【夏の日の想い出・止まれ進め】(6)

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筆者も混乱してきたので、ガールズたちの兄弟姉妹のまとめ。
 
水巻イビザの兄弟姉妹(水戸@茨城)
 
杜屋月夜(つきよ♀大1)
杜屋鈴世(りんぜ△高1 水巻アバサ)
杜屋幸代(さちよ♀中2 水巻イビザ)
杜屋和誉(かずほ♂小6)
 
ここの家では月夜→鈴世→幸代と服のサイクルが成立していて、鈴世の服の大半は、月夜のお下がりである。結果的に鈴世は学校の制服以外、男物の服を持っていない。小学校までは普通にスカートを穿いて登校していたし、髪もいつも美容室で切っている。
 

入瀬ホルンの兄姉(氷見@富山)
 
吉川空海(そらうみ♂大1)
吉川日和(ひより♀高1 入瀬コルネ)
吉川萌花(もえか♀中2 入瀬ホルン)
 
この家では姉の日和ちゃんが妹の萌花ちゃんより身体が小さいので、萌花ちゃんのお下がりを日和ちゃんが着るらしい。
 

川泉パフェの兄姉(川内かわうち@青森県)
 
湯谷武(たけし♂22)
湯谷晃(あきら♂20)
湯谷恵(めぐみ♀高3)
湯谷紡(つむぎ♀高2 川泉スピン)
湯谷薫(かおる△中3 川泉パフェ)
 
上の2人の兄には女性傾向などは無い(と思う)。特に武はお父さんとよく似た体格の立派な男性である。晃は兄ほど体格はよくないが、普通に男性としての生活を送っている(と思う)。長女は青森市の高校に行っており、今回紡と薫が東京に出て行ったので、川内町の家は夫婦のみになった。
 
紡は青森か八戸に出て行きたかったが、都会の高校に進学するほどの頭が無かった。下手すると自分だけ田舎に残されて保守的で前時代的な家庭思想の男と結婚させられ、ずっと閉塞的な田舎町で一生を送ることになるぞと警戒していたので、コスモスに勧誘されたのを絶好の機会と捉え東京に出て来たのが実情である。
 

月城たみよの兄弟(川内せんだい@鹿児島)
 
松崎貴美(たかよし♂184大3月城朝陽)野球部
松崎元紀(もとのり/もとき△167大1月城硯文)英語部/法学生
松崎真和(まさかず/まな△166高1月城利海)コーラス部
松崎典佳(のりか♀172中2月城たみよ)バレー部
松崎春世(はるとし♂171小6)サッカー部
 
ここの5“兄弟”は運動をしていた3人が男らしく育ち、運動が苦手だった2人が女の子らしく育った!
 

広瀬みづほの兄姉妹(都城@宮崎)
 
藤井寿海(いずみ♂大2)
藤弥日古(やひこ♀高3広瀬のぞみ)
藤真理奈(まりな♀高1広瀬みづほ)
藤留依香(るいか♀中2)
 
藤弥日古は元々半分女の子のようなものだったが、この夏完全な女の子になってしまった可能性がある。女の子にはなっちゃったけど、10月の時代劇では男役をしてくれるらしい。
 
これで藤兄妹は4人とも女子になったので、生まれた時は男2女2だったはずが4姉妹となった、女の子が増えるのはいいことだ。
 
(あれ?いずみちゃん男の子だっけ?分からなくなった)
 

9月1日(木).
 
吉川日和(入瀬コルネ)はやっと到着した、妹から送ってもらった女子用スラックスを穿いて登校した。和菜ちゃんが気付いて
「あ、日和ちゃん、ズボンが届いたんだ?」
と言う。
「うん、やっと届いた。やはり東京から氷見まで2日かかるんだね」
 
実際は8/29の昼間連絡を受けた萌花がわざと集荷時刻後に荷物をコンビニ(寮内にある)に持ち込んだので、一応8/29の受付印になったものの、8/30に集荷され、8/31に到着したというのが真相である。
 
「お姉ちゃんもいいかげん諦めて素直にスカート登校すればいいのに」
と思っているので、わざと遅らせた。
 

その日の朝のSHR(ショートホームルーム)では
「今日は身体測定がありますので、連絡があったら、女子・男子の順で保健室に行って下さい」
と保健委員から連絡があった。
 
2時間目の途中で1組女子の子が「2組の女子は保健室に来てください」と言ってくる。1組が男子→女子の順に測定されるので、2組は女子→男子の順になる。
 
日和は、ぼくはまた個別検査してもらえばいいな、と思って座っていた。ところが五月が「ひよちゃん行くよ」と声を掛ける。
 
「ぼくは個別検査で」
「それ個別で検査する意味ないからもう今月からひよちゃんは女子と一緒でいいということになったから」
「え〜〜?女子と一緒はまずいよぉ」
「いや、部活の時の着替えで見てる限りには全く問題無い」
 
ということで五月と和菜に連行されるように連れられ、日和は他の女子たちと一緒に保健室に行った。
 

保健室では取り敢えず着衣のまま並ぶ。そして3人前になった所で制服の夏服ブラウスとスカート(日和はスラックス)を脱いで入口で配られたビニール袋に入れる。日和はブラジャーとパンティーだけの状態になる。
 
日和は女子たちの前で下着だけになるなんて恥ずかしーと思っている。でも女子たちは日和の下着姿を見て頷いている。絶対に男子の目には曝せない姿だと思った。そして全員確信した。やはり日和ちゃんは女の子だ、と。
 
元から女の子だったのか、女の子になったのかは分からないけど、少なくとも現在は確実に女の子てある。
 
それで日和は身長と体重を測定された。
 
「147.8cm」
「34.2kg」
 
「34って何かの間違いということは?」
「日和ちゃん、もう一度体重計に載ってみて」
「うん」
「34.1kg」
 
「あり得ない」
「郷香ちゃんの半分だ」
「誰?私の名前を勝手に引き合いに出してるのは?」
と遠くから声がする!
 
