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■夏の日の想い出・混乱と暴走(4)

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千里が曲を送って来てくれた翌日の5月22日の午後、私は神田にある和泉のマンションに行っていたのだが、そこに近くのマンションに住居兼東京事務所があるトラベリングベルズの海香さんがやってきて「何か食べさせてぇ」と言った。
 
「ここにはインスタントラーメンとか、レトルトカレーとかしかないけど」
と和泉が言っている。
 
「ああ、そんなんでいい」
 
それで結局、私が!出前一丁を3人分作って出した。
 
「すごーい。野菜が入っている」
「キャベツでも入れようかと思ったけどキャベツどころか何も野菜が無いから、冷凍室にあったミックスベジを入れた」
「うん。うちに生野菜があるわけない」
 

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「でも海香さん、今日は空帆ちゃんや奈々美ちゃんは?」
 
「ふたりとも大宮万葉(青葉)の誕生日パーティーに行っていて、多分今夜は戻ってこない」
と海香は言っている。
 
空帆と奈々美は海香の食事を作ったり東京事務所の事務や雑用などをする代わりにタダでそこに住んでいる。いわば住み込みの書生のようなものである。
 
「料理作り置きとかしておいてくれなかったの?」
「兄貴が来て全部食べ尽くしていた」
「孝郎さん来てたの?」
「うん。でも帰った」
「ありゃ。こちらに来てたのなら会いたかったなあ」
「旅館関係の組合の会合があって来てたんですよ。でも団体客の対応しなきゃというのですぐ帰って行った」
「忙しいなあ」
 
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「空帆ちゃんたちは、高岡まで行ったんですか?」
と和泉が尋ねた。
 
「いや、万葉さんがこちらに来た。万葉さんのお姉さんが赤ちゃん産んで、今万葉さんの彼氏の家にしばらく滞在しているらしくて」
と海香。
 
「あ、そういえばそうだった。自分のアパートじゃなくて、万葉の彼氏のアパートに居るんだ!」
と私。
 
「自分のアパートだと何かあった時、誰も助けてあげられないからって」
「そっかー。醍醐春海は最近ずっと合宿とか海外遠征とか続いているから」
 
「その赤ちゃん産んだ人と、醍醐春海さんと、大宮万葉さんが姉妹?」
と海香が訊く。
 
「そうそう。それで三姉妹」
「最初は全員男だったのが、性転換して全員女になったんだっけ?」
と和泉。
 
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「え!?そうなの?」
と海香が驚いている。
 
「今回赤ちゃん産んだ人が天然女で、あと2人が男から女への性転換組」
「あ、赤ちゃん産んだのなら天然女だろうね」
 
「でも醍醐春海は元男の子だったはずが、間違い無く赤ちゃん産んでる」
「じゃ半陰陽?フェイみたいな」
「というわけではないみたいなんだよね〜。そのあたりの事情がよく分からない」
 

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「まあそういう訳で、その赤ちゃん産んだお姉さんは出産直後で動けない。万葉さんの彼氏はその人を自宅に置いているから動けない。醍醐さんも色々忙しくて高岡まで行っている時間はない。それで、結局万葉さんが東京に出てきたらしい」
 
「つまり万葉が東京に出てきてるんだ!?」
「お昼くらいに高岡を出たはずと聞いた」
「だったら、今頃こちらに着いているくらいかな」
 
それで私はすぐに彼女にメールを送った。
《東京に出てきたのなら、もし可能だったら明日にでも会いたい》
 
それで結局、翌日の午前中に、私が大宮まで行って現地の料亭で会うことにしたのである。
 

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「遅ればせながらお誕生日おめでとう」
と言って、私はまず政子が銀座の洋菓子店で買ってきてくれたフルーツケーキを渡した。
 
「わぁ!ありがとうございます」
と言って、青葉が受け取る。
 
「政子がお気に入りの店で買ってきたんだよ。それとこれ、早月ちゃんの出産祝い」
と言って祝儀袋を渡すと青葉が一瞬「わっ」と声をあげた。
 
「ありがとうございます。これ重いんですけど〜」
「私と政子の2人分。ちょっと少ないかなとも思ったんだけど」
「じゃ取り敢えずこのまま渡します」
 
祝儀袋は、中田政子・唐本冬子と連名にしている。私と政子は夫婦の感覚なのでだいたいこの手のものを連名で出している。
 
たぶん私と政子の「夫婦感覚」は千里と桃香の「夫婦感覚」に近いんだろうなと私は時々思う。間違い無くお互いを愛しているのに、各々は別の恋人も持っている。そしてそちらの方が、世間的な意味でのカップルに近い気もする。
 
