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■夏の日の想い出・6年間のツケ(4)

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「あの時代は★★レコード側も南が担当してましたが、南は100以上のアーティストを担当しているので、ローズクォーツまできちんと手が回らなくて申し訳なかったと言ってました」
 
「今氷川さんはローズ+リリーとスリファーズだけだもんね」
「ええ。ローズクォーツは外してもらいましたから。スリファーズも鷲尾ちゃんがサブで付いてくれているから活動日程がダブっても問題無いですし」
 
「KARIONも滝口さんが専任だし」
と美空が言ったが、小風は知らんぷりしている。滝口さんが担任になって初期の頃、小風は滝口さんと深刻な対立をしていたので、きっと今でも嫌いなのだろう。滝口さんもそれを気にして何かにつけて色々小風を立ててくれてはいるようだが。
 
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「鷲尾さんはスリファーズの他は今、遠上笑美子ちゃんくらい?」
「です。他にも何人か入ってますが、活動量の小さい人ばかりで。でもスリファーズが今年の後半は休業するので、その間は実質、遠上笑美子ちゃんの専任になりますね」
 
「遠上笑美子ちゃんが売れると、そちらの専任になってスリファーズには更に新しい担当が必要になったりして」
「あり得るあり得る」
「あの子は売れると思う」
 
「でもやはりこのクラスは専任の担当者がいないと無理でしょ」
と櫛紀香さんも言う。
 

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「ローズ+リリーさんは、新しいアルバムはいつ頃出すんですか?」
と櫛紀香さんが訊く。
 
「夏頃出すつもり。一応曲の選定は終わってアレンジもだいたい固めたんだけどね。ツアーが終わってから制作に入る」
と私は答える。
 
「去年みたいに何ヶ月も掛けて収録ってのはやはり無理だよねー」
と政子。
 
「うん。今年は忙しい。去年の前半はアルバム制作以外、ほとんど何もしてなかったからね」
 
「楽曲は、ほとんどマリ&ケイ?」
「上島先生から1曲頂いている。あとこないだのパーティーで東堂千一夜先生が僕にも書かせてよと言っていたので、1曲頂くことになりそう。他はマリ&ケイになるかな」
 
「東堂千一夜先生か」
「私たちのデビューCDに入ってた『明るい水』が鍋島康平先生の作品だったからね。東堂千一夜先生は鍋島先生のお弟子さんで、木ノ下大吉先生のお師匠さんでもある。すずくりこさんが昨年歌を歌う気になったのも東堂先生の説得が大きかった」
 
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「そうか。スノーベルの曲も書いてたね」
「鍋島先生亡き後の、歌謡曲界の重鎮だよね」
「関沢鶴人先生もいるけどね」
「ああ、関沢鶴人先生、最近結構ポップスを書いてるよね」
「ピューリーズに書いたのが当たって以来ね」
「若い子に歌ってもらえるから楽しいとか、こないだ言ってたよ」
 
「鍋島先生は亡くなってから今年で5年でしょ? また特集番組やるの?」
「命日は16日だけど、特集は18日の日曜日に放送するんだよね。でも私たちは当日ライブでできないから、今年は川崎ゆりこちゃんと桜野みちるちゃんにお願いした」
 
「ああ、川崎ゆりこちゃんはトークが上手い」
「先輩の浦和ミドリちゃんのステージでも川崎ゆりこちゃんが司会してたね」
「あれは浦和ミドリにしゃべらせると、失言するからなんだよ。動物愛護団体から凄まじい抗議が来て、事務所の電話が3〜4日使えなくなったなんて事件もあったしね」
「ああ、例の発言か」
「**さんと**さんの交際をバラしちゃったこともあったし」
「ミドリちゃんの前ではうかつなこと話せないと私思った」
「まあ、昔から知ってる人はみんな気をつけてた」
 
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「冬があの事務所からデビューしてたら川崎ゆりこの名前になる予定だったんでしょ?」
と政子が私に言う。
 
