【春一】(7)
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9月15日(木).
高田舞花と谷口愛佳が先月受けた模試の結果が返ってきていた。舞花は富大芸文(富山大学・芸術文化学部)と富山県立大がC判定になっていて自信を回復した。愛佳も金沢の中堅私立大にC〜D判定が出ていた。
「でも私立には行かせてもらえないだろうなあ」
「奨学金もらってバイトもすれば親からの支援無しでも何とかなると思うよ。取り敢えず高校1〜2年の復習とかしてみたら」
「そうだなあ」
2人は模試結果を担任に見せ
「おお頑張ったじゃん」
と言ってもらった、
9月20日(火)、藤尾広紀(旧姓青山)は元気な女の赤ちゃん(2718g) (*44) を出産した。陣痛が始まってから24時間近い、結構長い出産であったが、広紀は自身の母からは
「このくらい普通」
と言われていた。本人は
「もう死ぬかと思ったぁ」
と涙を流していた。
『霊界探訪』取材班は夫の藤尾歩が連絡してくれたので、幸花・明恵・真珠の3人でインタビューを取りに行き、赤ちゃんの映像、ベッドに寝ている広紀の映像を撮ってきた。
「凄く苦しんでるの見て大変だなあと思った。次も広紀に産んでもらおう」
などと歩は言っていた。
(*44) 父親の藤尾歩が女性(XX)なので子供は必ず女児(XX)である。Y卵子は成熟できないので減数分裂した直後に死亡してX卵子のみ残る。
実際に出産したのは広紀だが、彼は法的には男性なので、法律上女性である藤尾歩の名前で産婦人科を受診し、そのまま出産した。従って母子手帳・出生証明書にも父:藤尾広紀、母:藤尾歩と記載され、戸籍上にもそう記載されるはずである。
男性の出産という面倒な事態を避けるため、こういう便法を用いた。
戸籍上男性である広紀に産休をくれた副所長は偉い!
2022年9月22日(木).
オーストラリアでFIBA 女子バスケットボール・ワールドカップが開幕した。
若手主体の代表チームで臨んだ日本は、予選リーグでマリだけに勝ち、オーストラリア、カナダ、セルビア、フランスに負け、1勝4敗でまさかの予選落ちをした。
今回昨年のオリンピックで銀メダル取得に貢献した主力がほとんど外されていたことにマスコミなどからは批判の声が多く出たし、選手の中からも采配に疑問の声があがるなど、監督・チーム代表など首脳部を責める声が相次いだ。
日本バスケット協会は監督とチーム代表を解任した。また強化部長も辞任した。女子日本代表はゼロからパリオリンピックに向けて再出発することになる。
9月23日(金).
吉川日和は4回目の生理が来た。もう4度目になると
「ああ、また来たのか」
と思うだけで、もう日常になってしまった。
日和は夏休み明けから女子トイレを使っているのでナプキンの交換にも全く困ることはなかった。
9月24日(土).
梨原有明(槇原安里愛)は2度目の生理が来た。土日の間は自宅のトイレで汚物入れにナプキンを捨てることができた。月曜日(9/26)は困ってクラスメイトの女子に相談した。すると
「リアちゃんは女子トイレに入っていいよ。おいで」
と言って手をつないて女子トイレに連れてってくれた。おかげで無事交換することができた。
「でも生理来たのね」
「リアちゃん、おっぱい少し膨らんで来てるみたいと思ってた」
「リアちゃんはこれからもずっと女子トイレ使っていいと思うよ」
「むしろ梨原にはあまり男子トイレ使って欲しくない」
「梨原さんは体育の時の着替えも男子と一緒に着替えるのやめてほしいという意見もあるのだけど」
「リアちゃん、着替えの時2組の教室に来る?」
この学校では男子は奇数教室、女子は偶数教室で着替えている。
「そんな女子と一緒とか恥ずかしいー」
「男子と一緒に着替えられるとこちらが恥ずかしいのだけど」
「じゃ明日は試しに女子のほうに来てみてよ」
「え〜〜〜!?」
翌日、有明は女子と一緒に着替えたが、女子と一緒で何も問題も無いし、男子と一緒に着替えるのは大いに問題があることが判明した。
9月25日(日).
H南高校の女子バスケット部は、フラミンゴに高岡C高校女子バスケット部を迎えて練習試合をおこなった。ウィンターカップ予選は10月22日から始まるが、その1ヶ月前に矢作さんから
「高田妹も入れたチームと練習試合がしたい」
という申し入れがあったのである。
春貴としてはウィンターカップに高田晃を出すかどうかまだ悩んでいるのだが、向こうとしては当然晃が出てくるものとして、チーム強化の目安を掴みたいのだろう。地域リーグで死闘をした7月中旬からはどちらもレベルアップしているはずである。
春貴は晃に言った。
「矢作さんのご指名なんだよ。試合に出てよ。取り敢えず公式戦じゃないから、いいでしょ?」
「分かりました。出ます」
と晃も答えた。
試合会場にこちらの練習場を使うことにしたのは、向こうとしても敵情視察したいというのがあったのだろう。
「きれいな体育館ですねー」
と矢作監督は言った。
「6月に出来たばかりなんですよ。実は津幡町の火牛スポーツセンターの分室なんですけどね。これの建設をしていた時にうちのバスケット部が使っていた練習場を作業員の人がクレーンを倒して壊してしまって」
「あら」
「それでその練習場の代わりにここを自由に使ってと言われたのでありがたく使わせてもらってるんですけどね」
「へー」
「女子バスケット部は4月の段階では体育館の外に置いたゴール1個で練習してたんですけどね」
と愛佳キャプテンが言う。
「外?」
「でも春貴先生がウッドカーペット買ってくださって、そこでドリブル練習できるようになったんですよね」
「なんか悲惨な練習してるな」
「でも思いがけず総体予選で3位になったから、古い美術室を練習場にもらったんです」
「美術室って天井が低いのでは」
「ひたすらランニングシュートとドリブルの練習だけしてましたね」
「シューター班は体育館外のゴールで練習」
「でもその美術室が壊れて代わりといってここを使わせてもらえるようになって」
「わらしべ長者みたいだ」
「私たちもそう言ってたんです!」
「でもそれでみんなドリブルやランニングシュート・ミドルシュートとかの基礎がしっかりしてるわけだ」
「試合練習とかできませんでしたから」
「まともな練習場が無かったからひたすら基礎練習してたんですよね」
「確かにこのチームは基礎ができてると思ってた」
「基礎しかないですけど」
「ひとりひとりに課題を与えて、とにかくその練習ばかりさせてましたからね」
と春貴。
「やはり弱い所を克服させるべく?」
「いえ得意な所を伸ばすようにひたすらそればかりです」
「なるほどー!」
「だって苦手なの練習しても辛いじゃないですか。得意なのたくさん練習したほうが楽しいですもん」
と舞花が言っている。
これを聞いて「奥村先生は凄い指導者だ」と矢作先生は思った。
「H南高校が急に強くなった理由(わけ)の一端が分かった気がした」
と矢作先生は言った。
H南高校の男子部員が審判・T/Oとモッパーをしてくれた。
(モップ掛けが超適当!)
