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■夏の日の想い出・女になりましょう(2)

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「淳さん、今日休み?」
「ここしばらく休みが取れてなかったので、サブシステムのテストが完了したところで休み取りました」
「大変ですね」
 
そんな会話を交わしながら4人が部屋の中に入ってきたのだが、その時、雨宮先生が
「あら、千里ちゃんじゃん」
と声を掛けた。
 
千里はびっくりした顔をして口に手を当てていたが、すぐに
「お早うございます、雨宮先生。ご無沙汰しておりまして」
 
お早うございます? 芸能界的挨拶?? ご無沙汰??? 
 
「そうだ。千里ちゃん、あんた身体は直したんだったよね?」
と雨宮先生。
 
「はい。2年近く前に手術して女になりました」
と千里。
 
「だったら、あんた今度出すアルバムのキャンペーンに参加しない?」
「は?」
 
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千里が状況把握できずに困っている感じの中、雨宮先生は隣に居る和実にも声を掛ける。
 
「ね、ね、あなた少しそれっぽい雰囲気ある。あなたもしかして男の娘?」
「えっと。元男の子でしたが、2年前に手術して女になりました。戸籍も既に変更済みです」
と和実が答える。
 
「あなたさ、どこかで見たことある。もしかして、メイドカフェに勤めてなかった?」
「お目に留めてくださいましてありがとうございます。エヴォンというメイド喫茶の銀座店店長兼チーフメイドをしております。以前は神田店のチーフをしていました」
 
と言って、和実は自分の営業用名刺を雨宮先生に出した。
 
「おお。私の記憶も大したもんね。私のことは知ってる?」
「はい。ワンティスの雨宮三森さんでいらっしゃいますね?」
 
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「うん。でもあんたも性転換済みなら、あんたもこのキャンペーンに参加しよう」
「えっと。何でしょうか?」
 
「あ、はるかちゃんの隣に居る少しとうのたったおばちゃん」
「私ですか?」
と淳が苦笑しながら答える。
 
「あなたも性転換してるの?」
「そのうち手術したいとは思ってますが、まだしてません」
「あら、だったら。今すぐ性転換しちゃわない? そしたらあなたもキャンペーンに参加できるのに」
 
「今、中断できない仕事を担当しているので何ヶ月も療養とかできないんですよ」
「あら、残念ね。あ、千里ちゃんの隣のお姉ちゃんは? あなたも性転換美女?」
 
「残念ながら私は元々女です。男になりたいと思ったことはあるけど」
と桃香は答える。
 
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「なーんだ。ナナちゃんとかゆまの同類か」
と雨宮先生はほんとにつまらなさそうに言う。
 
「やはり性転換美女を5人くらい揃えたいのよねー。ケイを入れたいけどスケジュール的に絶対無理だから、千里ちゃんに、はるかちゃんに、・・・・」
 
本人達が同意しないままもう勝手に頭数に入れている。
 
「雨宮先生、キャンペーンって何ですか?」
と千里が尋ねる。
 
千里は雨宮「先生」と呼んでいる。何か雨宮先生に指導などを受けたことがあるのだろうか??
 
「そうだ。ひとりは花村唯香にしよう」
と言ってその場で花村唯香のマネージャー高泉さんに電話して、何だか強引に予定を入れさせていた。
 
「あ、1人思いついた」
と言ってまた別の人に電話して、強引に押しつけている。この時先生が呼び出したのは実は、当時は新田安芸那の芸名であった後の桜クララである。実は数年前に雨宮先生とは恋愛関係にあった時期があり、この頃は彼女は雨宮先生の子供(桜幸司)を育てていたのだが、それを知ったのは随分後のことである。
 
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「あと1人欲しいな。スリファーズの春奈は絶対空いてないだろうしな。モニカは性転換者であることを公表してはいけないことになってるし。鈴鹿もやはりどちらが性転換者かを公表できないし」
と言って先生は悩んでいる。
 
