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■夏の日の想い出・花の咲く時(8)

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「タカさん、フェスでも女装するの?」
と政子がワクワクした目で訊いたが
「あれはあの番組の中だけね」
と言ってタカは照れていた。
「セーラー服もスッチーの制服も可愛いかったのになあ」
 
「俺、親からマジで訊かれたよ。お前、そういう傾向あったからこの年まで結婚してなかったのかって」
「タカさん、自分の心には忠実になろう」
「いや、そういう傾向は無いから」
 

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8月9日。その日はサマフェスの前日ということで、KARIONの音源制作はお休み。KARIONにしてもローズ+リリーにしても、各々スタジオに入ってフェスの練習をしていた。(KARIONはトラベリングベルズと一緒に∴∴ミュージックで借りているスタジオ、私と政子はスターキッズと一緒に山鹿さんのスタジオ。またスリファーズとローズクォーツは○○プロ系のスタジオに入っていた)
 
夕方、練習から戻って来てくつろいでいたら、思いがけない来訪者があった。
 
「部長!」
 
モニターを見てびっくりした私はロック解除して町添部長夫妻が上に上がってくる間に、取り敢えず居間の中をチェックして「やばそうなもの」を片付けた。政子には「服着て」と言う。政子も慌てて寝室に走り込んだ。
 
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このマンションは「カップル以外の男性来訪禁止」のルールにしているので、わざわざ奥さんを連れて来てくれたのである。
 
「済みません。散らかっておりまして」
「いや、予告無しだったからね」
 
先週ファンの方から頂いた現地で買って来たものらしいダージリンの紅茶を入れ、これも昨日ファンの方から頂いた、赤い風船の「はなかご」をお出しした。
 
「でもローズ+リリーもやっと、フェスに正式出場してくれたね」
と町添さんは言った。
 
「済みません。何だか毎年のようにお断りしてて」
 
「Bステージが創設されたのが2010年だけど、あの年はアーティストを選考する時点で君たちのマネージング会社が決定してなかったからね。2011年は『神様お願い』の超大ヒットで、Bステージのトリにということで推す声が多かったんだけど、断られたし」
 
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「すみませーん」
「あ、それって、冬がお寿司の食べ放題に連れてってくれた時かな?」
「そうそう。説得失敗」
「食べ放題のお寿司は味が微妙だったかも」
「うーん。メニューに値段の書いてないようなお寿司屋さんに連れていくべきだったろうか・・・」
「普通の回転寿司でもいいよ。但し全品100円の店はパス」
「むむむ。600円や800円の皿ばかり取られそうだ」
「よく分かるね」
 
「去年は春にライブやってたから、きっとあっさりOKしてくれるだろうと思って、何も工作せずに『マリちゃん歌って』と言ったのが敗因だったかな」
「そうだなあ、まだその当時は結構私も心がふらふら揺れてたから」
 
「凄いテンションの高い時と、それほどでもない時の落差が激しかったね」
 
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「でも結局歌うことになったしね」
「突然のステージだったけどね」
「murasaki君は、しかしあの手のトラブルが多いよね。あれもそもそも朝早くから家を出てくれていたら、事故にも巻き込まれていない」
 
すると政子が思い出したように言う。
「いづみちゃんから聞いたけど、冬って以前にも murasaki さんの代役したことあるんだって?」
 
和泉と政子はメールアドレスを交換したので、昨夜から何やら楽しそうに情報交換しているようである。私のこともかなりネタにしているっぽい。
 
「うん。murasakiさんが寝過ごしてコンサートのリハに間に合わなかったことがあるんだよ。たまたま私が音響スタッフで行ってたから、代役でリハーサルを歌ったんだよね」
 
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「へー。そんなことがあったのか」
と町添さん。
 
「もちろん本番には間に合ったから、私が歌ったのはその時現場に居たスタッフしか見てないんだけどね」
 
「冬ってある意味《最後の砦》だよね。何か大変なことが起きても冬がいたら絶対大丈夫」
「うーん。それはさすがに買いかぶりだよ」
「でも私は信頼してるからね」
「ありがと」
 
