広告:ヌーブラ・ビーチ-キュート
[携帯Top] [文字サイズ]

■女子社員ロッカー物語(1)

[0目次][#次頁]
次頁目次

↓↑BottomTop

(C)Eriko Kawaguchi 2013-07-27 based on the story 2001-11-05
 
俺は大学4年間、ひたすらロックをやってた。大学に入って福岡の町に出てきてすぐ、友達に誘われてロックバンドを組んだ。最初ガソリンスタンドでバイトしてお金を貯めてギブソンのフライングVの形の格好良いギター買って、コードもよく分からないまま掻き鳴らして、俺たちはとにかくロックした。
 
俺は基本的にはリズムギターでボーカルだった。俺の声はハイトーンなので、俺たちの作った自主制作のCD聴いて、何とかレコードの人がてっきり女の子ボーカルのバンドかと思って見に来たものの、野郎4人で演奏してたんで、何だかガッカリした顔して帰っちまって2度と来なかったな。
 
↓↑BottomTop

それで色々なバイトしてはロックして、ロックして、何か勉強したっけ?と思いつつも俺たちは卒業とともにバンドを解散することにした。卒業式の日にライブハウスで演奏した後、西新の居酒屋で解散会を開いた。
 
「4年間楽しかったな」
「また時々、同窓会みたいにして演奏できるといいな」
 
なんて、俺たちはビール飲みながら語り合った。
 
「ところでお前達どこに就職するの?」
「俺は筑紫電力」
「すげー! そんな所によく通ったな」
「俺はフォニーだよ」
「お前もよくそんな所入れたな。俺は名も無い小さなソフトハウスだよ。会社も雑餉隈の駅から歩いて15分は掛かる辺鄙な場所。社員20人くらいかな。俺も大きな所たくさん受けたんだけどなあ。元々3浪して大学に入ってるから、大手はほとんど門前払いでさあ」「ああ」
「井河はどこ行くの?」
 
↓↑BottomTop

と俺は訊かれたが、俺はむしろみんなの就職先が決まっていることに驚いていた。 
「俺、まだ何も決めてない」
「へ? まだ決まってないのか? 大変だな。何社くらい受けたの?」
 
「いや、みんながもう就職先を決めてるのに驚いてた。就職先探しって大学卒業してから始めるもんじゃなかったの?」 
「はぁ〜〜〜!?」
 
他の3人から呆れられた。
 
「お前、何馬鹿なこと言ってんの?」
「就職探しは早い奴は大学2年の内から始めるぞ」
「そうなの?」
「遅い奴でも大学4年の春にはあちこち会社訪問に行く」
「知らなかった」
 
「じゃ、お前これまで何も就活してなかったの?」
「うん」
「有り得ねぇ〜〜〜〜!」
 
「俺・・・どうしよう。大学の学生課とかで訊けばいいのかな」
「もう大学は卒業しちゃったしな」
「取り敢えず、職安に行ってみろよ」
「あ、職安か」
 
↓↑BottomTop


それで俺は翌日、職安に行ってみた。俺はロッカーだから髪も長くしてた。この髪のまま行くのはまずいかな?とは思ったものの、まあ取り敢えず行ってみるか。注意されたら切ればいいしと思って出かけて行く。
 
窓口で相談したら、これまで全然就活をしていなかったというので呆れられた。 
「まあ、お嫁さんに行くつもりとかなら就活の必要もないけどね」
「いや、さすがにそれは無理です」
 
ほんとはここで何か変だと気付くべきだったんだろう。
 
「君、資格とかは何か持ってる?」
「えっと・・・高校の時に英検の2級取ってます。あと簿記3級と秘書検定の3級も受けさせられたので持ってます。あとは普通自動車免許と、危険物取扱者丙種くらいかな」 
↓↑BottomTop

「学部は工学部か。コンピュータのプログラムとかは組める?」
「大学でCを習ったけど、自分が組んだプログラム、どうやっても動かなかったです」
「うーん。。。何か営業職でもする?」
「営業って何ですか?」
 
ここでまた呆れられる。
 
「物を売り込む商売だよ。物を売るって大変だし、無茶なこと言う客がいてストレスも多いから、長続きする人がいない。だから募集もいつもあるんだよ」「はあ。じゃ、とりあえずやってみようかな」
 
