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■夏の日の想い出・雪月花(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2014-12-30
 
2014年8月。
 
ある日の夕方。政子はデートに出かけているし、私はマンションで楽曲の編曲作業をしていたのだが、訪問者がある。モニターで見るとピンクのブラウスに紺のペンシルスカートを穿いた、見慣れぬ女性である。
 
「済みません、どなたでしょうか?」
「唐本さん、僕松山なんだけど」
「まさか松山貴昭君?」
「うん」
 
驚いて中に入れる。
 
「松山君、女装に目覚めた?」
「女装なら物心ついた頃から目覚めてた」
「女の子になっちゃうの?」
「女の子になりたかった時期はあるけど、今は男で生きて行こうと思っている。それより、これ政子にやられたんだよ」
「ああ」
 
「東京に出てきたんでデートに誘って食事してドライブして、そのあとホテルに行って。疲れてたんで眠っちゃったら、目が覚めたらお化粧されてて女物の服だけが残されていて」
「政子らしい」
 
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「政子に電話するけど出ないし」
「私も似たようなことされたな」
「悪いけど、男が着ても変じゃないような服があったら貸してくれない?」
 
「だったら正望ので良ければ男物を貸すよ」
「あ、それは助かる! それとクレンジング貸して」
 
「お風呂場にポンプ式の置いてるから、それで落として。ついでに身体の汗も流すといいよ。着替え用意しておくから」
「さんきゅ!」
 
それで松山君はお風呂場でお化粧を落とし、私が用意した服に着替えて出てきた。取り敢えずアイスコーヒーを勧める。
 
「ありがとう。わ!これ美味しい!」
 
「お仕事大変そうね」
「全然休みがない。昨日東京出張になったんで今日は有休を取ってデートしたんだけどね」
 
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「でも松山君、政子との関係はどうなってんの?」
 
松山君はため息をついた。
 
「政子から聞いていると思うけど、二股になってしまっているのは認める」
「当面両方と付き合っていくの?」
「何度か向こうの子とは別れようとしたんだけど、泣き付かれてしまって。政子がいるのに他の子に心が動いてしまった自分が悪いというのは分かっているんだけど」
「でも三角関係に円満な解決方法は無いよ。彼女を切るか、政子を切るか、どちらか決断しなきゃ」
 
「政子何か言ってた?」
「自分は貴昭さんとは友達だから彼女がいても気にしないと言ってた」
 
「正直、政子の気持ちも読めない。僕とは遊びなのか、マジなのか。その不安があった時に、ちょうど露子と会ってしまって」
 
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「政子はマジだと思う」
「だよなあ。。。やはり」
「ただ当初は政子の方が二股だったけどね」
「だよね!?」
 
「それもあって政子は松山君の二股を責められないんだと思う」
「そうか・・・」
 
松山君は疲れたような表情をしていた。
 

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ローズ+リリーの2枚目のオリジナル・アルバム『雪月花』の制作は春のツアーが落ち着き始めた2014年5月中旬頃から始めた。昨年『Flower Garden』の発表記者会見の時、次のアルバムのタイトルが『雪月花』と予告しておいたのだが、その時点で私の中に漠然とあったのが、次の3つの曲であった。
 
『雪割り鈴』
2007.8.13 高校1年生だった私は先日伊豆のキャンプ場で私を女装させたら可愛かったという政子に乗せられてカラオケ屋さんでまた女装させられ、そのまま一緒にお散歩をしていた。その時突然思い浮かんだメロディーに政子が詩を付けたものである。この詩をまとめるのに、偶然会ったζζプロの兼岩さんに連れて行ってもらった料亭で作業をしたのだが、その時料亭の女将がその時期には珍しいスズランの花をくれた。そのスズランを見て政子はこの曲のタイトルは『雪割り鈴』にしようと言ったのである。
 
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ただしこの曲は制作段階で『雪を割る鈴』と改題した。
 
前半のスローテンポでメロディアスな部分と、後半のアップテンポでリズミカルな部分が対照的な曲で、先行してサマフェスで披露した。
 
『ムーンライト・トーク』
2007.07.28 上記の曲を書く半月ほど前。佐賀県の武雄温泉に泊まった私は、お風呂(当然女湯)の露天風呂に入っていて唐突にメロディが浮かんだ。それを部屋に戻るまで忘れないようにしようと頭の中に刻み込んでいた時、偶然政子がその露天風呂に入ってきた。幸いにも私の居る位置が物陰に入っていたので政子は私とは気づかなかったが、おしゃべりしていて私だと気付かれたら痴漢として通報されるのではとヒヤヒヤしやがら話していた。その時の美しいメロディとドキドキ感のあるCメロが特徴的な曲である。制作経緯を絶対に明かせない曲のひとつだ。
 
