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■夏の日の想い出・けいおん女子高生の夏(3)

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軽くお酒(ボクはお茶)を飲んで少し料理もつついた所でボクは本題を出す。
 
自分の音楽活動について再度説明した上で、あらためて畠山さんと津田さんに、ボクのKARIONとローズ+リリーの両立についてお願いした。
 
「ほんとに私のわがままだと非難されても仕方無いのですが、今後ローズ+リリーが復帰した場合に、私はローズ+リリーの片割れ・兼作曲担当および、KARIONの影のキーボード奏者兼作曲担当として活動して行けたら、と思っているんです」
 
ふたりは少し悩んでいた。
 

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「ね、ちょっと場合分けしてシミュレーションしてみましょうか」
と津田さんが言った。
 
「はい?」
「話を簡単にするため、マリちゃんが契約したら、そこと必ずケイちゃんも契約すると仮定してみよう」
「ええ」
 
「うちがマリちゃんとの契約に成功した場合、ケイちゃんも基本的にローズ+リリー専門でやって欲しい。他の事務所の他のユニットへの関与はできれば避けて欲しい」
「そうでしょうね。。。」とボクも返事をする。
 
「でも、畠山さんとこが契約に成功した場合は、同じ事務所のユニットだからケイちゃんが両方に関与するのは全然問題無いよね」
「ええ。問題ありません」と畠山さん。
 
「ということになると、この契約レースは圧倒的にうちが不利じゃん」
と津田さんは笑いながら言う。
「確かに」と畠山さんも笑顔だが、緊張した笑顔である。
 
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「で、密約しない?」
「ああ、いいですね」
「料亭で密約とか、政治家みたいだけどさ」
「でも私もそういうの嫌いじゃないですよ」
 
「こうしませんか?」と津田さんは提案した。
 
「もしうちがマリちゃんと契約に成功した場合、ケイちゃんがKARIONでメインあるいはそれに準じるボーカルを取らない範囲で、コーラスやキーボードなどでの伴奏や作曲編曲で音源制作に参加するのは認める」
「ほほお」
「その代わり、畠山さんとこが契約に成功した場合、マリちゃんとケイちゃんで作った曲を、うちの歌唱ユニットなどに提供してもらえる」
「ああ!」
 
この時期、津田さんはボクと政子の作る曲を見て、実際問題としてかなり評価してくれていて、楽曲提供についても打診されていた。
 
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「和泉ちゃんの方はよく分からないけど、マリちゃんってものすごく多作だよね?」
 
「マリは毎日3個は詩を書きますよ。休日などどうかすると10個以上書く時もあります」
「それは凄いな!」
 
「だったら多分ケイちゃんも結構な量の曲を作れるよね?」
「そうですね。たぶんローズ+リリーの分以上に作れる気がします」
 
「うちはその条件でいいですよ」と畠山さん。
「じゃ、密約成立」
 
と言って、ふたりは握手をした。
 

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「で、うちでもそちらでもない第三の事務所が契約に成功した場合はどうしましょ?」
 
「そのケースというのは、多分あの人が設立するであろう会社だよね?」
と津田さん。
 
「たぶんそうでしょうね」と畠山さんも同意する。
「恐らくこのレースは既にうちと津田さんとこと、その新会社に事実上絞られてると思いますよ。あと##プロさんが頑張ってるけど可能性は低い気がする。あそこは年代の近い大物をたくさん抱えてるから、そこと契約しても必ずしも大事にしてもらえないでしょ。それをマリちゃんのお父さんが気にしてたから」
 
「うんうん。それで昨日から僕もちょっと考えてたんだけどね。ローズ+リリーの権利って、結局どこにも所属してないんだよね?」
「今のところそうですね」と畠山さん。
「だから、これは一度関係者で集まって再協議する必要はあるけど、たぶん、マリちゃん・ケイちゃん自身に所属してるんだ」
「ええ」
 
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「ということはさ、その権利を管理する、マリちゃん・ケイちゃんの個人事務所か音楽出版社(原盤管理会社)とかを作っちゃえばいいんだよ」
と津田さんは言った。
 
「ああ・・・・」と畠山さんも声をあげる。
「そこと、委託契約を結ぶ形式で契約してもらえばいいんだ!」
「そうそう」
 
「うまい考え方ですね」と畠山さん。
「というか、その方法しか無い気がするね」
 
「そういう形にしておいて、ケイちゃんはKARIONの作曲と伴奏もする。そして自分たちで歌いながら、マリ&ケイの曲をうちにも提供してくれると申し分無い」
と津田さん。
 
