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■夏の日の想い出・変セイの時(4)

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また麗華さんの方はピアノの先生の免許も持っているということで、待ち時間に少しピアノも教えてもらった。ピアノをきちんと習うのは小学2年生の時以来だったので、これもかなり勉強になった。この民謡とピアノのお稽古は、私が高校受験で多忙になるまで続けたが、高校生時代も時々顔を出していた。
 
私は津田さんの教室に通うにあたって月謝を毎月1万円払った。本当はもう少し高いようなのだが、子供だしということで負けてもらったのである。この月謝は親に出してもらうのではなく、自分で払っていた。
 
津田さんの勧めでいろいろなプロの大会に出場して、しばしば入賞して賞金を頂いたりしたこと、それからそのような大会や演奏会などの裏方の仕事を斡旋してもらったことにもよる。お囃子隊や、後には三味線の伴奏でも、あちこちに出かけて、その度に手当で1万円とか2万円とかを頂いた。この裏方の仕事は20歳頃までずっと続けていた。
 
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なお、これらはあくまで「賞金」とか「謝礼」であり、お給料とかではない。また私は津田さんの教室と何らの契約もしていない。これは中学生以下の歌手を使う場合「雇用契約」をすると中学生以下を労働者として使用したことになって労働基準法違反になるので、あくまで津田さんの所は私と、大会事務局などとの仲介をするだけという立場を取るのである。これはジャニーズの若い歌手などもそういう形態である。(むしろジャニーズの若手タレントのためにこういうシステムが確立されたらしい)
 
そういう訳で、結果的に、このようなことをして音楽で稼いでいても、実は私はまだ契約的なプロではなかったのである!
 

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また私は津田さんと、性のことも色々話した。私が今悩んでいること、これまで悩んできたことと、ほとんど同じようなことを津田さんも子供の頃悩んでいたということで、その話はとてもためになった。
 
また私は、本などを読んだり、ビデオなども見せてもらって、性のこと、生殖のこと、セックスのこと(セックスのビデオを見せてもらったのは強烈だった)、そして性ホルモンのことや性転換手術のこと、またたとえ性転換しても戸籍上の性別は変更できないことなども含めて(特例法の施行は私が中学1年の時)、色々なことを勉強していった。
 
「でも昔はカストラートというシステムがあったから、声変わりを停めることができたけど、今は逆にそういう道が無いよね」
「そうそう。女の子になりたい男の子は、みすみす自分の身体が男性化していくのを我慢しなければいけない。それで自殺しちゃう子もかなりいるはず」
 
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私は津田さんたちと会う半月ほど前、自分もちょっとだけ自殺を考えたことを思い出していた。
 
「津田さん、何とかして・・・・男性化を止める方法って無いんでしょうか。私、東京に出てきてから最初なかなか友だちが出来なかったのに、自分のこういう性質を女の子たちに知られてから、女の子の仲間と思ってもらえて、今は日々楽しく女子の友人たちとおしゃべりしているんですけど、私が声も男になって、体つきとかもどんどん男になっていったら、彼女たちとの間にどうしても遠慮ができてしまうと思うんです。私は友だちを失いたくないんです」
 
津田さんの教室に3回目くらいに行った時、私は訴えた。
 
「私が10代の頃に悩んだことそのままだからね。全然他人事じゃないよ」
と津田さんは言った。
 
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「色々な道はある。でもそれぞれ、後戻りできないことだし、君自身にとって重大な決断が必要だと思う。君はまだその決断をするための知識が絶対的に不足している」
と更に津田さんは言った。
 
「それは感じていました。私がそれを勉強する間、ちょっとだけモリトラアムを作れないものでしょうか?」
「モラトリウムかな?」
「あ、それです」
 
津田さんは少し考えているようだった。
 
「ちょっと来て」
 

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私は津田さんに連れられて、都心のビルの中にある小さなクリニックに行った。
 