それで窓口の人が求人票の出ていた会社のひとつに連絡した。
 
「ちょうど採用予定だった人が辞めて、緊急に欲しいらしい。ちょっと行ってみる? 今から面接OKと言ってる」 
俺はその場でその会社の人と電話で話した。
 
↓↑BottomTop

「はい、ぜひお願いします。あ、でも私、今日面接まで行くとか思ってなかったのでジーパンで出てきてしまって。あと髪も切ってないし」と言ったのだが、先方は
 
「ああ、それは仕事に就く時にちゃんとした格好で出てくればいいし、髪もそれまでに切ればいいよ」 
などというので、俺はそのままその会社に行ってみることにした。
 

↓↑BottomTop

会社は天神のオフィスビルの3階にあった。昔習ったビジネスマナーとかを思い出しながら、その会社を訪問し、職安から紹介されたことを告げる。 
50代の課長の肩書きを持つ三田という男性と、40代の麻取(まとり)さんという女性の係長さんが面接をしてくれた。俺は最初に長髪でジーンズのまま来たことを詫びた上であれこれやりとりをした。面接なんてのは高校入試の時に受けた以来だったので緊張したが、何とか無難に乗り切ったような気がした。
 
その後でペーパーテストを受けさせられたが、常識問題だったので、だいたい回答できたかなという感じだった。合否の結果は郵便で知らせるということだったので、その日は「ありがとうございました。よろしくお願いします」と言って、その会社を辞した。
 
↓↑BottomTop


結果は翌朝届いた。「採用」とのことだったので、ホッと胸を撫で降ろす。「うちは給料安いよ。残業もあるよ」とは課長さん言っていたが、バイトはもう卒業するからというので先週辞めてしまっているし、とにかく何か仕事をしなければならない。明日から出社するようにということだったので、取り敢えず俺はスーツを買いに行くことにした。
 
そんなに金が無いし、安売りの紳士服店で1万円のスーツを買った。それから500円のワイシャツ4枚に100円のネクタイ3本。それから3足で100円の黒い靴下を2セット。1000円のベルト。そして3000円の革靴。
 
かなり安く抑えたつもりではあったが、それでもけっこう金を使ったなあ。給料出るまでメシ代持つかなあ、などと思いながらもとりあえず荷物を持って自宅アパートに戻り、ワイシャツを着て、スーツも着てみる。ネクタイを締めてみる。
 
↓↑BottomTop

何だか違和感がある!
 
こんな服、着たこと無かったし。あ、そうだ髪も切らなくちゃ。
 
散髪なんて、実はもう3年くらい行ったこと無かった。伸びるままにしていたので、胸くらいまでの長さがある。さすがにこれじゃやばいよなと思い、近所にあった、1000円のヘアカット店に行った。30歳くらいの女性が担当してくれた。
 
「どのくらい切りますか?」
「思い切ってバサッと切ってください。就職しないといけないので」
「はい分かりました」
 
俺はさすがにそれだけ切るのはちょっとだけ悲しい気分だった。それでもう目を瞑って、その女性に任せておいた。
 
やがて作業が終わる。
 
「このくらいで良かったでしょうか?」
 
ああ、すっかり短くなってしまった。肩に掛からないくらいの長さまで切られている。あれ・・・でもこれでもちょっと長めじゃないかなあ、とは思ったものの、まあいっかと思う。注意されたら、もう一度切ればいい。
 
↓↑BottomTop

それで俺は通勤用のバッグとかも買って自宅に戻った。
 

翌日。朝早くからきちんと髪をブラシで整え、ワイシャツを着てネクタイを締めスーツを着て、採用通知と筆記具を入れた鞄を持ち、革靴を履いて、俺は家を出た。地下鉄が物凄く混んでる。これまでは適当な時間に大学に出て行っていたから、こういうラッシュはあまり経験していなかった。でもこれからは毎日これを体験することになる。頑張らなくちゃ。
 
それで会社まで行ったのだが・・・・
 
「あなた、なぁに?その格好」
と一昨日面接してくれた麻取さんに言われる。
 
俺はやはり1万円スーツはまずかったかな、と思った。そういえば就活のハウツー本とかで、会社訪問する時のスーツは最低でも3〜4万のものを、とか書いてあったような気がした。
 
↓↑BottomTop

「すみません。まずかったでしょうか」
「いや、冗談のきつい子だなあと思って。まあいいわ。社内では制服着てもらうから大きな問題はない。でも明日はもっと普通の格好してきてね」 
「はい、済みません」
 