「軽すぎるよ」
「台風で飛んでくよ」
「もっと御飯食べなきゃだめだよ」
とみんなから言われた。
 
そういう訳で日和の最初の女子と一緒の身体測定は、恥ずかしさとかいうより、体重が低すぎることを話題にされた時間となった
 

その日、松崎真和(まつざき・まな)に電話した藤弥日古(ふじ・やひこ)は説明した。
 
こちらに帰ってきたら自分はもう性転換“した”ことになっていて、男子制服もワイシャツも既に捨てられていた。学校にも自分は性転換したとして女子として通学させてほしいと申請して認められていたという。
 
それで仕方なく女子制服で学校に出て行き1日過ごしたけど、自分が性転換したことがクラス全員に既に告知されていて、普通に女子として扱うことが了承されていた。それで女子トイレを使い、お弁当を女子たちと一緒に食べた。
 
明日は体育があって水泳だけど、女子と一緒に着替えるように言われている。そのくらいはどうにかなると思うけど、月曜日には身体測定、心電図検査、内科検診がある。身体測定はいいとして、心電図はブレストフォームでは機械が反応しない気がするし、もしそれが何とかなったとしても、内科検診でお医者さんに見られたらさすがに身体偽装がバレると思う。
 
でも今更、女になったというのは間違いで、私本当はまだ男なんですなどと言ったら、1日女として過ごしてしまっただけに、みんなに袋叩きになりそうな気がする。どうしたらいいか悩んでる、ということだった。
 

「ヤコちゃん、どこまで身体をいじったんだっけ?」
 
この子、たぶん去勢手術くらいはしてるよねと真和は思っていた。
 
「何もしてない。顔のむだ毛と足のむだ毛は脱毛したし、喉仏は山村さんに消してもらったけど、お股はタックしてるだけだし、胸はブレストフォームを貼り付けてるだけだし」
 
「ブレストフォームか!」
「凄いリアルだよ。安いシリコンパッドとは違ってかなり本格的なものだし、境目も分かりにくいんだよ」
「へー。じゃ去勢しただけ?」
「去勢もしてない」
「嘘!?去勢はさすがに済んでると思ったのに」
「実は去勢くらいしちゃおうかと思ったけど、8月いっぱい精液の採取と冷凍をやってたんで、するわけにはいかなかった」
「ああ」
「ほんとぼくこの後、どうしよう?」
 
真和は少し考えた。
 

「ねえ、ヤコちゃん“魔女っ子千里ちゃん”知ってる?」
「あれ?マナちゃんも会ったの?」
 
きっと可愛い男の娘を見たら声掛けてくるんだ!
 
「今夜わたし“魔女っ子千里ちゃん”と会うことになってるんだよ。もし会えたらそちらにも行ってあげるように言おうか」
 
「お願い!あの子と話し合ってみたい。あの子、1日だけお試しで女の子になってみない?とかも言ってたけど、1日体験したらもう男に戻りたくなくなる気がして怖いから断ったんだよ。この状況はそのくらいしてもらわないと解決方法が無い気がする」
 
「1日女の子体験か・・・」
 
私はそんなこと言われてない。各々の女性化の進行度に合わせていろいろ誘惑してるのかなあという気がした。あの子はきっと夢魔みたいなものなんだろうけど、今は魔でも何でも彼女に頼るしかない気がした。
 
でもやはりヤコちゃん実際は去勢くらいは済ませている気がする。きっと恥ずかしがってまだ手術しててないことにしてるんだ。
 
「じゃもし会えたら、彼女に会える呪符をそちらに送るようにするよ」
「分かった。お願い」
 

電話を終えてから、真和はイオリさんに言った。
 
「お稲荷さん作ってあげるから、明日の朝くらいまでここで休んでかない?」
「大歓迎!」
 
それで真和は
「ちょっと買い物してきます」
というホワイトボードのメモを置くと、スーパーに再度行って、寿司揚げたくさん、餅米を買ってきた。帰ると母がもう帰宅していた。
 
「あ、少しは元気になった?」
「まだ。ちょっと、お稲荷さんが食べたくなって。たくさん作ろうと思って寿司揚げと餅米買ってきた」
「へー!」
 

さて水戸の杜屋鈴世は「女子制服着たい、女子制服着たい」と思いながらも不本意に男子制服を着て、ピンクの可愛いお弁当箱を持ち、学校に出掛けて行った。教室に入りクラスメイトたちと
 
「おはよう」
「おはよう」
と挨拶を交わす。
 
「すずちゃん、ドラマに出てたね」
「なんで男役だったの?すずちゃんなら女役だと思ったのに」
 
鈴世の名前は本当は“りんぜ”と読むが、多くの友人は“すずよ”ちゃん、あるいは“すず”ちゃんと呼ぶ。
 
「妹が信濃町ガールズに入って、男の兄弟居たら端役を頼むと言われて出ていった。一応、私まだちんちん付いてるし」
「へー。すずちゃんは夏休みのうちに性転換手術を受けたらしいという噂が流れてたけど」
「性転換したいけど、まだできない。お金も無いし」
「ああ、あれ高いみたいだよね」
 

そんな話をしていた時
「すーずちゃん!」
と言って、友人の日都美が後ろから首に抱き付いた。
 
「ちょっとちょっと」
と言って振り解く。
 
鈴世は女の子に抱き付かれて今更恥ずかしがる子ではない。
 
「一体どうしたのよ?」
「すずちゃん、うちのバンド手伝って」
「何の楽器?」
「ドラムス」
「無理〜!私のリズム感悪いの知ってるくせに」
「ドラムス担当の彰奈ちゃんがバーベルスクワットやってて腕の筋肉傷めたのよ」
「バーベルスクワット!?よくそんなのやるなあ」
「男の子に頼もうかと思ったけど、ガールズバンドというスタイルを崩したくないのよね」
「私も男の子だけど」
「またご冗談を。すずちゃんにちんちんが無いことは多くの証言がある。それにすずちゃん、女子制服も持ってるよね?」
「私の性別は置いといてほんとに私リズム感悪いから」
「クリック音聞きながらでも無理?」
「ああ」
 