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またどちらも天然女性とMTFの組合せだが、天然女性側が夫で、元男性の側が妻であるのも似ている。私と政子の関係は精神的には政子が夫だが性生活では対等であって、タチとかネコといった関係も無く、道具なども使わない(鞭や蝋燭も雰囲気を出すためだけで実際に相手の身体には当てない)が、千里と桃香の場合は桃香が明確にタチで物理的にも夫の役割をしているようだ。恐らく世間的には彼女たちのように男女の役割が明確なレスビアン・カップルの方が多いのだろう。
 

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「でも済みません。お忙しい冬子さんの方からこちらまで来て頂いて」
と青葉は恐縮していた。
 
「まあそういう訳で氷川さんとも話し合ったけど、今年は千里の申し出を受け入れて、私は今回は歌唱・演奏に集中して、楽曲はみんなに任せることにした。自作曲はたぶん3曲。1曲は大学生時代に書いた『同窓会』という曲を手直しして使って、1曲は『Four Seasons』に使うつもりで4月に書いた『春の詩』という曲を使おうと思っている。『同窓会』は千里の言う迷走していた第3期の作品だけどね」
 
「でもあの区切りはさすがちー姉だなと思いました。確かにその付近のタイミングで冬子さんの曲って作りが変化しているんですよ」
 
「第1期と第2期の差は私が政子と出会ったことで起きたのだと思う。社会批判が強いのが政子の思想的な傾向で、そこからフォークに共感しているからね、あの子」
 
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「第3期は私と政子が完全に結ばれた所から始まっていると思うんだけど、あの時期、最初は今までにない新しい音の組合せに興奮してかなり斬新な曲作りをしていたんだよ」
 
「特にそれが凄いのがSpell on Youですよね」
「そうそう。キュピパラ・ペポリカと合わせて私の2大無国籍曲と言われているみたい」
「キュピパラ・ペポリカは曲は普通のポップスですが、歌詞が訳わかりませんね」
「ああいう訳の分からない歌詞を書ける政子は天才だと思った」
 
「そして第4期は青葉にヒーリングしてもらって、創作の泉を再発見した以降だね」
 
「そうなんですよ。あれは再発見なんです。第3期の冬子さんの曲は演奏が難しいものが多くて、ブルーノートみたいな動きが多いんですが、やはり無調音楽的なものと、ポップス作家というポジションとのすりあわせができなくなって不調に陥っていたんでしょうね。今から考えると」
 
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「うん。先日千里に指摘されてあらためて思った。彼女は第2期の頃から私の作品をたぶんいちばん近い所からずっと見ていたろうから」
 

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「しかし村上さんが社長に就任して以来、★★レコードの売上げが激減しているから、数少ない良好な売上げのアーティストにテコ入れするつもりなんだろうけど、ハッキリ言って邪魔」
 
と相手が青葉なので、私は正直な感想を言った。
 
「握手券とか投票券とか付けろと言われませんでした?」
「言われたけど、それは浦中さんが反対してくれた」
「ああ。まだ浦中さんは芸術を理解していますからね」
「若干センスは古いけどね。だから逆に***商法とか*****商法とかはかなり不快に思っているみたいだよ。あれはCD売上げ統計から外すべきだと言ってた」
 
「★★レコードは、年末に癌で入院していた滝口さんが退院して、年明けから『戦略的音楽開発室』を改組した『戦略的新人開発室』を立ち上げたけど、それで売り出した猫山ニャル子がいきなりソフトバンククリエイティブからクレーム入って猫山ニャン子にしたら今度は秋元康さんからクレームが入って、結局猫山ミケに落ち着いたけどCDを2回もプレスし直した割に売上げが3万枚も行かず、大赤字で」
 
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「大変ですね〜。せめてもう少し歌がうまければいいんですが」
「うん。オーディションまでやっておいて、なぜこの子を選んだ?という気はした。三つ葉の妹分なのに」
「今回テレビ局の協力が得られませんでしたしね」
 

