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■夏の日の想い出・6年間のツケ(5)

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(C)Eriko Kawaguchi 2014-04-14  
部屋に入ってみる。玄関を入ってすぐの所に広いLDKが広がる。
 
「LDKの広さは20畳くらいですか?」
と梨乃が訊く。
 
「22.5畳ですね」
と不動産屋さんが見取り図を見て言う。
 
キッチンは壁付きとアイランドの2個配置。シンクは壁側が広くアイランド側は少しこぶり。どちらにもガス栓が付いている。
 
「ここガスは使っていいんですね?」
と私は訊いた。
 
「キッチン上のガスコンロはタイマー付きのものでお願いします。ガス炊飯器、ガスストーブは禁止させてもらっています。あと、石油ストーブ・石油ファンヒーターも禁止です」
 
「ああ。それは冬はそもそも危ないから使ってないね」
「うん。眠っちゃう可能性があるから、石油ストーブは怖い」
 
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「ガスが使えるなら、壁付きの方にガスコンロ設置してアイランドはIHにしようかな」
 
玄関から見て右手側に、トイレ・お風呂・洗面所、そしてSR(サービスルーム)が並ぶ。LDKの奥には廊下があり、廊下の右手に7.5畳洋室・7.5畳和室、左手に6畳洋室・SR・6畳和室と並ぶ。
 
「ここは回線は光ですか?」と梨乃。
「ええ。各住戸まで光ファイバーが来ています」
 
私たちはひとつひとつの部屋を開けて、押し入れなども開けて中を見てみた。
 
「開けられるもの、動かせるものは、実際に開けてみる、動かしてみるのが中古マンション買う時は大事なんですよ」
と梨乃は言っていた。不動産屋さんも頷いている。
 
「あれ、この天袋の戸が開きにくい」
「ちょっと貸してみてください・・・ああ。これは戸が変形してますね。多分荷物があふれてて戸を押してたんだろうな。交換させます」
と言って不動産屋さんはメモを取っている。
 
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「お、梨乃、役に立った」と美空。
「どうもどうも」と梨乃。
 
「でも全体的にきれいにしてますね」
「はい、きちんと整備しましたので。専門の業者にハウスクリーニングさせた上で、畳表と障子紙・襖紙も全交換しています」
 
いちばん奥の和室(窓側)から外も眺めてみる。
 
「これどっち側?」
「今見ておられる方角は北西です」
「ということは玄関は南東?」
「はい」
 

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梨乃が
「すみません。友人の占い師にちょっと電話していいですか?」
と言うので
「うんうん。訊いてみて」
と私は言った。
 
梨乃が電話を掛けている。少し話していて
 
「近くにお寺がありましたっけ?」
と言う。
 
「電話の向こうから分かるんですか?凄いですね。確かにございます」
と不動産屋さん。
 
「何か霊道とかあるの?」
と政子が訊く。
 
「霊道はあるけど、このマンションは通ってないそうです。そもそも、もっと低い所を通っているからこの階には影響は全くないらしいです」
「へー」
 
「ちょっと待って。今何階に居るか言わなかったよね? 向こうはこちらの階が分かるの?」
と私は尋ねる。
 
梨乃が尋ねている。
「35階くらいではないかと言われました」
「すごーい! その人本物だ」
 
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「彼女が見てみた範囲では特に大きな問題点はないらしいです。オフィスですかと訊かれたんですけど」
 
「住宅だけど、確かにここは創作したりスタッフと打合せしたりといった仕事場になると思う」
と私は答える。
 
「ゆっくり休む時は私んちに行くもんね」
と政子。
 
それでまた少し向こうと話している。
「彼女が言うには、安らぎの場所にするには少し疲れるかも知れないということです。でもビジネスをするのであれば、むしろ活力が出ると」
 
「ああ。だったらちょうどいいね」
と私は言う。
 
「政子の勘ではどう?」
「うん。こないだは夕方中に入れてもらったんだけど、今回は午前中で、どちらも雰囲気が良いと思う」
 
「私も結構ここいいかなと思った。ここにしようかな」
 
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「決められますか?」
「決めます」
 
「では手続きは、事務所の方に戻ってから」
 
そういう訳で私はこのマンションを買うことにし、引越はツアー終了後、7月中旬に行うことにした。引き渡しは6月1日付けとし、その後、6月中に7.5畳の洋室に防音工事を施すことにした。
 

