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■夏の日の想い出・花の咲く時(7)

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無伴奏曲『歌う花たち』の歌唱収録をしていた日、スタジオに突然の来訪者があった。
 
この日は穂津美さん(スリーピーマイスのエルシー)にも入ってもらい、五重唱での収録をするので、まずは練習をしていた所だった。
 
助手の人が「済みません、関係者以外立ち入り禁止なんですが」と言ったのだが、来訪者は「あ、私水沢歌月の親友で、差し入れを持って来たんです」などと言ったらしい。それでモニターで確認してくださいと言われて見ると、政子だ!
 
隣に居た和泉を見ると、笑っている。それで中に入れた。
 
「やっほー。陣中見舞いに来たよぉ」
と言って、政子はプティケーキの箱(6個入り)を10箱積み上げた。
 
「凄い量だ!」と小風が驚いているが
「私が居て、みそらちゃんも居れば、あっという間に はける」
と政子は言っている。
 
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「あ、《謎の美少女ピアニスト》さんも、おはようございます」
などと言うので、穂津美さんも笑って「おはようございます」と返事する。
 
取り敢えずお茶を入れて、休憩にする。菊水さんたちは遠慮したのでプティケーキの箱を1つ渡した。
 

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「冬、政子ちゃんにとうとうバラしたの?」
と小風が訊くが
 
「バラしてはいないけど、気付かれてる気はするなというのは春頃から思ってた」
と私。
 
「1月に森之和泉作詞・ケイ作曲『共鳴』を聴いた時、気付いた。これってケイじゃなくて、水沢歌月の曲だと思ったから」
と政子。
 
「ああ。あれは危険な企画だと思ったんだよね。普段は政子の世界観と和泉の世界観は全く違うから、その世界観の中で曲を付けている限り、同じ人の曲とは誰も思わないだろうけど。水沢歌月ではなくケイっぽくなるように、かなり気をつけたんだけどなあ」
と私。
 
「まあ、気付くのは世界中で私ひとりだろうね」
と政子。
 
「つーことで、冬、自己紹介しなよ」
と政子。
 
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「あ、えっと。おはようございます。KARIONの4人目でサブリーダーの《蘭子》です。トラベリングベルズの正キーボード奏者兼ヴァイオリニストでもあります。そして作曲家の水沢歌月です」
 
「あ、ヴァイオリンも冬だったのか」
「うん」
「ピアニストは冬なんじゃないかとは思ってたんだけどね」
 
「まあヴァイオリン弾く所はあまり政子には見せてないし、ローズ+リリーの音源制作で私がヴァイオリン弾いたのはこないだが初めてだからなあ。それにKARIONの方でいつも使ってる弦と『Flower Garden』で使った弦は違うタイプだから音色も違って聞こえるんだよ」
と私。
「なるほど、そういう所に気をつけていたのか」と政子。
「実際には隠すためというより、楽曲の音作りの傾向が違うから、それに合った弦を使っただけなんだけどね」
「ああ!」
 
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「一時期、私がピアノ弾いて冬ちゃんがヴァイオリンという時期もあって、何度かライブはしてるけど、その形態で音源制作したことはないんだよね」
と穂津美さん。
 
「そそ。だから穂津美さんはKARIONの幻のピアニスト」
と私。
 
「まあ、そういうことで、冬ちゃんが4人目のKARION, 私が5人目のKARION,そして政子ちゃんは6人目のKARIONなんだよ」
と穂津美さん。
 
「へ?私って6人目のKARIONなの?」と政子。
「そうだよ。知らなかった?」と和泉。
「知らなかった!そんなのいつ決まったの?」
「私たちで決めた」と美空。
 
「私もいつの間にか勝手にサブリーダーにされてたんだよね」
と私も笑って言う。
 

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「6人目のKARIONか。それもまあ悪くないな」
と政子はその待遇を気に入ったようである。
 
「あ、今何録音してたの?」
「まだ練習中だったんだけどね」
と言って、私は『歌う花たち』のスコアを見せる。
 
「あれ・・・これ伴奏譜が無い?」
「無伴奏だから」
 
「歌のみ?」
「そそ」
「面白そう! ね、ね、私も入れてよ」と政子。
 
私は和泉の顔を見る。笑顔で頷いている。
 
「よし。じゃ6重唱に改訂するか。でも他の人のパートも少し変わるかも知れないけど」
「OK、OK」と小風。
 
「じゃスコア改訂するから30分くらい待って」
 
「その間はおしゃべりしながらケーキ食べてればいいよね」と美空。
 
「冬もスコア書きながら食べてないとケーキ無くなるよ」
 
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既にプティケーキの箱は4箱消えて、残り5箱である。政子のペースも速いが美空もなかなかのものである。
 