こちらは愛佳・舞花・美奈子・河世・晃という、最強布陣でスタートした。
向こうも7月からかなりレベルアップしていた。しかしこちらも夏休みの間、ほぼ毎日主力は“個人練習”の名目で練習していて各々がかなりレベルアップしている。それでこの試合は凄い接戦になった。矢作さんも今回はゾーンを使わなかった。両者ガチ勝負である。
最後は向こうのSG 鷹野さんのセンターラインからのロングシュートがブザービーターになって高岡C高校の逆転勝ちとなった。
普通ならブザービーターを決めたら歓喜の声があがり抱き合ったり、決めた選手をみんなが叩いたりするものだが、撃った本人が力尽きて大の字に寝転がってしまった。他の選手も座り込んだり伸びていたりする。負けたH南高校側も全員立てなくなった。
(女子だから大の字で、男子は太の字?)
物凄く消耗の激しい試合だった。
主審を務めた坂下君が整列を促し、頑張って立ち上がって両軍整列する。
「103対101で高岡C高校の勝ち」
「ありがとうございました!」
それで両軍ハグしあって健闘を称えた。H南高校のメンバーが泣いていたが、高岡C高校のメンバーも泣いていた。
矢作先生も春貴も腕を組んで選手たちを見ていた。
この試合はお互いとても有意義な試合となった。
千里の出産については『竹取物語』を配信した後で書きます。
9月28日(水).
高田晃に再び生理が来た。生まれて2度目の生理である。数日前から下腹部が痛かったので「もしかして来るかなぁ」と思ってナプキンを着けておいたら来た。生理用ショーツも着けている。
晃は女の子になっちゃった6月28日の後で、7月3日に生理が来ている。この生理は6月19日頃に黒衣魔女の体内で起きた排卵が引き起こしたものである。
しかしその後晃は7月20日に千里に“願い石”の呪いを解いてもらい、晃の体内に入っていた卵巣・子宮は本来の持ち主である黒衣魔女のところに戻り、晃は単に男性器が無いだけの状態になった(*45).
7月17日頃に晃の体内で起きたであろう排卵は7月末に黒衣魔女に生理を起こしたはずである。
(*45) 晃の男性器を取っちゃったのは“姫様”である。姫様は女子トイレを使っていた彼に声を掛け、女の子になりたいのなら、陰茎と睾丸を「卒業まで預かる」と言った。
姫様としては女子トイレを使っていたことに対して罰を与えたのではなく、むしろ親切心で女子トイレを使っても叱られない身体にしてあげただけである。もっと親切に完全な女の子に変えてあげようかとも思ったが、それは真珠に止められた。
この事件は元々晃の守護霊が、願い石の作用により晃が男性器を喪失する事態を避けるため、姫様に預かってもらえるよう仕組んだものである。願い石の霊集団により性転換手術されていたら、晃の睾丸は廃棄され、ペニスはヴァギナに作り変えられてしまって復元不能になっていた。晃の夢の中で、メイド服で登場したのが守護霊本人である。
守護霊としては、晃は女の子指向も元々持っていたので、本人が女の子になりたいと思うようになったらそれでもいいと思っている。。
呪いが掛かっていた時は卵巣・子宮もある女性体になっていたので女子としての試合出場資格があったか、呪いが解除されて女性器が無くなると、このままでは晃は性転換手術を受けた元男性と思われかねない。それで千里は彼の身体を“性的に未熟な女性”に変えてあげた。これで自分の男性器が戻って来るまで何とか乗り切る。
姫様が霊的に晃の男性器を預かっているので、千里が晃の性別軸を回転させて男に戻しても物理的な男性器は出現しない。つまり物理的には女にするしか無かった!