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「ところで最近千里、どうかしたの?」
と私は訊いた。
 
千里に12日に作曲を依頼して、彼女は3曲書くと言っていたのだが、その内2曲を21日には送って来てくれて、実は今朝3曲目を送って来てくれたことを言った。
 
私は千里が現在アジアカップに向けてかなりハードな代表活動をしている最中なのに、わずか11日間で3曲も書いてきて、しかもそれがいづれもかなり品質のよい作品であることに驚いていることを話した。
 
すると青葉は驚くべきことを言った。
 
「実は先月、4月16日の夜に姉は落雷に遭ったんですよ」
「落雷!?」
 
「差していた傘に落雷したらしく、本人も意識を失って病院に運び込まれたのですが、1時間ほどで意識も回復したんです。傘も燃えてしまったし、服も若干焦げたりしていたのですが、本人は火傷とか怪我とかも全然してなくて。逆に無事なのを医者が不安に思って丸1日徹底的に検査されたらしいですが、異常無しということで解放されたんですよね」
 
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「全然知らなかった!」
 
「それで姉はどうもそれ以来、コントロールが効いてない感じなんですよ。元々姉は凄まじい霊的なエネルギーを持っていて、普段はそれを抑制していたのですが、今どうも暴走している感じで」
 
「確かに暴走かも!」
 
「わずか11日で3曲書いちゃったというのは、その暴走の現れかも知れませんね。ただ姉はだいたいメロディーとギターコードだけ書いて、スコア作成はお友達に頼んでいるようなので、それだけなら、激しい合宿の合間にも書けるかも知れません。今だいたい1日9時間くらい練習しているそうなので、食事や睡眠の時間を除いてたぶん作曲に使える時間が5時間くらいあるのではないかと思います」
 
「そういう事情だったのか」
 
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「むしろどんどん曲が出来ちゃって渡せる人がいなくて困っているのかも」
 
「まあそういうのはストックしておいもらえば、いづれ使えると思うよ」
 
と私は言った。
 

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その後、私たちはアクアのプロジェクトに関しても意見を交換した。今年のアクアのスケジュールは、2-7月が『ときめき病院物語』の撮影、8-10月に映画を製作して、11-1月にアクア主演の10代向けドラマという線である。但し7-8月は夏休みの大規模全国ツアーを行う可能性がある。昨年までは日程の関係で五大ドーム7日間のようなツアーしか組めなかったものの、今年はドラマ撮影と映画撮影の隙間を狙って全国12ヶ所ツアーくらいできるかも知れないという話もあった。ただそれでアクアが昨年のように体調を崩す程のハードスケジュールにはならないようにして欲しいと、青葉からもあらためて要望を出したということであった。
 
「実際問題として§§ミュージックの売上げの99%以上がアクアの売上げだし、TKRの売上げの80%がアクアの売上げなんだよ」
と私は言う。
 
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TKRの売上げの残り20%の内、12%くらいがステラジオである。ステラジオが所属するΘΘプロのアーティストも大半がTKRに所属するが、三つ葉だけはデビューの経緯から★★レコードになっている。但し森元課長が管轄する制作部JPOP課ではなく、日吉室長(係長待遇)が主宰するメディアミックス推進室の直属になっている。メディアミックス推進室は後続のオーディション実施にテレビ局側が消極的であるため、現在、事実上三つ葉のための部門と化している。テレビ局としては三つ葉の人気が安定しているので、わざわざそのライバルを作って混乱を招きたくは無いということのようだ。
 
「恐ろしいですね。アクアにスキャンダルが出たり、何かで人気急落したら、どちらも倒産必至ですよ」
「たったひとりの高校生の肩に何百人もの社員の生活がかかっているというのも凄いね」
 
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「でも実際そのリスク分散のためにどちらも分社化したんでしょ?」
と青葉は言う。
 
「そうそう。万一のことがあれば§§ミュージックは精算して§§プロに統合、TKRも精算して★★レコードに統合だと思う」
と私も言った。
 

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「だけどTKRの活動は着実に全国に定着して行っている。現在TKRと契約を結んでいるアーティストは全国で2000組にもなっている。彼らがマイペースで作品を発表し、ライブをすることができるのは、いわばアクアのお陰だね」
 
「その中からステラジオとかレインボウ・フルート・バンズといったクラスのアーティストが生まれるかも知れませんし」
 
「うん。だから松前さんはTKRを作ったんだと思うよ」
 
 
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■夏の日の想い出・混乱と暴走(4)

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