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■夏の日の想い出・変セイの時(5)

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(C)Eriko Kawaguchi 2013-04-13
 
夏になる。学校では体育の時間に水泳の授業が始まる。しかし私は今年も水泳の授業は全部見学させてもらうことにした。
 
「体調悪そうにも見えないのに、なぜ見学する?」
「あ、いえ済みません」
「ああ、金槌なのか?」
「えっと、それはありますけど」
「練習しないと泳げるようにならんぞ」
「はい」
 
などと言われながらも見学を決め込む。
 
「去年もずっと見学してたね」
と、プールサイドで見学していた時に、別の先生からも言われる。
「ええ」
「愛知の学校でも見学だった?」
「あ、向こうでは少し出ました」
 
そんなことを言っていた時、男子のクラスメイトのひとりがこう言った。
 
「先生、勘弁してやって。唐本は女だから、水泳パンツ姿にはなれないんだよ」
「ああ!」
と言って、先生は納得したような声を上げた。
 
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「なんなら女子の水着を着てもいいぞ」
「それを着るにはお股の付近に問題が・・・・」
「ああ、なかなか難しいな」
 
ということで一応先生たちは納得してくれた。
 
しかしこの会話を奈緒が近くで聞いて、ニヤニヤしていた。
 

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「ねえ、冬〜。今週末に女子数人でアクアスパートに行こうよって話してるんだけど、冬も来ない?」
とその翌日、奈緒は言った。それは近郊のレジャープールである。普段なら「行く行く」と言うところだが、どうも何か仕掛けがあるっぽいので渋ってみる。
 
「えー?私泳げないし」
「見てるだけでもいいよ。一緒におしゃべりして、おやつ食べようよ」
「うん、それなら」
 
というので私は出かけて行った。最近、民謡教室にはスカート姿で行っているのだが、この日は自粛してホットパンツにサンダル履きであった。
 
「なんでスカート穿いてこない?」
と協佳に言われる。
「えー?だって。。。それにホットパンツでも充分女の子の服だし」
「いや、やはり冬はスカート穿かなきゃね」
 
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「冬、水着は持って来た?」
「ううん。私はプールは見学で」
 
「じゃ、スカート穿いて来なかった罰として、この水着を着てもらおう」
 
と言って、何だか可愛い水着を取り出される。
 
「こ、これを着れと?」
「冬なら着れるはず」
「サイズはこれでいいはず」
 
「でも、私、おっぱい無いし」
「まだ5年生じゃ、全然無い子も多いよ」
「そうそう。**だって、ほらこんなに胸が無い」
と言って触られているので
「ちょっとぉ」
と触られた子が声を上げている。
 

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でも私はその水着がほんとに可愛いので、着てみたい気分になった。
 
「そうだなあ。着てみようかなあ」
「よしよし、じゃ一緒に着替えに行こう」
 
と言って手を引いて女子更衣室に連れ込まれそうになったので
「待って待って」
と言う。
 
「向こうでちゃんと着替えてくるよ」
と言って私は男子更衣室の方を指さすが
「女の子が男子更衣室に入ってはいけません」
 
と言われて、数人で身体を押さえられて強引に女子更衣室に連れ込まれた。きゃはは・・・
 
「着替えも手伝ってあげようか?」
「いえ、自分で着させてください」
「ふーん、まあいいか」
 
「あ、ちょっと待って。水着に着替える前にトイレ行っておく」
「ああ、それは行っておいたほうがいいよね」
「うん。ワンピース水着って、トイレするのに全部脱がないといけないもんね」
 
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それで私はトイレに入り、実際におしっこをしてから『緊急処置セット』を使って、あそこら辺の処理をした。
 
トイレから出て行くとみんなが待っている。私はニコリと笑ってまずはサンダルを脱いで裸足になってから、着ていたTシャツとホットパンツを脱ぐ。
 
「冬、ほんとに胸が無いね」
「でも乳首立ってるね」
「あ、最近それずっと立ってるし触るとちょっと感じる」
「へー。おっぱいの膨らみ始めだったりして」
「少しおっぱいマッサージした方がいいよ」
「マッサージ?」
「そうそう。お風呂に入った時に、このあたりを押さえるといい」
と奈緒が実際の場所を押してくれたので
「うん。やってみようかな」
と答える。
 
