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■夏の日の想い出・The City(4)

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9月下旬には『短い夜』『通勤電車』と制作をした。
 
『短い夜』はワールドツアーの時にごく短時間で夜が明けてしまうのを見て書いた曲であるが、曲としても2:30という短い曲に仕上げている。
 
しかし中身としてはひじょうに濃い曲である。
 
リズム楽器を入れずにアコスティック・ヴァージョンのスターキッズで演奏している。またヴァイオリン奏者を6人入れて夜のしじまを表現し、曲の最後はトランペット・トロンボーンの明るい音で終わっている。
 
その後に小さな声で「え?もう終わり?」という声が入っているが、これはマリの声である。練習を始めた時に、本当にマリが言ったことばで、偶然録音していたので、面白いから使おうということになり、そのまま使用している。
 
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短い曲ではあるが、多数の演奏者の息を合わせるのに苦労し、また録音されたものを聴いた上での調整という作業が思った以上に大変で、制作には一週間以上掛かっている。
 

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『通勤電車』は葵照子・醍醐春海から提供してもらった曲である。葵照子が医学部を卒業し、今研修医として毎日電車で通勤しているので、その満員電車に詰め込まれる日々から発想した曲である。
 
実は私の周囲にはこのような経験をしている人が少ない。
 
私も政子も高校時代は電車通学をしているものの、都内でも周辺部なので都心部のあの無茶苦茶な密度の電車はあまり経験していない。スターキッズのメンツで会社勤めを経験しているのは月丘さんと酒向さんだが、月丘さんは熊谷市内での通勤、酒向さんは平塚市内での通勤だったらしい。
 
千里は千葉市内に住んでいて千葉市内の大学やバイト先に通っていたが、自転車やスクーターを使用していたという。4月以降は一応?都内に引っ越して来て会社勤めになったはずだが、そもそも周辺部だし、アパート最寄りの駅と勤務先最寄りの駅はわずか1駅(但し1.8kmある)である。夕方、江東区内の体育館に移動して40 minutesの練習に参加すると言っていたが、通常の通勤とは逆方向になる。
 
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和実は毎日都心の大学とお店に通学通勤しているものの、あの子はふつうの人と移動する時間帯が大幅にずれている。
 
結局ああいうシビアな通勤を経験しているのは葵照子だけだったようである。
 
この曲は、電車が走っているような感じのスネアの音のリズムに合わせ、月丘さんのキーボードのみを伴奏として私とマリが歌っている。ところどころ七星さんのサックスが絡むという構成である。近藤さんと鷹野さんはお休みでコーヒーを飲みながらサウンドチェックをしてもらった。
 

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10月に入って『ハイウェイデート』『ファッションハウス』の制作をした。
 
『ハイウェイデート』は上島先生から頂いた曲で、抑揚を押さえてまるで打ち込みで作ったかのようなドラムスとベースの音に乗せて演奏している。同じパターンの繰り返しも多く、ハウスっぽい感じの仕上げにした。
 
PVでは雨宮先生が所有するエンツォフェラーリに私とマリが乗っている所を撮し、背景をブルーバック合成している。町中(さいたま市内)でエンツォフェラーリに乗り込むところだけが本物だが、実際には運転していない。撮影現場まで車を持ってきたのは千里である。千里は国際C級ライセンスを取ったということで(無茶苦茶忙しそうだったのに、よくそんなものまで取ったものだ)、雨宮先生が自分が運転するより安心だと言って任せたらしい。
 
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後ろに映した背景は磐越自動車道を走るエルグランドの後部座席から撮した映像を使用している。磐梯山が美しかった。撮影したのは★★レコードのスタッフで運転したのは佐良さんである。
 
『ファッションハウス』はスイート・ヴァニラズから頂いた曲である。Eliseの産休中は私たちをはじめとする08年組や青葉がいろいろ支援したので、その御礼にともらった曲で、宮本さんを入れて Gt1/Gt2/KB/B/Dr というスイート・ヴァニラズと同じ構成にして演奏している。それに私たちの歌と七星さんのサックスを乗せた。
 
PVではセットで作ったファッションブティックで私とマリが品定めをする様子が撮されている。私はすんなりと赤いドレスに決めてさっそく身につけるのだが、マリの方は白い服をあれを出させ、これを出させて、出してきた服がたくさん積み上げられていく。
 
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このマリの注文に応じてたくさん服を出してあげている店員を演じているのは、チェリーツインのドラマー・桃川春美さんである。(私に服を出してくれたのは同じくチェリーツインの「歌わないボーカル」気良星子さんであった。
 