「いいですよ。書きます」とボクは笑って答える。
 
「しかしあの人が専属契約ではなく委託契約で満足してくれますかね?」
と畠山さんは言う。
 
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「そのあたりはお金の問題で可能だと思っている」と津田さん。
「ほほお」
 
「ローズ+リリーを運用するためには、数億円レベルの運転資金が必要ですが、あの人個人でそれは調達できないでしょ。設立したばかりの芸能事務所に銀行は融資なんかしてくれませんし」
「ああ」
 
「ローズ+リリーのCDを作ってキャンペーンとかしたら、純粋な原盤制作だけでも1000万くらい使うだろうし、全国キャンペーンとかすると2000万掛かるし、更にTVスポットでも打てば簡単に1億飛びます。そうなると結局うちに資金的な援助を求めるしかないのですよ」
 
「そしてお金を出す代わりに、契約の方式についても、こちらのいいようにさせてもらうと」
「そういうことです」
 
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「その形になれば、うちもそちらも、直接ローズ+リリーと契約しないまま利潤だけはもらえるし、あの人も資金的に助かる。そしてうちはマリ&ケイの曲を使えるし、畠山さんとこも和泉&歌月の曲を使える。ケイちゃんはローズ+リリーとしてもKARIONとしても活動出来る」
 
「三方一両得、いや三方二両得くらいの感じですね」
 

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「ケイちゃんはどう思う?」
 
「多分ですね。マリのお父さんも委託契約の方を好むと思います」
とボクは言う。
「ほほお」
 
「委託契約なら、こちらの裁量で仕事ができますから。売り出すのには不利ですけど、マリのお父さんとしてはやはり娘には大学出てどこか会社に就職して3年くらいでお嫁に行ってくれたら、というのを思い描いていると思うんです。派手にCM打って、テレビも音楽番組だけじゃなくバラエティにも出て顔を売って、みたいな売り方は好まないと思うんですよね」
「ああ」
「マリちゃんのお父さんはそうだとして、マリちゃん自身はどういう売り方がいいんだろう?」
 
「マリは何も考えていません。御飯をたくさん食べられて、いつも詩を書いていられて、時々歌が歌えたら、それで幸せなんです。マリにOLはできませんよ」
 
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とボクが言うと津田さんは納得したように
「ああ、あの子はそうだろうね。うちで設営のバイトしてた時もよく物を壊したし」
とボクの意見に同意した。
 
「ミラーボール落っことしてくれた時はどうしようかと思いましたね。あの子、性格的な問題と体質的な問題で物を壊しやすいんです。特に電化製品との相性が悪いんですよね。あそこのおうちは冷蔵庫とか洗濯機が5年もちません」
「ああ。うちもパソコン2台くらい壊されたな」
と津田さん。
 
「私も何度かマリちゃんと話しましたが、確かに世俗と関係無い世界で生きてる感じだよね」と畠山さん。
「あの子、私と話している最中に突然詩を書き出したんですよ」
 
「それはうちもやられた。どうかした人なら怒るだろうね」
と津田さんも笑っている。
 
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「お母さんが叱ろうとしましたが、私は、そっとしておいてあげてと言いました」
「そう言える人だけが、マリちゃんとの交渉ラインに残れるよね」
 
「マリのことを理解してくださってありがとうございます。でもマリはテスト中とかでもそれやるから成績悪いんですよ」
「ああ」
 
「生まれながらの芸術家だよね、あの子は」
「世間的な生活能力は多分ゼロだろうけどね」
 
「じゃ、その個人事務所か出版社のあり方をちょっと細かく検討してみたいね」
「この件は町添さんも入れて話した方がいいかもね」
 
ボクたちはこの後、何度か町添さんも含めて秘密の会合を持った(2回目以降の場所代は町添さんが出してくれた)。またこの4人だけのメーリングリストを作り、そこでも盛んに意見を交換した。そして、その結果、翌年の5月に、マリとケイの著作権、ローズ+リリーの原盤権を管理する音楽出版社である、サマーガールズ出版が設立されることになる。
 
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ただこの時点で大誤算だったのは、マリが契約はしたものの、なかなか歌ってくれなかったことであった!!
 