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「しかし1億7千万円の消費税は1360万円か。恐ろしい」
「重税感がひしひしと感じられる」
「私だったら消費税を払うのに40年ローンが必要です」
と梨乃。
 
「和泉ちゃんは消費税いくらだった?」
と政子が訊く。
 
「私は6千万円の5%で300万円」
「やはり凄く増税されてる気がする」
「でも本体価格が3倍だよ、ここ」
 
「でもやはり増税前の駆け込みで住宅購入した人は多かったですよ」
と梨乃が言う。
「あれ、住宅を建てる場合は、どの時点の税率が適用されるの?」
「契約を半年前の9月までに終えているか、3月までに引き渡したかなら前の税率が適用されます」
 
「工事が遅れて4月1日引き渡しになっちゃった人は悔しいね」
「業界関係の人の話を聞いてると、それで結構お話し合いになるケースも出たみたいです」
「ああ」
 
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「増税分を業者がかぶる場合か」
「でもそれ弱小工務店は辛い」
「でも弱小工務店ほど、言われた時に弱いんです」
 
「増税前の駆け込みで性転換手術した人もいるかな?」
と政子が言う。
「なぜ、そういう話になる?」
 
「だけど梨乃ちゃん、不動産屋さんとしての意見以上に、お友だちの占い師さんの意見が参考になった気もする」
「すみませーん」
 
「梨乃ちゃん、その占い師さんに御礼言っておいてね」
「はい」
 

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ローズ+リリーとKARIONの春のツアーは、6月15日にKARION大阪ユーホール、ローズ+リリー神戸ポートランドホールで終了した。後半はずっと土日だけの公演なので、平日は主として両方の次のアルバムの曲の最終選定作業や編曲などを進めていたのだが、他のアーティストに提供する曲なども書いていて結構忙しかった。
 
このツアー最終日直前の6月13(金)に、KARIONのベストアルバム収録曲を選ぶ人気投票の締め切り直前集計が発表された(10日までの集計。なお、締め切りは6月16日)。
 
1.『アメノウズメ』 2.『雪うさぎたち』 3.『あなたが遺した物』 4.『Crystal Tunes』 5.『僕の愛の全て』 6.『四つの鐘』 7.『海を渡りて君の元へ』 8.『歌う花たち』 9.『星の海』 10.『雪のフーガ』 11.『スノーファンタジー』 12.『魔法のマーマレード』 13.『スターボウ』 14.『Shipはすぐ来る』 15.『鏡の国』 16.『金色のペンダント』 17.『Snow Squall in Summer』 18.『コスモデート』 19.『恋のブザービーター』 20.『サダメ』 21.『水色のラブレター』 22.『秋風のサイクリング』 23.『優視線』 24.『白猫のマンボ』
 
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前回とガラリと順位が変わった。
 
『恋のブザービーター』が圏外から急上昇してきたのは、ローズ+リリーの幕間に出て演奏した時に、櫛紀香さんがバスケットボールをドリブルしながら演奏したのが好評だったので、KARIONのライブ自体にもその後入れた(櫛紀香さんに毎回出てもらった)のと、追加投票券欲しさに何かダウンロードしようと思った時、このCDを買ってない人が多かったため「じゃこれでも買うか」と思ってダウンロードしてみたら意外に良かったと思ってくれた人達が多かったのではと私たちは分析した。
 
また『魔法のマーマレード』が上昇したのは、この曲を遠上笑美子ちゃんがカバーしていたので、彼女のCDを買った人たちが、あらためてこれ良い曲じゃんと思って反応したのだろう。
 
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「実際あの曲って、アイドルに歌わせた方がいい曲かもね」
「笑美子ちゃんのCDジャケット可愛かったね」
 
などと私たちは言い合った。
 

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5月と6月の初旬には、KARIONのライブDVDの第4弾『2011蘭』、第5弾『2012泉』
が発売され、またローズ+リリーの方も2012年のライブDVDが発売され、いづれも好調な売れ行きを見せていた。また6月11日には、ヨーコージ作詞作曲で、しまうららさんが歌う『ギタープレイヤー/夢のバンド』、およびマリ&ケイ作詞作曲で、松原珠妃が歌う『君の唇』が発売された。
 
