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■夏の日の想い出・The City(5)

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(C)Eriko Kawaguchi 2015-12-29  
アクアが主演する『ねらわれた学園』の第3回目が10月下旬に放送されたが、とうとう姿を現した「謎の少女」高見沢みちるについて、ネットでは激しい議論が巻き起こった。
 
今回の放送では、生徒会の会長選挙で生徒指導主任もお気に入りの候補と泡沫候補しか居なかった所に唐突に高見沢みちるが立候補し、強烈なアジテーション演説で、みるみると生徒たちの支持を取り付けていくところが描かれている。
 
しかしネットの住人たちが問題にしたのが、その高見沢みちるの顔が一度も映されなかったことである。しかも高見沢みちる役は番組冒頭のキャストクレジットにも表示されなかったのである。
 
端役ならいざしらず(実際西湖は1回目でも2回目でもセリフがあったのに役名も役者名も表記されなかった)主人公・ヒロインに次ぐ重要な役柄である高見沢みちるのキャストを表示しないというのは異常である。
 
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それで噂が飛び交う。
 
「高見沢みちるは実はCGなのでは?」
「声は?」
「ボカロイドだよ、きっと」
 
「さすがにCGであれだけ精巧に作るのは時間がかかりすぎだし予算も掛かるよ。たぶん超大物女優なんだと思う」
「しかし10代の女優で、名前を隠すほどの大物って誰だよ?」
「そもそも声は聞いたことない声だったぞ」
「声色を使っているのかも知れん」
 
「10代である程度演技力もあり名前も売れているといったら***か***あたりだろう」
「それはあり得るけど、名前を隠す意味が分からん」
 
「女優じゃなくてアイドルなのでは? 森風夕子とか北野天子とか、あるいは春野キエ・松梨詩恩あたり」
「待て。ひょっとして主題歌を歌っているのに、出演していない品川ありさということは?」
 
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「ああ!それはあり得る!」
 
「でも品川ありさって声色使えるの?」
「聞いたことないけど、実は隠していた特技かも知れん」
 
それで何人かの「高見沢みちる候補」の名前が挙げられた上で、品川ありさが結構怪しいというところに意見は集約されていく。しかしツイッター上で質問を受けたありさは「高見沢みちる役については、番組で公開されるまで一切話してはいけないことになっているので」とだけコメントした。
 
しかしそのありさのコメントで逆にありさ説の支持者は増えた感じもあった。
 

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「へー、名前をもらったの?おめでとう」
と私たちは天月西湖(あまぎせいこ)の報告に祝福した。その日私とマリは用事があって放送局に来ていたのだが、そこの廊下で遭遇したのである。
 
「今井葉月(いまい・ようげつ)と言うんです」
 
と言って彼は可愛いライトグリーンの名刺を私とマリに1枚ずつくれた。ドラマには女子中学生役で出演しているが、今日の彼は学生服を着ている。たぶん局に出入りするときはちゃんと普通の制服を着ていなさいと言われているのだろう。
 
名刺は顔写真とQRコードが左側に入っており、俳優・今井葉月と書かれ、§§プロの名前と住所・電話番号・URL・メールアドレスも入っている。
 
「このアドレスは西湖ちゃん直通?」
「いえ。マネージャーの沢村さんが受信します。必要なものだけこちらに転送してもらえるようになっています。あ、私の直通個人アドレスはこちらに書いておきますね」
 
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と言って、西湖は自分のアドレスを横に付記した。
 
「このアドレスは私以外は見ませんので」
「了解〜」
「じゃ悪い相談をする時はそちらに」
「あはは」
 
「女子生徒役をしていること、クラスメイトから何か言われた?」
「今のところ誰も気づいてないようなので、バッくれてます」
「あはは」
「まあ、ウィッグも付けてるしね」
「声も女の子の声だし」
「ええ。このまま気づかれなければいいんですけど」
「なんで〜?気づいてもらえばいいのに」
「恥ずかしいです!」
 
そんな彼を微笑ましく思って見ていたが、ふと名刺を見ていて私は思った。
 
「葉月って名前、西湖ちゃんは8月生まれ?」
「はい、そうです。実はアクアさんと同じ8月20日生まれなんです。こちらが1年下ですけど」
「へー!」
「それで体型も近いし、ボディダブルにいちばんいいと言われたんですよ」
「何か縁があったんだろうね」
 
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「でもアクアさん、ほんとに演技が上手いです。1つ年上とは思えない上手さなんですよね。歌も上手いし、可愛いし」
「西湖ちゃんだって可愛いのに」
「いや、全然かないません。僕、ほんとにアクアさんに憧れているんですよ。付き人でもしたい気分だけど、うちのプロダクションは付き人という制度は無いんですよね」
 
彼を見ると純粋にアクアに憧れているようだ。1つ違いであればライバル心を持ってもいいくらいだと思うのだが、きっとアクアの性格に惚れ込んでいるのだろう。アクアは温和な性格で、あまり敵を作らないタイプである。
 
「そうそう。仕事場に行くのも基本は公共交通機関でしょ?」
「そうなんです。特に急ぐような場合以外は。秋風社長とか川崎副社長も電車での移動が多いらしいんですよね」
 
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「アクアに憧れているなら結婚したいくらい?」
などと政子が茶々を入れる。
 
すると西湖は困ったような顔をして言った。
「あのぉ、それどちらがお嫁さんになればいいんですか?」
 
「じゃんけんで」
「え〜〜!?」
 

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9月下旬に氷川さんが個人的に私と話しておきたいことがあると言って早朝にマンションに来訪した。この時間帯を選んだのは、政子が確実に寝ていると見ての選択だったようである。私と氷川さんが2人だけで話していて政子を放置し、その間に何か変なことでもされては困る。
 