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『花の祈り』
2006.8.17 中学3年生だった私はドリームボーイズの楽曲制作とPV撮影のため数日間、能登半島に行っていた。その時、観光館のような所で見た《波の花》の写真が私のインスピレーションを刺激してこの曲が出来た。波の花というのは能登半島の《外浦》と呼ばれる日本海側の海岸で冬季に見られるもので、寄せ来る波が海岸にぶつかって白い泡のようなものを作ったものである。だからこの曲は「花」という言葉に反して、冬季の寂しい風景を歌ったものであり、蔵田さんに言わせると「演歌だな」という雰囲気の曲。実際この曲をヨナ抜きで書き直したら演歌になってしまうと思う。
 

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今回のアルバム制作は8月末発売という線で進めていたが春のツアーは6月15日まで掛かっており、アルバムの前にシングル『Heart of Orpheus』を7月中旬に発売することになっていたので、楽曲の最終選定作業と編曲が完成したのが実際問題として7月の上旬。実際の音源製作作業は1ヶ月も無いという厳しいスケジュール進行になっていた。
 
しかし7月10日、2011年に知り合い意気投合して私の親友のひとりとなっていた村山千里が実はKARIONに2008年から楽曲提供してくれていた醍醐春海だったことを知り、私は彼女と話したくなり、その日のうちに会食をした。大阪に行っていた政子を迎えに行くのにも付き合ってくれた千里であったが、私はその日彼女と話している内に、彼女の言動から、
 
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《昨年の『Flower Garden』で感動してくれた人たちを次のアルバムで失望させてはいけない》
 
ということに思い至った。千里は別に何か私に言った訳ではない。しかし彼女の行動から私はそのことに気付いた。後から思えば、あるいは千里はローズ+リリーの『影の仕掛け人』を自称する雨宮三森先生の意向を受けて動いていたのかも知れないという気もする。
 
ともかくも私は深夜★★レコードの町添部長に電話を掛けて1時間以上議論した。その結果『雪月花』は発売日を12月に延期することになったのである。私はそれで7月いっぱいかけて楽曲のアレンジを完全にやり直し、8月から実際の音源製作に入った。8-11月の4ヶ月間、ほとんど他の仕事をしないまま、アルバムの制作に専念することにした。
 
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8月下旬。
 
ネット上にドリームボーイズの蔵田さんの《女装写真》が大量に出回った。
 
別に蔵田さんが最近突然女装外出を始めた訳ではない。私は遭遇したことが無かったのだが、どうも10年以上前から、けっこう密かに女装で出歩いていたようである。
 
ところが誰もそれを蔵田さんの女装とは思っていなかった。
 
なぜなら、女装した蔵田さんは身長158cm程度で体型もスリムではないもののそう太っている印象もなくおそらく体重50kg程度かという感じ。やや少女っぽい装いの服が多い。ふだんマスコミに露出していたり、ライブなどで見られる蔵田さんは身長182cm 98kgというのが公称で、服装もB系などラフな服装が多くて男っぽさがにじみ出ている。男性同性愛者であることは公言しているので、同性愛者特有の男っぽさなのかなと思われていたフシもある。
 
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ところがそれがフェイクだったのである。
 
蔵田さんは20cm以上もあるシークレットブーツで身長を誤魔化していたし、わざと膨れて見える服を着て、体重が重いように見せかけていた。
 
蔵田さんの本当の体型は160cm 60kgくらいらしい(仕事の状況で数kg単位の増減あり)。50kgくらいの体型に見せているのは矯正下着のなせる技である。お腹付近の肉を強引に胸の所に揚げてバストも作り出していた。身長2cm程度は、ひざの使い方や靴の選び方で結構何とかなる。
 
この身長の誤魔化しは、サマフェスのライブ会場で起きた、蔵田さん襲撃事件でバレてしまった。犯人が撃った銃弾が蔵田さんの靴に命中したものの、シークレットブーツだったので、蔵田さん自身には全く怪我がなくて済んだのである。
 
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しかしその身長の誤魔化しがばれてしまったおかげで
 
「じゃ、あの女装っ子は蔵田さんだったんだ!」
 
という人たちが大量に現れたのである。みんな、顔は蔵田さんに似ているものの身長が違いすぎるし、体重もどう考えても98kgには見えないというので、似た別人だろうと思い込んでいたのである。
 

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「蔵田さんは性同一性障害なのでしょうか?」
と雑誌記者がテレビ局などから出てきた蔵田さんに食らいついてインタビューしようとする。
 
「俺はホモだってのに。性同一性障害と同性愛を混同するなよ。俺はプレイとして女装するだけであって、俺の性別アイデンティティは間違いなく男だよ」
 
と言って蔵田さんは明快に《女性指向》は否定した。
 
「女装趣味という訳でもないんですか?」
「女装趣味といったら、ローズクォーツのタカとか、ワンティスの雨宮とかだろ? 俺はパートナーとの関係上女装するだけ」
 
この発言については、タカも雨宮先生もクレームを付けていた。
 
タカは
「俺は別に女装趣味じゃないよ。ただしタカ子は女の子だけどね」
などと言い、雨宮先生は
「あら。私はふつうの服着ているだけなのに。女装しているように見える?」
 