姫様は晃が高校を卒業する時に男性器を戻してやると言っているが、気まぐれで物忘れの激しい人なので全く当てにならない。でも晃は「戻してやる」という言葉を健気に!信じている。でも元々女の子になりたい気持ちも少しあった上に、2年半にわたり女性ホルモンに曝された後に晃が本当に男に戻りたいと願うかはかなり微妙な気がする。
そして晃はその後しばらく生理が無かったのだが、この身体が恐らくホルモン的に落ち着いて来たことから生理が始まったのだろう。
7.20 呪い解除/性別軸の調整 排卵起きず
8.17(+28) 排卵起きず
9.14(+28) 排卵再開
9.28(+14) 生理再開
晃は学校では本棟1階の多目的トイレを使っているので、そこにナプキンを捨てることが出来る。また放課後は他の女子と一緒に(女子)トイレを使うので、ナプキンの処理も問題無い。
晃に9/28に生理が来たことから、姉の舞花は言った。
「なるほどー。あんた黄体期だから、今一調子が出なかったのね。フルパワーじゃない気がしたのよね」
「おうたいき?」
「あんたも女の子になったんだから、生理のことちゃんと勉強しなさい。女の身体の中では月に1回くらい排卵が起きて、排卵の14日後に生理が来る。周期が28日の場合、生理の14日後に次の排卵が起きる」
「へー」
(↑多分全く理解してない)
「生理から排卵までを卵胞期、排卵から月経までを黄体期と言うんだよ。女は一般に卵胞期のほうが黄体期よりも体調が良くて、女子スポーツ選手は卵胞期の方が活躍できる」
「そうだったんだ?」
「しかも今回、試合の日は生理の3日前でPMSが来ていたはず」
「うん。確かに少しお腹が痛い感じあった。7月に生理来た時より軽かったから生理なのかどうか確信が持てなかったんだけど」
「だからあんたは最悪の生理サイクルのタイミングで試合に出たことになる」
「なるほどー」
「今日生理が来たということは次は多分10月26日。その直前の10月22日からウィンターカップ予選が始まる」
「また生理の直前か」
(↑試合に出る気になっている)
「高岡C高校との決勝戦は11月6日。10月26日に生理が来たら排卵は多分11月9日つまり排卵の直前で決勝戦の日は卵胞期になる」
「だったら決勝戦の時は体調の良い時期か」
「うんうん。うまく行きそうだね」
と舞花は言った。
今「やはり試合に出てくれるんだ」とか言うと晃が“そのこと”に気付くと思い、舞花は何も言わなかった!
9月29日(木)、
金沢地方検察庁は七尾城山での死体遺棄事件について、先日逮捕されその後送検されていた40代の男性2人の内、当時車を運転していた男性を危険運転致死罪と死体遺棄罪で、同乗者を犯人隠匿罪と死体遺棄罪で、金沢地方裁判所に起訴した。七尾の事件ではあるが、裁判員制度が適用される重大事件なので、金沢地方裁判所の本部で取り扱われることになった。
被害者の父親は、亡き娘が遺した幼い子供2人と一緒にお墓に行って報告した。
7月20日に青葉が妊娠と競技の一時休止、結婚の予定を発表した後、多くの人は「おめでとう」と言ってくれたのだが、中には嫌がらせをしてくる者もあった。特に妊娠させた“犯人”の彪志に対する嫌がらせは相当のものであった。
彪志の会社に非難の電話があったりするので、課長は彪志には電話を取らせないようにし、基本的にこの部署への電話は他の男性社員が取って、嫌がらせ電話は全部警察に通報するようにした。嫌がらせメールも全部通報し、実際に嫌がらせをしていた人が数人逮捕された。この逮捕のニュースが流れたことで、少しは嫌がらせも減った。
浦和の家にも電話が掛かってくるので、千里はこの家の電話番号を変更した。彪志のスマホにも掛かってくるので彪志も個人用・業務用ともにスマホの番号を変えた。
この時期は彪志自身も精神的に不安定になり、悪夢を髄分見た。
警官が多数出て来て彪志は逮捕される。そのまま裁判所に連れて行かれる。そして
「被告人は、オリンピックのゴールドメダリストを妊娠させた罪により死刑」
と言われてそのまま絞首台に連れて行かれる。13階段を登らされて首を縄に押し込まれてスイッチを押されたところで目が覚めた。正確には千里さんに起こされた。
「なんかやばそうな表情してたから起こした」
と言われた。
(彪志の守護霊が千里に助けを求めたのだと思う)
その他、多くの人に非難されて多数の石をぶつけられる夢、「君をもうかばい切れなくなった」と言われて会社から解雇通告される夢、100億円の損害賠償を求められる夢、などなども見た。
ある時は「今後川上選手を二度と妊娠させることのないよう、男性器を剥奪します」と言われ、多数の人が見ている前でズボンを脱がされ、ノコギリ!でペニスと陰嚢を切断される夢などもあった。
何も無くなった股間を見て呆然としているところで目が覚めた。(どこからおしっこすればいいんだっけ?とか変なこと考えていた)
電話でこういった夢を見たことを青葉に言うと、青葉は電話を通して彪志の心をヒーリングしてくれた。それで随分気持ちが楽になった。
2022年9月30日(金) 深夜 24:10-25:10 (10/01 0:10-1:10).
『霊界探偵金沢ドイルの北陸霊界探訪』が放送された。今回はこのような案件を取り扱った。
●虎関係
能登空港でHonda-Jet
NewTigerと薬王みなみちゃんの取材。この新しい虎の絵は、薬王みなみちゃんと"NewWave"の仲間でもある夕波もえこちゃんが描いた絵を元にしたものであることも紹介された。
また金沢ドイルの私邸に飾られた十二支の絵が紹介され、これを描いた川口遙佳と高田舞花のショートメッセージも紹介された。
(↑「やはり遙佳ちゃん、毎回出てる」と言われる)
●願い石関係
“ありし頃”の願い石の映像、“消滅してしまった”願い石の映像が流れる。
明恵と真珠がレポートしていたが、一緒に映っていた高田舞花・晃の姉妹については、特に説明されなかった!
