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■夏の日の想い出・6年間のツケ(2)

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その後の本当のアンコール曲、『夜宴』では和泉がグロッケンを打ってくれた。CD音源ではマリが打っているパートである。スタースキッズ&フレンズには専任のグロッケン奏者がいない(月丘さんが実は元々マリンバ弾きだが彼にはキーボードを弾いてもらわないといけない)ので、これまでのライブでは省略していたのだが、この日は和泉が入ってくれたおかげで、CD音源に近い演奏が再現できた。
 
しかし和泉がマリのパートのグロッケンを打っていると、マリの目が何だか燃えていた。そちらを気にしすぎたのか歌詞を間違ったが、マリの歌詞間違いはそう珍しいことではないので、あまり気にする人はいなかったようである。
 
そして最後の『あの夏の日』を私とマリの2人だけで歌う。時刻はもう21:40になっている。お客さんには「21時を過ぎることもあります」とは最初から告知しているが今日は大幅オーバーである。更にこの会場は22:00までに撤収する必要がある。楽屋では既に片付けを始めて譜面や楽器、着替えなどの荷物をどんどん車に運んでいる所だろう。
 
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スタインウェイのピアノの上を踊る私の指が終止和音を弾く。私とマリの声がそれに合わせて長い音符を歌う。そしてピアノの音の余韻が消えるとともに、私たちの歌も終わった。
 
割れるような拍手とともに幕が降りる。私とマリは客席に向かって深くお辞儀をした。
 

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幕が下りて客電が付き、ホール内では
「公演終了が伸びまして申し訳ありません。順序よく退場してください」
とスタッフの人がアナウンスする。
 
みんな帰りのバス・電車の時刻気にしてどんどん退場するが(会場前に仙台駅行きの臨時バスがたくさん待機している)、ところどころに2時間半のライブで燃焼し尽くしたのか席に座り込んでいる客がいる。
 
「すみませーん。ホールを閉鎖しますので、お帰りください」
と言って声を掛けて退場させる。掃除は20人も投入して人海戦術できれいにゴミを拾い、汚れた所を拭いていく。
 
私と政子はスタッフと一緒に楽器や機材を車に運んだ。和泉たちやゴールデンシックスの2人も手伝ってくれている。
 
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そして撤収が終わったのは、21:59、ギリギリであった。
「遅くなって申し訳ありませんでした」
と加藤課長と花枝、それに私も会場の管理者さんに謝ったが
「なーに。10分オーバーくらいまではいいですよ。書類では22:00に終わったことにしておきますから」
と60歳を過ぎた感じの守衛さんはニコニコ笑顔で答えてくれた。このあたりは地方ゆえの緩さもあるのだろう。
 

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今日東京に帰るのは、★★レコードのスタッフの大半、ゴールデンシックス、伴奏者の大半で、私と政子、和泉・美空・小風、そのお世話係を兼ねて窓香と花恋に氷川さんは仙台泊まりである。南藤由梨奈ちゃんとRed Blossomのメンバーは自分たちの出番が終わった時点で東京に戻っている。青葉も富山行きの高速バスに既に乗り込んでいる。
 
私はゴールデンシックスの2人が会場を出てから美空と何だか親しそうに話しているのを、意外に思った。それで声を掛けてみる。
 
「これからローズ+リリーとKARIONで打ち上げするけど、君たちも来る?私が今夜はおごってあげるよ」
と言うと
「わあ、いいんですか! じゃちゃっかり参加します」
と嬉しそうにしていた。
 
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それで結局私と政子、和泉・美空・小風にカノン・リノン、まだその辺に居たのを小風が呼び止めた櫛紀香さん、それに氷川さんの9人で、予約していた中華料理屋さんの個室に入る。
 
「なんか僕以外みんな女性で、ひとりだけ男で申し訳無い」
などと櫛紀香さんは言うが
 
「紀香ちゃんは女名前だから、女の子の一種ということでいいよ」
などと政子が言う。
「なんなら女装する?」
「いや、それは勘弁してください」
 
「でも予約してたのに人数増えても大丈夫ですかね?」
とカノンが心配するが
 
「ああ。ひとりで5〜6人分食べる人が2人もいるから15人前で予約してたから、3人くらい増えても全然平気」
と私は答える。
 

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カノンたちはこの後、車を交替で運転して東京に戻るということだった。
 
私は氷川さんと顔を見合わせる。
 
「ね、ね、君たちさ、今日は泊まって明日朝の新幹線で帰らない?君たちの車は★★レコードのスタッフに東京まで回送させるよ。ホテル代も回送代も取らないよ」
と氷川さんが言う。
 
「うん。公演で疲れているのに夜通し車を運転するのは危ないよ。事故を起こさなくても白バイにつかまりやすいよ。注意力落ちるから」
と私も言う。
 
「あ、その白バイの方が怖い」
「じゃ、お願いしちゃおうかなあ」
 
それで氷川さんがホテルのフロントに電話して、ツインの部屋を取ってくれた。
 
「えー!? そんな一流ホテルに部屋を取ってくださるんですか!?」
「すごーい。全日空ホテルなんて、一生泊まらないかも」
などとカノンとリノンは、はしゃいでいる。
 
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「売れたら、いつでも泊まれるようになるよ」
と私は微笑んで言う。
 

料理が運び込まれてきて、サイダーも配られる。氷川さんが音頭を取って乾杯する。このメンツでお酒を飲むのは櫛紀香さんだけのようだが、この日は紀香さんもアルコールは遠慮していた。
 
