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■夏の日の想い出・The City(6)

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「でもさっき、沖縄のシーサーの子供って言った?シーサーって子供産んで増えるの?」
と桃香が訊く。
 
「そうそう。シーサーは哺乳類だから。両生類なら卵だろうけどね」
と千里が言う。
 
「男の子だったのに、子供産んだんだよ」
と政子。
 
「男の子が!?どこから産むのさ?」
と桃香。
「産んだ時は、一時的におちんちんが無くなって女の子になっていたんだよ」
と政子。
 
「ほほぉ!」
「きっと冬や千里や青葉や和実も子供産める」
と政子が言った時、青葉が一瞬ビクッとしたような顔をしたのが私は気になった。しかし桃香の関心は別の方に行く。
 
「だったら千里、私の子供を産んでくれないか?」
「ごめーん。私、こないだ子供産んだばかりだから、生理が再開するまで1年近く掛かると思う」
「千里、いつの間に子供産んだの?」
「内緒」
「誰の子供さ?」
「内緒」
「私の子供は?」
「桃香に精子があるなら産んであげてもいいけど」
「難しいな」
 
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「そういえば彪志君は就職先、決まったんだっけ?」
と私は尋ねた。
 
「おかげさまで内定しています。D製薬の調査統計部門です」
「製薬会社か!凄いね。勤務地は?」
「第1希望富山、第2希望長野、第3希望東京で出しています。どこに行くことになるかは分かりません」
 
「なるほどー、薬といえば富山だ。富山に行けたらいいね」
「ええ。青葉が東京方面には出てきてくれないみたいなので」
 
青葉が苦笑いしている。彼女はお母さん(桃香の母)に恩を感じているので、北陸から離れたくないのである。
 

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授与所を閉めて帰ろうとしていたら何だか見たことのあるようなテレビ中継車が停まる。
 
「じゃじゃじゃじゃーん。こんにちは〜。関東不思議探訪です。ケイさん、またお会いしましたね〜」
と元気な声でマイクを持った谷崎潤子ちゃんが降りてくる。
 
「よく会うね」
と言って私はカメラに向かって手を振った。
 
「おお、なんか新しいものが設置されている!」
と潤子ちゃんは早速設置されたばかりのシーサーに目を留めた。
 
「さっき設置したんですよ」
「これ狛犬じゃないですよね?」
「ええ。シーサーです」
 
「実はまた新しい台座ができていると聞いたのでレポートしに来たんです。ちょうど設置した所に来られて良かった。でもなんでまたシーサーがこんな所に?」
 
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「マリの趣味です。ゴジラとモスラを設置したいと言っていたのですが、シーサーで手を打ってくれました」
 
「ゴジラとモスラじゃ、権利使用料が高いのでは?」
「喧嘩されると困りますしね」
「確かに確かに」
 

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「神社設置者さんも、巫女さんもこんにちは」
 
「私、ここの神社辞めたんですけどね。今日はこのシーサーの設置のために特に鍵を預かってきたんですよ」
と千里が言っている。
 
「あら、おやめになったんですか?」
「まあ掃除くらいはしに来てますよ」
「ああ、つながりはあるんですね」
「一応設置者の姉ということで。それにここを管理しているL神社にも知り合いの神職さん、巫女さんたちがたくさんいるので」
 
「どちらかよその神社に移られたんですか?」
「越谷市のF神社に移動したんです。一応そちらの副巫女長に任命されちゃったんですけど、非常勤ということで」
「なるほどー」
 

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「でも神社にシーサーというのも面白いですね。沖縄みたい」
「沖縄の明智ヒバリさんがノロに就任なさったウタキのシーサーの子供なんですよ」
「へー!」
 
「向こうのシーサー君たちと機会があったら見比べてください。同じ形していますから」
と千里は笑顔で言っている。
 
「おお、今度沖縄出張探訪とかしてくれないかなあ。私、A&Wのハンバーガー食べたい」
などと潤子はアピールしている。
 
「でもシーサーも子供産んで増えるんですか?」
「そうですよ。シーサーって哺乳類なんです」
「すごーい!」
 
それで潤子ちゃんはシーサーの像を見ていたが
「この子たちは両方ともオスなんですね」
と言う。
 
「でもこちらのシーサーには秘密があるんです」
と言って千里は右側のシーサーのお股の所に手をやると、おちんちんを外してしまった。
 
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「え〜〜〜!?」
「この子は女の子にもなるんです。でも女の子にしておくと、左側の男の子とHして子供作っちゃって、始末に困るんで、子供ができないように、普段はこうやっておちんちんくっつけて男の子にしてるんです」
 