(「舞花ちゃんも頻繁に出るつもりでは」との視聴者の声。「お姉さんの晃ちゃんも可愛い」との声も:晃のほうが背が高いので姉と思われた)
●きつねうどん関係
氷見の変り種うどん店“きつねうどん”のレポートが5分ほどの枠で流れた。
そのまったり感が、今回の“オアシス”だと言われた。
●青山広紀関係
産休に入った直後の映像、かなりお腹が大きくなった8月の映像、そして出産後の病院のベッドに寝ている映像、赤ちゃんの映像が流れた。
(元男の子だったのに赤ちゃん産んじゃうって凄いねーと視聴者の声)
●金沢ドイル関係
▲妊娠レポート
母子手帳の映像と、7月、8月、9月のお腹の映像。
▲結婚式祝賀会のレポート
9月2日の結婚式・祝賀会の映像が5分ほどにまとめて流された。
●七尾城のお地蔵さんの謎
最初にお地蔵さんを複数回見たという人たちの取材。これは明恵と真珠が、ドイルに出馬依頼する前に地元で取材したものである。
それから金沢ドイル・真珠・遊佐真白の3人で現場に行くシーン。お地蔵さんの映像。そして「あここだ」とドイル・真白が言う映像。そして警察が来て捜査している映像と流れる。
その後の経緯については真珠がフリップボードを使って説明し、29日(放送前日)男2人が起訴されたことを報告してこの話を終える。
以上で30分ほどを使用しており、残り20分ほどで人形美術館のレポートが行われた。
●人形美術館関係
▲5分 人形救出大作戦
6/19 能登空港で薬王みなみちゃんと一緒に地震に遭った時の映像
人形救出作業の様子。梱包作業の様子。人形を乗せたトレーラーが出発していく様子。輪島の倉庫に大量の箱が積み上げられた様子。人形たちを見る位置に座る“お母さん”マリアンと、守護神・琥珀の絵。
(遙佳ちゃんと舞花ちゃん、ここにも出てるという声)
▲2分 金沢のビスクドール展
▲3分 人形再救出大作戦
土砂を取り除きながら人形を見付けていく様子。ここでは無事だった人形の映像だけを流している。
▲3分 人形再搬入大作戦
多数の箱を倉庫からトレーラーに積むところ。箱を開けて仕分けしている所。人形を4つの区画に運んだ所。
▲7分 新人形美術館リニューアルオープン
美術館の建設の様子(*46)。各季節用の背景や小道具を設置している様子。説明用のパネルを制作している様子。ウォーキングドールの歩行経路を造っている様子。実際にテスト歩行させている様子。人形をレイアウトしていく所。ピアノ搬入の様子。遙佳が試奏している所。最後にポリカーボネイトの板を填めていく様子。オープニング式典の様子。
人形美術館関係では、遙佳の映像が大量に出ていたが
「私、いつの間にか副館長になってました」
と言って、“S市人形美術館・副館長/川口遙佳”という名刺を見せていた(電話番号等はマジックで消してある)。ビスクドールの絵が入っていて可愛い!という女子たちからの声。
(*46) これを見て美術館が“船”であることを知った人が多かった。8.14の地震で船の固定軸が自動的に外れている映像も出ていた。
数が合わなかった人形だが、こうなっていた。
再搬入した人形の中で金沢に行っていることになっていた人形:ABCDEF
所在不明の人形:WXYZ
・WXYZの4体は全て金沢に行っていた。
・ABCDは金沢には居なかった(金沢に送った時の入力ミス)
・EFは金沢にも居た!
つまりEFは複数の人形に誤って同じ登録番号を付けてしまっていた模様。
あらためて別の番号を振るとともに、名前についても再確認して別の名前を付けてあげた。
登録番号の下1桁は基本的に1〜8のみ使っていて何かの時のために0,9は空けていたのでこの子たちには受け入れた年月に合わせた9の番号を付けてあげた。
実は3月から5月に掛けて、全ての人形の名前を確定させ、名札を付けた時にも23件の登録番号重複が見付かり9の番号を使用していた。今回の2体は春先の作業の時にも気付かなかったようであった。
なお人形の登録番号は7000番台まで行っているが、この番号には諸事情(*47)で大量の抜けがあるため、館長にも人形たちが何体いるのか分からなくなっていた。しかし春先以降の作業で人形は5月末時点で4893体(自宅やレストランに置いている子を含む)いることが判明していた。その後、W神社から引き取った12体、春以降“人形美術館金沢事務局”(実質霊界探訪編集部)で引き取った32体、今回発覚した番号重複2体を入れて4939体となった。
「5000番目の子は記念に性転換サービスしてあげる?」
「5000番目が女の子だったら?」
「ちんちんをくっつけてあげよう」
「ちんちんは粘土細工か何かで造るの?」
「光で固まる樹脂で成形して固まった所を本体に接着する。他から引き取った人形で、ちんちんが取れちゃってた子の修復でしたことある」
「すごーい」
「初海ちゃんもちんちん欲しかったら作ってあげようか」
「悩むな。ちんちんあると便利そうだし」
「ちゃんとおしっこの通る穴も造るよ」
「本格的だね!」
「顔が可愛い子は『この子この機会に女の子にしちゃおうよ』と言ってハンパに壊れたちんちんと玉袋をきれいにナイフで削り取って割れ目ちゃんとヴァギナ作って女の子にしたことも何度かあるよ」
「ヴァギナまで造るんだ!?」
「サービス」
「おっぱいは?」
「ビスクドールは基本的にベベ、つまり赤ちゃんだから、おっばいは無い」
「なるほどー」
「でも立派な性転換手術医師だ」
「赤ちゃん専門の性転換医師かも」
「そこだけ聞いたら何か怖い」
「『私たち女の子が欲しかったんです。この子女の子にしてください』という求めに応じて生まれたての赤ちゃんを性転換してあげて出生証明書も女児として発行するとか」
「安い漫画の読み過ぎだな」
「でも外国ではほんとにありそう」
「外国だけならいいね」
「ちんちんだけじゃなくて手足の修復もする。これは千切れてるのを縫い付けたり、元々欠損していた場合は新たな手足を作って縫い付けてる。ほかに目玉が欠損していた子はガラス細工が趣味の叔母さん(母の妹の振絵のこと)に頼んで目玉を作ってもらって埋め込む」
「りっぱなドクターだ」
「君をスーパードクターKと呼んであげよう」
(Kは川口のK)
「でもブライスのコレクションしてる人とか結構大手術してるよね」
「うんうん。鋸(のこぎり)で切ったりとか凄い改造してる。見ててぎぇーと思った」
(*47) 抜けが生じた理由:−
うっかり番号を飛ばしてしまった例(84の次が95になってたり)もあるが下記のパターンのものが多い。
・人形のコレクターさんから事情で人形を手放さなければならないので、引き取ってもらえないかと言われて引き取った。
・数年後に「またコレクションできるようになったけど、返してもらえたりしませんよね」と言われて返した。
子供が産まれるから子供に壊されそうと言っていたのが、子供が大きくなって大丈夫になったケース、狭い家に引っ越すので置けないと言っていたのが、また広い家に移ったので置けるようになったというケース、集めていた人が亡くなって引き取ったが、娘さんが母の集めた人形を自分がお世話したいと言って渡したケースなどがある。
(基本的に息子や夫など男性には渡さないが、男の娘さんは女性に準じる)
引き取った時に相手にお金を払っていたケースでも、渡辺さんは返す時一切お金を取らなかった。
初期の頃にトラブルがあって不愉快な思いをしたので引き取る時は全ての人形の写真を撮り、双方で写真を保管することにしている(公正な第三者として仙台にいるコレクターさんの所でも写真を保管してもらっている)。
10月3日(月).
