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■夏の日の想い出・点と線(11)

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「もうひとつは中央通の真ん中、クリスロードの付近ですね。この付近は予備校とか専門学校が多くて、新学生街になっているから18-19歳の人が多い。若い人たちは東京的な文化にも敏感だから、こういうカフェは流行ると思いますよ。この付近にも何軒かライブハウスがあります」
 

 
「あ、もしかしたらあの店を作るときに候補地として検討した付近かも」
「だったら縁があるかも知れないですね」
 
(和美は勘違いしている。あの時検討したのは東北大学の片平キャンパス門前町であった東一番丁通り(サンモール一番町の南側)である。クリスロードは地価が高すぎて当時の和実には考慮対象外だった。現在、大学機能のほとんどは仙台市西側に広がる広大な青葉山キャンパスに移転が進んでおり、片平キャンパスには本部以外の機能はほとんど残っていない。それに伴い、東一番丁も急速に寂れてきているが、土地が安くなってきていることから、実は和美のお店のようなタイプの様々な新しいお店もできつつあり、“可能性のある”町かも知れない)
 
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「あと、今言ったのは徒歩での立ち寄りを考えた場合ですが、逆に車でのアクセスを考えるなら、青葉通りや広瀬通り・南町通り沿い、またはそこから少し細い道に入った所という手もあると思います。まあここのTKRも南町通りですが車でのアクセスが必要なのでここを選んだんですよ。クレールさんはわりと“通り掛かりにふらりと寄る店”や“近所の人が来る店”ではなくて“最初からここをお目当てにして来る客”や“遠くから来る客”のほうが多い店かも知れないので、意外に通行量よりアクセスを重視したほうがいいかも知れません。その意味では車通り沿いというのはひとつの選択ですね」
 
「そうそう。うちは普通のカフェとは客層が違うんですよ」
 
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「でも僕、個人的には一番町よりむしろ仙台駅に近い所に作ってもらうと、ありがたいなあ」
「それはまたどうして?」
 
「実は仙台市街地のライブハウスの多くがさっきも言いましたように一番町四丁目付近にありまして。大会場の電力ホールも近くですね、それに対して仙台駅周辺はそういうものが少なく、わりと空白地帯なんですよ」
 
「ああ、電力ホールとかの近くか」
 
(正確には電力ホールは一番町ではなく1本東側の、東二番丁通り(国道286号)沿いにあるが、まあ近くである)
 
「それとTKRのアーティストってあちこちに分散しているからライブが終わって帰る時に仙台駅近くのほうが助かるんですよね。一番町からの移動は機材持ってるとどうしても30-40分かかります。TKRのアーティストは貧乏だからタクシーとか使えないんです。機材持ってバスでの移動は大変なんですよ。混んでいたら迷惑だし」
 
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「それは割と切実ですね」
と和美は言った。
 
更に山崎さんは言った。
 
「よく考えたら、やはり車通り沿いがいいかも知れないですよ。ドラムスとかアンプとか、ほかにも機材たくさん持ってくる奴は車で来る場合もあるから、歩行者天国にあると機材の持ち込みに苦労することになるので」
 
「当然駐車場付き物件ですよね」
「それは絶対あったほうがいいです」
 

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1月1日未明。私は突然起き上がって叫んだ。
「祭りだ!」
隣で寝ていた政子が目を覚まして
「何の祭り?」
と訊く。
「激しい祭りなんだよ」
と私は言うと枕元にあつた、漁港祭りのチラシの裏にABC記譜法でメロディーを書き出す。ついでに出て来た歌詞も書いて行く。
 
d>ddA e>eeA|f>ffd g>gge|d2A6
祭りだ、祭りだ、激しい祭りだ、えぃさー
d>ddA e>eeA|f>ffd g>gge|d2A6
祭りだ、祭りだ、熱い祭りだ、えぃさー
aaaa aaaa|agfge4
赤い情熱突き走れ
aaaa aaaa|agfga4
白い吐息よ舞い上がれ
dAeA dAeA|fedeA4
赤いたいまつ、ぶつけ合え
dAeA dAeA|fedeA4
白い力水、掛けてやれ
dAeA defg|aga^ba4
熱い熱気が燃え上がる
 
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祭りだ祭りだ男の祭りだ、えぃさー
祭りだ祭りだ女の祭りだ、えぃさー
赤いスピード飛んで行け
白いリズムよ巻き上がれ
赤い炎が飛び散って、白い水しぶき広がって
人の掛け声が積み上がる
 