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などと言っていたが、ネットでは「蔵田説に1票」という意見が多かった。
 

「つまり蔵田さんは女役なんですか?」
と雑誌記者はしつこく訊く。
 
「そのあたりは個人情報ということで。帰った帰った」
と言って、蔵田さんはその付近のことについてはノーコメントを貫いた。
 
蔵田さんとしても自分の性癖を細かく訊かれた場合、樹梨菜さんの名誉を傷つけることになるので、触れられたくなかったのである。実際問題として一部の記者を除いて、多くの記者はあまり深く追求しなかった。テレビ局の多くはネットに貼られている蔵田さんの女装写真も(肖像権に問題があるとして)映さなかった。蔵田さんのポピュラー音楽界への影響力に配慮したようであった。
 
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しかしネットの住民達は、蔵田さんは男性同性愛の女役でかつ、バイなのであろう。それで否定はしていたものの、趣味で女装することがよくあるのではと推測したようであった。きっと奥さんの樹梨菜さん以外に男性の恋人もいるのでは?と憶測して、その候補者捜しをする人もあったが、一番の候補者として挙げられたドリームボーイズの大守さんが、
 
「俺、そっちの趣味は無いから」
と明快にツイッターで否定コメントを出したので、候補者捜しは暗礁に乗上げたようであった。
 

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「ぐふふ。かぁいいなあ、ヌイちゃん」
と言って政子はネットからプリントアウトした、倉田さんの女装写真をたくさん並べて悦に入っている。
 
「ヌイちゃん?」
「ネットの住人さんたちが倉田さんの女装姿に付けた愛称」
 
「どっからそんな名前が?」
「冬、倉田さんの女の子名って知らないの?」
「知らない。実は倉田さんの女装姿自体を見たことがない」
 
と言いつつ、あれ〜?私、樹梨菜さんの実家で畳の上に座っている蔵田さんを見ているよな?あの時、なんで背丈の問題に気付かなかったんだろう?などと考えていた。
 

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この年のローズ+リリーの夏のライブは、最初全国アリーナ・ツアーを実施する予定であったものの、アルバム制作に専念したいということでキャンセルした。ただ完全キャンセルはファンに申し訳ないということで1日だけ大宮アリーナの公演を入れた。
 
この公演では「音の伝達距離」をできるだけ短くしたいという観点からセンターステージを採用する。中央に設置したステージを取り囲むように客席を設置する。収容人数は2万人で、ローズ+リリーで過去最大規模のライブとなった。
 
このイベントの日程については、8月4日にKARION初のアリーナ・ツアーが発表された翌日、8月5日に公表されたのだが、ネットが騒然とした。
 
ローズ+リリーの大宮アリーナでのライブは8月31日に設定されていたのだが、その日KARIONは沖縄ライブをしているのである。
 
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「やはりケイと蘭子は別人」
「その説はもう消滅」
「片方は女装っ子蔵田さん」
「もっとあり得ん」
「何とか掛け持ちするんだと思う」
 
「片方はホログラフィでは?」
「そういうふざけたことは絶対にしないのがケイだ」
「ちゃんとどちらも実体で参加すると思う」
 
「物理学的には不可能ではない」
「KARIONのライブは12時開始だから多分14時半には終わる」
「大宮アリーナでのローズ+リリーのライブは18時開場19時開演。だから4時間半以内に那覇から大宮まで移動すればいい」
 
「だけどそんな交通手段があるか?」
 
「KARIONのライブが行われる沖縄なんくるエリアは、那覇空港に近い。車で恐らく10分で行ける。すると15:05のJALに乗れないか?」
「難しいよ。15:05の飛行機に乗るならどんなに遅くとも14:45頃までには保安検査場を通過する必要がある。そのためには空港には14:40頃までに着く必要がある。ぎりぎり間に合わないと思う」
 
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「いやそれに何とか間に合った場合、15:05のJALが羽田に着くのは17:15。そこから17:25のモノレールに飛び乗れば18:45に大宮アリーナの最寄り駅に着く」
「いや車で走った方が早いと思う。羽田から大宮アリーナまでは車なら50分で行ける」
「渋滞に引っかかるとどうにもならん。夕方だぞ」
 
「綱渡りだな」
「飛行機が遅れたらアウト」
 
KARIONライブのアンコールは欠席するのではという説も出てレコード会社や事務所に質問が来たものの、どちらも「蘭子はちゃんとKARIONライブの最後までステージ上に居ます」という回答をした。
 

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