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■夏の日の想い出・分離(2)

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「私もこの1年頑張ってきたのですが、やはり立川ピアノ大先輩とかは、私が社長だとやりにくい面とかもあるのではないかと思って会長に相談したところ、では会社を分けようかということになったんです」
とコスモスは言う。
 
「途中抜けている世代があるんですね?」
「そうなんです。日野ソナタ(1984)と満月さやか(1989)の間に、春風アルト・夏風ロビンが抜けていて、秋風コスモスと川崎ゆりこの間に浦和ミドリが抜けてて、桜野みちる(1994)と品川ありさ(1999)の間に海浜ひまわり・千葉りいな・神田ひとみが抜けています。まあ明智ヒバリは少し特殊な位置付けで」
と紅川会長が説明する。
 
「明智ヒバリさんは引退しておられない訳ですか?」
「在籍しています。彼女は彼女なりの活動で、ちゃんと会社に貢献してくれていますし、彼女のCDは毎月1000枚以上売れています」
と紅川さんが言うと
「私のCDよりたくさん売れてますよ」
と日野ソナタが言い、記者席から苦笑が漏れていた。
 
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「桜野みちるさんは、若者会社の方でもよかった気がするんですが、コスモスさんと折り合いが悪いとかですか?」
と少々失礼な質問が入る。
 
「仲良しですよ。こないだ一緒に温泉に行きましたし、一緒に女湯に入りましたよ」
とコスモスが答える。
 
「わざわざ女湯と言わなくても、まさか男湯には入りませんよね?」
 
「そうですね。私も桜野みちるさんも男湯はちょっと無理ですね。こないだアクアは男湯に入ろうとしたら『中学生の混浴は困ります』と言って摘まみ出されたと言って困った顔していたので『私たちと一緒に女湯に入る?』と誘ったんですけどね」
 
「アクアちゃん、女湯に入ったんですか?」
と記者から質問が入る。
 
「その先は秘密で」
とコスモスが言うので、記者席がざわめく。
 
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「まあ、会社分割のほうですが、他が私も含めて活動状況が低迷している歌手ばかりなので、ひとり元気な子もちょうだいと言ったら、みちるちゃんをこちらにもらえることになったんですよ」
と日野ソナタが話を戻して言う。
 
確かに桜野みちるが居ないと、§§プロのアーティストというのは、ほとんど音楽活動をしていないアーティストばかりになってしまうだろう。
 
「ソナタさんもミニスカ穿いて新しいCD作ってライブしよう」
とコスモスが言うが
「いや、私はさすがにミニスカは勘弁して。代わりにアクアにミニスカ穿かせてよ」
とソナタは答える。
 
「賛成!」
という声が記者席からあがり、その後爆笑となる。
 
「じゃその件はアクアに提案してみよう」
などとコスモスは言っている。
 
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「今回の分社化はあくまで事務手続きなどの処理だけの問題なので、芸能活動としては、§§プロのアーティストも、§§ミュージックのアーティストも、どちらも§§系ということで、一緒にやっていきますので」
と紅川さんは説明した。
 

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そういう訳で、アクア・品川ありさ・高崎ひろか・西宮ネオンの4人は、1日にして、★★レコード・§§プロダクションのアーティストから、TKR(マリンレコード)・§§ミュージックのアーティストになったのであった。
 

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「せいこちゃんはどちらに行くの?」
と政子はコスモスに訊いた。
 
コスモスはアクアの次のCDの件でその日打ち合わせに来ていた。先日発売した3作目のCDでは、青葉に1曲書いてもらったのだが、今彼女は受験勉強の真っ最中なので、4作目では再び私が書くことになったのである。東郷誠一先生のほうは引き続き書いてくださるそうなので、4作目は2作目と同じ組合せになることになった。
 
「今井葉月はアクアに憧れているので§§ミュージックの方に。ヤング会社ですね」
とコスモス。
 
「凄い憧れているみたいね。結婚してもいいとか言ってたし」
「もしアクアとせいこが結婚するなら、アクアが花嫁かなあ」
と政子は妄想気味に言う。
 
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「どちらが花嫁でしょうね。別に男同士で結婚してもいいでしょうけど。うちは25歳までは結婚禁止ですが、それを過ぎたら男性とでも女性とでも結婚していいですよ」
とコスモス。
「いや、アクアは花婿になったとしてもウェディングドレスとか大振袖を着そうな気がする」
と私。
「ああ。するする」
と政子。
 