すると横から政子が言った。
「神輿を担いでいるのは猫だな」
「ネコなの〜〜!?」
「赤い猫たちが担ぐ赤い鳳凰の神輿と、白い猫たちが担ぐ白い虎の神輿なんだよ」
「赤い猫とかいるんだっけ?」
「アニメで作ればいいんだよ」
「アニメならいいかもね」
 
「ところでこれ演歌?」
「演歌ではないね。ヨナ抜き音階では無いし」
 
実際7(B)はB♭しか出て来ないものの、4(F)はたくさん出て来ている。これを実は4度下(出だしをレッレレラではなくラッララミにする)で書くと最後のB♭が臨時記号無しで書けるのだが、終止音がミになって変である。やはり終止音はミではなくてラだと思うので、結局この音はシ♭にすべきだろう。
 
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この付近は長年曲を書いていてもよく迷う所だ。アスカみたいに音楽理論がしっかりした人とか、七美花みたいにピタゴラス音階が頭にプリセットされている人ならどちらを選択するだろうか?平均律はこういう所が曖昧になる。
 
「でもロックじゃないね」
「これをロックバンドで演奏しても面白そうだけどね」
「歌謡曲かな。珠妃さんとかにあげる?」
「小野寺イルザか津島瑤子あたりかもね。ちょっと千里に訊いてみよう」
「ああ。小野寺イルザちゃんはよく千里から曲をもらっているね」
「『ハートライダー』で随分イルザちゃんの吹き替えで車を運転したから、それで親しくなったみたいだよ」
「あれ格好良かったねぇ。イルザちゃんもライセンス持ってるんでしょ?」
「あの子も国際C級レース除外ライセンスまでは取ったみたいだからね」
「C級まで行ったらBとかAとか狙わないの?」
「さすがにそのあたりは歌手辞めて職業ドライバーにならないと無理」
「そっかー。あれもこれもという訳にはいかないね」
「そうだよ。人生でできることはそう多くない」
 
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私と政子はその後1時間くらい掛けて楽曲を練り上げた。特に歌詞はかなり直された。
 

私たちは5時には身支度をすると、竜木梨沙マネージャーに敦賀駅まで先日の水色のアクアで送ってもらった。車自体は駅近くの駐車場に駐めて、一緒に博多に移動した。
 
敦賀5:52-6:44米原6:59-10:11博多
 
博多駅からはタクシーで博多ドームに移動する。この日行われるアクアのお正月ツアー初日を観るためである。ドームに着いたのは10:40くらいであった。朝が苦手な政子だが、アクアのこととなると熱心になる。もっとも車の中でも、新快速・新幹線の中でも、用意してもらっていたおせちを食べる以外はひたすら寝ていたが。
 
なお、博多ドームでは竜木さんに政子はお願いして(アクアのグッズ類を買うのに忙しい−アクアグッズは毎回新作が追加される。開演前はロビーで流れているPVなども熱心に観ている)、私は楽屋に行き、アクアたちに「明けましておめでとう」を言い、その場に居たアクアと秋風コスモス、今井葉月たちにお年玉も渡す(この場に居ない子には後の新年会で渡す)。葉月が中身を見て「すごーい。去年の倍ある。こんなにもらっていいんですか?」などと言っているのがかわいい。
「君たちが稼いでいるからだよ。来年もこんなに渡せるとは限らないから、あまり期待しないでね」
と私は言っておく。コスモスは
「私ももらっていいんですか?」
と言っていたが
「私が引退したら後はコスモスちゃん、よろしくね」
と言っておいた。
 
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この後は本番前まで公演をサポートする(公演自体は政子と一緒に客席で観る)。
 
ちなみにアクアは東京で紅白に出た後、コスモスと一緒に新幹線で名古屋に移動。ローズ+リリーの前座に出て小浜から移動してきた今井葉月と一緒に『愛のデュエット』を演奏。それから名古屋で一泊して翌朝博多に移動して今日博多でライブをする、という建前だが、実際には紅白に出たのはM、名古屋で葉月と共演したのはN、今日博多でライブするのはFである。この後のライブも分担しておこなう。
 
12.31(火)東京 紅白 M
12.31(火)名古屋 葉月と合奏 N
1.1(水) 博多ドーム F
1.2(木) 関西ドーム M
1.3(金) 愛知ドーム N
1.4(土) 北海ドーム F
1.5(日) 番組撮影なと゜
1.6(月) 仕事休み 1.11(土)関東ドームM
 