多くの学校でこの日から衣替えとなった。
梨原可能(槇原歌音)は冬服セーラー服(ボトムはスカート)で登校した。もう1ヶ月間、ブラウスにスカートで登校していたので、セーラー服を着て登校することにもあまり抵抗はなかった。
セーラー服自体はこれまでもよく着ていたし!
S市の川口歩夢(遙佳の新しい妹)は、これまでの夏服女子制服から冬服のセーラー服に着替えて登校した。女子制服で登校することを宣言した6月16日以来、歩夢は女子夏服を着ていたが今日からは女子冬服である。
その間に戸籍上の性別も訂正され、学校の登録も既に女子生徒になっているのでこの服を着るのが普通ということになっている。
H南高校で、吉川日和は女子制服の冬服で登校した。但しボトムはスカートではなくズボンにした。
「ひよりちゃん身体が弱そうだもんね。スカートじゃ身体にこたえるえね」
とクラスメイトは“理解”してくれた。
もちろん本人はスカートで学校に行くのが恥ずかしくてズボンにしている。
(今更だと思うけどなぁ)
同じH南高校の高田晃も女子制服の冬服でズボンの登校であるが、ズボンを穿く理由が日和とは全く違う。
日和は元々身体が弱いので、男子よりも女子と一緒にあれこれ行動することが多く、結果的に“女子文化”に慣れていた。また女子とばかり話していたので男子とは話が合わなかった。
元々は女の子になりたいような気持ちは無かったものの小さい頃から友人の女子たちに唆されて女の子の服とかも着ていて性別意識も揺らぐようになってきていた。
高校生になってもまだ声変わりが来ない日和を見て、女性ホルモン飲んでるのではとか睾丸取っちゃったのではと思う子も多くなった。それで
「女の子になりたいんでしょ」
とか言われて、可愛い服を着せられたり、
「女子制服で出て来てもいいんだよ」
とかみんなから唆されている内に、ボクいっそのこと女子生徒しちゃってもいいのかなあ、という気持ちになりつつある。でもスカート穿いて登校するのが恥ずかしいのでズボンを穿いている。
(スカート自体は小さい頃からよく穿かされていたので今更恥ずかしくない)
晃の場合は様々な人の意図の競合で本人の意志に反して女の子の身体になってしまったものの、将来男子に戻りたいので、男に戻った時に女だと言っていたのは嘘と誤魔化しで、女子トイレや女子更衣室に侵入するため女を装っていたのではと思われないよう、そういう所に入らないようにすることにした。
その言い訳で「恥ずかしくてスカート穿いて女子更衣室とか使えない」と言っているだけである。スカートで出歩くこと自体は本当は恥ずかしくない。
日和の性別意識は揺れているが晃の性別意識は明確に男である。これは日和には高校入学時点でまだ男子としての第二次性徴がきてなかったこともあった。(今女子としての第二次性徴が来つつある気がする)
日和はスカートで人前に出るのが少し恥ずかしいが、晃は特に恥ずかしいとは思わない。
日和は子供の頃から女の子の服をよく“着せられて”いた。晃は子供の頃からよく女の子の服を“着て”いた。どちらも男子トイレの小便器は使っていなかった。
日和は小さい頃
「中学に入る前に女の子になる手術受けようか」
などと母から言われてドキドキしていた。自分がセーラー服で通学する様子なども夢見て、セーラー服姿の自分の絵とかもよく描いていた。
(↑本当に手術受けたんだったりして)
晃は小さい頃から
「あんた性転換手術受けて女になってもやって行けるよ」
と姉から言われて
「いやだ」
と返事しながらも、強制的に性転換されるシーンを妄想していた。
(晃は男の子なので妄想から自慰に至る。日和は性別未分化だったので、単に想像するだけで終わる。むしろ期待する)
彪志は、嫌がらせが減ってきた後も夢をよく見ていた。今度は性転換しちゃう夢が多かった。
青葉が出て来て
「2人目の赤ちゃんは彪志が産んでほしいの。だから女の子になってね」
と言われて、青葉が性転換手術を受けた病院に入院する。松井先生が出て来て
「大丈夫だよ。君は可愛い女の子になれるよ」
とか言われて麻酔を打たれ手術が始まる。
やがて意識を回復してお股を見るとペニスも陰嚢も無くなっていて、きれいな縦の筋が1本ある。なんか随分スッキリしちゃったなあと思った。でもこれも悪くない気がした(←危ない傾向)。
陰唇の左右に皮膚を縫い合わせた傷跡が1本ずつある。なんで縫い合わせたところが左右にあるんだろう?と疑問を感じた。
「きれいに女の子になったね」
と青葉が言って、その割れ目ちゃんを開いて中を確認する。
「大陰唇・小陰唇ちゃんとあるし、クリトリスも、おしっこの出てくる所もヴァギナもある。これで彪志も立派な女の子になったね。名前どうする?女で彪志は変だから、“月子”とかにする?」
青葉は言っている。
でも自分が女になってしまったらどうやってセックスすればいいのかなと彪志は思った。そこで目が覚めた。
またこんな夢も見た。
会社に出ていったら
「君はコールセンターに転属になったから」
と言われる。
それでコールセンターに行くと
「ここの制服はこれだから着替えてね」
と言われて女子制服を渡される。
「私男ですけど」
「あら?そうだった?だったら女になればいいわよ」
「え〜?」
それで医務室に連れて行かれる。
「この子、男らしいんです」
「ああ、すぐ女の子にしてあげるね」
と言われベッドに寝るように言われる。それで横になるとズボンとトランクスを脱がされる。
「じゃ女の子になる手術するね」
「待ってください」
と言ったものの
「大丈夫すぐ済むから」
と言われて手術されちゃった!