それで昼休みに彼女たちの練習室に行き、クリック音を聞きながらドラムスを打ってみたら、何とかなった。
 
「これ練習すれば行けそう」
と他のメンバーも言う。
「本番は明後日だからさ、もう他に頼みようが無いのよ。すずちゃんが女子制服で通学したいと申告したら、すずちゃんは間違いなく女の子ですと証言してあげるからさ」
 
「取り敢えず女子制服に着替えてみてよ。持ってるんでしょ」
「持ってるけど。どこで着替えようかな」
「ここで着替えればいいよ。みんな女の子だから」
「まあいいか」
 
それで鈴世はギターの日都美、ベースの真衣奈、キーボードの百合恵の前で、スポーツバッグから女子制服の学校指定ブラウスを取り出し、男子用のワイシャツを脱いで女子制服を着た。もちろん下にはブラジャーとショーツを着けている。ショーツに変な膨らみは無い。そしてスカートを穿く。
 
「じゃこれで練習しよっ」
「放課後もここに集まってまた練習」
「OKOK」
 

「すずちゃんは午後の授業はその制服で受けるといいね」
「え〜〜!?」
「ばれない、ばれないって」
「そうかなあ」
 
「人は不自然なものを見るとそこを注視する。でもすずちゃんの女子制服姿には何も違和感が無いから、見ても何も疑問を感じない」
 
それはあるかもしれない気がした。
「トイレは一緒に行ってあげるから」
「それはお願い。みんなが私の女装を認めてくれている訳じゃないし」
「ああ、敵対感持ってる子もいるよね」
「そういう子にもすずちゃんが実際に女の子だということを見せてあげたほうがいいと思うなあ」
「今度の水泳の授業は女子水着で受けなよ」
「叱られるよぉ!」
「女の子の身体であれば女子水着を着けるのは当然」
 
「とりあえず今日は女子制服で下校して、金曜も土曜も日曜も女子制服で登校ね」
「え〜〜〜!?(←嬉しがってる)」
 

薩摩川内市の松崎家。
 
サッカー部の練習を終えた弟の春世(はるとし)が19時過ぎに帰宅。それで父を待たずに母と真和・春世の3人で夕食を取る。
 
今日の御飯はカレイの煮付けだが、
「焼き魚か唐揚げが良かったなあ」
などと春世(はるとし)は文句を言っていた。うちの御飯は、典佳がいた頃は毎日1升炊いていたが、出て行ってからは7合にした。むろん4合くらいを春世が食べる。真和や母が食べるのはごく少量である。
 
春世はごはんを7-8杯食べた後
「お腹空いた」
と言って!?カップ麺のビッグサイズを食べていた。よく入るもんだと真和は呆れて見ていた。
 
その後で春世は自分の部屋に入ってしまう。きっとゲームでもするのだろう。全然勉強しているようには見えない。
 
真和は御飯を食べている間にお米を、うるち米2合半+餅米半合研いで浸透させておいた。これをルクルーゼを使って焚き上げる。
 
「あんたよく鍋で御飯を炊けるね」
と母が感心して言う。
「炊飯器より簡単だよ」
「そう?私はお米は炊飯器でないと炊けない。あんたいいお嫁さんになるかもね」
「うん。お嫁さんになるつもり」
と真和が言うと、母は微笑んでいた。
 
焚き上げたあと1時間冷ました。その間に油抜きした油揚げをだし汁に浸しておく。そして御飯を詰めていった。お稲荷さんは24個できた。
 
「じゃお夜食にもらいまーす」
と言って皿に載せた稲荷寿司を自分の部屋に持っていった。
 

なおこの家は元々5DKだったのを部屋の内3つを各々2つに仕切って6個の子供部屋(2.25畳)を作っていた。それを5人の子供が使っていた。あとひとり出来ても収納できたが、春世が(多分)最後の子供になった。母はまだ閉経してないようだが、父がパイプカットしたらしいので、何かの間違いがない限り、これ以上子供はできないはずである。
 
余った子供部屋は防音工事をしてクラビノーバを置き、ピアノ練習室にしている。兄弟の中で子供の頃からピアノを弾いていたのは真和だけなので、その隣を真和の部屋にしていた。
 

 
ピアノについて典佳は1ヶ月で挫折した(←挫折が早すぎ)。ピアノ室の隣は最初典香の部屋だったが真和と交換した。今では典香もピアノを弾くが、真和のほうが上手い。典香は横笛にハマり、小学1−2年生の頃から篠笛やファイフを吹いていた。小学5年生で吹奏楽部に入る時にフルートを買ってもらった。最初は安い白銅製だったが、熱心に吹いているので中学に入る時に洋銀のを買ってもらった。
 
典香は歌は上手いので、よく真和が伴奏して典香が歌ったりフルートを吹いたりしていた。ピアノの発表会で、真和のピアノと典香のフルートで出たこともある。もちろんふたりともドレスを着た。
 
(「フルート吹いてるのマナちゃんのお兄さん?」「女の子の服着るの好きなのね」「男の子がスカート穿いてもいいよね」などと言われた!)
 