町添夫妻が私たちを微笑ましい瞳で見ていた。
 

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「今年はローズ+リリーの方だけ歌うんだね」
 
「そうです。私たちは一応卒論のための活動休養中なので、今日と明日の自分たちのステージだけ務めます。今回はローズクォーツの方は鈴鹿・美里が代わりに歌ってくれるので、私たちは自分たちのステージが終わったらすぐ帰らせてもらいます」
「タカさんが鈴鹿・美里の入ったバージョンはローズクォーツSMだと言ってたね」
「中学生の前で言っちゃダメだよと釘刺しといた」
 
「まあ、元々クォーツというのは4人セットという意味のバンドだし、ヤス君もいることだし、なし崩し的にケイちゃんは活動から離れていくということでも」
と町添さん。
 
「あはは」
 
「そっか。クォーツも4人セットだったんですね」と政子。
「ああ、4人セットというとKARIONだよね」と私。
 
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「でもここだけの話、KARIONは実は6人いるし」と政子。
「ローズクォーツ++(プラスプラス)も6人だね」と私。
 
「ユニットの人数って結構アバウトだ」
 
「KARIONって6人いるの?」
と町添さんが驚いたように言う。
 
「そうなんです。いづみちゃんから教えてもらいました。あ、でもこれ秘密なんだそうです」
と政子が言うと
「へー」
と町添さんも感心している。
 

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「でも今年はBステージで歌う上島ファミリーはAYAだけなんですね」
と政子。
 
「うん。鈴懸くれあも、大西典香も、ここ1年ほどクリーンヒットが無かったんで、選考から漏れてしまったね。他は室内ステージにmap(エムエーピー)が出るくらいかな」
と町添さん。
 
「AYAの次の世代が出てきてないですからね」
と政子は言うが
 
「いや、今年間800-900曲書いてて、これ以上新たな歌手に曲を渡す余裕は無いよ。私とマリだって、曲を書いてくださいという申し込みはたくさんあるけど、今以上のペースで書くのは無理だからと、ほとんどお断りしてるし」
と私は言う。
 
「だよね〜。今、冬はたぶん年間150曲近く書いてるからね」と政子。
「それも大半を下川先生とこに編曲投げてるから、何とかなってる。峰川さんや末次さん・逸見さんたちには本当にお世話になってるよ」
と私。
 
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「そういえば下川さんの工房もマリ&ケイ・鈴蘭杏梨専属チームが10人くらいいると言ってたね」と町添さん。
 
「私、イリヤ・ブランド(下川工房の峰川伊梨耶さんのプライベートブランド:スコアに Il y a のサインがある)の編曲好き〜。格好いい」と政子。
 
「あの人のサウンド、ローズクォーツの新しい方向性に合ってるよね。もう次からは自分たちで編曲せずに、マキの作品も含めて全部彼女に投げちゃおうかとタカや花枝さんとも話してるんですけどね」
「へー」
 
「あ、それで加藤課長からお聞きになってますよね?『Night Attack』の録り直しをしました」
「うん、聞いた」
 
「やはりKARIONのアルバム作り直しというのがあちこちに波及してるんですよ。これもお聞きになってるかも知れませんが、XANFUSも内々に10月発売予定で準備を進めていた5周年アルバムの発売時期を12月に伸ばすようです。ローズ+リリーやKARIONほどの予算は投入できないけど、あまり恥ずかしいものは出せんと斉藤社長もおっしゃってました」
 
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「結局08年組全員ハイレベル志向か」
「既に5周年アルバム出しちゃってたAYAが悔しがってました」
「ああ」
「もっともAYAは元々あまり自由がききませんけどね。スリーピーマイスは自分たちは常にマイペースだから特別なことはしないと」
「うん。それが彼女たちの流儀だろうね」
 
「ローズクォーツの方は、『Night Attack』『ウォータードラゴン』『メルティングポット』はスコアを改訂し、『オルタネート・ラバー』と『ダークアロー』
は外して、代わりに新曲『イースト・ガール』と『レインボウ・ドリーマー』を投入して、これを峰川さんに編曲してもらいました。5曲とも山形さんのスタジオで録り直して、ミックス・マスタリングもそこの若い技術者にしてもらいました。ライナーノートを新たにnakaさんに書いてもらって、メンバー5人の写真入りブックレットを作って新外装で出します。AKBとかで主要曲が同じでc/w曲の違うCDがあるのと同様の扱いになるみたいですね。レコード番号は違うけど、集計上はひとつ」
 
