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■夏の日の想い出・新入生の春(2)

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私は政子と一緒に近くのレンタカー屋さんに行って、インサイトを借りだした。先日作ったばかりのクレカで支払いをし、昨日届いたばかりのETCカードをセットして出発した。
 
「合格発表の直後に申し込んで、先週会員証が届いたんだよね。こないだからプリウスとスイフトを借りて、運転感覚を取り戻すの兼ねて乗ってた。感覚はだいぶ戻って来たよ」
「へー。でも車名言われても分かんないや」
「私も!カローラとかスカイラインとか、くらいしか知らなかったよ。こないだから少し勉強してるの。で、色々運転してみて、気に入った車があったら買おうかなと思って」
「ふーん」
「私の助手席はマーサ専用、ってことにしておくからね」
「彼氏が出来るまで?」
「彼氏ができたら、私が助手席に乗るよ〜」
 
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「でも会員証は冬彦名義なのね。冬子名義では作れなかったの?」
「相談したんだけど、冬子名義で発行するのは構わないらしい。でも免許証と名義が違うと実際に店舗で借りる時にトラブルになる可能性があるから免許証と合わせた方がいいと言われた」
「そっかー、面倒だね」
 
「うん。美容室のメンバーズカードとかは冬子名義で作ったんだけどね」
「・・・もしかして、美容室に行ったの昨日が初めてなんてことないよね」
「ははは、初めての体験でした」
「これまでどうしてたのさ?」
「美容室に行くのが恥ずかしい気がして、お姉ちゃんに切ってもらってた。美容室行きなよって言われてたけど抵抗してた」
「呆れた・・・」
 
「でもレンタカー屋さんの支払いに使ってたクレカは冬子名義だったね」
「うん。銀行口座が冬子名義なんで、クレカもその名義でわりと簡単に発行してくれたんだよね」
「ああ、それは良かったね」
「うん。マーサも作ったら?クレカ。銀行のカードなら、私たちみたいな残高あれば、すぐ作ってくれるよ」
「うーん。私は無駄遣いしそうだから、やめとく」
 
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「実は、歌手活動再開したらさ、急に出先で何十万とか決済しなきゃいけないような事態って発生するかもと思って」
「そうか。それでクレカか」
「うん。財布に諭吉さん大量に入れて持ち歩くとか、やりたくないし。レンタカーの会員証もそれなんだよね。急に移動しなきゃっての発生する可能性あるでしょ」
 
「なるほど・・・・そっか、それで受験生なのに高3の内に免許取りに行ったんだね」
「うん。あの時点では、ひとつは歌手復帰の可能性無くなってて、普通のバイトするかもと思ってたのと、もしかしたら入学してすぐに復帰するかもというのもあったから、どっちみち免許がいるなと思ったのよね」
 
「なるほどね。それに歌手活動であちこち飛び回っていたりしたら、免許取りに行く時間無くなっちゃうよね。でも今は入学直後に復帰の可能性は無いんだ?」
 
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「マーサの方には言われてない?甲斐さんと話してて、5月くらいまでに契約とかできないかなあ、なんて言われるんだよね。5月という日付は、秋頃から何となく甲斐さんの言動から感じてたんだけど、最近具体的にその数字を何度か聞いた」
「へー」
「つまりさ」
「6月まで待てば蜂蜜の人に会える訳だ」
「うん」
 
私たちは首都高から川口JCTを通り、東北道を北上した。途中佐野SAで休憩して、佐野ラーメンをふたりで分け合って食べる。それから更に少し走り、鹿沼ICで降りて、宇都宮市内に車を進めた。そして「例の」デパートの駐車場に駐める。
 
「なるほど、ここに来る訳か」
「私たちの原点だもんね」
「うん」
 
私たちは屋上に出て、ベンチに座りフランクフルトを食べながらおしゃべりを続けた。その時アナウンスで「15:00より市ノ瀬遥香ミニライブを開催します」
というのが流れた。
 
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「あ、この人の音源、youtubeで見たけど良かった。生で聴きたいな」
「ここって多分△△社だよね」
「うん。見つからないように端のほうに居ようか」
 
私たちはサングラスを掛けて、目立ちにくい場所に移動した。やがてステージに私たちも一緒に作業したことのある△△社の遠藤さんが来て、数人のバイトさんとともに設営作業を始めた。
 
