■春閼伽(9)
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吉川日和(入瀬コルネ)は言った。
「河童さんは親切だよ。ぼくが道に迷うと良く河童さんとかユニコーンさん(東洋で言うと麒麟??)が出てきて助けてくれるの」
8月28日(月)、川崎ゆりこは女の子を出産した。コスモスの夫!の予定日は11月上旬で常識的には8〜1月が産休になるがコスモス本人は「産むのは夫だから私は産休とか要らない」と言っている。実際社長室に毎日顔を出している。但し、社長室には鱒渕水帆・美咲瞳・千里(orケイ)も常駐してサポートしている。マネージャーの大部屋のヘッドデスクの所には、ゆりこの代わりに花ちゃんと愛心が交代で座っている。花ちゃんがオフィスに来ていることが多いので、女子寮は海浜ひまわりが見ている。
霊界探訪の編集部には8月頃から河童の目撃情報が多数寄せられ、明恵・希望・双葉・邦生などが、情報を寄せてくれた人たちに詳しい話を聞きに行った。
明恵は河童の目撃報告があった地点を地図の上にプロットした。
「明らかに能登地区に集中してますね」
「昔から能登では河童伝説があった」
「それにしても多い気がする」
プロットした地点は、志賀町・輪島市・珠洲市など、能登半島の北部に集中している。
「何か異変の予兆で無ければ良いのだが」
証言1
夕方川のそばを歩いていたら、川から河童が出てきて
「嬉しい。明日は雨が降りそうだ」
と言った。
翌日の朝は晴れていたが念のためと思って傘を持って行ったら夕方帰る時は雨だった。
証言2
山でキノコ狩りをしていたら、迷ってしまった。でも河童が出てきてこの先の道を右に行きなさいと教えてくれたので、知っている道に戻ることができた。
証言3
夜道で痴漢に襲われそうになったが、河童が出てきて守ってくれた。痴漢も驚いて逃げて行った。
証言4
川の中州で河童が2人喧嘩していた。どちらが“あの子”の尻子玉をもらうかと争っているようだった。少し上流に歩いて行くと子供が水遊びしていた。
「君、ここは危ないからあがりなさい」
と言って、川からあげた。
証言5
畑仕事していたら、畦道に河童が出てきて「来週は大雨になりそうだ」
と言ったので、その週末に都会に行っている息子を呼んで収穫をした。翌週本当に大雨になった。収穫してなかったら、作物が駄目になるところだった。
また河童が「きついから農薬減らして」と言うので減らしたが、害虫は付かなかった。河童さんが虫を追い払ってくれたのかも。
証言6
おばあさんが大きな荷物を持って歩いていたら、河童さんが出てきて「大変だね。誰か呼んでくるよ」と言った。しばらくしたら中学生が数人来て荷物を持って家まで運んでくれた。お礼にお煎餅をあげた。
中学生たちの証言
部活の帰り、道を歩いていたら50くらいのおはちゃんが「君たちちょっと手伝って」と言った。何だろうと思って行ってみると、おばあさんが大きな荷物を持っていたので、「おばあさん、ぼくらが持ちますよ」と言って家まで持って行ってあげた。お婆さんからはお礼にお煎餅をもらった。
その他
単純に、河童が泳いでるのを見た、歩いてるのを見た、などの報告が多数ある。
8月下旬、和栄は教習所で大型二種の課程を卒業、免許センターで学科試験にもパスして大型二種免許を取得した。これで何かの場合は運転手さんに代わってバスを運転することも可能になる。またそもそもドライバーとしてツアーに参加することも可能になる。
和栄は採用してもらえることになったバス会社から10月以降少額だがお給料をもらえることになった。これはバスの乗務員は日雇いが禁止されているので、常時雇っているという実績が必要なためらしい。それで結婚退職したOGに当日だけ頼むというのも難しいらしい。
(特に運転手は数ヶ月の短期雇用や試用期間中の乗務も禁止されている。ガイドはそこまで厳しくはないものの日雇いは禁止)
「何もしなくてもお給料頂けるんですか?」
「大学に行く前でも帰った後でもいいから1日1回顔出して。それで2〜3時間居て御飯でも食べて行ってよ」
「はい」