『ギタープレイヤー/夢のバンド』は元々ヨーコージ(柊洋子+蔵田孝治)が松原珠妃に渡すのに書いた曲なのだが、それを事務所に持って行った時、しまうららさんが「いい曲ね。私にちょうだい」などと言って、珠妃も構わないというので、しまさんが歌うことになったものである。
 
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『ギタープレイヤー』ではしまさんはアコスティックギターを弾きながら歌っている。『夢のバンド』では、しまうららさんのギター、ゆきみすずさんのベース、たいひらめさんのキーボード、さけいくらさんのドラムス、と昔のサンデーシスターズの友人と一緒に演奏を行うPVが作成されていた。
 
たいひらめ・さけいくらはサンデーシスターズ解散後「フィッシュ」というユニットでしばらく売っていた。ゆきみすず・すずくりこの「スノーベル」が可愛い子路線だったのに対して「フィッシュ」は3枚目路線で、バラエティ番組でも、熱湯に放り込まれたりワニの居る池に落とされたり(マジ死ぬかと思ったらしい)、さんざん酷い目に遭わされているが、それだけに実は知名度は高かった。現在は2人とも引退していて、たいひらめはピアノ教室の先生、さけいくらは主婦をしながらインディーズバンドで活動している。
 
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このPVは40代以上の層にかなり反響があったようである。
 
ただ、このPVの段階では、しまさんのギターは実は吹き替えである。(他の3人は実際に演奏している)しまさんは現在ギター猛練習中で、夏のツアーでは生ギターを披露します、と本人が新曲発表記者会見で言っていた。
 

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そして私が絶句したのが珠妃の新譜の方である。
 
マリ&ケイで書いた『君の唇』は良いのだが、カップリング曲がニジノユウキ作詞ヨーコージ作曲『ナノとピコの時間』という曲になっていた。しかも、ジャケットを見ると珠妃がデビューした2003年に、果ての浜という所で撮影した、珠妃と私のツーショット写真が使用されていたのである。
 
(当時、珠妃は高1・私は小6)
 
私は珠妃に電話して抗議した。
 
「静花さん、私が書いた『サバンナの記憶』はどうしたんですか?」
「ごめーん。あれ今度のアルバムのタイトル曲にするから許して」
「だって、私あの日、徹夜で書いたんですよ。明日朝までに欲しいなんて静花さんが言うから」
 
「いや、冬に2曲書いてねと頼んだ後でさ、蔵田先生から電話が掛かって来て、冬に2曲は酷だから1曲は僕が書くことにしたから珠妃ちゃん歌詞だけ書いてよと言われて。それで私が以前書いてたストックの中から3つ送ったら、その中のひとつに曲を付けてくださって、夜中すぎに送って頂いたのよ」
 
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「それだったら、私に連絡してください!!」
 
「電話したけどつながらなかったんだもん」
「う・・・・」
 
確かにその晩、私は集中して曲を書くために携帯の電源を落としていた。
 
「でも私が曲を翌朝送った時にでもひとこと言ってくれて良かったのに」
「ごめーん」
 
「それと、あのジャケットは?」
「いや。あの詩は例の果ての島で撮影した日に向こうの旅館で書いてた詩だったのよねー。それ言ったら、会長が『あの時の写真あるよ』と言って」
 
「それもひとこと連絡してくださいよ!」
「いや、連絡したら、絶対冬は使わないでと言うに決まっているからと会長が言うし」
「う・・・・」
 
兼岩会長には私は大きな恩がある。さすがに兼岩さんには文句は言えない。
 
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「もう全国に5万枚配送してるから、追認してよ〜」
 
私は頭を抱えた。
 
「じゃせめて、その写真の子が誰かは言わないでくださいよ」
「あ、ごめーん。昨夜のラジオ番組でしゃべっちゃった」
「ひっどーい!!!」
 
そういう訳で、小学6年の私が《どう見ても女の子のビキニ姿にしか見えない状態で》映っている写真が全国に大量にばらまかれることになってしまったのであった。
 
(それを見て、私の父は腰を抜かし掛けたらしい)
 
「これで冬が小学6年生の時点で既に性転換済みであったことが全国に知られちゃったねー」
 
と言って、政子は珍しく早起きしてCDショップで買ってきた『君の唇/ナノとピコの時間』のCDジャケットを楽しそうに眺めていた。(政子は朝寝坊だが、こういうことには熱心である)
 
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■夏の日の想い出・6年間のツケ(5)

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