ってくれ」
「おぉ」
「面倒見は私も自信無い」と水鈴が言う。
 
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「うちは少人数で、同じ顔ぶれで9年間やってきたから、面倒見も何も無かった」
と市香。
「9年間クラスが変わらないと、仲良くなれるけど、適応できない子は辛いね」
「うん、それはある」
「この理数組も当然3年間固定だからね」
「まあ、仲良くやっていきたいね」
 
「ハルはずっと図書委員やってたね」
「なんだか最初1度やったら、その後は経験者ということで」
「ありがち、ありがち」
「あ、私も同様でずっと保健委員」と信枝。
 
「私も美化委員ひとすじ」と純子。
「なんか、その付近の委員って、専門職化しやすいよね」
「私、放送委員」と恵令奈。
「ああ、完全な専門職」
「放送委員って事実上の部活動だったね」と恵令奈は言う。
「ほとんど『放送部』だよね」
 
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「ね・・・・ひょっとして、これ誰を何委員に推薦するかの話し合い?」と弘海。
「談合だよね」
「結構固まった気がしない?」
 
「図書委員、保健委員、美化委員、放送委員はもう確定ね」
「えー!?」
 
「クラス委員もだいたい決まったと思わない?」と水鈴が令子を見て言う。
「うん。バナナガールだよね」
「え?え?」と頼子が左右を見回している。
 
「いつ決まったの?」と頼子。
「私と水鈴ちゃんとの今の話し合いで」と令子。
「そのふたりで決めるの?」
「そう。私と令子ちゃんは、委員長選出委員会」と水鈴。
「おお、すごい!」
「いつの間に!?」
 
水鈴は自分が強引に委員長になってもクラス全体の支持は得られないと踏んで反対派が支持しそうな令子とバランスを取る形で、無害っぽく人望のありそうな頼子を委員長に就けた方がいいと判断した、と私は読んだ。ふたりは穏やかに話しているものの、視線の火花が散っているのを感じる。
 
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「水鈴ちゃんは生活委員かな?」と令子。
「令子ちゃんは環境委員とか?」と水鈴。
「あ、それはみちるに譲る」と令子。
「へ?」
「じゃ、令子ちゃん、学習委員やんなよ」
「OK」
「あと残りは・・・体育委員かな?」
「市香ちゃんでいいんじゃない?」
「え?」
 
「よし、決まったね」と言って、令子と水鈴が笑顔で握手した。
「これが密室談合政治か!?」
 

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桜色の日々・高校進学編(6)

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