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■夏の日の想い出・雪月花(5)

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(C)Eriko Kawaguchi 2014-12-31
 
翌日。2008年8月31日。
 
私は和泉・小風・美空と一緒に、那覇でKARIONのステージを務めた。
 
ファーストアンコールで『海を渡りて君の元へ』、セカンドアンコールで『Crystal Tunes』を演奏して幕が下りる。私は和泉・小風・美空とハグしてから、急いで楽屋裏へ走る。★★レコードの染宮さんがバイクで待機しているので、ヘルメットをかぶり、彼のバイクのリアシートに乗る。
 
この会場を出たのが14:24で、バイクは道路を渋滞とは無関係に疾走して14:27に那覇空港に到着した。染宮さんにお礼を言って私はターミナルを走る。荷物は全く持っていないので簡単に保安検査を通り、バスゲートで待機してもらっていたバスに乗って、ターミナルから離れて駐機しているガルフストリームG650に乗り込む。取り敢えず先に乗っていた政子にキスする。
 
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離陸許可をもらって那覇空港を飛び立ったのは14:50であった。
 
同乗してくれている氷川さんが
「寝ててください」
と言うので、私は下着を交換した上で機内に設置されているベッドに潜り込んで寝る。このガルフストリーム機は○○プロの丸花社長の友人の食品会社社長が所有しているプライベートジェットである。ビジネスジェットなのに最高速度マッハ0.925というとんでもない速度が出る機体である。
 
当初は政子は朝のANA便で東京に戻る予定だったのだが、ガルフストリームなんてお金持ちのプライベート・ジェット乗ってみたいというので一緒に乗ることにしたのであった。政子は氷川さんや、ついでに沖縄旅行してきた社長の奥さんとおしゃべりしていたようだ。
 
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私が寝ている最中に政子が顔に悪戯描きしようとしたものの氷川さんが停めてくれたらしい。
 
結構ぐっすり寝た気がする。目が覚めたら氷川さんは甘いココアを入れてくれた。甘い飲み物はライブで体力を使ったあとのカロリー補給にもいいし、喉にも優しい。「ケイ」の衣装に着替える。政子も「マリ」の衣装を着る。どちらも宮里花奈さんデザインのかりゆし系コスチュームである。メイクもする。このあたりは、同乗しているクルーはパイロットを含めて女性ばかりにしてもらっているので、気楽だ。
 
やがて飛行機は着陸態勢に入る。16:45, G650は調布飛行場に着陸した。氷川さんと一緒に、近くに駐機しているヘリコプターに乗り移る。ヘリコプターはすぐに離陸し、わずか10分で大宮市内のヘリポートに着陸。移動距離は30kmである。そこで待機していた★★レコードの加藤課長が運転する車で、私と政子と氷川さんは大宮アリーナに移動した。会場に到着したのは17時すぎであった。つまり那覇の会場から大宮の会場まで2時間半で移動したことになる。
 
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丸花さんは最初「F15イーグル手配しようか?」と言ったのだが、遠慮させてもらった。あれは2度とごめんだ!!
 
今回の移動は結局、沖縄から東京まで2時間で移動できるのはできるのだが、そのあとの大宮までの移動が時間がかかりすぎるという問題だった。その移動にヘリを使うというのはすぐ案が出たのだが、羽田は発着が過密すぎてヘリが使いにくい。そこで調布を使うことにしたのである。
 
車はわざわざ会場の表に付けた。開場1時間前なので、結構なファンがもう並んでいる。私たちが手を振りながら会場に入っていくと、ファンたちが大いに沸いた。けっこうな人数と私たちは握手をした。
 

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「17:08 ケイとマリ、大宮アリーナに姿現す」
という写真付きのツイートが流れると、ローズ+リリー・クラスターが騒然とする。
 
マリと一緒であること、そばにローズ+リリー担当の氷川さんが付いていたこと、ファンと握手したことから、間違いなく本人であるとされた。
 
「14:24 蘭子がバイクで沖縄なんくるエリアを出たのは確認済み」
 
これも写真付きのツイートが出回っている。
 
「14:28 蘭子が那覇空港ターミナルを走って保安検査場に行くのを見た」
というツイートもあった。写真が添付されていたものの、走っている所を写しているので、顔はよく分からない。ただ服がバイクに乗っている蘭子と同じなので、恐らく蘭子で間違いないと判定された。
 
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「マリちゃんも午前中に那覇空港で目撃されている」
 
これも写真付きツイートが数件あった。マリがピースサインをして笑顔で写真に写っているものもあった。
 
「じゃきっと2人で一緒に飛行機に乗ったんだ!」
 
「その時間に蘭子が那覇空港に居たのなら、15:05のJALの前の14:55のANAに乗れた可能性がある」
「その場合、羽田到着は17:10」
「じゃ17:08にはまだ空中じゃん」
 