手術はすぐ終わったようで
「終わったよ。きみはもう女の子だから女子制服を着れるよ」
と言われる。
見るとペニスも陰嚢もなくなっていて、きれいな縦の割れ目ちゃんがある。
「女性の股間ってやはり美しいな」
と思った。でも左右に縫い目が1本ずつあるのは何故だろうとやはり疑問を感じた。
「あなた女になったからこれ穿いてね」
と言われてパンティを渡される。穿いてみると股間に邪魔なものがないので(←邪魔なものと思ってしまうのはかなり危険な傾向)とピタリとフィットした。これ快適〜と思う。
上もスーツ・ワイシャツ・アンダーシャツを脱ぎ、いつの間にかできているCカップサイズのバストをブラジャーに収める。ブラジャーの着け方は教えてもらった。肩紐を通し、俯き加減でカップにバストを収めて、後ろ手でホックを留める。
その上にキャミソールを着るがこのナイロン生地の感覚がやみつきになりそうである。キャミソールやスリップにハマっていつも着けている男性は多いと聞くか、こんなに感触がいいならハマるのも無理無いと思った。
その上にブラウスを着て、リボンも結ぶ。制服の上下、ブレザーとスカートを着た。スカート穿いた時の感覚がまた心地良い。風通しがよくて冬以外はこれでいいよなと思う。
「これ新しい名刺です」
と言われて
「D製薬株式会社東京本店コールセンター主任/鈴江月子」
という名刺を渡された。
やはり俺、月子になったのか・・・と思う。
それでその制服で電話の前に座って仕事をしていた。そのうちトイレに行きたくなったので、受話器を上げたまま(離席中に着信しないようにこうする)トイレに行く。男子トイレに入ろうとして
「君違う」
と言われて女子トイレに入った。女子トイレは小便器が無くて個室ドアだけが並んでいる。なんか異世界に来た気がした(異性世界に来たのだけどね)。
それで蓋を開け、アルコール噴霧したトイレットペーパーで便座を拭き、それからスカートをめくり、ショーツを膝付近まで下げておしっこをした。するとおしっこが凄く後ろのほうから出るので
「そうか。女の子になると、おしっこがこんな後ろから出るのか」
と驚いた。
「でもおしっこするのに全然ストレスが無い。出終わった後残尿感も無い。これいいなあ」
などと思う(←既にボーダーライン越えてないか?)。
それで出た所を拭き、パンティを上げスカートの乱れを直し、蓋を閉めて水を流して個室の外に出た。出た所に青葉が居たのでギョッとする。でも青葉は
「あ、女子社員になったの?可愛いよ」
と言ってキスしてくれた。
「女の子になった彪志もいいね。大好き」
などと言われて、恥ずかしくなり俯いた。
そこで目が覚めた。
さて、H南高校で、日和も晃も放課後はフラミンゴに行き、女子バスケット部の練習に参加していた。晃は正式に女子の部員になったし、日和も曖昧にほぼ女子扱いになっているので、他の子たちと一緒に着替える。だいたい2人とも女子制服着てるし!
練習中に晃が時々胸を押さえるシーンがあるので、美奈子が訊いた。
「ルミちゃん、最近時々おっぱい押さえてる気がするけど、どうかしたの?」
「いや先月中旬くらいから胸が急に大きくなって来た感じてさ」
「ああ、少し育ってるみたいと思った」
(きっと排卵が始まったせい)
「なんか身体を動かす時にバストがブレーキになる感じで思うように動けないんだよ」
「それは女の子の宿命だな」
「だから女子の運動能力は中学生をピークに低下する」
「体操とかフィギュアスケートのオリンピック選手なんて胸の無い子ばかり」
などと言っていたのだが、この日偶然練習を見に来ていた千里さん(*48) が言った。
「みんな普通のブラジャー着けてない?」
「普通じゃないブラジャーとかあるんですか?」
「スポーツブラをすればいいんだよ」
「あぁあ!」
(*48) この千里は1番。3番は日本代表を首になったし、2Aの出産も終わったので久しぶりに北陸に出て来た。
「私とか試合の時はオーダーメイドのスポーツブラ着けてるし」
「すごーい」
「でもスポーツブラって高いですよね」
「安いのもあるけど気休め」
「ああ」
「最低でも6000円程度は出さないとバスケットみたいな激しいスポーツするのには耐えられない」
「それって逆にスポーツブラ使ってなかったら筋を痛めて将来バストが垂れやすくなりますよね」
と春貴が言う。
「そうそう。そういう選手も多いと思う」
「でもオーダーメイドのブラとかはかなりがっちり押さえるんでしょ?」
「うん。だからそれは試合中だけ着ける。普段の練習ではそこそこ押さえてくれるスポーツブラを着ける」
春貴は考えていた。
「千里さん、私がお金を出しますから、選手たちにオーダーメイドのスポーツブラを作ってくれる所、紹介してもらえません?それと普段の練習用の、既製品のスポーツブラも見立ててもらえると嬉しいのですが」
「枚数は?」
「オーダーメイド2枚と練習用4枚かな」
「それ1人4-5万掛かると思うけど大丈夫?今何人いるんだっけ?」
「今14人ですね。だから70万くらい予算があればいいかな。私実は先日宝くじで3等の100万円が当たったんですよ。だからそれを使いますよ」
「わあ100万円って凄い」
と生徒たちの声があがる。
「でも自分用に使わなくていいんですか」
「こんなのパーッと使っちゃうに限りますよ」
「言えてる言えてる」
「残りはウィンターカップで優勝した時の打ち上げ費用に」
と春貴は言っている。
「おお」
「全員でフレンチとか」
「お寿司がいいなあ」
などという声もある。
「じゃスポーツ用品店に連れて行こう」
それで全員フラミンゴの控室でシャワーを浴びて取り敢えず汗を流す。それで全員借りているマイクロバスに乗って小矢部市のスポーツ用品メーカーの販売店に行った。
事前に連絡していたので、すぐにひとりずつバストの“形”を計測してもらう。更に前回生理がいつあったか聞かれた。生理周期でバストのサイズが変動するからである。
「そうだ、奥村先生も必要だと思います」
と愛佳が言う。
「あ、そうかも」
春貴は試合に出ないので普通のスポーツプラだけ買うことにした。
日和については、今の彼女のレベルでは試合に出すことは無いとは思われるが念のため作っておくことにした。
それで日和もバストを計測されていたが、生理はいつあったか訊かれて
「9月23日に来ました」
と答えていたので、みんな頷いていた!