「そうそう。私がKARIONに入るのを決めてあちらは断ったから彼女にその名前が行っちゃったんだよ」
 
「あれ、ケイさん、§§プロからのデビューの話もあったんですか?」
とカノンが訊く。
 
「そそ。私の性別のことを承知の上で、可愛いアイドル歌手として売ってあげるからと言われて、かなり気持ちが揺れた」
 
「可愛いアイドルしてる冬って、少し気色悪いかもしれない」
などと政子が言う。
 
「08年組はみんな少し純粋なアイドルとは違ってたもんね。最初から」
「AYAがいちばんアイドルしてたね」
「あそこは大手だけあってイメージ戦略がしっかりしてるから」
 
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「そういえば浦和ミドリちゃんも08年組なんだよね」
「ある意味では08年組でアイドルとしては一番売れた子」
「ライブの動員は凄かったからね」
「KARIONのマネージャーの北島花恋も実は08年組のアイドル歌手」
「でも全く売れなかったらしい」
「まあほとんどの子はデビューできても、そんなもの」
「アイドル歌手なんて毎年40-50人はメジャーデビューしてるからなあ」
 

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「そういえば、うちはいつアルバム出すんだっけ?」
と小風が和泉に訊く。
 
「去年はローズ+リリーに対抗しようと少し頑張りすぎたけど、今年はローズ+リリーもあそこまで凝ったことはしないみたいだから、こちらも少しのんびりやるかと。でもやはり夏には出したいね。こちらもツアー終わってから制作に入るよ」
と和泉は言う。
 
「ソングライト陣は?」
「広花さん(広田純子・花畑恵三)さん、照海さん(葵照子・醍醐春海)からは既に1曲ずつ提示してもらってる。櫛紀香さんからも既に詩を3篇提示してもらってるから、そのどれかを使うつもり」
 
櫛紀香さんが頷いているが
「実は今日のライブに参加してて思いついた詩があるんですが、今夜推敲するので、それが終わったら見てもらえますか?」
と言う。
「うん、歓迎、歓迎。よろしくー」
 
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「福留さんは?」
「どうも今少し調子悪いみたい。場合によっては櫛紀香さんのを2個使うか、広花さんや照海さんにあと1曲くらいお願いするかも」
 
「残りは泉月(森之和泉+水沢歌月)?」
 
「樟南さん、書けるかどうか訊いてみてよ、蘭子」
「了解〜」
 
「Londaさんに打診してみたら、ケイちゃんに訊いてと言われた」
 
「じゃリーフに」
「ああ。またリーフさんか」
「なしくずし的に音楽業界に引き込もう」
 
「スイート・ヴァニラズでは、マリ&ケイ+リーフ、槇原愛では鈴蘭杏梨絵斗だけど、KARIONではまた別の名前を付けてあげよう」
と美空が言う。
「じゃ、大宮万葉(おおみや・まんよう)」
と小風。
 
「どっからそんな名前が?」
「彼女、大宮生まれで、今は高岡に住んでいるということだから。高岡は万葉の里」
 
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「でも作詞はマリちゃんだから、諫早も入れよう」
「マリちゃんは長崎県の諫早から福岡・東京だっけ?」
「うん」
 
「だったら岡崎天音(おかざき・あまね)作詞・大宮万葉作曲」
「長崎と福岡で岡崎?」
「天音はどこから?」
 
「マリちゃんは天から降りてくる音を綴るように詩を書くから。和泉はむしろ深い所から湧きだ出してくるイメージを綴るんだよね」
と小風。
 
「それは当たってるかも」
と和泉が言う。
 
「岡崎天音、悪くないかも」
と政子も言う。
 
「じゃ、それで決定」
 
「リーフの意向は?」
「無視。押しつけちゃおう」
 
「自分の知らない所でここまで話が進んでいるとは思いもよらないだろうな」
 

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5月13日(火)。私と政子、美空にゴールデンシックスのリノンこと梨乃は、渋谷の不動産屋さんを訪れた。結局、梨乃はこのために有休を取ってくれた。彼女は同じ不動産屋さんの本社社員ではあるが、社員として来ると話がややこしくなるし、中立的な立場になれないのでということで、梨乃の上司の課長さんと渋谷店の支店長の間で話をして、休暇を取ってクライアントの友人としていくのであれば問題ないということになったのである。
 