「あの子、欺されて着せられたとか言っている割に、振袖を喜んでいるみたい。かえってスカートとかより振袖が好きみたいだなあと思って見ているんですよね。何か小さい頃の思い出とかあるのかなあ、とかもチラリと思ったんですが」
とコスモスは言っていた。
 
「近所のお姉さんが振袖着てるのに憧れていたとか」
と政子。
「ひょっとして亡くなったお母さん(長野夕香)が振袖を着ていたのを覚えていたとか」
とコスモス。
 
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そんな話をした時、私は唐突に小学5年生の時に静花さん(松原珠妃)とそのお母さんと一緒にレストランに居た時、立派なスーツを着た高岡さんと振袖を着た夕香さんが一緒に居るのを見て、私ちょっと嫉妬したよなというのを思い出した。当時アクアは1歳半くらいのはずだが、あの時は誰かに預けて何かの記念の食事にでも出てきたのだろう。
 
「いや、アクアのことだから小さい頃、自分が振袖着せてもらったのかも」
と私は言ってみる。
 
「あり得るなあ」
と政子はキラキラした目で言った。
 

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「でも会社はやはりヤングとシニアなのかな?」
「日野ソナタ先輩は悪のりして、§§プロ・オールドと§§プロ・ヤングにしようと言っていたんですけど、それはさすがにまずいですよと言って日野先輩の会社が§§プロの名前を引き継いで、こちらは§§ミュージックになりました」
 
「コスモスちゃんって会社の株は持ってるの?」
「社長するんだから持ってなさいと言われて、無償で5%頂きました。昨年の配当は1万円でしたが」
 
「ささやかだね!」
と政子は言うが
「いや、株式を公開していない、内輪だけで株を持っている会社はしばしば利益を内部留保して、あまり配当しない傾向があるんだよ」
と私は説明する。
 
「全く配当しない会社もあるみたいですね。この業界には」
とコスモス。
 
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「でも今年の配当は大きいでしょ。アクアの売上が凄まじいはず」
と私。
 
「会計士さんが悲鳴あげてましたよ」
「突然売上が100倍になればね」
「100倍まではいきませんが、10倍にはなったと思います。経理もこれまで溝上さんが1人でやっていたのをとても手が回らないので芸能関係の経理を経験している人と、もうひとり建設会社の経理していた人を入れました。実は芸能関係の経理と建設会社の経理って少し似ているんですよ」
 
「へー!」
「どっちみち経理自体は実務を経験している人でないと無理でしょうね。未経験の子に1から教えている余裕もないだろうし」
 
「そうみたいですよ」
 

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「結局こういうことにしたよ」
と言って町添さんは震災復興イベントの新しい計画表を持って来てくれた。
 
■2月28日(日)12:00-14:00 復興支援ライブ(花)福島市みどり球場 2万人 
 アクア
■2月28日(日)16:00-18:00 復興支援ライブ(鳥)福島市みどり球場 2万人 
 ローズ+リリー
 
■3月5日(土)10:00-17:00 復興支援ライブ(風)福島市みどり総合体育館 6000人 
 桜野みちる 高崎ひろか 品川ありさ 川崎ゆりこ
 森風夕子 丸口美紅 光丘ひなの 北野天子 松梨詩恩 春野キエ
 篠崎マイ 遠上笑美子 南藤由梨奈 鈴鹿美里
 
■3月6日(日)10:00-17:00 復興支援ライブ(月)福島市みどり球場 2万人 
 Golden Six, Flower Four, チェリーツイン LLL 坂井真紅 富士宮ノエル  スリファーズ 槇原愛 丸山アイ ステラジオ 貝瀬日南
 KARION, XANFUS, AYA
 
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「まだ一部を除いてアーティスト側に打診していないので多少顔ぶれが入れ替わるかも知れない」
と町添さんは言っている。
 
「4日間もやるんですか!?」
と私は最初その表を見て言った。
 
「違う違う。3日間だよ。2月28日は前半がアクアで後半がローズ+リリーの単独ライブ」
「それチケットは別なんですね?」
「当然」
「あ、3月6日のラストはAYAですか?」
 