「私たちもああいうのやってたんだよねー」
「リリーフラワーズがトンズラしてなかったら、高2の夏休みだけのバイトで終わってたね」
「その時、私たちどうなってたんだろう・・・・」
「私、たぶん啓介とは別れてたと思う。あの頃少し限界感じてたんだ」
「そう・・・・」
「そしたら、私たち、男女の恋人になってたりしてね」
「なんか想像が付かないなあ・・・それ」
「私も今一瞬男の子の冬とデートしてる様を想像して、やだ、と思った」と政子。
 
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やがて、ライブが始まる。20歳前後の女性が1人でステージに登る。拍手も起きないが、彼女はいきなりアカペラで『荒野の果てに(グローリア)』を歌い始めた。ハイソプラノの澄み切った天使のような声である。政子が真剣なまなざしで見つめている。
 
やがて歌い終わると、凄い拍手。
「すごいねー」と政子も大きな拍手をしている。
「すごいでしょ」と私も拍手しながら答える。
 
その後MCで少し語る。
「こんにちは。市ノ瀬遥香、21歳の女子大生です。料理も掃除もダメな困った女の子ですが、お嫁さんにしてもいいよという奇特な方がありましたら、ぜひご連絡を」
などとおどけた感じで言うと、会場が沸く。
 
そのあと今度はキーボードの人が伴奏で入り、オリジナル曲を数曲歌った。どれも彼女の高音の声を活かした、美しい曲である。
 
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「いやあ、ほんとにこの人凄いね。メジャーデビューしてるの?」
「まだしてないよ。インディーズのCD1枚だけ出してる」
「へー。メジャーデビューしたら売れるよね?」
「いや、売れないと思うな」と私。
「え!?」
 
「確かに美しい歌なんだけど、それだけなんだよね。困ったことに。売れるのは、やはりピューリーズみたいなタイプ。音は少々外したりしても、聴いてて巻き込まれて行くでしょ。市ノ瀬さんの惜しいのは、本人だけで世界が完結してしまってるんだよね。観客は単に鑑賞してるだけ」
「なるほど」
「コアなファンは買ってくれるけど、ファン層が広がって行きにくいと思う」
「難しいんだなあ」
政子は少し考えている風だった。
 
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ライブが終わった後、私たちは7階の食堂街に行き、喫茶店でコーヒーを飲んだ。私はブラックコーヒー、政子はミルクと砂糖たっぷりのコーヒーを飲んでいる。
 
「冬って昔からブラックだよね」
「少々カロリー気にしてるから。私、脂肪が付きやすい体質なのよねー」
「・・・冬の身体を触った感触って、けっこう女の子っぽいもんね。柔らかくて。男の子の身体って、ふつうもっと筋肉質で硬かったりするのに」
「運動あまり得意じゃないしね。なぜか身体は柔らかくて柔軟体操とかよく曲がるんだけど」
 
「新体操もしてたんだっけ。高3の時は柔軟体操、琴絵と組んでたんでしょ?」
「うん。高2で男子の方でやってた時はたいてい佐野君と組んでた。だからブラしてることに最初に気付いたのは間違いなく彼」
「背中押そうとすると、ブラに当たる訳か」
「うん」
「気付かれた時、何か言われた?」
「とうとう目覚めたかって。その時は意味が分からなかった」
「ふふふ。彼は良き理解者なんだね」
「だね」
 
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「今夜も一緒だよね?」
「マーサさえよければ明日のお昼くらいまで一緒にいたいな。一応車は24時間で借りてるよ」
「お母ちゃんに電話しとこ」
政子は喫茶店から出ると、お母さんに電話を入れた。
 
「あ、お母ちゃん?私、今日外泊するから。え?冬と一緒。ううん。冬の家じゃなくて、多分鬼怒川温泉あたりのホテル。うん。ちょっとドライブに出たの。うん。安全運転してるよ。スピード違反で捕まったら謹慎ものだから速度絶対厳守なんだって。うんうん。冬はアレもちゃんと持ってる。じゃあね」
と言って電話を切った。
 
「鬼怒川温泉か。ちょっと予約を取る」
私は携帯でホテル検索サイトに接続すると、鬼怒川温泉の有名ホテルに空室があったので、ダブルルームを確保した。
 
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「そこ高くない?」
「高校卒業記念」
「そっか。で、ダブルルームなのね」
「たまにはいいでしょ」
「うん」
 
「ところでアレは持ってるよね。私、お母ちゃんに冬が持ってるって言ったけど」
「もちろん。1枚だけだけど。何ならドラッグストアにでも寄って1箱買ってく?」
「私、選びたい!」
 
