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■夏の日の想い出・3年生の早春(6)

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車に戻ってとりあえず目隠しをしたものの、少し寒い気がしたので30分ほどアイドリングしてヒーターを付け車内を少し暖かくしてから、裸になって後部座席の布団の中に潜り込んだ。キスしてしっかり抱き合い、愛し合う。
 
「寒くなったらまたヒーター入れる?」
「大丈夫だよ。運動すれば暖まるよ」
「だね」
 
一時間くらいしてから休憩して、並んで寝る。この後部座席は、前のシートをできるだけ前に押しやった上で、ふつう足を置く部分に空気で膨らませるクッションを置き、その上に折りたたみ式のプラダンを敷いた上に更にマットを敷いてフラット化しているので、ふたりで並んで寝る余裕があるのである。
 
マットの下にプラダンを入れるのは正望の提案で、これでとても寝やすくなった。この空間のサイズに合わせてカットするのも彼がしてくれたので、私のフィールダーも彼のアクセラも同様にしてフラット化されている。彼はフィールダー用の加工をして、ふたりで試しに寝てみてから、「僕とフーコがギリギリ並んで寝れるから、フーコと政子さんなら余裕で寝れるよ」などと言っていた。
 
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彼には恋人関係になってしまう前から、自分と政子がとってもきわどいことをしていることは、しゃべってしまっていた。彼と恋人になった時、彼は男の子と浮気したりしなければ、私と政子の関係はそのままで構わないなどと言ってくれた。その代わり彼と会った時はたっぷりしている。
 
「ねぇ、冬・・・・」
「ん?」
「私、和則とはキスもセックスも永久にしない気がしてきた」
「へ?ただの友だちってこと?」
「ううん。彼とはお互い恋人意識だけど、たぶんHとかしない恋人があってもいいのよ」
 
「・・・・そんなことは以前にも言ってたね」
「うん。相手に何を求めてるかじゃないかなあ。彼とはたぶん精神的なものが満たされたらそれでいいんだと思う」
「彼はマーサとHしたいかもよ」
「したいって言ったらさせてあげる。でもこちらからは誘わない」
「ふーん」
 
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「たぶん、私と冬は身も心も求め合う関係なんだよ」
「その方がふつうの恋人に近いよね」
「私たちはふつうの恋人とは違うけどね」
 
「こないだから思ってたんだけど私たちってさ・・・・」
「あ、実は私も思ってたことあって、私たち実は・・・・」
私たちは顔を見合わせた。
「既に夫婦なんじゃない?」と私たちは同時に言った。
そして私たちは笑ってしまった。そして優しくキスをした。
 
「でも私たちが既に夫婦だとしたら結婚したのはいつなんだろう?」
「それは多分・・・高校卒業した年の3月23日。鬼怒川温泉」
「やはりあれか・・・・」
それは翌朝『影たちの夜』を書くことになった熱い夜のことだ。
 
「だって初めてコンちゃんを開封したんだもん」
「じゃ、もうすぐ私たち綿婚式か」
「綿か・・・コットンのおそろいのワンピースでも買おうか?記念に」
「それもいいね。でもまた行ってみたいね、鬼怒川温泉」
「あ、それはもしかしたら近い内に行くかも」
「ほんと?じゃ私も連れてって」
「うん。向こうは歓迎してくれるよ。詳しいことは後で」
 
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そんなことを言ってから、私たちはもう一戦した後、眠ってしまった。今夜はたくさんするつもりだったのだが、やはり旅の疲れが出てしまったのだろう。
 

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私たちはかなり熟睡していたようであったが、明け方くらいに夢を見た。
 
そこは何かとても神々しい場所のような気がした。私は森の中を歩いている気がした。何かまわりの空気が気持ちいい。やがて開けた所に出る。そこに政子が待っていたが、インドのサリーに似た雰囲気の、1枚の布を巻き付けたような感じの上着を着て、下半身は麻のラップスカートのようなものを穿いていた。
 
あらためて自分の服を見てみると、上半身は貫頭衣を着て、下半身は政子と同じような感じの麻のラップスカートを穿いている。私たちは手を取り合うと、一緒に前の方に進んで、跪いた。
 
何かとても大きなものに抱きかかえられているような感じだ。そこに横から出て来たのは古代の巫女っぽい衣装を着けた琴絵だ!白い土器(かわらけ)の杯を大中小3段に重ねて持っている。
 
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琴絵は最初に小さな杯に白い古風な壺に入ったお酒を注いだ。政子がそれを手に取り、少し飲んで私に渡す。私はそれをまた少し飲んで政子に返す。何だか凄く美味しいお酒だと思った。それを政子が飲み干した。
 