部屋は交換後は、元紀/典香/春世/真和だったが、春世が
「両側からフルートとピアノの攻撃は辛い」
と言って、典香と春世が部屋を交換した。でも春世がオナニーするようになると
「オナニーの音がうるさい」
と典香が文句言って、オナニーなど(めったに)しない元紀と代わってもらい、結局、春世/元紀/典香/真和、の順序になった。
 
結局前2つが男の子、後ろ3つが女の子?になった。今は春世は両隣が空きで思いっきりオナニーしまくってることだろう。
 

たくさんあるお稲荷さんを見てイオリさんは喜んでいたが
「さすがにたくさん食べ過ぎた。後にしよう」
と言っていた。
 
真和は
「お腹空いたら勝手に食べててね」
といって布団に入って仮眠した。
 
しかし眠りに落ちて行きながら思った。ヤコちゃんの悩みは自分の現実でもあるぞと。もし女子制服で月曜から出ていって自分も女の子になったと主張した場合、内科検診とかはどうしよう?その時点で実はまだ男の身体であったことがバレたら、犯罪者として少年院送りになるかも。
 
少年院に送られたら、きっと私男の子部屋に入れられて、男の子たちから陵辱されまくったりして・・・・(妄想しながら夢の中へ)
 

そして夜中の12時過ぎ
 
「12時すぎの女・魔女っ子千里ちゃん見参(けんざん)」
と言って、“魔女っ子千里ちゃん”が現れる。
 
「おはよう」
と真和は目を覚まして挨拶した。
 
「それでどうする?たまたまは当然取るとしてついでにちんちんも取っちゃう?割れ目ちゃんも作っちゃう?おっぱいも大きくしてあげようか」
 
「それなんだけど、少し話聞いてくれる?」
と言って、弥日古のことも含めて自分の状況について語った。
 
魔女っ子千里ちゃん(←もう少し短くならんのか?)は言った。
 
「だったらマナちゃんもヤコちゃんも2人とも完全な女の子に変えちゃえばノープロブレムじゃない?」
 

「やはりそういうことになるのかなあ」
「ヤコちゃんの住んでる所分かる?」
「うん」
「だったら彼女の所にこれ送ってあげて。それを下腹部に描き写してもらったらそれを目印に彼女の所にも行ってあげる」
「うん」
 
それで呪符をもらったが、私がもらったのとは違う呪符だぁと思った。ひとりひとり違うのかな?(実は適当である)
 
「それでマナちゃんは完全な女の子にしていい?」
「それってどうやるの?」
 
「男の子を女の子にするにはね」
「うん」
「まずはこのナタでちんちんとたまたまを切り落とす」
と言って魔女っ子ちゃんは鉈(なた)を取り出す。
 
ひぇー?そんなので切るの?痛そう。
 
「そしてこの電動ドリルでヴァギナがあるべき所に穴を開ける」
と言って電動ドリルを取り出す。
 
「ちょっと待って。少し考える」
 
しかし鉈(なた)とか電動ドリルとかどこから取り出したんだ?と思う。
 

「ま、それは冗談だけどね」
 
冗談がきついよー。
 
「本当は性別軸を回転させる」
「軸?」
「人間の身体は大部分が11次元の世界の中にある。この世界に見えているのはほんの一部。その身体を性別軸に沿って回転させれば、性別は変化する」
 
なんか怪しげな話だなと思った。
 
「取り敢えず100年くらいお試しで女の子にしてあげようか?100年後に来て気に入ったらそのまま。やはり男の子のほうがいいなら元に戻す」
 
「100年は長すぎるので1ヶ月くらいでお願いします」
「いいよ。じゃお試しで女の子にしてあげるから、月末に、お姉さんの睾丸を取ってあげることにしたから、それを取った後、ここにきて、男に戻すか、女の子のままがいいかマナちゃんに尋ねることにする」
 
「うん。それでいい。でも1ヶ月後なら、また東京に出てるかも」
「ああ、じゃその時に男に戻してあげようか」
「うんそれでいい」
 

でも、元紀姉ちゃん、睾丸を取ってもらうのか。まあいつまでも付けておく気は無かったろうけど。
 
「じゃ女の子に変えるね。寝てる間に変えるから、目が覚めた時はもう女の子だよ」
 
「ちょっと待って。その前にこの呪符をヤコちゃんに送らなきゃ。イオリちゃん」
と呼ぶと押し入れの中から、イオリが出てくる。
 
「ハロー、オーリン」
「あれ〜イオリさんだ」
 
あ、知り合いなのか。
 
「私がその呪符、弥日古ちゃんの所に届けてあげるね」
「よろしく〜」
 
それで真和は弥日古への手紙を書き、封筒に彼女の住所・氏名を書いた。そしてお稲荷さんの残っている分をフードパックに詰めてあげた。
 
「じゃ行ってくる」
「うん」
 
それでイオリは飛び出して行った。
 

真和は布団の中に入る。
 
「怖がらなくていいからね。少し苦しいかもしれないけど、痛みは無いし、数時間で収まるから」
「うん。メスで切ったりはしないのね?」
「しないよ。鉈(なた)も電動ドリルも包丁や鋸(のこぎり)も使わないよ。でもちんちんには2度と会えないかもしれないから、オナニーとかするなら今だよ。待っててあげるよ」
「しない」
「じゃ女の子に変えちゃうよ」
「うん」
「多分2週間後くらいに生理くると思うから、ちゃんとナプキン用意しててね」
「分かった!」
 
それで真和は目を瞑った。魔女っ子千里ちゃん(オーリン?)は真和の手を握った。真和は眠くなって睡眠の中に落ちて行った。
 
真和は夢を見ていた。夢の中では、魔女っ子千里ちゃんが鉈(なた)でちんちんとたまたまを切断し、包丁でお股に切れ目を入れて割れ目ちゃんを作り、その奥に電動ドリルで穴を受けてヴァギナを作ってくれた。真和は「ひぇー!」と思いながらもされるに任せていた。そして粘土細工でおっぱいを作ってくれた。なんか私、改造されているお人形さんみたいと思った。
 