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「でもどうして冬は『蘭子』なの?」
と政子が訊く。
 
「ああ、それは私たちの名前が尻取りになるように勝手に決めた」
と美空。
 
「単にそれだけ!?」
「そそ」
「なんか私がいない間に決められてて、今日から蘭子だからね、と言われた」
と私。
 
「そうだ、政子ちゃんの愛称も決めてあげようよ」
と小風が言う。
 
「いづみ・みそら・らんこ・こかぜ、だから『ぜ』で始まる名前がいいな」
と小風。
 
「まった、まった。春美さん(穂津美のここでの名前)とも繋ぎたい」
と美空。
「じゃ、『ぜ』で始まって『は』で終わる名前」と小風。
 
「エルシーさんはなぜ春美?」と政子が訊く。
「うーん。本名が穂津美で、穂を摘むのは秋だから、それなら春にして春美だって」
と穂津美。
「よく分からん」
 
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「でも『ぜ』で始まる名前なんてある?」と私は言ったが
「『みれい』にしよう」と和泉が言う。
 
「ん?」
「はるみ・みれい・いづみ・みそら・らんこ・こかぜ」
「おぉ!」
 
「じゃ、政子ちゃんは『みれい』で決定ね」と小風。
「漢字では水の鈴(水鈴)かな」と美空。
「ちょっと待って!」
 

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「冬さ、この歌はKARIONの声じゃなくてローズ+リリーの声で歌いなよ。それで堂々と、ft.ローズ+リリーってクレジットしちゃおう」
と和泉は言った。
 
「ああ、それでもいいね」と私。
 
「そうそう、それそれ。KARIONで使ってる声、私、冬が使っている所聴いたことが無い」
と政子。
 
「中学の合唱部とかでは、七色の声って言われてたらしいね」
と和泉。
 
「なるほどねー。どのくらい締め上げたらその七色の声を全部聴けるかな?」
「勘弁してよぉ」
 
「政子ちゃんってどんな拷問するの?」と小風。
 
「まあアルミのチェーンとか麻縄とかで縛りあげて、恥ずかしい格好させて写真を撮ったり、鞭を床に打ち付けたり、蝋燭を皿に垂らしたり、紅茶を食パンに注射したり。あとは冬が見てる前で私だけおやつ食べたり」
 
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「鞭で本当に打ったりはしないんだ?」と美空。
「そんなの打たれたら痛いじゃん」と政子。
「ああ、痛いことはしないのね?」と小風。
「まあ、いわゆるソフトSMだよね」と私。
 
「平和主義だから。でも私が恥ずかしい写真撮っても全部翌日までには消去されてるんだよなあ」と政子。
「そりゃ、あんなの万が一にでも流出したらとんでもないことになる」
「ああ」
 
「顔に墨塗られたのが落ちなくて、ファンデ厚く塗って誤魔化したこともあるよ」
「ニューメイクということにしておけば良かったのに」
「縛り上げたまま外出放置された時は、どうしようと思った」
「あれは自分でチェーン外してたじゃん」
「だってトイレにも行けないんだもん」
 
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「なるほど、冬は本当は自分で外せないこともないけど、そのまま縛られてるのね?」
と小風。
「まあ、それが愛というものでしょ」と和泉。
 
「ん?」と政子が言う。和泉もハッという顔をした。
 
「何か紙ある?」と政子が言うと、美空が近くにあったレポート用紙を渡してくれた。愛用の赤いボールペンを取り出して詩を書き始める。それと同時に和泉も愛用のサブノートパソコンを取り出し、詩を打ち込み始めた。
 
へー!という感じで穂津美さんが見ている。みんなお茶を飲みながら静かにふたりの様子を見ている。美空はプティケーキをどんどん食べている。
 

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やがて政子が詩を書き上げる。
 
「冬、この詩に曲を付けて」
と言う。タイトルは『あなたに縛られたい』となっている。
 
「いいよ」
 
少しして和泉も詩を書き上げる。
「冬、これ後でメールするから曲を付けて」
と言う。タイトルは『心の自由』となっている。
 
「いいよ」
 
「なるほど、これでマリ&ケイ作詞作曲の歌と、森之和泉作詞+水沢歌月作曲の歌が生まれるわけか」
と穂津美さん。
 
「卒論で休業中だから、実際の発表は春かな」
「だね」
と言って、政子と和泉は握手した。
 
両方の詩をのぞき込んでいた小風が、
「同じネタで詩を書いても、まるで別のことから書いたみたいだ」
と感心していた。
「まあ、当然だね。政子ちゃんと私では持っている心の世界が違うから」
と和泉。
「政子ちゃんは鳳凰の世界、私のは龍の世界かも知れない」
「へー」
 
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「でも、とても冬が縛られてたという話とは思えん。政子ちゃんのは淡泊な恋人への物足りなさを歌った歌、和泉のはまるで美しい風景でも見たかのような歌」
と美空はむしろ不思議がっている感じ。
 
「きっかけはあくまできっかけ。書くのは心の情景」
と政子が言い、和泉も頷いている。
 
「ところで、冬は私のに先に曲つけるの?それともいづみちゃんのに先に曲を付けるの?」
と政子が訊くと、和泉も
「さあ、どちらなんだろうね」
と言って私の方を見る。
 
「じゃ、ジャンケンしてよ」
「よし」
 
と言って、ふたりでジャンケンする。政子が勝った。
「じゃ私のが先ね」
と政子。
「じゃ、私はトリで」
 
と和泉が言うと、またふたりで視線をぶつけあっている!
 