「ガイド室にパソコンとか持ちこんで卒論書いててもいいから」
「はい」
「電気とwi-fiは自由に使ってね。パスワードは毎月変えてるから誰かに聞いて」
「ありがとうございます」
「週に4日以上ね。曜日や時間は都合のいい曜日でいいから前の週までに決めて予定表を出して」
「それなら何とかなると思います」
それで土日と午後の講義が無い月水に出社することにした。タイムカードも作ってもらった。
「別のガイドさんのバスに見習い乗車してもらうこともあるかも」
「はい」
これはガイドの見習い、ドライバーの見習い、両方を兼ねることになる。また和栄は練習でお客さんの乗ってないバスをだいぶ運転させてもらった。
「よく武蔵交差点を一発で通過できたね」
「いつも普通車で通ってますから」
「偉い」
城下町にはありがちだが、金沢市街地にはまるでトラップみたいに極めて難易度の高い交差点や進行場所が幾つもある。
9月になって、学校が再開されたことから、俊夫は村山さんと話して新しい女性化スケジュールを決めた。
・プールで泳ぐのは土日と午後の講義か無い月水金。月水金は学校からまっすぐプールに行くので、女子更衣室に入る前に女体化しておきたいから、お昼に変更する。
・火木は夕方のジョギングが終わって帰宅したら女体化(なんのために?)。
・男に戻すのは毎日夜12時頃。だから寝る時はたいてい女の子。
(つまり寝る時クリちゃんいじりしたいんだ?)
毎日平均9時間くらい女の子になっていることになる。
(それだけ女性化してれば完全に女性ホルモン優位になるね。君の睾丸は既に機能停止している気がするし)
「睾丸は使わないよね?取っちゃおうか?」
「少し考えさせてください」
睾丸は要らない気もしたのだが、それ取ってもらったら次は「ちんちん要らないよね?」と言われそうな気がした。(実際要らないのでは?)
俊夫は大学で和栄に声を掛けられた。
「私学資が厳しいんでバイト2つやってたんだけどさ、9-11月は忙しくなりそうなのよ。卒論もあるし。それで申し訳無いけど、この3ヶ月だけでもひとつは代わってくれないかと思って」
「ふーん。何のバイト?」
「お弁当屋さんの配達なのよ。普通免許が必要」
「ああ。それなら代われる人が限られるね」
「そうなのよ」
それで俊夫は9-11月にアイゼンの配達のバイトを代わることにした。アイゼンに行って、俊夫は訊かれた。
「君性別は?」
「男ですが」
と言ってマイナンバーカードを見せる。
「あなた好き〜採用!」
と女性?店長さんにハグされた。
アクションの派手な人だなと思った。(まだキスされなかっただけマシ)
和栄にバス会社の部長さんが言った。
「君、戸籍上は男なんだって?」
「はいそうです」
「女にしか見えないのに。でも性別って確か変更できるようになったんじゃなかった?」
「はい」
「だったら変更しちゃってもいいんじゃないの?男のままで居たい?」
「いえ、女になりたいです」
「だったら変更しちゃいなよ」
「多少時間が掛かるし、裁判所で審査もあるんですけどね」
「時間はかかってもいいじゃん。君みたいに女らしかったらきっと審査も通るよ」
それで和栄は母に電話した。
「お母ちゃん、私性別変更してもいい?」
「性別変更って男になるの?」
「今戸籍上男だから女になりたいんだよー」
「あんたまだ戸籍では男だったの?そりゃちゃんと女にしなくちゃ。お嫁さんに行く時困るじゃん」
母には異論が無いようだったので申請することにした。医師の診断書が必要だと思ったので、金沢近郊の大学病院に行ってみた。
「性別再設定手術を受けられたのは国内ですか?」
「いえ。手術は受けてません。6月に朝起きたら女になってたんです」
「はあ?」
「でも元々女になりたかったから嬉しくて」
それで和栄は血液検査から婦人科検診からMRIから徹底的に検査を受けた。婦人科の内診は超恥ずかしかった。しかしこの検査の結果、和栄は卵巣や子宮も存在する完全な女性であると診断された。ホルモンも女性ホルモン優位であるらしい。和栄はここ2ヶ月は女性ホルミン製剤は飲んでないと申告した。また和栄はペニスが付いてた頃も自慰はしたことが無いと言った。