と言って千里はおちんちんをまたはめてしまう。
 
「これ簡単に外れるんですか?」
「済みません。鍵があるんです」
と言って千里は小さな鍵を見せる。
 
「その鍵で取り外せるんですか!?」
「ええ。性転換可能なシーサー君です」
「性転換はいいですけど、この子本来は男の子なんですか?女の子なんですか?」
「それは秘密です」
 
「なんか凄い秘密を知ってしまった。性転換したい人はここに来て、この右側のシーサー君を拝むと、願いが叶うかも」
などと谷崎潤子ちゃんが言っているので、私はまた変な参拝客が増えないか?と心配になった。
 
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中継が終わってから潤子ちゃんが
 
「でも私この神社の裏手からの景色も好きなんですよ」
と言って裏手の方に行くので、みんなそれに付いていく。
 
「C大学のキャンパスも見えるけど、高速道路の高架も美しいですよね」
と潤子。
「都会の美ですね。私は好きですよ」
と桃香が言っている。
 
その会話を聞いて、私はハッとした。そうだ『The City』って最初の発想はそういう都会の美だったよなということを今更ながら思い出したのである。
 
「ここは千葉市内をほぼ一望できる感じ」
「ここからの景色って結構ネットにも投稿されているようですよ」
「わあ、そうなんですか」
 
そんなことを言っていた時、潤子が
「あれ、あそこ煙があがっている」
と言う。
 
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見ると、どうも千葉市内の結構中心部の所から煙が上がっている。
 
「火事ですかね」
と彪志が言ったが、青葉がその方角を見て「え〜?」という顔をしている。青葉が千里の顔を見たが、千里も厳しい顔をしていた。
 
「どうかしたの?」
と私は訊いた。
 
「あれ燃えているのは、私と桃香が3月まで住んでいたアパートだよ」
と千里は答えた。
 
「え?そうなの。何か近所かなと思ったけど」
と桃香。
 
「私も多分あのアパートだと思った。千里姉もそう感じたのなら間違い無いと思う」
と青葉が言う。
 
「よく分かりますね。おふたりとも視力いい方?」
と潤子が尋ねる。
 
「私、視力5くらいあるんじゃないかと言われたことはありますね」
と千里。
 
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「2km先のライオンが見える世界ですか?」
「ライオンに遭遇したことがないので何とも」
「まああまり遭遇したくないですね」
 

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そこでしばらく話した後、帰ろうということになる。みんなで境内のゴミを拾い袋にまとめる。潤子ちゃんや撮影スタッフさんたちも手伝ってくれた。千里が授与所の戸締まりを確認してから、各々の車に戻るが、私は青葉がアテンザの運転席に就くのを見て声を掛けた。
 
「青葉、運転免許取ったの?」
「取りました」
と言って彼女は笑顔で自分の運転免許証を見せてくれた。
 
「あれ?グリーンじゃないの?」
 
初めて運転免許証を取った人はグリーンの帯なのだが、青葉の免許証はブルーの帯になっているのである。
 
「最初に取ったのはグリーンでしたけど、1日でブルーに変わりました」
「へ?」
 
と思って免許証を良く見ると、原付・小特・普通という3つの種別が印刷されている。
 
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「もしかしてフルビッター狙い?」
 
「3月にKARIONのツアーで楽屋にお邪魔した時、和泉さんに取り立てのフルビッター免許証を見せていただいたんですよ。それもいいなあと思って、私も狙ってみることにしたんです」
 
「なるほどー」
「だから学校の許可を取って、まず原付の免許取りに行って。一発合格したので、翌日また小特の免許を取りに行って。これも一発で合格したから、私はグリーン免許持っていたのは1日だけです」
 
「凄い」
「あんたフルビッター狙い?と運転免許センターの人に言われました」
「まあ、小特とか牽引二種とかはフルビッター以外で持っている人は少ない」
 
「そうみたいです。それで夏休みから9月に掛けて自動車学校に通って9月29日に普通免許を頂きました。実は自動車学校に行くのは9月までというのが学校の指針だったので。でも8月19日までインターハイやってたから、凄く厳しい日程での取得でした」
と青葉は言うが
 
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「青葉は自動車学校に通わずに最初から一発試験受けても普通免許取れたと思うけどね」
と横から桃香が言う。
 
「それやると色々と突っ込まれるから」
「自動車学校でも教官からあれこれ言われただろ?」
「まあ、そのあたりはプライバシーということで」
 

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