最初、津田さんがお医者さんと何やら話をしていた。それから私はカーテンを引いて津田さんにも見られないようにした中で、裸になってベッドに横になるよう言われ、お医者さんから身体のあちこちを触られた。おちんちんも随分いじられたし、タマタマも手の中でコロコロとされた。
 
「君、おちんちん立たないの?」
「去年まで立ってましたが、努力して立たないようにしました」
「なるほどね。オナニーはしてる?」
「もうほとんどしてません。今年は3月に1回だけ、ついしちゃいました」
「ふむ」
 
その後、服を着てから今度はお医者さんから直接私に色々質問をされた。また「自分史」というのを書かされた。私は涙を流しながら、先生の質問に答えた。それから血を採られて、検査をされた。心理テストみたいなのもされた。
 
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「分かりました。私はあなたを性同一性障害と診断します。そして男性化を一時的に止めるため、微量の女性ホルモンを処方します」
 
と先生は言った。
 
「お願いします」
と私は答えた。
 
取り敢えず注射しますと言われて注射してもらう。
「これでいったん体内のホルモンバランスをほぼ中和したはずです」
「ありがとうございます」
 
そして貼り薬を渡された。
 
「この貼り薬を4分の1にカットしてお腹あるいは背中などに貼ってください。ベルトの当たる位置は避けて。週に1度貼り替えて、3週間貼ったら1週は休んでください。つまり女性の生理周期と同じサイクルにします。かぶれないように貼る場所は毎回変えた方がいいです」
 
「分かりました」
「貼ってすぐは吐き気などを催したり頭痛が起きたりする場合もありますが、女性の生理痛や生理前症候群と同じようなものです。生理前症候群って分かります?」
 
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「はい。PMSですね。生理前、排卵した後の黄体期後半くらいに精神的に不安定になったり頭痛などが起きたりする現象ですよね」
「うん。ちゃんと勉強してるね」
「女子の友人から生理に関するパンフレットとかもらって勉強してます」
 
「ああ。それはいいね。ネットの情報は結構あやしいから気をつけて。あと、勝手に貼る量を増やしたり頻度を上げたりしないでください。一応3枚、つまり4ヶ月分処方します。途中観察したいから2ヶ月後にまた来て私の診察を受けて。それでこの薬の処方は最大6ヶ月までにします。それ以上やると、男性としての発育が阻害されますし、身体が女性化して、生殖能力も永久に失われます。その半年の間に、あらためて自分の将来についてよく考えること。できたらお母さんとも相談して。性のこと、生殖のことも再度勉強して」
 
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「はい」
 
こうして私は初めての女性ホルモンを処方してもらった。
 
クリニックの代金はもちろん自分で払った。診察代・検査代・薬代で3万円であった。
 

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私は女性ホルモンを処方してもらったことで、物凄く心が安定した。変声の兆候が出て以来、私はかなり精神的な不安の強い状態にあったのだが、この注射でその不安が一時的に消える気がしたのである。
 
ところが!
 
私はこの注射をしてもらいホルモン薬も貼った夜、数ヶ月ぶりのオナニーをしてしまったのである。
 
何で自分はこんなことしちゃったんだろう、と凄く落ち込んだのだが、津田さんから電話があった。
 
「昨夜『おいた』しなかった?」
「どうして分かるんですか?」
「女性ホルモンが身体に入って、ホルモンのバランスが変化したから、身体がバランスを元に戻そうとして、そんなことさせちゃうのよ。この後はむしろしばらく、したくならないと思うよ」
と言われて、私はホッとした。
 
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実際、私が次にオナニーをしたのは数ヶ月後だった。
 

数日後、自宅で母と姉と一緒に夕食を取りながらテレビを見ていたら、ニューハーフタレントさんが出ていた。水着姿である。
 
「この人、きれいだよね〜。元男だったとは思えない」と姉。
「顔も美人だし、身体のラインは完璧に女だよね。たぶん、この人は男だったというより、本来女だったんだろうね。元々の生まれつきだと思うよ」
と母。
 