でも最後に魔女っ子千里ちゃんは、新しいヴァギナの奥に何かを埋め込んだ。
 
「これは女の子の種だよ。これが育って卵巣ができて、マナちゃんの身体は女性ホルモンに支配されるようになるよ。2週間後には生理が来るからね」
と魔女っ子千里ちゃんは言った。
 

9月1日26時(9/2 Fri 2:00AM)頃、藤弥日古は
 
「もしもし、フジヤイコちゃん?」
という女性の声に目が覚めた。
 
「お届け物です」
というので
「ありがとう」
と言って受け取る。
 
「わあ、マナちゃんからの手紙だ」
と言って開けてみる。
 
この呪符を描けばいいのか。
 
弥日古は届けてくれた女性に尋ねた。
 
「夜中にありがとう。疲れてない?お茶かおやつかあげようか」
「冷たいおちゃなら歓迎、稲荷寿司とか油揚げとかあると歓迎だけど、おやつも好きだよ」
 
それでペットボトルの“おーいお茶”と大福を持ってきてあげたら美味しそうに食べていた。
 
「お稲荷さん、もし夕方まで待っててくれたら学校終わったあと買ってくるけど」
「待ってる!」
ということで、イオリさんは夕方(実際は夜)まで弥日古の部屋の押し入れでお休みになっていたのである。
 

さて、水戸の杜屋鈴世は9月1日午後の授業を女子制服で受けてしまった。でも5時間目のグラマーの先生も6時間目の古文の先生も鈴世の女子制服を注意することは無かった。実際問題として日都美たちが言うように、鈴世の女子制服姿があまりに自然すぎて、気付かなかったのだと思う。
 
鈴世は放課後も18時くらいまでバンドの練習をしてから帰宅した。
 
「あら、あんたその制服で学校に行ったの?」
「登校する時は男子制服だったけど途中で着替えた」
「ふーん」
「明日は男子制服で行くけど、土日は文化祭だからこの制服で登校する」
「まあ文化祭ならいいかもね」
 

それで鈴世は9月2日(金)は一応男子制服で登校した。でも登校するなり、女子たちから「女子制服着なよ」と言われて女子制服に着替えてしまった。その日1日女子制服で授業を受けた。
 
トイレはクラスメイトの女子たちが
「すずちゃん一緒に行こう」
と言って女子トイレに連れて行ってくれたので助かった。
 
「学校外ではいつも女子トイレ使ってるんでしょ?」
「私男物の服持ってないし」
「というか男子トイレを使うために必要な器官が存在しないよね」
 
結局、その日も先生たちからは全く注意されなかった。
 
「もう来週からも女子制服で授業受けなよ」
「その内叱られるよぉ」
「ばれない、ばれない」
 
この日(9/2 fri)も昼休み・放課後とバンドの練習を重ねた。そして鈴世は女子制服で下校したが、母は「ふーん」と言っていた。
 

9月2日(金)の朝、都城の藤弥日古は昨日と同じように女子制服を着て、母が作ってくれたお弁当を持ち、学校に出掛けて行った。女子としての登校も2日目になると、少し余裕が出てきて“女子”というものを楽しむ余裕が出てきた。
 
体育の授業だが、この日の午後は小雨がちらついたので水泳は中止となり、視聴覚教室で先日ブダペストで行われた世界水泳のダイジェストを上映しますということだった。
 
「泳ぎたかったのにぃ」
という声も多数あったが、弥日古は内心ホッとしていた。
 
水着になったり、その着替えの過程でヌードを見られても女で無いとバレない自信はあるけど、やはりそういう“危ない”場面は先延ばしにしたい気分だった。
 
世界水泳の映像は、さすがダイジェストにまとめられているだけあって興奮する場面の連続だった。昨年1年遅れで実施された東京五輪でも活躍した多数の日本人選手が予選を勝ち上がっていくところはとても興奮した。
 
800m予選で川上青葉選手がやらかした“泳ぎすぎ”については視聴覚教室内でも爆笑が起きていた。
 
(↑こうやって青葉は宮崎の高校生にも笑われている)
 
「川上選手はこの予選で日本新記録を出したのですが、もしまともにゴールしてたら、きっと1秒くらい速かったと言われています」
などとアナウンサーの人が言っていた。
 
「でもたくさん泳いでいたら回数分からなくなるかもね」
「陸上だとゴールテープが用意されるから走り過ぎは無いだろうけどね」
「いやうちの県の中学生の陸上大会で20年前に1度あったらしいよ」
「田舎の大会じゃあるかもねー」
 
(↑こうやって20年後まで笑われる)
 

こうして弥日古の女子高生生活2日目もごく普通に過ぎて行った。
 
学校が終わった後は、帰りにタイヨー(*21)に寄り、稲荷寿司をたくさん買った。それで帰宅してからイオリさんにあげると、イオリさんは凄く喜んでいた。
 
弥日古はおへその下に、マナちゃんから送ってもらった呪符を描き写した。もちろん「こちらが上」と書いてあるほうを手前にして描いていく。これ間違って逆さまに掻いたら、魔女っ子ちゃんが逆立ちして出て来たりしてね!?
 