「先日私と八雲春朗(やくも・はるあき)さんが話している所を見て、ケイさんが変に思ったのではないかと思ったものですから。ちょっとその件に関しては実は加藤からも少し注意されたんですよ」
と氷川さんは言う。
 
「私は別にプライベートなことは気にしませんよ」
と私は答えておく。
 
「春朗さんとは3回デートしました」
と氷川さんは言う。
 
「結婚なさるんですか?」
「お互いにその意志は無いつもりです」
「うーん。そういうのも構わないと思いますが」
 
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「加藤からは結婚するならする、しないならきちんと切れるかどちらかにしろと言われたんです」
「結婚したくないんですか?」
「私は正直、結婚しても仕事は続けたいんですよ。加藤や町添からもできるだけ結婚しても辞めないで欲しいと言われています」
と氷川さんは言う。
 
私は頷く。
 
「でも春朗さんは結婚する以上専業主婦になってくれと言います」
「まあそういう男性は多いですね」
「加藤としていちばん困る事態は、私と春朗さんの関係がこじれて、彼が★★レコードの歌手に曲を提供するのに抵抗感を感じるようになるケースなのではと私は想像しました」
 
「まあ加藤さんとしては心配するでしょうね」
 
八雲春朗は、セールスとしてはそんなに大きくないかも知れないが、かなりの数の演歌歌手の歌詞を書いている。おそらく年間提供数は100曲を越える。★★レコードにとっては大作家のひとりだ。
 
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「私は万一こじれたら辞職しますと言ったのですが、今私に辞められたらローズ+リリーのプロジェクトが困ると加藤から言われたんです」
 
「難しいですね!」
 
「ですから春朗さんと話し合って、恋愛関係は清算することにしました。お互い友だちという関係でならいいということにしました」
 
なんか氷川さんまで千里みたいなこと言っていると私は思った。
 
「それで本当にいいんですか?」
 
「最後に1晩いっしょに過ごして、それで最後にしたんです」
 
と彼女は言う。それって政子と同じパターンか?千里は細川さんといったん友だちに戻ると話した時、やはり「最後のセックス」をしたのだろうか?千里以外とどうしてもセックスができないらしい細川さんにとってはそれは人生最後のセックスになった可能性もある。
 
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「少なくとも私の見解では、お互いまだあまり深入りしていなかったから、ちゃんと友人関係に戻れるつもりです。この件、加藤にもそれで報告しましたが、ケイさんも心配しておられるかも知れないと思ったので」
 
「まああまり難しく考えない方がいいですよ。男性って、かえって結婚は無いということになると、安心して女性と付き合ったりできるものです。純粋に快楽目的でセックスしないかと言われたりするかも知れないし」
 
「後腐れ無しなら、その程度は応じてもいいんですけどね」
と氷川さんは言っていた。
 
ますます千里たちみたいだ!
 
私は彼女と八雲礼朗(やくも・のりあき)さんとの間にも何かあるのではという気がしたものの、その日はそのことまで聞くのははばかられた。
 
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10月11-12日(日・祝)に私たちは、ちょうど東京に出てきた青葉に参加してもらって『ダブル』の音源制作をしたのだが、その時、青葉が設立した千葉の玉依姫神社に置く狛犬代わり?のシーサーの像ができていたので、その設置作業も一緒にすることにした。
 
13日(火)の午前中、私と政子はリーフに乗って現地に行く。青葉は12日は深夜遅くまで音源制作をしていたので桃香たちのアパートに泊まっていた。それでそちらは千里が運転するアテンザワゴンに乗って桃香も一緒に千葉に向かった。千葉市内で彪志君を拾ってから現地に入るということだった。
 
私たちが神社の駐車場に車を駐めたまま少し待っていると赤いアテンザが来て隣に駐める。
 
「お疲れ〜」
と声を掛け合う。千里も青葉も巫女服を着ていた。
 
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今日は平日なので、御札授与所は閉まっている。ここは土日祝日だけ開けることになっている。しかしシーサーはこの授与所の中にいったん置かれているので、千里が預かっていた鍵でそこを開けて、新しいシーサーたちと対面する。
 
「おお、可愛い」
と政子は喜んでいる。
 
「かなり大きなものだね」
と初めて見た桃香が言う。
 
「3Dプリンタで印刷したんだけど、このプリントに1体1週間掛かっているんだよ」
と私は説明する。
 
「そんなに!」
「でもそれ以前にコンピュータ内でシーサーの形をきちんと調整するのに3ヶ月掛かっている」
「たいへんな作業だな」
「でも沖縄に置かれているこれのオリジナルは美術の先生が1年がかりで作ったらしいから」
「それも凄いなあ」
 
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私たちが神社に到着してから20分もすると、業者さんが来たので、そのシーサーを台座の上に置き、セメントで固定してもらった。
 
そして業者さんが帰ってから、青葉が小さなシーサーのキーホルダーを取り出し何か呪文のようなものを唱えると、明らかにシーサーの雰囲気が変わった。
 
「魂を入れたって奴?」
「ええ。沖縄のシーサー兄弟の子供をヒバリさんからお預かりしていたので、それをここに移しました。移す呪文は、特別にヒバリさんから教えて頂いたんですよ」
 
「へー、どんなの?」
と言って政子が覗き込むので私は
「勝手に見ちゃダメ」
と注意したが、青葉は
 
「別に構いませんよ。私以外が唱えても効果無いですから」
と言う。
 
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「ああ、やはりある程度修行をした人でないとダメなのね?」
と私が言うと。
 
「そうそう。この手の呪文は私や冬のような素人が唱えても効果無いよ」
と千里が笑いながら言っている。
 
うーん。。。千里は素人ではないような気もするのだが!?
 

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