私たちはデパートを出ると日光方面に車を進め、途中にあったドラッグストアにいったん車を入れた。
 
ふたりで買物をする。政子は凝ったパッケージの避妊具を1箱、買物カゴに入れた。
「箱だけで選んでない?」
「だって私たちに機能とかは関係無いし」
「確かに」
 
その他、飲み物やおやつなどを買って車に戻った。会計の時、政子は「恥ずかしいから冬ひとりでよろしく」などといって先に出ていった。私は苦笑してレジを通った。
 
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車を発信させ、日光の市中心部から少し離れた所にあるステーキハウスで夕食を取ることにした。ここは以前、イベントの設営の仕事で日光市内に来た時、津田社長が顔を見せて、夕飯をおごってあげるよと言われて、スタッフ一同連れてこられたことのあるお店である。
 
「確かにここ美味しかったもんね」と政子。
「うん。これが恋人同士で今夜決戦というのなら焼肉屋さんかも知れないけど」
「あはは。そもそも焼肉屋さんには、あまりいい服着て来たくないよね」
「うんうん」
「でも恋人か・・・・私たちって友達でいいんだっけ?」と政子。
「何を今更。私はそのつもりだけど」
「ふーん」と政子は面白そうな顔をした。
 
「前ここに来た時、冬は女子トイレに入るのためらってたね」
「まだ女の子始めて半月もたってなかったもん。で悩んでる所をマーサに腕をとられて女子トイレへ」
「ふふふ」
「あの頃は女子トイレに入る度に、ほんとに不安で心臓ドキドキだった」
「まあ、幸いにも痴漢として通報されることは無かったね」
「ほんと!あの頃はまだ女装が全然未熟だったのに」
 
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ここで政子は霜降りたっぷりのリブロースステーキ350g, 私はむしろ脂肪の少ないミニヨンステーキ120gを食べた。ふたりとも大根おろし付き和風ソースを使った。
 
「350gとかよく入るね」
「むしろ冬こそ、よくそんなんで足りるね。私の分けてあげようか?」
「いや、いい。120gより少ないのがないからこれ選んだだけで。食べきれない気がするから少し手伝ってよ」
「わーい、もらっちゃお。あ・・・」
「何?」
「あれ、しようよ。『あーん』っての」
「いいよ」
 
私は自分の皿からお肉を1切れフォークに刺し「あーん」と言って、隣に座っている政子の口に入れてあげる。政子も自分の皿のお肉を少しナイフで切り分け、フォークに刺して「あーん」と言って、私の口に入れた。
 
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「なんか恋人みたいで楽しい、もっとやろう」と政子がはしゃぐので、私たちはそうやってかなりお互いのお皿から相手の口にお肉を放り込んだ。結果的に私は少し食べ過ぎた感じだった!それを言うと「大丈夫。今晩たっぷり運動するからカロリーは消費するよ」と政子は言う。「運動するの?」と笑いながら私。
 

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ステーキハウスで少しのんびり過ごした後、車で19時頃、予約していたホテルに入りチェックインした。女同士のダブルは咎められるかな?とチラッと思ったが、特に何も言われず、キーを受け取って部屋に入る。
 
入るなり、政子は私に抱きついてきて長いキスをした。
 
「またふたりで泊まりたいと思ってた」
「私も」
「ベッドに行こう」
「その前にシャワー」
「あ、忘れる所だった。約束よ。タック外して」
「うん」
 
私は自分で外すつもりで「ちょっと浴室で外してくる」と言ったのだけど、政子が「私が外したい」と言うので、接着剤のはがし剤を渡す。
「ふふふ、久しぶりの開封♪」などと言って政子は私のその部分の接着を外していった。
「わーい。これ見ちゃったの久しぶり。触るのも久しぶり」
 
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私は苦笑して「さ、シャワー浴びよう」と言った。
「うん」
 
一緒に浴室に入り、シャワーをお互いの身体に当て、ボディソープをつけて、お互いの身体を手で洗ってあげる。お互いの股間もそれぞれ相手のを洗った。身体を拭いて、一緒にベッドに入る。キスをした。
 
「待って、待って、お守り」
と言って、私は先程ドラッグストアで買った避妊具を1枚取り出すと、いつものように枕元に置いた。
 
すると私が置くなり、政子はそれを手にとって開封してしまった。
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夏の日の想い出・新入生の春(2)

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