「分かった。飛んでいる飛行機から飛び降りて、ハングライダーで大宮まで行ったんだ」
「怪盗キッドかよ!?」
 
「ケイならやりかねんが、マリちゃんにはそれ無理だろ」
 
ファンが私とマリにどういうイメージを持っているかを垣間見た気がした。
 

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マリと一緒に30分ほどのミニリハーサルをしてから簡単な軽食・飲み物を取り休憩する。そして19:00、私たちはこの日のステージに出て行った。
 
円形のセンターステージに既にスターキッズがスタンバイしており、開演のブザーが終わるのと同時に『Heart of Orpheus』の前奏が始まる。私たちは花道に登場して、歌いながらセンターステージに向かった。
 
花道の沿道の観客が手を振る。私たちはそれに手を振って答えながら歩いていく。私が先行してマリが後ろを歩き「決して振り向かない」ようにして、無事にセンターステージに2人ともたどりつく。
 
そしてセンターステージに着いた頃、曲は2番に入る。私たちは円形のステージをぐるりと一周まわりながら、この歌を歌い上げていく。曲は最後のサビに入る。
 
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センターステージの中央に丸く50cmほど高くなっている所がある。私とマリは階段を上って、その上に行く。
 
終曲。拍手がある。その拍手の中、私たちはマイクに向かって声を出す。
 
「みなさん、こんばんは!ローズ+リリーです!」
 
2万人の大観衆が歓声と拍手をくれる。
 
「今年の夏はたくさんライブやるつもりだったんだけど、中止にしてごめんねー。代わりに今日1日は頑張って歌うからね」
 

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今回のライブチケットは8月5日に発表して、当日から11日まで申し込みを受付けて抽選方式で販売した。2万枚の枠に10万枚の申し込みがあり、当選倍率は5倍であった。重複当選によるキャンセルを1度だけ受付け1000枚ほどキャンセルされたので期限までに入金の無かった分と合わせて追加当選を出した。なお、入場には本人・同伴者ともに顔写真付きの身分証明書(ローズ+リリーのファンクラブ会員証を含む)または申し込みに使用した携帯電話が必要として転売に歯止めを掛けている。
 
性転換した!などにより写真と本人が大きく異なる場合は、別途事前申請ということにしたが「性転換したので対応お願いします」あるいは「戸籍男性ですが通常女性として生活しているので」更には「一応男性ではあるのですが女装でよくイベントに参加しているので」という連絡が200件近くもあった。
 
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今日のステージは円形で中央に50cm高い台があって、私とマリはそこで歌う。周囲に、スターキッズの面々が円形に取り囲んでいる。前面にドラムスの酒向さん、反対側にベースの鷹野さん、その間に片側にはギターの近藤さん、その反対側にキーボードの月丘さんが居て、サックスの七星さんは最初は近藤さんのそばに居たものの、ライブ中、結構ぐるぐるとステージを歩き回っていた。この5人も私たちと同様のかりゆし系衣装を着ている。ただし色が、私の赤系、マリの白系に対して、スターキッズは黄系である。
 
前半はリズミカルな曲を中心に演奏して行く。
 
7月のシングル『Heart of Orpheus』から『恋人たちの海』『時を戻せるなら』を演奏した後、客席最前列に座っていた2人の少女が立ち上がって、ステージに登る。少し観客がざわめいたが、その2人の少女、前田さん・佐藤さんがヴァイオリンを構えると、ざわめきが拍手に変わる。『幻の少女』を演奏する。この2人は、アスカの生徒の女子中生である。アスカが教えようという気になっただけあって無茶苦茶うまい。コンテストの度胸付けを兼ねて今回参加してくれた。
 
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ふたりのヴァイオリンをフィーチャーして更に『愛のデュエット』『花の国』と演奏した。ふたりを紹介して、拍手をもらい、そこでふたりは花道から退場する。それと同時に、反対側の花道から近藤うさぎ・魚みちるの2人が入ってくる。私がMCをしている間に前田・佐藤は花道の出入口に到達して外に消える。それと同時くらいに、近藤・魚の2人がセンターステージに到着する。
 
2人は昔の宮廷衣装のようなふわっとスカート裾の広がる重厚な衣装を着ている。
 
『雪を割る鈴』を演奏する。サマフェスにも来た人にはお披露目済みだが、大半の観客は初めて聴く曲である。前半の緩と後半の急が対照的な曲であり、ダンサーのふたりはこの曲の途中で「鈴が割れる」と宮廷衣装を脱いで身軽なサラファンの姿になる。
 