イオリさんは弥日古が夕食で食卓に行くという時に
「これ食べたら帰るねー」
と言っていた。
「うん、気をつけてね」
 
夕食から戻るともうイオリさんはいなかった。弥日古は夜に備えて仮眠した。
 
(*21) タイヨーは宮崎・鹿児島に多数の店舗があるスーパー。関東地区にあるタイヨー、静岡にあるタイヨーとは、偶然名前が同じになっただけで無関係。
 
筆者も都城に半月ほど滞在した時には随分ここで着換えや食料を買った。私がよく寄ってたタイヨーは郊外型でかなりの大型店舗だったが、食料品だけの小型店舗もある模様。
 

9月2日(金)の朝6時頃、松崎真和は爽快に目が覚めた。何だかよく分からないけども凄く爽快な気分だった。取り敢えずトイレに行く。便座に座って筋肉を弛緩した時、今まで経験したこともない物凄くスムーズなおしっこの出方をした。
 
あっ。
 
それで自分が魔女っ子千里ちゃんに女の子に変えてもらったことを思い出した。
 
でも何てストレスの無い出方なんだろう。おしっこが身体からそのまま落ちて行く感じだ。少しずつ意識が明瞭になっていく。おそるおそる自分の身体を触ってみる。一見タックした状態に似てるけど、タックではなく本物の割れ目ちゃんがある。おしっこはその中から出ている。
 
やがて出終わるのでトイペで拭く。そしてショーツを上げてパジャマのズボンを上げて手を洗い、急ぎ自分の部屋に戻る。
 
布団の中に潜り込んで自分の身体を再確認する。
 
まず胸には豊かなバストがある。これBカップくらいかなあ。そしてお股には余計なものは何も付いてなくて、割れ目ちゃんがあり、その中に敏感な部分、多分おしっこの出て来たところ、そして奥には何かの穴がある。
 
すごーい!
 
すっかり女の子の身体になってる。この身体が自分のものだなんて信じられない。
 
真和は物凄く感動していた。
 

自分の身体をあちこち触ってみるが、特に傷みなどはない。変化する最中は少し苦しいと思うと言ってたけど、多分寝てたから分からなかったんじゃないかなあ。嬉しい。このままでいい。もう男の子には戻りたくないと思った。
 
ずっと自分の身体に陶酔していたら、やがて母が来た。
 
「マナちゃん、体調はどう?」
「だいぶ良くなったけど、今日まで休む」
「そうね。無理することないよね。学校に連絡しとくね」
「うん。ごめんねー」
 
元々今日まで休むつもりだったしね!
 
それに女の子になりたてで学校に出て行ったら、絶対あちこちボロが出そうな気がする。自分が女の子であるという状態に2〜3日慣らしてから出て行ったほうがいい気がするもん。
 
それで真和は取り敢えず2度寝した。
 

イオリは都城から伏見までの560kmを時速80kmで飛行し、その後、伏見にある京平の部屋(*22)から聖子の部屋の鏡にジャンプして、夜中2時頃(9/ 2:00AM)橘ハイツに帰還した。
 
「ひかりちゃん、ただいまあ」
「イオリさん、お疲れさん」
「たくさん飛行したから疲れた。私のお稲荷さんちょうだい」
 
ひかりは困ったように言った。
「イオリさんがあんまり帰って来ないから、取っておくと悪くなるしと思ってみんなで食べちゃったよ」
 
「え〜〜!?私の分はぁ?」
「だってあんまり帰って来ないんだもん」
 
「私往復1200kmくらい飛行したのにぃ」
と言って泣いている。
 
「じゃコンビニに行って、自分で好きなだけお稲荷さん買ってきてよ。こんな遅い時間に中学生が出歩いていたら補導されちゃう」
「分かった」
 
それでイオリはひかりからお金を預かり、自分でコンビニに行って、コンビニにありったけの稲荷寿司を買ってきて、美味しそうに食べていた。
 
真和からも弥日古からもたくさんお稲荷さんもらったのに!
 
(*22) 本人が大阪→神戸→浦和と移動してるので、この部屋は現在お友達キツネたちのたまり場になっている。イオリや篠田姉妹(男子寮のフロント係)なども利用している。
 

さて、9月2日(金)の夜12時(9/3 0:00 AM)、時計の12時の時報が鳴り終わると弥日古の部屋に魔女っ子千里ちゃんが出現した。
 
「呼ばれて飛んできてジャジャジャジャーン」
などと言っている。何かのパロディだろうか?
 
「じゃヤコちゃん女の子にしてあげるね」
「前提無しにいきなり!?」
「だって女の子になりたいんだよね?」
「なりたい」
「だったら女の子にしていいね?」
「うん」
「取り敢えず、そのブレストフォーム外して。ブラジャーも外して」
「うん」
 
・・・・・
 
「外し方が分からない」
「ああ。前にも外し方が分からなくて半年悩んでた子がいたな」
「半年!?」
「外してあげるよ」
 
と言って、魔女っ子千里ちゃんは剥がし液を使って、弥日古の胸に貼り付けてあるブレストフォームを外してあげた。
 

「じゃ女の子にしてあげる。寝てていいよ。目が覚めた時はもう女の子だから。醜いちんちんも、身体の中に害毒をまき散らす有害なたまたまも取って、美しい割れ目ちゃん、可愛いクリトリスと、素敵なヴァギナがあるようにしてあげるね。おしっこも女の子方式でできるようになるからね、ちゃんとお嫁さんにもなれるよ」
 
お嫁さんなんて言葉にドキドキする。
 
「うん。覚悟を決めた。女の子にしてください」
「だいたい2週間くらいで生理もくると思うから、ちゃんとナプキン用意しててね」
「生理くるんだ?」
「女の子になれば当然来るよ。将来的には赤ちゃん産んでママになるんだよ」
「ぼくがママになるのか・・・」
 
「じゃ寝ててね。性別軸の回転を掛けるからね」
と言って、魔女っ子千里ちゃんは弥日古の手を握った、
 
弥日古は眠くなって、眠りに落ちて行った。そして意識が消失する寸前、魔女っ子千里ちゃんはこんなことを言った。
 
「じゃ1ヶ月後に男の子に戻してあげるね」
 
ちよっと待って。なんで男の子に戻すの〜〜〜!?
 
(真和のケースと混同している。この子は勘違いと物忘れが酷いのが欠点である。しかも「1ヶ月後に女の子のままにするか男の子に戻すか選んで」という話だったハズが、いつの間にか「1ヶ月後に男の子に戻す」ということになってる)
 

9月3-4日(土日).
 