それでその日はオーダーを入れた上で、既製品のスポーツブラを買って帰った。そして翌日の練習では全員それを着けて練習したのだが
「すごーい。おっぱい無くなったみたいによく動ける」
と全員に好評であった。
日和も「何か身体が軽い気がします」と言っていた。彼女はこの日、ミドルシュートが30本中3本も入り
「凄い。進化したね」
とキャプテンに褒められていた。
緩菜と由美が来年度から幼稚園であるが早月が通っている幼稚園でいいだろうということで、(千里1が)二人を説明会に連れて行き、願書ももらってきた。
この時点での千里1の認識
由美:桃香が卵子を提供してくれて信次の精液を受精させて作った子
緩菜:貴司が美映にインサートしようとして仕掛けている呪により実際には千里1の膣に挿入され射精が起きて千里1の卵子と結合してできた子
それで幼稚園の先生から、緩菜と由美の関係について
「双子ですか?」
と尋ねられたが
「由美は私の連れ子で、緩菜は夫の連れ子なんです」
と答えておいた。
実際、由美は信次と千里の子供を作るべく、桃香の卵子を借りた子であり、緩菜は法的には貴司と美映の子として戸籍に登録されている。
「ああ、そういう関係ですか」
「でもこの2人姉妹みたいに仲が良いんですよ。男女なら結婚させてあげてもいいくらい」
「へー」
実際には(なぜなのか“この”千里には分からないものの)緩菜にはペニスが無く、割れ目ちゃんとヴァギナがあるので、結婚は不可能である。
それで願書をもらって来たので書くが保護者欄には悩んだ。悩んだ末にどちらにも「細川貴司・細川千里」と書いた。法的には
細川緩菜→保護者は父の細川貴司
川島由美→保護者は父の元妻・村山千里
である。でもこれを説明するのは物凄く面倒なので“面倒臭くない”形で書いた。
血液型を書く欄がある。
「えーっとこの子たちの血液型、なんだったっけ?」
と思う。
この千里はアバウトな上に特に物忘れが酷いのでこういうのを全然覚えていない。
まずは由美の母子手帳を見る。
これは仙台市役所で市長の職権で発行してもらったもので、父:川島信次、母:不詳、という凄い母子手帳である。由美の血液型はOと書かれている。桃香がB型、信次がO型だったので、このことより桃香はBO型であることが分かる。
それを由美の願書に記入する、
次に緩菜の母子手帳を見る。これは父:細川貴司、母:細川美映、という母子手帳である。貴司と美映が離婚した時、緩菜が美映に「パパに付いていきたい」と言ったので、美映はその希望を聞いて親権者を貴司にしてくれた。それで母子手帳もここにある。
緩菜の血液型を見るとA型と書いてある。それで千里は“なーんにも考えず”に、そのまま願書にA型と記入した。
この千里(千里1)はそれをそのまま桃香(桃香B)に渡しておいた。
翌日の朝、貴司が
「そうだ。緩菜と由美ちゃんの幼稚園の願書そろそろ出さないといけないよね」
と言っていたので桃香は
「ああ、千里が書いてくれたみたいですよ」
と言って、昨日千里1からもらった願書を渡す。
(桃香は朝は緩菜に強制的に起こされる。千里2Aはまだ産褥期間なので寝ている)
緩菜の性別が“女”になっているのは、まあそれでもいいんだろうなと思った。ところが血液型のところで「あれ?」と声を挙げる。
「どうかしました?」
「緩菜の血液型はABだったはずです」
「ありゃ、千里勘違いしたんじゃないかな」
と言って、桃香は緩菜の母子手帳を確認する。
「確かにA型って書いてありますよ」
「え〜!?」
と言って貴司が見ると確かにA型という記載である。
「あれ〜。僕の勘違いかなあ(*49)」
と言いながら貴司は出生事項の欄を見ていたのだが、もっと重大な問題に気付く。
「緩菜の性別が女になってる」
「緩菜ちゃん女の子でしょ?」
「え〜〜!?性別が曖昧だけど遺伝子的には男ということだったから、男で出生届とかも出したはずなのに」
「母子手帳で女になっているということは出生証明書にも女と書かれていたはずです。だからきっと緩菜ちゃん、戸籍上も女ですよ。だいたいあの子、お風呂で見ても間違い無く女ですから」
「うーん。どうなってるんだろう」
と貴司は悩んでいた。
貴司は性別のことで悩んでいたので、“そのこと”には気付かなかったが、桃香は気がついた。それで、冷静な話し合いができそうな千里3を捉まえて相談した(レッドインパルスの練習から戻った所を捉まえたので3番のはず)。
「この問題はまだ貴司さんは気付いてない。永久に気付かないかもしれない。これ千里1番が書いてくれた緩菜の幼稚園の願書」
「何か問題あるんだっけ」
「緩菜の血液型がA型なんだよ」
「なんかおかしい?」
「貴司さんはB型、美映さんはO型。だから、緩菜ちゃんは貴司さんと美映さんの子供ではない」
「ああ。あれ実は母親は私なんだよ。正確には1番。諸事情があって美映さんが産んだことにしただけ」
「あ、そうだったのか」
「私がABで貴司がBだから、A型の子供は生まれるよね?」
「うん。産まれる」
と言ってから、桃香は尋ねた。
「でもどうやってそれ誤魔化したのさ?他の人が出産したら、いくらなんでもバレるぞ」
「あの晩、私と信次のデートと、貴司と美映さんのデートが同時進行でしていたんだよ。ところが貴司は私以外とはセックスできない呪(じゅ)が掛かっていた」
「千里そんな呪を掛けてたんだ?」
「貴司が自分で掛けた」
「なんで?」