「打診したらやってくれるということだった。こんな大規模なイベントのラストを締めくくれる人は、相応のアーティストでないといけないから。AYAは別途東京都内でイベントをする方向で企画が進んでいたんで、こないだは入れてなかったんだけど、こちらに合流してくれることになった」
 
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「なるほどー」
 
「66000枚がソールドアウトした場合の売上は3億3千万円。これを岩手・宮城・福島3県に寄付」
「で費用は主宰者の手出し、ギャラ無し、交通費・弁当自腹ですね」
「うん。君たちのサマーガールズ出版の負担はたぶん2000万円くらいだと思う」
「OKです」
 
「会場スタッフも全員ボランティア。まあ彼らにはお弁当と宿泊費の補助までは出すけど交通費は自腹。但しアクアのイベントだけはお金を払って警備会社の人に入ってもらう」
 
「まあ、それだけは仕方ないですね」
 
「お金を払うのはそれだけだと思う。県も趣旨に共鳴して会場はタダで貸してくれるし。基本的にはこのイベントは売上を丸ごと寄付して、出演者やスタッフはいっさい報酬を受け取らないのがポリシー。★★レコードや◎◎レコードのスタッフもボランティアで参加してくれる社員でチームを組むから」
 
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「例によってアイドルの子たちの自腹は可哀想だから、ローズ+リリー、KARION, XANFUS, Golden Six あたりでその子たちの交通費とお弁当代は出しますよ。先日から和泉、音羽、醍醐とはその件話して同意してもらっています」
 
「Flower Fourもそれに1口乗せてと大林君が言っていたよ。あと貝瀬日南君も」
「そのあたりは余裕があるでしょうね。ではそのあたりで均等割にして」
 
「アイドルの子たちの交通費・弁当代は計算してケイちゃんにメールするから」
「了解です」
 
「でもゴールデンシックスは何人で計算するの?」
と政子が訊く。
 
「うーん。あの子たち1人で3人分だ!とか言ってるし6人分でカウントしていいと思う」
「なるほどー」
「まあ実際には千里が4人分くらい出すんじゃないかな」
 
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「冬が2人分出すのと似たようなものか」
「いや、それはケイが1人と蘭子が1人で。あくまでローズ+リリーのケイとKARIONの蘭子は別人で」
 
「その話は、もういい加減やめようよぉ」
と政子は言った。
 

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1月中旬のある日、私は偶然放送局で長野支香に会ったので先日コスモスたちと話した振袖の件で訊いてみた。
 
「ちょっと気になったのですが、お姉さんが亡くなった時、遺品の服とかは支香さんが引き取ったんですか?」
 
「私、夕香とは全然服の好みが違っていたのよね。夕香の服はたぶんうちの母が全部持って行ったはず。その後どうしたのかは知らないけどね」
「へー」
 
「でもどうして?」
「いえ。こないだ唐突に生前の夕香さんがすごく綺麗な振袖を着ているのを見たことがあったなと思い出したんですよ」
「それっていつ頃?」
「私が小学5年生の時の3月、2003年3月ですね。高岡さんとレストランでデートしておられたんですよ」
 
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支香は少し考えていた。
「3月何日か分かる?」
「ちょっと待って下さい」
 
私は自分の携帯の中に保存しているメモを確認した。
 
「2003年3月8日です」
「それは結婚2周年だよ」
「へー!」
「高岡さんと夕香は2001年3月8日に結婚式を挙げた。実は4月にワンティスのデビューが決まっていたから、駆け込みで既成事実を作っておきたかったんだよね」
「なるほど。でも婚姻届けは出さなかったんですか?」
「契約違反になるから」
 
その支香の言葉を聞いて、私は「結婚する」「結婚した」というのは、当人たちの意識の問題なんだろうなと思った。私と政子は法的には結婚できないが2012年3月に「結婚した」という意識を持っている。そして千里は・・・多分細川さんと結婚しているという気持ちでいるのだろう。たとえ法的な妻が別に居ても。
 
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「龍虎ちゃんの出生届けを出さなかったのも契約の問題でしょうか?」
「それ私も考えて後から契約書引っ張り出して確認してみたことあったけど、私たちの契約に異性交遊と結婚は禁止条項があったけど、出産を禁止する条項は無かったよ」
 
「つまり未婚の母になるのは構わなかったと?」
と私が訊くと、支香は笑っていた。
 

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夏の日の想い出・分離(2)

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