杜屋鈴世の高校で文化祭が行われた。鈴世は友人の日都美ちゃんたちと一緒に有志演奏の時間に“ウシ娘”のメンバーとしてドラムスを演奏する。
 
衣裳は最初おっぱいが巨大なホルスタインの着ぐるみが提案されたものの、先生の許可がおりず結局制服での演奏となった。代わりにウシっぽい帽子をかぶる。鈴世はその帽子の下にヘッドホンを付けてて、本来のドラマーである彰奈ちゃんが出してくれるクリック音を聞きながらドラムスを打つ。
 
「だいたいホルスタインってお乳をたくさん出すだけで、おっぱいが大きいわけではない」
「オッパイが大きいのって、人間とジュゴンだけらしいね」
 
「普通の動物はお尻でオスを誘惑するけど、人間は服でお尻を隠してしまったから代わりにおっぱいでオスを誘惑するんだって」
「じゃ、おっぱいってお尻の代わりなの?」
 
「なんか怪しげな説だなあ」
「人間が服を着るようになったのってたぶん氷河期からで、おっぱいはそれ以前から大きかった気がする」
 

ウマ娘の曲でも演奏するのかと思ったら、演奏するのはYOASOBIの曲である。『大正浪漫』と『群青』を演奏する。ボーカルは日都美である。怪我をした彰奈に歌わせる案もあったが、彼女はリズム感はあるが音程が不安定という重大な欠点がある。それでクリック音係になった。
 
「彰奈と鈴世の子供ができたら優性の法則でリズム感も音程もしっかりした子ができないかな」
「いやきっと劣性遺伝でリズム感も音程感も悪い子ができる」
「なんかどっかで聞いたような話だ(*23)」
「まあそもそも女同士では子供を作れない」
「コモドドラゴンみたいに卵子融合で(*24)」
 
鈴世は女の子には恋愛的興味が無いのでこういうことを言われても平気である。
 

(*23) バーナード・ショー(1856-1950)は晩婚である(1898年に結婚)が、若い頃美人の女優さんにプロポーズされた。
 
「あなたが私と結婚したら、きっとあなたの頭脳と私の美貌を兼ね備えた子が生まれるわ」
ショーは答えた。
「いやきっとぼくの容姿と君の頭脳を兼ね備えた子が生まれる」
 
この女優をエリザベス・テイラー(1932-2011)とする説もあるが、年齢が合わないので違うと思う。
 

(*24) コモドドラゴンは生息密度が低いため、一生の間に異性の個体と1度も出会えないことがある。メスはオスと出会ったらそのオスと有性生殖して卵を生むが、出会えなかったら自己生殖して卵を産む。この時生まれる子供は必ずオスなので、その子と今度は有性生殖して(母と息子の怪しい関係!)更に卵を産む。
 
自己生殖でオスが生まれる仕組みは実はよく分かってないようであるが、以下はひとつの仮説である。
 
コモドドラゴンの性染色体は“雌ヘテロ型”と言い、ZZがオスで、ZWがメスである(人間のように雄がXY、雌がXXのような形式は“雄ヘテロ型”という)。
 
通常、精子や卵子が作られる時には減数分裂が行われるが、この減数分裂により生じたZ卵子・W卵子の内部で遺伝子が更に分裂し、通常の数の遺伝子を持つ卵子が出来る。つまりZZ卵子とWW卵子である。しかしWW卵子は生物として生きる力が無いのでZZ卵子だけが生き残り、これが育ってオスの子供となる。
 
一時期そういう説もあったように卵子同士が融合するのではないと思う。融合するのであればZW卵子もできて、メスも生まれるはずである。
 
これと同様に人間でも、XY女性の卵巣の中で、減数分裂によってX卵子とY卵子ができても、Y卵子は生きることができず、X卵子のみが生き残ると思う。
 
コモドドラゴンのW染色体にしても人間のY染色体にしても中身がスカスカで生物として生きられるだけの情報が無い。
 
なおこのように自己生殖できる動物は時々いるが、メス同士で子供を作る生物は居ないと思う。オスがおらずメスだけの集団があったら、だいたいメスの中のどれかの個体が性転換してオスになり有性生殖を行う。魚にはこういう生殖の仕方をするものがある。
 
刑務所や軍隊、また修行僧などで男性だけの集団があると必ずその中に女の子役の人が生れて、有性生殖の疑似行為をするようになるのはとても自然な行動であり、何も非道徳的なことではない。多くの生物がしているのと同じ類型行動である。
 

“ガールズバンド”の中に、学籍簿上男子が混じっていることにはほとんどの観客が気付かなかったと思う。だって全員女子制服を着ているし。鈴世のことに気付いた人も「まあ、すずちゃんは女子ということでもいいよね」と思った。
 
鈴世のガールズバンドとしての出番は、土曜・日曜各々1回ずつではあるが、鈴世は1日中女子制服で過ごした。鈴世はだいたい男子制服着てても女子がコスプレしているようにしか見えないので、中学生時代は、こういうイベントの時に男子制服で男子トイレを使うと
 
「女の子が男子トイレを使ってはいけない」
と保護者に注意されたりしていた。
 
女子制服で過ごすとそのようなトラブルも無いので
「これいいなあ。このままずっと女子制服で学校に来たい」
と鈴世は真剣に思った。
 

9月3日の朝、藤弥日古はとても爽快な気分で目が覚めた。
 
「なんかまるで生まれ変わったような感じ。何だろう」
と思いながら、トイレに行く。
 
そしていつものように便座に座っておしっこをした時、ギョッとする。
 
なにこの感覚!?
 
そして思い出した。そうだ!魔女っ子千里ちゃんに女の子に変えてもらったんだ!
 