「先生。鈴鹿はまだ性転換してません」
「あ、そうだったっけ?じゃ、すぐに手術受けさせて」
「町添さんに叱られます」
 
「町添さんはやばいな。誰か強引に性転換させられそうな人いないかしら?」
と言ってチラっとタカを見るので、タカがぶるぶるっと首を振る。
 
「ねぇ、あんたたちの知り合いで性転換済みの美女っていない? 素人じゃない子がいいんだけど」
と和実たちの方に訊く。
 
「私自身、素人ですけど」と和実が言うが
「却下」と雨宮先生。
「私も素人ですー」と千里が言うが
「全くもって却下」と雨宮先生。
「あんたの妹、富山から呼び寄せようかしら?」
と雨宮先生は千里に言ったが
「あの子、忙しいから勘弁してやってください。それに話が見えないですけど未成年は参加できないような内容では?」
と千里は言う。
 
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あ、雨宮先生は青葉の姉として千里を知っているのだろうか?と私は思った。青葉は雨宮先生の弟子の鮎川ゆまの生徒なので私が引き合わせた以外にも何度か会っていたのかも知れない。
 
「まあ確かに未成年はやばいわ。あ、思い出した! でもスケジュール取れるかな?」
と言って雨宮先生は最初どこかの事務所に電話しているようだった。
 
「ああ、やはり引退したのね。連絡先分かる?」
と言って電話番号をメモしている。
 
「さて、この番号でつながるか?」
と言いながら掛けるとつながったようである。
 
「おっひさー、近藤ちゃん」
と雨宮先生が言うと、七星さんがビクッとする。彼女も昨年12月に結婚して苗字が近藤になっている。
 
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「うんうん。だったら、ちょっと顔出してよー。え?ギャラ? 1日2万円で拘束10日間くらい。他にもしかしたらビデオ撮影あるかも知れないけど、そちらはまあ適当に。事務所との契約切れてるんならどちらも直接そのお金払うよ。やる?よし。じゃ顔合わせするから、今から新宿の**スタジオに出て来て」
と言って電話を切る。
 
「よし。私たちも行こう」
と雨宮先生。
 
「あのぉ、私たちって?」
「私と、はるかちゃんと千里ちゃんと、ケイとタカ子だね」
 
「私も行くんですか?」
と私もタカも言った。
 
「ケイちゃん、車出してね」
 

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それで結局、荷物の方は淳と桃香の2人で頑張って運んでもらうことにして、結局サトと七星さんも荷運びの方を手伝ってくれて、私の車には先生と和実、千里、タカ、と乗って新宿に向かった。
 
「でも千里、雨宮先生とどういう知り合い?」
と私が訊いたら
 
「高校時代以降度々お会いしまして。色々指導して頂いています」
と千里は言う。
 
「この子は龍笛とフルートの名手でピアノもかなりうまい。そこら辺のバンドでならキーボーディストになれるレベル。ヴァイオリンは最近聞いてないな。昔は下手だったけど・・・」
と言って、雨宮先生は千里に投げる。
 
「今でも下手です」
「進歩ないわねー」
「済みません」
「ついでに、チンポもないのね」
「無いです」
 
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雨宮先生がこういうオヤジギャグに走るのは調子のいい時だ。
 
「タカ子ちゃんもチンポ無い状態になりたくない?」
「いやです。これ無くなると困ります」
「あら、無くても平気よねー」
 
「雨宮先生も無くなると困るのでは?」
と千里が言う。
 
「そうなのよねー。使えない状態になってたから、もういっそ取っちゃおうかしらと思ってたら、こないだあんたの妹にヒーリングしてもらって、また使えるようになったのよ。もう女の子3人とやったけど、快調、快調」
と雨宮先生。
 
「青葉もよけいなことを」
と千里が言うが、私も同感だ!
 