「悪いね。休み取らせちゃって」
「いえ、大丈夫です。CD売上が今3500枚まで来てるんですよ。マジ5000枚行くかもという感じになったので、メジャーデビューして会社辞めるんなら、有休は消化できるだけ消化しておきたいですし」
 
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「今入社2年目だっけ? それだとなかなか有休もとりづらいよね」
「そうなんですよ! 昨年は風邪で休んだ1日だけしか使ってません」
「日本の企業って、有休取るのに渋い顔するからねぇ」
 
不動産屋さんの車で現地に行く。マンションの中に入る前に、周囲をひとまわりぐるっと歩かせてもらった。
 
「環境はいいですね」
「近くに小学校とかもありますから、変なものは建てられない地域なんですよ」
 
「通学時間帯に車を使うときに子供に気をつけないといけないくらいかな」
 
エントランスを通って中に入る。
 
「鍵はKabaですか?」
「そうです。ビルの入口は電子キーです」
「じゃ今住んでいる所と同じか。基本の発行本数は何本ですか?」
「一応3本ですが、必要に応じて作らせます」
 
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「何本要るんだっけ?」
と政子が訊く。
 
「礼美からは結婚するからというので返してもらったから今4本使ってるんだよね。私と政子、うちの姉ちゃんと真央。その他に美空たち3人にも1本ずつ渡したいから7本かな」
と私が言うと
 
「事務所には渡さないの?」
と美空が訊く。
 
「ああ。みーちゃんは事務所にも渡した?」
「うん。2日の日は花恋に起こされた」
「引越初日からか!?」
 
美空はこの5月1日に実家を出て中央線の通勤特快・中央特快が停車する某駅の駅から歩いて1分のワンルームマンションに引っ越したのである。実家から出てくるよりは、かなり短時間で都心に出てくることができる。また元々美空は仕事で深夜帰宅になることが多く、生活時間帯が両親や姉妹と違っていて、お風呂・洗濯・食事などで、色々不便なこともあったようであった。トイレの水を流すのも気が咎めると言っていた。
 
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引越手伝う?と訊いてみたのだが、寝具や服に愛用のベースくらいだから、お父さんが軽トラで運んでくれるという話だったので、誰も手伝いには行かなかった。
 
「みーちゃん、遅刻魔だからなあ」
「私、この6年間に遅刻の罰金を100万以上払ってるみたい」
「ああ」
 
「こちらは確定している渡す人が7人の他に、予備1本で8本かな」
「冬、彼氏には渡さないの?」
「うーん。。。彼氏って渡すもんだっけ?」
「わりと渡す人が多い」
「その発想は無かったな」
「念のため10本作っておいた方がいいよ。スペア作ろうとすると一週間以上かかったりするし」
と美空が言う。
 
「そうだね」
 

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1階のレセプションルームなどを見た上でエレベータホールに立つ。
 
「きれいですね」
「まだ築5年ですから」
 
エレベータで32階まで上がる。
 
「これ停電でエレベータ停まったら歩いて登るの辛いね」
と政子が言ったが、梨乃が
「停電したら自家発電に切り替わりますよね?」
と言う。
 
「はい。最大20秒程度で自家発電に切り替わりますから、エレベータに閉じ込められたりとかもないですよ。ちなみに非常灯などは無停電電源装置を使ってますから停電でも消えません」
と不動産屋さん。
 
「こんな所で閉じ込められたらさすがに嫌だな」
 
「今住んでいる所は何階だったっけ?」
「21階。32階だとさすがにエレベータでも時間がかかるね」
 
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夏の日の想い出・6年間のツケ(4)

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