それでトイレを出て部屋に戻ると、服を全部脱いで鏡に映して見た。
 
(布団の中で身体を確認した真和とまず鏡に映してみた弥日古の性格の違い)
 
「きれ〜い」
と声を挙げる。
 
肩が昨日までより少し撫で肩になった気がする。胸には2つの丸い膨らみがある。これが昨日まではブレストフォームによる偽装だったのが今はもう本物の膨らみだ。お股には余分なものはなく美しいラインである。これも昨日まではタックした状態だったのが、今は本当に何も無い。
 
あぐらをかいて座り手鏡で“中”を確認する。昨日までは開けなかった割れ目ちゃんが今はちゃんと開ける。クリトリス、おしっこの出るところ、ヴァギナ、ちゃんとある。
 
嬉しい!
 
本当の女の子になれた。
 
弥日古はまずショーツを穿く。ピタリとお股にフィットする。昨日までは偽装してフィットしていたのが、今は本当にフィットしている。ブラジャーを着ける。昨日までは偽装したブレストフォームにブラを着けていたのだが、今は本物のおっぱいを優しくブラが包み込む。この感触いいなあと思ったのだが、ここで重大な問題に直面する。
 
ホックが届かない!
 

あらためて自分の身体を観察すると、バストが昨日までよりかなり大きくなってる。これCカップくらい無い?
 
取り敢えずスカートを穿いてからメジャーを出してバストのサイズを計測したらアンダー74cm トップ90cmで完璧なCカップであることが判明した。
 
えーん。ブラジャー買い直さなきゃ!
 

9月3日(土).
 
真和は両親と一緒に父の車で藺牟田飛行場まで行った。ゲートの所の人に駐車場に駐めた姉の車を回収しにきたと言うと通してくれた。
 
父の車とブースターケーブルをつなぐ。父がタントのエンジンを掛ける。ちゃんと掛かった。それでケーブルを外す。ところが、母がタントに乗り車をスタートさせ
「暑いね」
と言ってエアコンを入れたら・・・
 
落ちた!
 
まだ10mも走ってない。
 
「どうした?」
「エアコン入れたら落ちた」
「30分くらいアイドリングしてから出たほうがいいな」
 
それでその場で30分ほどアイドリングを続ける。その間、父の車のほうで待機する。
 

「そろそろいいかな」
 
それで出たがエアコンを入れるとまた落ちた。
 
「この車でエアコンは無理かもな」
「エアコン無しじゃ死ぬよ」
「このままイエローハットまで走ってバッテリー交換してもらったほうがいいかも」
「じゃあんたが運転してよ」
 
それで母と真和が父の車に乗り、父がタントに乗って窓を全開にしてイエローハットまで行った。それでバッテリーを交換してもらったがバッテリー代は真和がとりあえず出しておいた。
 
「あとでもと兄ちゃんに請求しよう」
 
「元兄ちゃんって、あの子ももうお姉ちゃんになった?」
と母が言う。
 

「そういう意味じゃなくて元紀(もとき)兄ちゃんという意味だけど、ぼく以上に女性化が進んでるみたい。お父ちゃんにはしばらく内緒だけど今月中に睾丸取ると言ってた」
 
と父の前で堂々と言う!
 
「まだ取ってなかったのか。とっくに取ったものと思ってた」
と父は言っている。
 
「精液は保存していたよ」
「精液だけ保存してどうすんだ?あいつ男と結婚するよな?」
 
お父ちゃん、理解がありすぎるよと思う。
 
「代理母さんに頼めば赤ちゃん作れる可能性あるからね」
「ああ」
 

「赤ちゃん欲しければ、元紀姉ちゃんが自分で産めばいい気がするけど」
「そのほうが安く上がりそうだ。代理母頼むのって1000万くらいかかるんだろ?」
「赤ちゃん産むのって命懸けだし、1年くらい仕事できないから生活補償もあるよね」
 
「まあ性別に関してはお前と元紀のことは諦めてるから好きなようにしろ。ただ後悔しないようにだけしろ」
「うん。そうする」
「まあ男ばかり5人だったから娘が2人くらいできたほうがいいよ」
と母。
「そうそう。典香は向こうの中学で『女子トイレ・女子更衣室の使用を許可します』と言われたらしいよ」
「認めてもらって良かったね」
 
「まあ、のりは立っておしっこするのも好きと言ってたけど」
「やはりあの子ちんちんあるよね?」
「ぼくはちんちん無くなったけどね」
「そりゃ女の子にはちんちん無いよ」
 
真和はそんな会話をしていて、やはりぼく月曜から女子制服で登校していいのかなと思った。
 

その日の午後、藤弥日古は母に車で運んでもらってイオンに行き、新しいブラジャー、そして水着!を買った。
 
売場のお姉さんにサイズを測ってもらい
「C75ですね」
と確認される。それでそのサイズのブラジャーを5枚買った。そのままそのお姉さんに水着のサイズも計ってもらい、このバストが収納できる競泳用水着を買う。
 
バストが急に大きくなってしまったので、木曜日に買った水着が入らないのである。水着はジャストサイズを買わなければならないので仕方ない。結局木曜に買った水着は1度も使わないままになってしまうが、やむを得ない。
 
「メルカリにでも出そうかな。未使用なら1000円くらいで売れないかなあ」
 
(↑女子高生の使用“済み”水着のほうが高く売れたりして)
 

一方真和のほうも週明けに水泳の授業がありますという連絡がラインで来ていたので、母にしまむらに連れて行ってもらい、女子用の競泳用水着を買った。ついでにブラジャーも5枚買った。母は真和が女の子水着を選ぶのを楽しそうに見ていた。
 
「こっちのデザインのほうが可愛いよ」
などとも言っている。
 
ほんとに娘ができて嬉しい??
 
 
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【夏の日の想い出・止まれ進め】(6)