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10月初旬に風帆伯母から呼び出されて私は名古屋に1日行ってきた。
 
叔母の民謡教室でCDの制作をしたいということであったが、私はけっこう基本的な話から説明する羽目になった。2〜3時間で済むと思うからと聞いていたものの、そういう訳で話し合いが終わったのはもう夜の20時過ぎである。そのまま名古屋市内のホテルに泊まることにし、叔母たちと割烹で食事をした後で22時近くに別れた。
 
それで夜の町を散策していたら、カラオケ屋さんの前に居た背の高い女性がギクッとしたような顔をして顔を伏せた。彼女がそんなことをしなかったら私はきっと彼女に気づかなかった。
 
私は彼女のそばに寄って小声で訊いた。
「ねえ、まさか松山君?」
彼女は恥ずかしそうにコクリと頷いた。
「松山君、女装するんだ?」
「もっと小さな声で」
 
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私は充分小さな声で話していたつもりなのだが!?
 
「ここに居ると目立つよ。どこかお店に入るか、ホテルとかに行く?」
「唐本さんはこちらは出張?」
「うん。どこかホテル泊まらなくちゃと思ってた。松山君も出張?」
「うん。今晩は栄のアパホテルに泊まる」
 
「じゃ空きがあったら私もそこに泊まろうかな」
 

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結局タクシーでホテルまで行く。幸いにも空きがあったので、私もそこに泊まることにし、とりあえず1つの部屋に一緒に入った。
 
「まさか名古屋で知り合いに遭遇するとは思わなかった」
と松山君はホッとしたような顔で言った。
 
「けっこう様になっているよ。充分女性に見える。そういえば、元々小さい頃は女の子になりたかったんだと言ってたね」
 
「うん。それはそうだけど、僕は男として生きる道を選んだんだ」
「でも時々女装したくなるんだ?」
 
「他の人には内緒にして」
「別に言いふらしたりしないよ」
 
「実は政子と付き合っている時は、結構女装させられていたんだよ」
「まあ、あの子はそういうのが好きだから」
 
「政子と切れてから女装の機会が無くなって・・・名古屋に出張に来て、知り合いに会うことないだろうからと、つい昔の癖が出てしまって」
 
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「女の子の服、持って来てたの?」
「一式買った。でも持って帰ると露子に見付かるし、どうしようと思ってた」
「じゃ私が持って帰るよ」
「助かる!捨てるのはもったいないし」
 
「取っておいてあげるから、東京に来た時に着てみるといいよ」
「いや、東京だとたくさん知り合いが居てやばい」
「ふふふ」
 

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「でも政子とは最終的にじっくり話し合ってから別れることができて僕としても少しは気持ちが楽になったよ」
 
と松山君が言うので、私は驚いた。
 
「いつ政子と会ったんだっけ?」
「あ、唐本さんには言ってなかったのか。実は8月9日の日に会ったんだよ」
 
え!?
 
それは山村星歌の大阪ライブにゲスト出演した日だ。あの日、ライブが終わった後で政子は東京から来た美空とふたりで「粉もん」の食べ歩きをしたと言っていた。
 
そうか。そういうことにしておいて、政子は実際には松山君と会ったのか、と私は思い至った。美空はアリバイ作りの共犯なのだろう。政子と美空が食べ歩きをしたと言ったら誰でもそれを単純に信じる。
 
そうか!だから政子はその「食べ歩き」をした後、山村星歌との夕食でふだん以上の食欲を見せたのか、と私はあの時の政子の「胃力」にも納得がいった。
 
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「いけないこととは思ったけど、ホテルで会って、セックスもした。それでサヨナラということにしたんだよ。政子からは結婚祝いまでもらった」
 
なんか政子も千里みたいなことしてるなあと私は思った。
 
「でもお互いスッキリしたら、それでいいんじゃない?」
 
「うん。政子には悪いことしちゃったとずっと思ってたから、僕も少しだけ罪悪感が減った感じで」
 
「その分、奥さんを大事にしてあげなよ。いつ結婚するの?」
 
「11月に結納を交わして、来年の4月30日・友引に式を挙げる予定」
「ゴールデンウィークの先頭か」
「そうそう。それでゴールデンウィークに新婚旅行に行く」
「混んでそう!」
「そんな気がする。まあハワイに行くつもりだから、向こうはそんなでもないかもしれないけど」
 
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「きっと日本人観光客だらけだよ」
「そんな気もするんだよ!」
 
彼は、こういう話ができる相手がさすがに居ないからということもあったのだろうが、彼なりの政子への思い、そしてここ1年ほどの揺れに揺れた自分の心などもたくさん話した。
 