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その週も結局、水曜日の政子の誕生日以外、ボクは津田さん・畠山さん・町添さんと、あるいは会って、あるいは電話のやりとりで秘密会談を重ねていた。この会合は「ファレノプシス・プロジェクト」の仮名が付いていた。
 
それで軽音サークル「リズミック・ギャルズ」の練習には全然参加できず、結局「やろうよ」という話が出てから2週間近くたった6月20日(土)になって、やっと練習に出ていくことができた。
 
「ごめんなさーい。なんか忙しくて」
「冬ちゃん、なんで男の子の格好なのよ?」と風花。
「えーっと・・・」
 
「女子制服はいつも携帯してるよね?」と詩津紅。
「うーん。まあ・・・」
「なーんだ。持ってるなら、即着替えよう」
「えっと、どこで?」
「ここでさっと着替えちゃいなよ。どうせ下着も女の子の着けてるよね?」
「うん」
「じゃ、問題無いじゃん」
「あはは」
 
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そういう訳で、ボクはみんなの見ている前でスポーツバッグから女子制服を取り出すと、さっとワイシャツ・ズボン姿から着替えてしまった。これ以降もこのサークルの練習には毎回女子制服で参加することになる。
 
「おお、可愛い」
「似合ってる、似合ってる」
「ってか、ワイシャツ・ズボン姿の方が男装している女の子にしか見えなかったね」
「ほんと、ほんと」
 
「よし、練習するぞー」
「合わせるよ〜」
 
「いきなり〜!?」
「みんなちゃんと個人練習してるよね〜?」
「行くよ〜」
「間違った人は全員にジュースおごること」
「きゃー」
 
「一応」リーダーである詩津紅による合図でリズムセクションによる前奏が始まる。ドラムス・キーボード・ギター・ベースで、チャーンチャラチャンチャン、チャーンチャラチャンチャン、という長い音符による和音が音程を変えながら繰り返される。そして真弓のドラムスフィルインが始まるのと同時に美野里のキーボードがグリッサンドして、この曲のスタートを告げ、更に8小節弾く。
 
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ボクのウィンドシンセ、風花のフルート、詩津紅のクラリネットが交替でメロディラインを演奏する。この曲はこの3つの楽器が歌代りで、いわば三重唱のようなものだ。
 
ボクのウィンドシンセがメロディを取る時は風花のフルートは高い所で長い音符を吹き、フルートがメロディを取る時はウィンドシンセが逆に高い所の音を出す。フルートも音域が広いが、ウィンドシンセは左手親指のオクターブローラーの操作で8オクターブ近い音域を出せるので、このあたりは自由自在である。詩津紅のクラリネットはだいたい低い音域で演奏しているが、時々メロディラインに飛び出し主役となって、ウィンドシンセとフルートがそれに和音を付ける。
 
間奏にはキーボードの超絶技巧部分があるが、そこは美野里が不安気もなくきれいに弾きこなす。さっすが!とボクは思った。
 
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約4分間の演奏が終わる。
 
「すごーい」
「初めて全員そろったのに、ピタリと合ったね」
「私たち天才ね」
などと言い合っている。
 
「ごめんねー。出てこれなくて」とボクは言うが
「いや、毎日3〜4人でやってたからね」と聖子が言う。
「えー!?」
「だって、みんな出てこないんだもん」
「毎日いるメンツが違ってたから、実質パート練習しかできてなかった」
「あはは」
「だいたい言い出しっぺの詩津紅先輩が3回くらいしか出てきてない」
「いや、御免御免」
 
そしてこの後、この軽音サークルの練習で全員集まったのは、本番前日の練習と本番当日のみだったのである!(ボクは週2回ほど出て行っていた)
 

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6月に出たボクたちのアルバムは、ローズ+リリーの活動が停止してしまってから半年経ち、ファンが、もうローズ+リリーの歌声は聞けないのだろうかと半分諦めかけていた時期に出た音源だったので、ひじょうに大きな反響があった。
 
あまりの反響の大きさに、ボクたちは特別に直筆サインを配ることになり、双方の父の承認も得た上で、東京・大阪・福岡・仙台の4ヶ所でイベントを開催した。むろんボクも政子も出席しないが、ローズ+リリーの昨年11月のコンサートの映像を30分間に編集したビデオを上映するとともに、ボクと政子の直筆サインを抽選で合計300人に渡した。
 
ボクたちは《Rose+Lily》の部分と日付のみを書いたのだが、サイン会に上島先生がボクたちの代理で出席してくれて、抽選で当たった人にサインを渡す時、その宛名を上島先生が書いてくれて握手もしてくれたのである。ボクたちはまたまた上島先生に借りを作ってしまったのだが、実際、ボクたちのサインに宛名書きをしてもファンが怒らないのは上島先生以外にはあり得なかったろう。
 
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(転売防止のため、宛名・日付の無いサインは出さない事になっている)
 
★★レコードでは、更にボクたちに録音ででもいいから、ファンへのメッセージをもらえないかと頼んできた。この時期には、もうボクの父も政子の父もボクたちの活動について、軽微なものなら黙認するような雰囲気になっていたこともあり、一応両親の了解は取った上で、原稿を作り★★レコード内のスタジオで5分間のコメントとしてまとめ、FM番組で流してもらった。
 
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■夏の日の想い出・けいおん女子高生の夏(3)

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