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■夏の日の想い出・大逆転(4)

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その後、青葉の部屋に行き、下着だけになってヒーリングを受ける。和実たちは遠慮して下の居間にいたが、政子は付いてきた。
 
「それ、もしかして裸になった方が、もっとよく効きません?」
と政子。
「それはそうですが」
と青葉。
 
「じゃ、裸になっちゃおう」
と言って私は裸になった。
 
すると裸の私がヒーリングを受けているのを見て政子は一緒に私の肌に触り、
「冬って、肌がきめ細かいよね」
「あ、それは割と子供の頃から褒められていた」
「誰に?」
 
「えっと、友だちに」
「それって、男の子?」
「そんな、男の子に肌を見せないよ」
「つまり、女の子に裸を見せていたんだ」
「えっと・・・・」
 
「図星のようだ」
「冬子さん、物事を隠すのが下手すぎます」
と言って青葉は笑っている。
 
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「でも、それ気持ち良さそう」
「マーサもヒーリング受けてみる?」
「いいんですか?」
 
というので、私が終わった後、政子が裸になって横になり、青葉のヒーリングを受けた。
 
「身体の気の巡りは問題ないですけど、心に色々詰まってますね」
「そんなのもヒーリングで治せます?」
 
「ちょっと失礼」
と言って青葉は政子の左手を自分の左手で握った。
 
「あ・・・・」
 
それから青葉と政子のセッションは30分くらい続いたが、その間、政子はたくさん涙を流した。
 
「たくさん泣いてください。その方が心の詰まりが解消されていきます」
「なんでだろ。悲しくないのにたくさん涙が出てくる」
「それだけ政子さんが心に無理をさせていたんですよ」
 
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「私、歌いたい」
と政子は言った。
 
「歌おうよ」
と私は言った。
 
「私、ステージで歌いたい」
「じゃさ、明日、牡蠣を食べた後で、ステージで歌わない?」
 
「どこかホール借りるの?」
「他のアーティストのゲストコーナーに出るんだよ」
「あ・・・」
 
「ほら、高3の時、XANFUSのゲストコーナーに出たじゃん」
「うん」
「あの時は覆面をして顔を隠していたけど、今度は顔を曝しちゃおう」
「行ける気がする」
「よし」
「あ、でもダメ。まだローズ+リリーと名乗る自信が無い。私下手だし」
 
「下手かどうか、ちょっと何か歌ってごらんよ。それで青葉に判定してもらおう。この子、絶対嘘は言わないから」
 
「よし」
というので政子は裸で寝たまま『キュピパラ・ペポリカ』のメロディーパートを歌った。ふつうは私が歌っているパートである。
 
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「どうですか?」
「60点です」
と青葉は言った。ほんとに正直な子だ。もっと色を付けてくれてもいいのにと思った。でもそれが青葉だ。
 

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「60点か・・・・まだそんなものだよね。でも歌ってもいい気がした」
 
と政子は言うので、結果的には青葉の辛口採点が良かったのかも知れない。
 
「よし、歌おう」
「冬も付いててくれる?」
 
「もちろん。私とマーサはいつも一緒だよ」
「で、誰のゲストコーナーに出るの?」
「明日、KARIONの金沢公演があるんだよ」
「KARIONか?」
と政子の顔が険しくなる。
 
「嫌?」
「ううん。いづみちゃんの前で今の私の歌を聴かせてやる」
「よしよし」
 
政子も本当にかなり本調子になってきているなと私は思った。政子の心理状態に関しては確かに青葉の指摘が正しいのかも知れない。
 
「曲はね。『岸辺の協奏曲』と『蘇る灯』と『花園の君』」と政子。
「えっと、一応発表済みの曲にしようか」と私。
「じゃ『恋座流星群』『坂道』『Spell on You』」
「了解。じゃ伴奏音源を送っておく」
 
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「でも冬ってKARIONと親しいの?」
「小風とよくメールしてるよ。和泉も中3の時以来の友人だし」
「あ、そういえばそんなこと言ってたね」
 
とこの時は政子もあまり私を追求しなかった。
 

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その晩は高岡市内のホテルに泊まり、翌朝、青葉・和実たちと合流して能登に行く。私が借りたレンタカーのインサイトと、和実たちのプリウスで移動する。青葉にどちらに乗る?と聞いたら悩んでいる。
 