「今日はみなさんお疲れ様でした。特に和泉ちゃんたちは車で長時間の移動、大変でしたね」
と氷川さんは労をねぎらう。
 
「いや、運転している氷川さんの方が大変だったと思います」
と和泉。
 
「あれって、少し考えたんですけど、私たちもヘリで移動したらいけなかったんですかね?」
と小風が訊く。
 
「あっとそれは・・・」
と氷川さんが言いよどんだので、私が答える。
 
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「万一ヘリが墜落した時の被害を最小限に留めるためだよ」
 
「ああ!」
 
「私が死んだ場合に★★レコードに打撃があるのは承知してるけど、和泉たちも乗ってたら、100億稼いでくれるアーティストも一緒に失うからね。私が死んでも、残りの3人でKARIONの継続は可能だもん。作曲は孝郎さんや広花・照海などに頑張ってもらって。マリだってソロ歌手として充分なセールスは見込める」
と私は言う。
 

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「プロ野球の選手が飛行機で移動する時に、必ず2便に分散させるのと同じだよね」
と和泉。
 
「うん。昔実際にヨーロッパのサッカーチームが飛行機事故で全滅したことがあったからね」
と私。
 
「きゃー」
「イタリアのACトリノですね。スペルガの悲劇」
と櫛紀香さんが言う。
 
「アメリカのチェイスってバンドも飛行機事故でメンバー全員死亡してます」
と氷川さんが言う。
 
「うーむ」
「まあ普段の飛行機での移動は4人一緒に乗っているけどね」
「単発機やヘリはやはり怖い面もあるから」
 
「ヘリを2機用意する案もあったのですが、時間的に車でも間に合うことと、車の方が事故確率は低いから、和泉さんたちは車にしました」
と氷川さん。
 
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「でも今日のケイさんの移動、どうやったんだ?って、また議論されそうですね?」
と櫛紀香。
 
「まあ、ケイと蘭子が別人であれば、楽々車で移動できる行動でしたけどね」
「ヘリが飛んでいたのは多分気付いた人いたと思うから、割と簡単にバレると思う」
 
「上手にケイが消えてすぐ下手から蘭子が出て来たのも、え!?って感じの反応でしたね」
 
「ヘリコプターというのがバレたら2008年11月の例の名古屋から金沢まで1時間で移動したのもヘリでは?と言われたりして」
 
「まあ、あれはヘリでは無理なんですよ。気流が難しい所がけっこうあるから、ルート確保が難しい。天候次第では待機を迫られる。いっそ琵琶湖・福井県側から回り込む手もあるけど、それだと距離が長くなって間に合わない」
 
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「しかもあの日、名古屋は雨だったよね」
「うん。特にあの天気の中をヘリでアルプス越えするのは無謀でしょうね。あれは実際に使用したドラえもんのどこでもドア以外には方法がないんだよね」
 
「どこから、どこでもドアなんて借りたんですか?」
「ああ。放送局から」
 

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氷川さんが話題を変える。
 
「『恋のブザービーター』のバスドラ代わりにバスケットボールのドリブルするって面白いですね。あれCDの第2版(KARION側が主導権を取って作り直した版。通称Another版)もあんな感じになってましたけど、あの時の音源製作でも櫛紀香さんがバスケットボール打ったんですか?」
 
「あれ、小風さんが私がバスケットしてるのを知ってたので、やりませんか?と声を掛けられてやってみたんですけどね」
と櫛紀香。
 
「正確なビートが刻めないので首にさせてもらいました」
と小風が笑って言う。
 
「それで美空の知り合いのバスケ選手に頼んだんだったよね?」
 
「うん。彼女、震災ボランティアとかまでしてて忙しかったんで、録音技師さんと一緒に彼女んちの近くまで行って、やってもらった。さすがインターハイBEST4まで行ったチームのガードだけあってすっごい正確だった。久しぶりだから自信無いとか言ってたのに身体が覚えてるんでしょうね」
 
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「そうそう。下手な人は下手なまま身体が覚えている」
などと櫛紀香さんが言うので、みんな吹き出す。
 
「でもインターハイかぁ。いいなあ。僕は同じBEST4でも最高で福島県大会のBEST4でしたよ」
と櫛紀香さん。
 
「いや、県BEST4もかなり凄い」
「でも櫛紀香さんはフォワードでしたね」
「そうです。スモールフォワード。ドリブルはあまり得意じゃなくて、ひたすらシュート撃つ係」
「スモールフォワードって、でも器用な選手が多いのでは?」
「いや、チームメイトが僕以上に不器用だったから、僕がやってただけで」
 
と櫛紀香さんは照れていた。
 

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「カノンちゃん、リノンちゃんって、何か楽器はするんだっけ?」
「私はピアノとか大正琴とか。リノンはギターですね」
「ベースがいたらバンドできるね」
「いや、ゴールデンシックス結成した時は、ベースもドラムスもいたんですけどね」
「1人減り2人減りで」
 
「ああ。じゃ最初は本当に6人いたんだ」
「そーなんですよ」
 
「音源作る時だけ、元メンバーで出てこれる子に声掛けて手伝ってもらってるんです」
「ああ、でもそういうのっていいね」
 
「でも大正琴って珍しい」
「友人のお母さんのものなんですけど、借りたまま7年くらい返してない」
とカノン。
 
「ああ、そろそろ時効だな」
「向こうはきっと忘れてるよ」
「大正琴って通販で買ったまま死蔵している人が多い」
 
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「私の持ってるギターも本来姉の物なんですけどね。借りっぱなしです」
とリノン。
 
「お姉さんのものなら、なしくずし的に」
「もう名前を書いといてもいいレベル」
 

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