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「まあ、AKB商法・YMO商法だね」と町添さん。
「ええ。私、あくどいですから」と私。
 
「ふふふ。でもよく決断したね」
「改むるに憚るなかれです。でも私からは言いにくかったのを加藤さんから言ってもらって助かりました」
「うん。そのあたりはうまく使ってよ」
 

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「でも今回のは峰川さんというアレンジャーがいたからできたことです。私自身は今とてもローズクォーツの楽曲までアレンジする余裕が無いです」
 
「ヤスさん、サトさん教育中と言ってたけど、作曲とか編曲って、勉強していればいつかできるようになるもの?」
と政子が訊く。
 
「ある日突然できるようになる」
と私は答えた。
 
「へー!」
「つぼみだったものがある日突然花咲くようなもの。徐々にできるようになっていくというのは、有り得ないと思う。前回のでまだすぐには無理というのが分かったから、サト・ヤスには次はアルバムで頑張ってもらおう」
「ああ」
 
「でも花咲くまでの間にたっぷり栄養を吸収していないといけない。その栄養の量と質で、花の質も決まる。だからサトにもヤスにもたくさん良い音楽を聴いてという宿題を出している」
 
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「ふーん。じゃ、冬とか上島先生とか峰川さんとかは、たくさん栄養を吸収した花だったんだ」
「ふふふ。峰川さんの音楽的な素養も凄いみたいだよ」
 
町添さんが感心するように話を聞いていた。
 
「でも冬はいつ花が咲いたの?」
 
「それは『あの夏の日』を書いた時だよ。花は太陽の光に反応して咲くでしょ。私を咲かせたのは政子という太陽だよ」
 
「えへ、そうだったのか・・・」
と言って、政子は照れるように微笑んだ。凄く珍しい反応だと私は思った。
 
「だからあれを書いた2007年8月4日が本当のローズ+リリーの誕生日だよ」
「じゃ今年は本当は6周年じゃん!」
「でも『Flower Garden』は去年の4月から企画スタートしてるからね。5周年の年にプロジェクトを開始して、1年3ヶ月掛けて発売に辿り着いたんだよ」
 
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「そうだったのか!」
 
「ね、冬は、私たちのユニット名について何か案あったの? 加藤課長はイチゴ・シスターズと考えてたらしいけど」
 
「まあ加藤課長らしいよね。私はチューカラってのを考えてたんだけどね」
「何それ?」
「中田の中と唐本の唐を合わせて、中唐、チューカラ」
「センス無いな」
「政子は何か考えてた?」
「ポリティッシェ・ヴィンター」
「それって・・・政子の政と冬子の冬をドイツ語にしたもの?」
「まあね」
「チューカラと大差無いじゃん」
 
町添さんが笑っていた。
「結局はローズ+リリーで良かったんだろうね」
 

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町添夫妻に30分ほど遅れて、町添さんの娘さんが仕出し弁当を山ほど抱えて、マンションにやってきた。
 
「夕食の差し入れね」
「わあ!**の松花堂だ!大好き!」
と政子は嬉しそうに言う。
 
「しかしこの量は・・・・」
「政子ちゃんのお腹にはこのくらい必要でしょ?」
「はい、ありがたく頂きます」
 
「小麦ちゃん、中学生でしたっけ?」
「はい、中学1年です」
と笑顔で町添さんの娘さんは答える。
 
「すごくしっかりしてる感じ」
「ああ、私より遥かにしっかりしてます」
と町添さんの奥さんは言った。
 
食事がだいたい終わり、お茶を飲んでいた時に突然小麦が言った。
 
「あ、そうだ。ケイ先生、ケイ先生のおうちのCDコレクションが凄いと聞いたんですが」
 
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「お見せしましょうか。政子、小麦ちゃんを案内してあげて」
「OK」
「あ、私も見せてもらっていい?」
と奥さん。
「どうぞ、どうぞ」
 
そういう訳で、娘さんと奥さんが、政子と一緒に奥の部屋へ行った。
 
その姿を見送ってから私は笑顔で訊いた。
 
「で、部長、御用件は?」
 
「実はね。。。。突然で申し訳無いんだけど」
と部長は笑顔で用件を切り出した。
 
「部長、なぜ笑顔なんですか〜? 怖いです」
「難しい顔の方がいい?」
「それも怖いです」
 
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