「でもパンティは女の子パンティなんだね」
「うん。最近、学校に行かない日はけっこう、これ穿いてる」
「へー」
「学校にも穿いてくればいいじゃん」
「そうだ、そうだ」
 
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私は水着の両足だけまずは通した。
 
「パンティ付けたまま水着を着るの?」
「まさか」
 
と言って私は、水着を膝上まで引き上げ、それからパンティの片側を水着の足の穴にくぐらせる。そしてひざをまげた状態で、それを足から抜いてしまった。それから反対側の足からも引き抜いてしまう。そしてすばやく水着を腰まで引き上げた。
 
「え?」「え?」
「何? 今のどうやったの?」
 
「えへへ。見られたら警察に捕まっちゃうから」
と言いながら、私は水着を上半身まで引き上げて両肩に通した。乱れを直す。
 
「確かに」
「でも、本当に全然見えなかった」
「魔法みたい!」
 
「ね、ね、お股の所に膨らみが無いんですけど」
「女の子のお股が膨らんでたら大変だよ」
「うーん。。。実はおちんちん無いってことは?」
「ああ、無いといいね。でもこれ隠してるだけ」
「へー。隠し方がうまいね!」
 
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その後、他のみんなも着替えた。壁を向いて着替える子もいるが、堂々とお股を出して着替える子もいる。女の子同士なので、特に恥ずかしがったりしてない感じだし、私も、彼女たちのお股を見ても特に何も感じなかった。
 
いいなあ。私もこういうお股になりたい、とは思ったけど。
 
みんなでシャワーの所を通り、プールに行く。
 
私は見学だけとは言っていたのだが、水に入るだけならいいでしょ、と言われ、中に入って、水の掛けっことかした。ビーチボールを持って来ている子がいたので、何人かで円陣を組んで打ち合いして遊ぶ。
 
奈緒からは
「水泳の授業休んだ分、ここで少し練習しなよ」
と言われてバタ足の練習とか、平泳ぎの練習とかを見てもらった。
 
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「平泳ぎって、推進力は無いけど、息継ぎがしやすいから、冬みたいにあまり泳げない子は絶対覚えておくべきだよ。冬が豪華客船に乗ってて氷山にぶつかって沈んだりした時に、生存確率がぐっと上がるよ」
 
「うーん。豪華客船に乗ることはないかも知れないけどね。でもこれ、何とか沈まない程度には進むね」
「うん。足のキック力が上がれば、もう少しスピード上がるよ」
「なるほどー」
 

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有咲が「スライダーに行こうよ」と誘いに来て、一緒にそちらに行く。
 
「何だか怖そう」
「スライダーはね。滑り出す直前までは怖いけど、もう滑り出しちゃったら快感だよ。だって、どうやっても停める方法無いから、開き直って楽しむしかないからね」
「なるほど、気の持ちようだね」
 
それでもけっこう怖い感じだったのが、ホントにスタート位置に付き、係の人の指示で滑り出すと、独特の高揚感に包まれる。突然ストンと落ちる所とかは思わずキャッと叫んでしまったが、最後は確かにかなりの開き直りが出来た。そしてゴールでは水の中に深く突っ込んで停まる。ひー。溺れるかと思っちゃう。
 
「楽しい! もう一回行こう、もう一回行こう」
と言われて、結局5回滑った。
 
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何度もやる内にだんだん素直に開き直りすることができるようになった。
 
「スライダーって女装と似てるな」
と私は唐突に言った。
 
「何それ?」
「女装で外を歩くとさ、男とバレて変な目で見られないかとか、知り合いに会ったりしないかとか思って、最初のうちは怖いけど、とにかくそれで外に出てしまったら、帰り着くまではその格好でいないといけないからさ。どこかで開き直っちゃうのよね」
 
「それでスライダーがやみつきになるように、女装もやみつきになると」
「うんうん」
 
「なるほど、やみつきになって頻繁に女装で外を歩いているんだな」
「いや女装外出はまだ数回しかないけど」
「こら、嘘つくな」
「えっと。まあ多少は経験あるけど」
「いや、多少ってレベルじゃないでしょ?」
「さっきの言い方はどう見てもね〜」
「うん。私も冬は私たちが思ってる以上に女装外出してるんだと思った」
 