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例によってFの出たステージは「今日のアクア様は女の子らしくて良かった」と言われる。
 
つまり紅白に出たMが大阪に移動して2日のライブをするが、名古屋で『愛のデュエット』を演奏したNはそのまま名古屋から動かず3日の愛知公演をする。Fは福岡空港から直接新千歳に飛ぶ。ちなみに1月7日に東京で仕事をするのはNらしい。
 
アクアは分担していてもエレメントガードはマジで移動するので1月4日はお休みにしている。でないと、体力がもたない。むろん札幌公演の前に休日を入れるのは、交通機関が動かなかった場合の備えという意味もある。北海道の特に冬季は怖い。
 
なお名古屋に居た葉月とコスモスはマジで早朝の新幹線で博多に移動してきた。
 
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名古屋6:20-9:40博多
 
葉月にはアクアは別便で移動と説明したようだが、実はアクアは移動していない。むろん葉月とコスモスが博多ドームに到着した時、既にアクアは来ているので葉月は飛行機で移動したのだろうと思ったようである。
 
実際には、セントレアからの始発は
 
中部国際空港7:40-9:15福岡空港
 
になってしまうので、新幹線で移動した葉月たちの方が先に着くが、実はこういう便が存在するのである。
 
名古屋空港7:20-8:55福岡空港
 
これだと葉月たちよりギリギリ先にドームに到着することができる。むろんアクアは実際には、そんな移動はしていない。
 
これが千里とかゆまに相談したら
「私のアテンザで送ってあげるよ」
「私のパナメーラで送ってあげるよ」
 
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と言い出すに決まっている。雨宮先生なら、千里か毛利さんを呼び出してやはり夜通し車で走ろうとするだろう。それでは翌日とてもじゃないがまともな歌唱はできない。毛利さんは一度三つ葉たちに「2時間半のライブするのは駅伝を走るくらいの体力が必要だから身体を鍛えろ」と言っていたが、そのくらいかも知れないという気もする。
 
(彼女たちは番組の企画で1度ハーフマラソンを走らされたが、その後3日くらい寝ていたらしい。スリファーズも巻き添え。信濃町シスターズはスポーツ少女の品川ありさだけが完走して、ひろか・みちるは途中でリタイア)
 
しかしそういえば毛利さんの奥さんってどんな人だろう?
 
彼のマンション(三つ葉の初期の企画で勝手に建て替えられてしまったペントハウス付きの豪華マンション)にはしばしば打ち合わせなどで行っているが、会ったことがない。
 
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しかしよく考えてみると、美味しい手料理(?)を頂いたこともあるし、元のアパートがあれだけ散らかっていたのにマンションはいつもきれいにしているので、もしかしたらマンションに引っ越し(?)た直後くらいに結婚したのかも?
 
そして更に考えてみると、あの頃を境に毛利さんはお酒もタバコも辞めたようなので、ひょっとすると結婚して奥さんに言われて禁酒・禁煙を実行しているのかも?雨宮先生は「飲みに誘っても断るから面白くない」とか言っていたけど。でもお酒はいいとして、タバコはやめられたらやめた方が絶対いい。この業界はヘビースモーカー・ヘビーードリンカー多いけどね。
 

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今年の新年ドームツアーでは、幕間に東雲はるこ・町田朱美が登場して、デュエットでザ・ピーナツの『恋のフーガ』、PUFFYの『これが私の生きる道』、ローズ+リリーの『青い豚の伝説』を歌い、大きな声援を受けていた。『青い豚の伝説』の演奏中には、コスモスの指示だろうか。客席にいる私とマリの所にスポットライトが当り、声援が来るのでマリと一緒に手を振っておいた。
 
博多ドームでアクアがライブをしている最中に昨夜東京に居た子たちや全国各地にいる信濃町ガールズとその保護者なども福岡市に集まってくる。それでアクアのライブが終わった後、1時間の休憩を取ってから、ドームそばのシーホーク・ホテルで§§ミュージックの新年会を行った。むろん全員にお年玉を配ったが、中身は貢献度に応じて3万円から30万円まで様々である。信濃町ガールズの子は原則として全員3万円だが、あの子たちはどうしてもコンビニや自販機の利用が多くなり、出演1回につき5000円もらっていてもお小遣いが足りない傾向があるから、その補充くらいにはなったろう。
 
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なお、新年会の間、政子は竜木さんに連れられて柳川にうなぎを食べに行っている。新年会に出したらアクアが困るようなことを言いかねない。
 
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夏の日の想い出・点と線(11)

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