「どうしたの?」
「どちらの車に乗っても当てられそうな気がします」
「ぶつけたりしないよ」
「いや、そういう意味じゃないです!」
 
「私たち別に車の中ではHしないよ」
と政子が言うので
「じゃ、そちらに同乗させてください」
と青葉は言った。淳さんが頭を掻いていた。
 
でもその後で政子が
「まだ車内でHしたのって10回くらいだよね?」
と私の方を見て言ったら、青葉が天を仰いでいた。
 

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海岸沿いの道路を北上して氷見まで行き、国道415号で山を越えて石川県に入る。能登半島の石川県側と富山県側を行き来するには、どっちみちどこかで山越えの険しい道を通過する必要があるのだが、このR415を越えるルートが、一番「マシ」
な道である。それでも政子は車酔いして「ごめん、ちょっと休もう」と何度か言い、休憩したので、和実たちとはかなり距離が離れた感じであった。どちらも行き先はカーナビにセットしているから問題無い。
 
羽咋まで降りてきた後、国道160号で七尾市まで行く。
 
「高速とかないの?」
と政子が訊くが
 
「能登有料道路はあるけど、輪島・珠洲方面まで行くんじゃなかったら、あまり乗る意味が無い」
と私は答える。
 
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「能登有料道路より、こちらの方が良い道ですね。道幅も広いしカーブも少ない」
と青葉も言う。
 
「だったらわざわざお金出して有料道路通る意味がない気が」
と政子。
 
「もっともこちらで100km/h出したら捕まりますけど」
「でもそんな人いるよね?」
「まあ、夜中は警察もあまり張ってないから。捕まったら一発免停ですけど」
「それに能登有料道路も実は最高速度70km/hだから100km/hで走っていると運が悪ければ捕まることもある」
「うむむ。やはり有料道路に乗る意味が無い気がしてきた」
 

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七尾市街地の手前で左折し、国道249号の田鶴浜バイパスに乗る。
 
「あれ?ここ高速?」
「違うよ。でも、能越自動車道が七尾までつながったら、ここを能越自動車道の一部に転用しようという話になってる」
「へー。高速っぽい道路だよね」
「ついでにみんな高速っぽい速度で走ってるね」
 
高田ICで私がいったんランプを降りた後、またランプを上がるので、
「え?降りるの間違えた?」
などと訊かれる。
 
「ふっふっふ。見ててごらん」
と言って、私はランプの途中にある分かれ道を左手に分岐する。
 
「何これ?」
「この農道に入るには、高速のランプの途中から分岐する必要があるんだよ」
「ややこしい!」
「ね?」
 
「これ農道なの?」
「そうだよ。ほら、すぐ隣を高速の高架が走ってる」
「でもこの道も高速みたい!」
「田舎には高速と言われても信じたくなるような立派な農道があるんだよ」
 
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それで農道を最後まで行った後、そのまま海側まで突き抜けて七尾湾周回道路に入った。
 
「すごーい。海の上に道がある!」
「ふふふ。この道も知る人ぞ知る道なのさ。能登半島には砂浜の上を走る道もあるよ」
「へー。それ通りたい!」
「じゃ、帰りに」
 
「冬子さん、よくこんな道を知ってますね。さっきの農道だって凄く分かりにくいと思ったのに」
と青葉が言う。
 
「どちらも知ってるのは地元の人だけだろうね」
と私。
 
「なんで冬は知ってるの?」
と政子。
 
「中学の時に来たことがあったから。その時数日掛けて能登半島内をあちこち走り回ったんだよ(公演も5ヶ所でしたし)。それで運転していた人が裏道好きで、入り方を解説しながら走ってくれたんだよね」
「へー」
 
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「でもまだ運転免許取る前ですよね? 自分が運転できるとそういうの覚えるけど、運転しない人はそういう記憶残らないと思うのに」
と青葉。
 
「まあ、それは青葉と同じだね」と私。
「うっ」
 
「なるほど。その時、自分で運転したんだ?」と政子。
「あはは、内緒、内緒」
 

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国道415号では和実たちの車がずっと先に行ったはずなのに、こちらが裏道を抜けてきたせいか、私たちが牡蠣料理店に着いてから5分ほどして和実たちが来た。出てきた牡蠣を見て政子が
 