俺はやはり1万円スーツはまずかったんだろうなと思い、ちょっと昼休みにでも田舎の母ちゃんに電話してちょっとお金を借りてもう少しまともなの買いに行かないといけないかなと思った。
 
「こちら更衣室ね」
と言って狭い部屋に案内される。
 
「あなたのロッカー用意しておいたから」
と言われた。ちゃんと「井河」という名札が貼ってある。わあ、俺はちゃんとこの会社に受け入れられたんだなという思いが込み上げてくる。頑張らなくちゃと改めて思った。
 
↓↑BottomTop

「あなたわりと身体が大きめだからLでいいかなあと思って用意しておいたんだけど、合わなかったら言って。あんまり可愛くない制服でごめんね。スカートにしましょうよという意見もあったんだけど、うちの仕事の性質上ズボンでないと作業できないから」 
「はは、スカートはさすがに穿いたことないです」
「ああ。あなたも? そうなのよ。最近ズボン派の子が多いよね」
 
ズボン派が多いって、スカート穿く男がそんなにいるとは思えんけどと思う。取り敢えず俺は渡された制服を身につけた。
 

↓↑BottomTop

制服のズボンは問題無く穿けた。Lと言われたわりにはウェストがたぶん73くらいしか無い。が、俺は元々ウェストがけっこう細いので何とかなった感じだ。しかし・・・上着を着るのに戸惑う。なんで、このボタン変な付き方してるの? ボタンが左側にあり、ボタン穴が右側にあるので、すごく留めづらい。ここの仕事の都合で、こういう留め方なんだろうか?などと思いながら俺はその服を身につけた。
 
とりあえずそれを着て出て行くと、最初に麻取さんから色々書類を渡される。給与振込の口座の登録書類とか、誓約書とか。あれこれ記入し、署名捺印などもしてから、仕事の説明がある。
 
基本的にはいわゆるルート営業とメンテナンスサービスである。決められた会社を定期的に訪問して納入している機械の点検などをするとともに必要なものが無いかどうか、その会社の人に声を掛け注文を取る。機械のことが分かっていなければならないので来週一週間、研修に出てもらうと言われた。 
↓↑BottomTop

今日は社内での補助的な仕事をしながらシステムのマニュアルを読んでもらうということで、ここで25-26歳くらいの感じの山崎さんという人に代わり、電話の取り方、伝言などの仕方、来客の応対の仕方などを教わる。
 
「それからお茶出しもやってもらうから、その準備に明日からは8:30までに来てもらえる?」「はい、分かりました」
 
やはり、最近は女だけがお茶を汲むというのではないんだろうな。若手社員が男女関係無く担当するのが男女共同参画社会なんだろうななどと思った。 
来客を応接室に案内した場合の、席の勧め方や、お茶の出し方などについても教えられた。
 

↓↑BottomTop

そういうことで、俺の社会人としての生活はスタートした。
 
初日は取り敢えず大量のマニュアルを読みながら、電話のベルを聞いたら、飛びつくようにして電話を取り、応対した。周囲の先輩たちから
「うん、ちゃんと応対できてる、優秀優秀」
と言われた。
 
来客も3回あったのを無難に取り次ぎ、お茶出しも何とかできた。その日は新人がまっさきに帰ってはいけないだろうと思い、7時くらいまで自主的に残ってマニュアルをきりのいい所まで読んでから、更衣室で着て来たスーツに着替え、帰宅した。
 
初出社日は木曜だった。翌日の金曜日、朝8:30までに来いとは言われたが、それは8:30からお茶の準備を始めるということだろうからというので8:15に来たら一番乗りだった。警備室で鍵をもらい開けて中に入る。更衣室で着替えて他の人が来るのを待つ。その日もひたすらマニュアルを読みながら、山崎さんの手が空いた時に、この会社で扱っている機器について少し教えてもらった。その日は少し遅い時間まで自主的に残ってマニュアルを読み、やはり7時くらいに帰った。
 
↓↑BottomTop

翌週は朝から博多駅近くにあるメーカーの支店に出かけて9時から5時まで研修を受けた。ほこりだらけになっても構わない服装でと言われたので、ポロシャツとジーンズで出席した。直出・直帰だったので、その週は毎日夕方電話連絡を入れただけで、会社には行かなかった。
 
↓↑BottomTop

次頁目次

[0目次][#次頁]

広告:Nコレクション-水着用胸パット左右2個(バスト盛り用スポンジ布パット)