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曲の後半ではダンサー2人はサラファンのスカートの動きを巧みに取り入れた激しいダンスをする。この衣装をチェンジするアイデアは、楽曲とPVの完成後に思いついたものなので、ライブだけのものである。
 
MCに続いて『女神の丘』を演奏する。ダンサーのふたりはサラファンを脱ぐとその下に緋袴と千早の巫女装束を着ている。ふたりはこの衣装で、千葉市内の神社の巫女さん(つまり千里だ!)に指導してもらった巫女舞を舞う。この神秘的な舞に観客は手拍子も打たずに聴き惚れていた。
 
そして前半最後の曲は『影たちの夜』である。ダンサーの2人が巫女衣装を脱ぐと、蛍光レオタードを着ている。ステージの明かりが落ちて薄暗くなる。ダンサー2人の姿がその薄暗い中に浮かび上がり、私たちはこの記念碑的な作品を歌う。ステージ上空に近藤・魚ペアと同様の蛍光レオタードを着た多数のダンサーの姿が浮かび上がり、一緒に踊る。これはふたりのダンスを予め録画し作成しておいたホログラフィーである。この演出に会場が思わず沸く。そして熱狂の中、前半のステージは終了した。
 
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会場の客電が点き、ローズ+リリー、スターキッズ、ダンサーが手を振って花道から退場した。
 

幕間には超サプライズ・ゲストでAYAが登場し、インディーズ時代のヒット曲、『ティンカーベル』とメジャーデビュー曲のc/w曲『スーパースター』、それに未発表曲の『Maze City』を歌った。最近歌謡番組などからも遠ざかり、ライブも行わず、楽曲も半年以上出していなかったAYAの登場には、物凄い歓声が上がっていた。
 
AYAといえば上島ファミリーの代表のようになっているが、上島先生がAYAに関わるようになったのは、メジャーデビュー以降でありインディーズ時代はロイヤル高島作詞・アキ北原作曲とクレジットされた歌を多く歌っていた。ロイヤル高島さんがAYAのデビュー直前に亡くなってしまったため、この2つの曲はロイヤル高島さん最後の作品とも言える。『ティンカーベル』はインディーズであるにもかかわらず32万枚売れ、『スーパースター』も上島先生の『三色スミレ』とのカップリングで出したCDがダウンロード販売も含めて45万枚も売れている。実はAYA初期の大ヒット曲なのである。
 
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なおアキ北原という名前は、このAYAインディーズ時代の作曲者としてだけ見られるもので、他ではほとんど見ない。その正体については様々な憶測を呼んでいる。
 
なお今回歌った未発表曲『Maze City』について発売予定の問合せがレコード会社や事務所に殺到したが、どちらもノーコメントを貫いた。作詞作曲者についても問合せがあったが、これは「水森優美香作詞・戸奈甲斐作曲」と公表された。
 
水森優美香はAYAことゆみの本名だが、戸奈甲斐については誰なのか不明であった。
 
「これトナカイって読むの?」
「赤鼻のトナカイさん?」
「ワンピのチョッパー?」
「アナ雪のスヴェン?」
 
などとジョークのような書き込みはツイッターに見られたものの、正体については誰も想像が付かないようであった。
 
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AYAの演奏が終わった後、ステージ中央の少し高くなっている所が開く。そこから振袖を着た、私とマリが登場する。実は会場に設営した花道の中が通れるようになっていて、そこから中央ステージまで行ったものである。
 
私たち2人に続いて、やはり振袖を着た女性が5人登場する。
 
『花の祈り』を演奏する。
 
三味線を持った従姉の千鳥(若山鶴鳥)・佳楽(若山鶴芳)の姉妹、和太鼓を持ったその姉妹の歌衣(若山鶴歌)、尺八を持った3人の母・清香(若山鶴声)、そして篠笛を持った千里である。
 
千里が民謡の名前を持っていないと聞くと、清香伯母は千里に「若山萌鴎」などという可愛い名前をあげてしまった。彼女が留萌出身と聞いて、留萌の萌の字を使ったのである。
 
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「私、上納金とか払えないですけど」
と千里は言ったが
「ああ、要らない、要らない。冬子も払ってないし」
と伯母は言っていた。
 
その話を聞いた、絵の得意な義姉妹の麻央は《萌鴎》の可愛いイラストを描いてくれて、そのイラストをインクジェットプリンタで生地にプリントし、振袖を1枚作ってしまった。今日のステージで千里が着ているのは、その可愛い模様の振袖である。
 
私たちが振袖を着て、民謡楽器の伴奏なので、演歌でも始めたか?と戸惑った観客も中身は純然たるロックなので、結構楽しんでくれたようである。
 

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■夏の日の想い出・雪月花(5)

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