私は彼がそういう話をすることで気持ちの整理が付き、彼と露子さんの幸せにつながればいいなと思い、彼のことばを聞いていた。
 

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10月中旬に青葉がちょうど東京に出てきたのを捕まえて、『ダブル』の収録を行った。
 
この曲は『たまご』と対のような曲で、細川京平の誕生に関わる様々なできごとや、アクアの『ときめき病院物語』『ねらわれた学園』での演技なども関わっている。ダブルキャスト・ダブルロール・ボディダブル・ダブルラブなどといったものが絡み合っている。
 
この曲は演奏者がひたすら二重化されている。
 
ギターは近藤さんと宮本さん、ベースを鷹野さんと香月さん、キーボードを月丘さんと山森さん、サックスを七星さんと青葉、フルートを風花と七美花、ヴァイオリンを松村さんと長尾泰華さん、そして歌唱者は私とマリ。
 
その各々が上になり下になり、二重螺旋のように絡み合っているのである。
 
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メロディー自体はむしろシンプルであり、氷川さんは
「カラオケでも歌いやすいですね」
と言っていた。ローズ+リリーの曲は「聴いてもらう」ことを主体として制作しているので、あまり歌うことは考慮していない。概して難易度の高い曲が多い。しかし今回はマリにもメインメロディーの一部を取ってもらわないといけないこともあり、音域もあまり広くないし、難しいスケール進行も無く、確かに歌いやすい曲に仕上がった。
 
「ケイさん、これまるで子供でも作るかのような曲です」
と青葉が言っていた。
 
「まあちょっとあの子に関わることでね」
と私が言うと、《あの子》だけで分かったようで、納得していたようである。
 
「じゃこの曲、ケイさんも知っているある女の子に聴かせてあげたいのですが」
「うーん。漏れないように管理してもらえるならいいよ」
 
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「ありがとうございます。10ヶ月後に赤ちゃんできるかも」
「へー。不妊治療か何かしてるの」
 
「そうですね。。。不妊治療の一種かな」
と青葉はその時言ったが、その内容を聞いて私は後に絶句することになる。
 

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『ダブル』のPVは、今年の6月に国内某所でたまたま撮影された二重虹の映像を利用してそれに合成する形で制作した。
 
内側の虹(主虹)の上を私が、外側の虹(副虹)の下側を逆さまになってマリが歩いている。ふたりともレインコートを着て可愛い傘をさしており、私は左側から、マリは右側から歩いて行き、ちょうど真ん中のところで出会う。そして、お互い逆さまになっている状態で笑顔でキスするのである。
 
私とマリがキスするのは、しばしばステージ上で興奮したマリが私に飛び付くようにしてキスしているので、珍しいことではないのだが、このシーンに加藤さんが「ちょっと待って」と言って悩み、町添さんと相談した。町添さんも少し悩んだらしいが、実際の映像を見た上で
 
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「まあふたりも10代じゃないし」
ということで、やっと許可がおりた。
 
PVの後半では、私もマリも下の虹(主虹)の上に座って、足をぶらぶらさせながら一緒に歌を歌っている。
 
そこにKARIONの和泉・美空・蘭子・小風の4人が副虹の方を歩いて来てお花を渡してくれるシーンがクライマックスになっている。ここで私に花を渡すのは和泉と小風、マリに花を渡すのは蘭子と美空である。
 
さり気なく、ケイと蘭子の同時出演映像になっている。
 
なおこの映像が公開されると
「美空ちゃんがマリちゃんに渡すのならお花じゃなくてお団子で良かったのでは」
などと言われていた。
 

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今回のアルバムで最後に制作したのが『モバイル・ガールズ』である。これはXANFUSの楽曲作者、神崎美恩・浜名麻梨奈が提供してくれた曲である。昨年のXANFUSのトラブルに関しては、私たちも結構支援をしたので、その御礼にということで頂いた曲である。
 
神崎・浜名ペアの作品らしい、小気味の良いダンスナンバーである。スターキッズにも、乗りの良い演奏をしてもらい、私たちも踊りながら歌ってこの曲を仕上げたが、歌自体はあとで別録音して差し替えている。
 
この曲のPVはディスコに50人くらいのエキストラ(全員プロのダンサー)を入れて曲に合わせて踊りまくってもらっている。私とマリは円形のお立ち台のような所で踊った。照明もこういう場所での照明になれている方にお願いした。
 
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このPVの撮影が終わったのが10月20日で、これで『The City』の音と映像の収録作業はひととおり終了した。
 
 
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