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「だいたい今日も全然恥ずかしがってる風じゃないしさ」
「そうなのよ。この水着、共同で買った時は、きっと真っ赤になって恥ずかしがってる冬の姿が見れると思ったのに、全然そんな様子なくて、楽しそうに着てるし、私拍子抜けしちゃった」
 
「あはは、そんな少女漫画みたいな展開は無いって」
「お股の所も上手に隠してるみたいだし、もしかして水着も着慣れてる?」
「そんなことは無い。私の着れるサイズの女の子水着は持ってないよ」
 
「着れるサイズってことは・・・小さくなったのならある?」
「えっと・・・・」
「そういうことだよね」
「分かった。愛知の小学校の頃は、女子スクール水着で授業に出ていたのでは?」
「出てないよぉ」
 
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「じゃ、この後の水泳の授業には、女子スクール水着を着て出ておいでよ」
「ごめーん。パス。見学にさせて〜」
 
「恥ずかしがることないのに」
「だいたい今日、みんなにこうやって女子水着姿を晒しておいて、今更だよね」
「全く」
 

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プールサイドに何やら特設ステージが設置されていたので何かショーでもあるのかと思っていたら、そこに看板が持ちこまれて『子供カラオケのど自慢大会』
と書かれている。
 
「これより、子供カラオケのど自慢大会を開催します。予め出場登録なさっていた方はお集まり下さい。なお、飛び入り参加も自由ですので、我こそはという方の参加をお待ちしています。参加資格は中学生以下です」
 
「へー。ね、冬って凄く歌がうまいよね。出ない?」
「あ、いや、こういうのはちょっと」
 
津田さんから、もう素人の大会に出てはいけないと言われたのを思い起こしていた。でもさっき、単に中学生以下って言ったな。プロ不可とは言ってない。それに民謡じゃないし。じゃ出てもいいかな?などと思っていたら
 
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「ひとりで出るの恥ずかしいなら、私と一緒に出ない?」
と有咲が言うので、
「じゃ有咲と一緒になら」
 
ということで出ることにして、一緒にステージの方に行く。エントリーして20番と書いたふだを水着に貼り付けてもらった。マジックテープのような感じになっていて水着にピタリとくっつく。
 
「で何歌う?」
「そうだなあ。有咲、宇多田ヒカルとかは?」
「あ、割と好き」
「じゃ、『Automatic』とか」
「うん。歌えると思う」
「よし、それで」
 
ということで、それで曲目を登録する。
 
順番を待ちながら先に歌う出場者の歌を聴いているが、基本的には音程が合っている人がレアという雰囲気である。わあ、やはり私この大会に出てはいけないのでは・・・と思っていたら、15番目で歌った人が凄かった。
 
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『アヴェ・マリア(グノー版)』を歌ったのだが、アニメソングやアイドル歌謡などを多くの子が歌っている中、この曲という空気を無視した選曲も凄いが歌も凄かった。
 
「この人、プロじゃないの〜?」
と有咲が言うが
「むしろ、音大受験コースだと思う」
と私は答える。
「なるほど〜」
 
しかしこの人の歌で、こちらも闘争本能に火が点いた。
 
前奏に続いて歌い出す。この曲はFからひとつ上のCまで1オクターブ半を使う曲である(本当はその上のEもあるが、使わなくても歌える)。私はF3からC5の範囲で歌うつもりだったのだが、民謡のお囃子で鍛えたソプラノボイスを使い、オクターブ上のF4からC6という範囲で歌うことにした。実際に宇多田ヒカル自身が歌っている音域である。有咲は低いF3の音は1音だけなので出さずにAb3からC5で歌い、私とオクターブ違いのユニゾンとした。
 
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客席に座っていた15番の子が、こちらを睨み付けるような目で見ていた。ふふふ。向こうもライバル心を燃えたぎらせてるな。こんなの後から歌った方の勝ちだもんね〜。
 
最後のサビまでしっかりと歌って終える。
 
何だか物凄い拍手が来た。
 

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