嘘つき!本当は射精経験が無いだけで小4頃までは自慰してたが母に禁止されてしなくなった。「女の子になりたかったらちんちんいじってはいけない」と言われて我慢するようになった。母は我慢のご褒美に女物下着を買ってくれた。学校にも着て行ったが、彼が女性下着を着けていても誰も変には思わなかった。むしろカーテンの陰で着替えるように言われた。水泳の授業ではアンダーショーツを着けていたが、女子用スクール水着を着けた姿に突起が無いので「ちんちん取ったの?」とか訊かれた。一方希望は水泳の時はタックしてもらっていたらしい。
和栄の場合
「ちんちん取ったの?」
「家に忘れてきたぁ」
「いけない子だね。今日は男子トイレ使用禁止」
「そんなあ。私トイレどうすればいいのよ」
「仕方無いね。今日は女子トイレ使っていいよ」
希望の場合
「ちんちんどうしたの?」
「あまり可愛がってあげないから世をはかなんで家出しちゃった」
「ダメだね。毎日可愛がってあげないといけないんだよ」
「罰として男子更衣室の使用を禁止する」
「そんなあ。私どこで着替えればいいのよ」
「女子更衣室においで。体育委員さん、のんちゃんの着替えを女子更衣室に持って来て」
「OKOK」
それで男子の体育委員から女子の体育委員にリレーされて希望の着替えとセーラー服が女子更衣室に持ち込まれた。(セーラー服で男子更衣室使うとか、ふてえ奴だ)
和栄は染色体もXXだと言われた。さすがに染色体はびっくりした。
「生理がありません?」
「7月からだいたい28日おきに3回来ました」
と言って和栄は生理日に“しずく”シールを貼ったダイアリーを見せた。
「あなたの場合は性別の変更はできません」
「え〜?そうなんですか?」
「変更ではなく“性別の訂正”をしなければならないんです」
それで医師は性別訂正のための診断書を書いてくれた。しかし和栄はこれをひとりで裁判所に申請する自信が無かった。それでドイルさんに相談したら「弁護士に相談したほうがいいよ」と言って、弁護士代も出してくれた。それで和栄は家庭裁判所に性別訂正を申請したのである。
「和栄ちゃんにはたくさん助けてもらってるし、この弁護士さんの依頼料はあげるから。返さなくていいから」
「ありがとうございます」
「それに元々番組取材中の事故みたいなもんだしね」
「労災だったりして」
とコイルさん。
「嬉しい労災だなあ」
青葉にしても和栄の性別が変わったと聞いて“幽霊コンビニ”は産業道路から場所が移動したのかも知れないと考え、再調査してついに新しい場所を発見したのである。例の神社には、青葉のバックに居る、ゆう姫が行って“ぎろり”と睨んできたので、もう“おいた”はしないだろう。
「授業料の方は何とかなりそう?」
と青葉は訊いた。
「はい。7-8月にお弁当屋さんのバイト代で合計20万もらいましたし、バス会社から10月以降お給料もらえることになってるんで何とかなりそうです」
「良かった良かった。足りなかったら遠慮無く言ってね」
「はい、ありがとうございます」
9月2日(土)、青葉と彪志の結婚一周年(紙婚式)なので、彪志は青葉に紙布の浴衣をプレゼントした。紙の糸で織った布で作られた浴衣である。青葉は彪志に紙で作られた高崎のだるまをプレゼントした。このだるまは千葉に青葉が建立した花丘玉依姫神社や伏木の菓子神社でも取り扱っている。
9月7日(木)、青葉(1997)はまた多江(2002)・リル(2003)たちと競争した。今回青葉は水泳連盟の認定水着を着けた。
結果は多江、青葉、リルの順で、多江と青葉の差は僅かだった。
「君たち、頑張らないとパリ行きの切符は私がもらっちゃうよ」
「頑張ります」
それで来月も競争することにした。
9月9-10日(土日)は、『ミュージシャンアルバム』の取材をおこなった。9日は“ビキニの風”と“セーラー服男子同盟”である。午前中にビキニの風をした。
「先月は可愛い女の子たちを迎えたのに」
などと朱美が言っていた!
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春閼伽(9)