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小風が何だか楽しそうな顔をしていた。
 

6人で集まった記念に「六分割サイン」を作った。
 
Kを小風、Aを私、Rを美空、Iを和泉、Oを穂津美、Nを政子が書く。8枚作って、あと2枚はTAKAOさんと畠山さんに贈呈することにする。
 
「ね、ね、4分割サインってのもあるんでしょ? それ欲しいなあ」
と政子が言うので、小風・私・美空・和泉の4人で2枚書き、政子と穂津美さんに渡した。
 
「これ、いつだったか鑑定番組で80万円の値が付いてたよね?」
と政子。
 
「うん。でもこれ一般の人に渡したのは、冬がKARION参加にかなり傾いていた2007年の11月頃、たぶん20枚くらいだけだからね。突然2013年の日付の四分割サインが出てきたら、オークション関係者もびっくりするだろうね」
と和泉。
 
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「ヤフオクに出したら300万とか400万とかまで跳ね上がったりして」
と美空。
 
「あ、いいな、それ」と政子。
「でも300万もらって何に使うの?」と小風。
「あ、それ分かる」と美空が言う。
「おやつをいっぱい買うんだよ」
 
「なるほどー!」
とみんな何だか納得してしまった。
 
プティケーキの箱は全部もう空になっていた。
 

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「ところで、穂津美さん、政子ちゃん、この歌の報酬は演奏料方式にする?印税山分け方式にする?」
 
「私はこれまで同様、印税山分けで」と穂津美さん。
 
「演奏料だといくら?」と政子。
「政子ちゃんなら40万くらいかな」と和泉。
「印税だと幾らくらいになる?」
「まあ、30万枚売れたとして、11万くらいかな」
「じゃ、印税がいいでーす。109万枚以上売れたら、その方がお得」
「ふふふ」
 
「その109万枚という数字はどこから?」と穂津美。
「ああ、政子の頭の中には電卓が内蔵されてんだよ。政子、200万枚売れた場合の印税は?」
「73万円」
「すごーい、即答!」
「どういう頭してんの?」
「計算はしてないと本人は言ってる。答えが浮かんで来るんだって」
「へー」
 
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「冬はいつも演奏料でもらってるの?」
「KARIONの印税はいつも4人で山分けだよ」
「だったら、私も以後それと同じで」
 
「じゃ、この歌に関する印税は6人で山分けね」と和泉が言うと
「OK」と全員言った。
 

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政子がKARIONの制作に参加した翌々日がサマフェス、その翌日が震災復興支援ライブという日程であった。
 
ローズ+リリーもKARIONも卒論のため「セービング運転中」(和泉談)なのだが、どちらもこのサマー・ロック・フェスティバルには出ることにしていた。支援ライブは、AYA、スリファーズ、ローズ+リリー、XANFUS、スカイヤーズ、サウザンズ、スイート・ヴァニラズというラインナップでそちらはそもそもKARIONは出ない。
 
サマフェスの方は、08年組の中でポリシーとしてこういうオープンスペースのライブはしないスリーピーマイスを除いて、ローズ+リリー、XANFUS、AYA、KARIONがBステージに出演する。他にBステージに出るのは、スリファーズ、FireFly20、富士宮ノエルなど、若手の歌手および歌唱ユニット12組である。今年も音源使用禁止なので、全組が各々のバックバンドを連れての登場になる。スリファーズはローズクォーツ、ローズ+リリーはスターキッズにお願いしていた。
 
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ローズクォーツは自身も、バンド中心のAステージに出演する。実は選考時点では基準に微妙だったのだが、『魔法の靴/空中都市』が出場時点で20万枚を越えるセールスになって『起承転決』を抜いてローズクォーツ最大のヒット曲になっていたので、結果的には滑り込み基準クリアという感じになった。
 
他にAステに出るのは常連となったスイート・ヴァニラズ、スカイヤーズ、バインディング・スクリュー、初出場となるスーパー・ピンク・シロップ、海外から招待されたポーランドのガールズバンド Mixtory Angels, 結成40周年のスウィンギング・ナイツなどであった。今年もスカイヤーズがヘッドライナーで、スイート・ヴァニラズはその前という配列だ。
 
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