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距離が近いので新宿のスタジオに着いたのは私たちが最初だったようだ。ほどなく花村唯香がマネージャーと一緒にやってくる。
 
「唯香ちゃん、今度のキャンペーンではあんたが唯一世間に顔が売れてるからあんたがリーダーで」
「はい。でも、何のお仕事なんですか?」
 
などと言っている内に、先に★★レコードから梶原さん、氷川さん、加藤課長がやってくる。
 
この時期のローズクォーツの担当は、正担当者・氷川さん、副担当者梶原さんということになっていて、普段は梶原さんが色々お世話をしてくれているのだが、企画などの話になると、正担当者である氷川さんも出てくる。
 
★★レコードの3人は雨宮先生から『Rose Quarts Plays Sex Change - 性転換ノススメ』という企画を聞くと、最初絶句していた。
 
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「先生、それはさすがに無茶です。そんなの出したら非難囂々ですよ」
と梶原さんが言う。
 
「でも売れるわよ」
と雨宮先生。
 
氷川さんが
「曲目を見せて下さい」
と言った。
 
それでさきほど私と雨宮先生でリストアップした曲目を見せる。
 
氷川さんは考えていたが
「少し曲目を変えていいですか?」
と言う。
 
「何か入れたい曲がある?」
「Malice Mizer『月下の夜想曲』、Culture Club『Karma Chameleon』とかはどうでしょう?」
と氷川さん。
 
「ああ、それを『オーチンチン』と『女になって出直せよ』の代わりに入れるんだね?」
と加藤さんも言う。
 
「このラインナップにオチは要らないと思うんです。きれいな曲で雰囲気を酔わせておいて、さあさ女になりましょう、と歌うわけです」
と氷川さん。
 
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「あんた、『逢魔ヶホラーショー』読んでるね?」と雨宮先生。
「千之ナイフさん好きですよ」
「あんたの趣味が分からん」
 
「あるいはですね。マリ&ケイの曲で埋めてもいいと思います」
と言って、氷川さんは曲名を挙げる。
 
「『男子絶滅計画』『女の子にしてあげる』はこのままのタイトルでもいいです。『邪魔な物は取っチャオ』は単に『取っチャオ』、『もうおちんちんは要らない』
ですが単に『もう要らない』、『お股は軽やかに』は『軽やかに』でいいと思います。『ハサミでチョキン☆』は『改造貯金計画』とか」
 
「よく覚えてますね!」
と私はマジで驚いて言う。
 
「一度聴かせて頂きましたから」
と氷川さん。このあたりがこの人の凄い所だ。
 
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「ああ。全部マリ&ケイにしちゃうのもひとつの手ね」
と雨宮先生も言う。
 
「でもこういう曲、既に性転換が終わっているケイちゃんが歌ってもダメなんです。ましてやOzma Dreamなど女性歌手に歌わせるのは言語道断。最適は鈴鹿美里の鈴鹿ちゃんみたいにいづれ性転換するつもりであっても、まだ手術を受けてない子がいいんですが、18歳未満の彼女にこういう歌を歌わせるのは倫理上の問題が出ます。となると、女装キャラとして周知されているタカさんが歌ってくださるのがいちばんいいんですが」
と氷川さん。
 
「私と同じ意見ね。だから今回はタカ子ちゃんに歌って欲しいのよ」
と雨宮先生。
 
「やっぱり僕なんですかー!?」
 
「売れたら印税で性転換手術、受けられるわよ」
「結構です!」
 
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「このマリ&ケイの女性化ソングって、タイトルも内容も刺激的だけど、女性のマリさんが書いただけあって、下ネタとかもないし、性器の名前がほとんど出てきてないんです。何ヶ所か出ている所ありますが、あそこちょっと修正していただけません?」
と氷川さんは政子を見て言う。
 
「いいですよー」
と政子。
 
「そしたら行けると思います」
と氷川さん。
 
「ほんとに出すんですか?」
と梶原さん。
 
「性転換者であるケイちゃんが入っているユニットであり、また女装キャラであるタカさんが中心人物であるバンドだから、許容されると思うんです。普通のバンドがやったら、しらけるか、GIDの人を馬鹿にしてるとか批判が起きる可能性がありますが、ローズクォーツの場合は大丈夫です」
と氷川さんは言う。
 
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確かに当事者の言動は許容されやすい。
 
加藤さんは少し考えていたが、やがてこう言った。
 
「これ、16歳のローズ+リリーが歌うと言ったら僕も反対していたけど、32歳のタカ君が歌うんなら問題無いよ」
 
「よし」
と雨宮先生は、やる気満々である。
 

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