次いで中サイズの杯にお酒を注ぐと、私に手渡したので、私が少し飲んで政子に渡し、政子が少し飲んで私に返し、残りを私が飲み干した。
 
最後に琴絵は大きな杯にお酒の残りを全部注ぎ、政子に渡す。政子はそれをけっこう飲んでから私に渡し、私は残っているものの半分くらいまで飲んでから政子に返す。中サイズのを飲むまではまだ良かったのだが、これを飲んだ時アルコール分で頭がクラクラと来た。そして残りを政子が全部飲んだ。
 
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琴絵がたくさんの鈴が付いた扇のようなものを持ち、私たちの前で振った。心が洗われていくようだ。とても気持ちがいい。琴絵は更に鈴の付いた首飾りを、まず政子に、そして私に掛けてくれた。首飾りは大きなものが2つと小さなものが1つあった。私たちの後ろの方から小さな女の子が歩いて来て、私たちの間に入り、琴絵は最後にその子にも鈴の首飾りを掛けてくれた。
 
琴絵がその鈴の付いた扇のようなものを持ち舞った。何かとても美しい雅楽の調べがしていた。篳篥(ひちりき)のポルタメントが掛かった音が気持ち良い。笙の和音は天から響いてくるようで、龍笛の音はまるでほんとに龍が近くを飛び回っているかのようであった。和琴と琵琶の美しい音も響き、鞨鼓(かっこ)・鉦鼓・太鼓の音がゆっくりとしたリズムを刻む。
 
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目が覚めた時、その曲の余韻がまだ残っていた。
 
私が目を覚ましたのとほぼ同時に政子も目を覚ましたようであった。時計を見るとまだ5時だ。「五線紙ちょうだい」「うん」もうその会話で私たちが同じ夢を見ていたことを確信できた。
 
私は夢の中で聴いた調べを後でできるだけ正確に思い出せるようなメモや図示を入れながら、各楽器の音の流れを書き入れて行った。政子が「何この斜め線や波線の列?」と言っている。
「これふつうの方法では記述できない。MIDIのコマンドを直接書かないと制御不能だから、それを後で思い出せる程度に書いておく」
 
「・・・・ね、私たち三三九度したよね?」
「うん」
「私が最初に飲んだから、私が夫役?」と政子。
「私が妻役だったみたいだね」と私。
「ま、いっかー。いつも冬に料理とか洗濯とかしてもらってるし」
 
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「でもあの三三九度、12月にマキさんの結婚式で見たのと作法が違う」
「たぶん、神社によってやり方が違うんじゃない?」
「そうかもね」
 
「ところでさ・・・・」
「うん」
「マーサ、私に黙ってこっそり子供産んでたりしないよね」
 
「あの首飾りをもらった女の子?でもこれだけ一緒にいてこっそり産むのは無理だよ」
「確かにお腹が大きくなったら気付くしね」
「私たちの精神的な子供かもね」と政子。
 
「そっかー。考えてみたら、私たちが書いてる曲の全てが私たちの子供だよね」
「うん。だから私たちにとって曲作りは子作りなんだよ」
「なんか、物凄く納得した、今」
 

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車内でのんびり過ごしていたらSAの施設が開いたので、霧島山麓ライスカレーとちゃんぽんを食べてから出発した。
 
9時前に目的地の酒造会社に到着する。車を駐車場に駐めて中に入っていくと、社長さんと女性の副社長さんが出迎えてくれた。
 
実はここで『花模様』のCMを作ろうということになっていたのであった。
 
昨年秋に発売したローズ+リリーの2年10ヶ月ぶりのシングルの両A面曲である『花模様』は、CD発売直後から大手のビール会社のCMで使用されて、おかげで広く知られカラオケでもよく歌われるようになった。ところがここの酒造会社が作っている米焼酎に『花模様』という偶然にも同名の商品があり、この曲に気付いた副社長さんから、ぜひうちの広告に使わせてくれないかという照会があったのである。
 
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既にビール会社のCMに使用しているのでどうかと思ったのだが、そのビール会社の方に尋ねてみたら、自分達は焼酎は売ってないので構わないということであったので、こちらもOKということにした。事前の折衝で、米焼酎の『花模様』、梅酒の『梅模様』、日向夏のリキュール『日向模様』の3つのお酒のCMにこの曲を使用することが決まっていた。★★レコードとの折衝で、この3つのお酒と、この会社がイメージガールとして使っている地元の女性タレントさんの写真を使ったジャケ写の『花模様/涙のピアス』限定版CDもプレスして、この会社に既に送付済みである。
 
実際に使用するのは通常版に収録されているローズクォーツの伴奏のものではなく、ビール会社側の要請で一応テイクを変えて欲しいと言われたので新たにスターキッズの伴奏で収録した別バージョンである。元々『花模様』はアコスティックな曲なのだが、鷹野さんのヴァイオリンと宝珠さんのフラウト・トラヴェルソ、月丘さんのバージナル(チェンバロの一種。最近会社の備品として購入した)近藤さんのバロックギター(借り物)、酒向さんの電子ドラムによるバロックティンパニで演奏したものを今回こちらで使うことにした。この「バロックバージョン」もこの限定版CDにボーナストラックとして収められている。
 