「この人、性転換はもうしてるのかなあ?」
「してるでしょ。それも多分かなり若い内に。身体がいったん男性化してしまったら、この体形にはならないよ」
 
私はその会話に混ざると変な事を言ってしまいそうで、黙って聞いていたのだが唐突に姉が言う。
 
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「冬も今のうちに性転換しちゃうと、この人みたいにきれいな身体になれるかもね」
「ふーん、冬、女の子になりたいんだっけ?」
と母が訊くので、私は言ってみる。
 
「なりたいかも」
「ああ、やはりね。高校卒業したら性転換しちゃうといいよ。女の子になりたかったら」
などと姉。
 
「性転換・・・いいなあ」
と私が言うと
「ふーん」
と母は言ってから
 
「ね、あんたもう性転換済みってことはないよね?」
と少しマジな顔で訊いた。
 
「あはは、どうかな」
「冬、まだ、おちんちん付いてるんだっけ?」
と姉が訊くので
 
「あまり自信無い」
と私は答えた。
 

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5年生の1学期、うちのクラスの男子たちは変声ラッシュだった。
 
春先から2人ほど急速に変声した後、次々と声が低くなる子が相次いだ。ほとんどの子が短期間で「中性的な子供の声」から「男の声」に変わった。
 
「変声しちゃうと、何だか私たちとしても会話する時に身構えちゃうね」
などと奈緒や有咲と話していた時に、有咲が言った。
 
「元々男の子との会話には壁を感じていたけど、男の声で返されると100mくらい距離を置きたくなるよね」
と奈緒も言う。
 
「私、変声しちゃったらどうしよう?」
と私は正直な不安を言う。
「冬は変声じゃなくて変性するはずだから大丈夫でしょ」
「いや、実際に既に去勢してないの? もししてないなら早くやった方がいいよ。変声しちゃったら、取り返しがつかないもん」
と奈緒。
 
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それは身体の問題と同時に人間関係もだよなあ、と私は思った。
 
「去勢したーい。でも小学生の去勢手術してくれる病院は無いだろうなあ」
「じゃ自分で金槌で叩いて潰すとか」
「ショックで死ぬかも」
「その程度で死ぬかなあ。私が潰してあげようか?」と奈緒。
「う・・・切羽詰まったら頼むかも。でも金槌で叩かれるくらいなら麻酔無しで切開して取り出してハサミで切り離した方がまだマシかも」
「ああ、そのくらいしてあげてもいいよ。私、お魚ならさばけるし。人間の身体も一度切ってみたい」
「うー。その内、ほんとに頼みたくなるかも」
「大丈夫だよ。冬は既に去勢済みだと私は見てるんだけどね」
と有咲。
 

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私は津田さんに聞いてみた。
 
「女性の歌手で凄く低い声を出せる人いますよね。*田**子とか、むしろ男の声に聞こえちゃう。あれも、やはり訓練で出るようになるもんなんですか?」
 
「出るよ。女性の両声類さんもいるからね。男みたいに低い声はチェストボイスというんだけど、要するに胸に響くように出す。胸に手を当てて、声を出しながら手に震えが感じられるような出し方を見つけてごらん。私はもう出し方忘れちゃったけどね」
 
「へー」
「女性の声はむしろ頭に響くように出すよね。これはヘッドボイスという。君はだいたい元々の声がヘッドボイスっぽいもんね。発声法が元々女の子なんだよ。抑揚も豊かだし。その声で男と思われたことないでしょ?」
「電話に出ても、だいたい『お嬢ちゃん』とか『娘さんですか』とか言われます」
 
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「だから、君ってもし声変わりしても、男っぽい声を出す女と思われるかもね」
「あはは」
 
「男性は抑揚の少ない話し方をする。女性は抑揚豊かな話し方をする。身近な男性・女性の話し方をよく観察して研究してごらん。実は声は女の声のままでも、抑揚を抑えるだけで、かなり男っぽくなる。胸に響かせるのと同時にそのあたりも練習してみるといいよ。でも君、実は男の声になりたいの?」
 
「なりたくないです。ただの好奇心です」
と私は答えた。
 
 
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