「すごーい!巨大!!」
と言って、はしゃいでいた。和実も淳も「これは凄い」と言いながら食べていた。
 
「普通の牡蠣は冬がシーズンなのですが、この岩牡蠣はふつうの牡蠣が終わる頃から食べられるようになって、だいたい8月中旬までなんですよ。うちは岩牡蠣はお盆前まで営業します」
とお店の人は説明してくれた。
 
「9月になったら普通の牡蠣が始まりますよね?」
「はい、お陰でうちは年中営業していられます」
 
「普通の牡蠣が夏に食べられないのは性転換するからだよね?」
と政子が唐突に訊く。
 
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「そうそう。冬の間は性別が無いんだけど、暖かくなるとオスかメスかどちらかになる」
「どっちになるって決まってないの?」
 
「決まってない。同じ個体が年によってオスになったりメスになったりする」
「面白いかも。牡蠣の恋愛は大混乱だね」
 
「そうだね。この人と添い遂げようと思っていても、いざ夏になってみたら、同性になってたということありそうだね」
「でも翌年は異性になることもある」
「うん」
 
「私同性でも恋愛していいと思うけどなあ」
と政子が言うが
「まあ、それでは繁殖できないから」
と私は言う。
 
「そういえば、青葉ちゃん、こないだ、私たちみんな子供が出来るって言ってたね」
と政子。
 
「ああ、その問題は後で和実ちゃんに追求された」
と青葉。
 
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「私と冬も、和実さんと淳さんも女同士だけど、子供できるのかな?」
「多分できますよ」
と青葉は言う。
 
「私、子供を産めるのかも知れない」
と和実。
 
「ふふふ」
「どうしたの?」
「冬も立派な赤ちゃん産んでね」
「私が産むの?」
「冬が妊娠したら私が認知するから」
「うーん・・・」
 

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お昼前にお店を出て、和実たちと別れて(青葉も和実たちの車に同乗して高岡に戻る)、今度は横田ICから能登有料道路に乗り、金沢に出た。でも政子は
「何この道路は〜〜!?」
と叫んでいた。
「ジェットコースターに乗っていると思えばいい」
と私は言っておく。
 
「田舎の人はジェットコースター要らないね、これかなり凄い」
「まあ360度回転したりはしないけどね」
「ほんとに?」
「そんな道はさすがに存在しないと思う」
 
千里浜ICで有料道路を降り、なぎさドライブウェイに入った。
 
「うっそー!ほんとに砂浜を走るんだ!?」
「地図には載ってない道だね。舗装もされてないし。でも道路標識はある」
「よく、これ砂浜にタイヤがめり込まないね」
「ここの砂浜の砂が特別なんだよ。ふつうの砂浜ならめり込む」
「へー」
 
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今浜ICから再び能登有料道路に戻り、白尾ICで降りて津幡バイパスに入り、金沢山側環状道路を通って鈴見交差点を右に行き、KARIONのライブがあるホールまで行った。着いたのは14時頃だった。
 
バックステージパスを見せて中に入る。
 
「私の分までバックステージパスがあるんだ?」と政子。
「当然。それが無きゃ入れない」と私。
 
KARIONのリハーサルが行われていた。政子はじっと和泉たちが歌うのを見ていた。
 
15時半頃リハーサルが終わり、ステージから降りてきた3人と握手する。その時初めて、★★レコードの滝口さんが私たちのことに気付いた。
 
「あなたたち、もしかしてローズ+リリー?」
「はい、そうです」
 
と言って私は「ローズ+リリー/ケイ」の名刺を出す。政子もマリの名刺を出す。滝口さんも私たちに名刺をくれた。
 
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「でもなぜここに?」
「今日のゲストコーナーに出演させて頂きます」
「聞いてない」
「町添部長に話が通っているはずです」
「うっそー」
 
と言って滝口さんはすぐ電話している。
 
「はい、分かりました」と言って電話を切るが
「なんで早めに言っておいてくれないのよー」
などと文句を言っている。
 
しかし滝口さんは先日「水沢歌月」に会っているのに、私と同じ人物ということに気付いていない感じ。やはりあの時のパンダメイクと爆発紫ヘアーが効いたようだ。
 
 
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■夏の日の想い出・大逆転(4)

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