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CMに私たちは映像としては出ないので、声だけ吹き込んでデータをこちらに送っても良かったのだが、ちょうど阿蘇の件もあったのでついでに寄って話もしてくることにしたのである。
 
私たちはこの会社の歴史や、焼酎の製法・分類などの話を聞いていた。花模様が実はアメリカで買い付けてきた特製フォアローゼスを飲んで書いたもの、ということを話すと、ぜひうちの焼酎を飲んでまた創作をなどと言われた。「私は車を運転するので飲めません」と言ったのだが、
「今飲んで夕方くらいには酔いも醒めるでしょう。それまではうちの若いのにドライバーさせますよ」
などというので、何種類かを一口だけ飲ませて頂いた。
 
「私あまり焼酎って飲んだことなかったんですが、これ美味しいと思った」
「ああ、それは『花模様デラックス』といって5年寝かせた特別版なんです」
「どれどれ」と政子も飲んでみて「あ、美味しーい」という。
「お気に入りになられましたら、1つ差し上げましょう」
「ありがとうございます」
「お車に積んでおきますね」「あ、じゃキーを」といって車のキーを渡した。この時「ひとつ」というので私はてっきり1本と思ったら6本入り1箱だったので後でびっくりするのだが。
 
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10種類くらい飲んでからこの会社では唯一の日本酒製品という『花霧』という生酒を頂いた時、私と政子は思わず顔を見合わせた。
 
「この味、飲んだことあります」
「おや、どちらで飲まれました?これ生産量が少なくて限定流通品にしているので飲める所が少ないんですよ」
「ちょっと知人から頂いたので」
「じゃ、これも1つ差し上げますね」
「ありがとうございます」
 
これは今朝見た夢の中で体験した三三九度の時に飲んだお酒の味であった。またキーを渡したが、これもケース入り6本が車の荷室に入れられていた。
 
「そうだ。もし良かったらこれのCMも作れませんか?」
「問い合わせてみます」
私はすぐに今日は仙台に行っている美智子に電話してその旨の照会を頼んだ。(この件は午後返事が来てOKとなった)
 
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10時からCMの録音ということで、会社の車に乗り、今日の運転手役の社員さんの運転で市内の貸しスタジオに入る。メインで出演するイメージガールさんが来ていたが、私たちを見ると「ファンなんです!サインください」などと言われて色紙に書いて渡した。
 
CMは『花模様』の曲が流れる中で、私と政子とイメージガールさんの3人のセリフが入るが、セリフの内容や流し方のセンスがいい思った。田舎の酒屋さんのCMとは思えない垢抜けた雰囲気だ。基本的には練習→本番、というのの繰り返しで、4種類のお酒の各々のCMと、商品名の入らないこの酒造所のイメージCMとを録音した。
 
社長、運転手役さん、イメージガールさん、私たちの5人で昼食を取ったあと、私たちふたりだけ市内の名所などを案内された。
「ここの公園は4月になるとアヤメがきれいなんですけどね。まだちょっと時期が早いので」
などと言われたのだが、政子が「あれ?」と声をあげる。
「1輪咲いてますね」
「ほんとだ。こんな時期に珍しい」
政子が近づいてデジカメで写真を撮っていた。
 
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その後、この酒造メーカーの子会社で、酒器を作っている工房にも連れて行ってもらった。
 
「酒器には主として漆器と陶磁器がありますが、ここは陶磁器の酒器を作っている工房です。うちのプレミアム焼酎で磁器の瓶に入れて販売している製品もあるんですよ」
「へー」などと言いながら、私たちは見ていたが、棚に飾られた製品の中で白い杯が3段に重ねられているものにふと目が留まった。
「あら?これは・・・」
「それは三三九度に使う杯ですね」と工房の人が言う。
「ああ」
「三三九度って朱塗りの杯かと思った」と政子。
 
「三三九度は朱塗りの漆器を使うところが多いのですが、神社によっては土器を使うんですよ」と工房の人。
 
私たちはまた顔を見合わせた。今朝の夢の三三九度で使ったのは土器の杯だった。
「記念に差し上げましょうか?おふたりとも独身?」
「あ、はい」
 
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「じゃ、1セットずつ差し上げます」
といって、工房の人は下のロッカーの引き戸を開けて、桐の箱に入った土器の杯のセットを1つずつ渡してくれた」
「わあ、ありがとうございます」
 
私たちはせめてもの御礼に、サインを手持ちの色紙に書いて渡そうとしたのだが「あ、どうせならこの大杯にサインできます?」と言われた。直径30cmほどの大きな白い磁器の杯である。
「はい、お安い御用です」
ということで、私たちはその大きな杯にサインした。
「よし、これ玄関に飾っておこう」と言っている。
 

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■夏の日の想い出・3年生の早春(6)

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