「あまりにも浮気して私を大概怒らせたから、もう浮気はしません。私以外とセックスはしませんと誓って自分自分に制約を掛けちゃった。ところが貴司はこういうのに素人だから自分の呪を自分で解除出来ない。本人が掛けた呪は他人には解除出来ないから永久にそのまま」
「うーん・・・」
「それに乗じて千里1は別の呪を掛けていた。それが、貴司が別の女性とセックスしようとしたら、その女性の女性器一式と自分の女性器一式が交換されるというもの」
「ほほお」
「だから貴司は千里以外とセックスしようとしても必ず千里の膣にインサートしてしまう。射精しても受精するのは千里の卵子。この交換は出産または生理で解除されて元に戻る」
「まあ出産もでっかい生理だからな」
「本当そうだよね。だから、あの晩、貴司のペニスが美映さんの膣口に触れた瞬間、美映さんの女性器一式と私:正確には信次とデートしていた千里1の女性器とが入れ替わってしまった。だから貴司がインサートしたのは美映さんの膣ではなく千里1の膣だった。それで貴司が射精した精子が美映さんの体内にある千里1の卵子と結合して妊娠した。出産したところで元に戻った」
桃香は少し考えていたが言った。
「その話はおかしい。貴司さんは当時ペニスが立たなかったから、美映さんに入れることができなかった。だから貴司君は膣内射精してない」
「あれ?ほんとだ」
「美映さんは言っていた。貴司君のペニスは堅くならなかった。その堅くならないペニスを陰唇ではさんで遊んでいただけだけど、多分我慢汁の中の精子が膣内に進入して卵管まで到達し受精したのではないかと。前から疑問があったのだが、そんなんで妊娠するとは思えない」
「うーん・・・」
「千里は多分何か大きな勘違いをしている」
「でも美映さんO型だから、緩菜は美映さんの子供ではないよね?」
「うん。それはさっき私が指摘した通りだ」
桃香は更に少し考えていたが言った。
「その晩、貴司さんと美映さん、信次さんと千里のデートが同時進行していて、女性器が入れ替わったとしたらだな。先に信次さんと千里のセックスがおこなわれて信次さんが千里に膣内射精した後で、貴司さんが美映さんとセックスしようとして女性器が入れ替わったということは考えられないか」
「ということは・・・・・」
「緩菜は千里1と信次さんの子供である可能性がある」
「う・・・・・」
そんなこと考えたことも無かった。
「なんなら一度DNA鑑定してみるといい」
「うーん・・・・・」
と千里は悩んだ。
10月8日(土).
彪志が伏木にやってきた。この日は§§ミュージックのHonda-Jet
goldを借りて熊谷から能登空港に飛んできて、初海が迎えに行ってくれた。
そして・・・青葉と彪志は8(土) 9(日) 10(祝) と3日間ずっと部屋に籠もっていて、トイレ以外全然外に出てこなかった。朋子もそっとしておいて食事だけ差し入れていた。
「少しお腹大きくなってきたね」
「うん。だんだん自分が赤ちゃんを産むという自覚が出てきた」
「女は子供を産むという現実を突きつけられるからなあ」
「彪志も一度赤ちゃん産んでみる?」
彪志は、2人目は彪志が産んでねと言われて性転換されちゃう夢を思い出した。
彪志が沈黙したので青葉は首をひねる。本当に産む気になってるってことないよね?骨格的に無理だと思うけど。
彪志は結局、彪志が産む?という問いには答えずに言った。
「でもここまでお腹が大きくなってきたら、もう来月以降はセックスしない方がいいかなぁ」
次は11月4-6日に来る予定である。3日(木祝)の休みを出勤して代わりに4日(金)を代休にしてもらい、3連休にしてもらえることになっている。
「セックス出来ないならわざわざ来ずにリモートデートにする?」
「別にセックスしたいから来るんじゃないよ!青葉に会いたいから来るんだよ」
と彪志は怒ったように言った。
青葉は楽しそうにしていた。
そして10日(月祝)夕方、彪志はまた浦和に帰っていった。
熊谷飛行場でパイロットさんにお礼を言って飛行機を降りる。すぐ帰ろうと思ったが「熊谷でホテルに1泊してから帰ったほうがいいですよ」と、能登空港まで送ってくれた女性(真珠)が言ってたなと思い出す。でも1人だからホテル取るまでもないと思い車中泊することにする。それで彪志は飛行場の駐車場に駐めている自分のフリード・スパイクの中で仮眠した。4時にアラームを掛けた。
夢の中に青葉が出てくる。
「青葉好きだよぉ」
と言って抱きついてキスする。
「彪志私と離れていても浮気しない?」
「そんなことしないしない」
「ほんとかなあ」
「だって、俺には青葉しか居ないし」
「そうだ。彪志が絶対浮気しないように、ちんちん預かっておくね」
「え〜〜〜!?」
「私が出産したら返してあげるから」
「ちょっと待って」
青葉は大きなはさみを取り出すと、彪志のちんちんをチョキン!と
切っちゃった!
「うっそー!?」
ペニスも陰嚢も無くなり、皮膚だけになったお股を見て、彪志は
「これ困るよぉ」
と言った。
すると青葉は
「そうか。おしっこの出るところが無いと困るよね」
と言って、糸と針を出すと、お股を縫っちゃった!
きれいな割れ目ちゃんができてる。
美しーいと思った。
「これでおしっこは割れ目ちゃんの中から出てくるから安心してね」
「うん」
「これで私が出産するまで彪志は女の子だから、他の女の子とは浮気のしようが無いね。彪志にブラとかスカートとか買ってあげる。スカート穿きたかったでしょ?」
「えーっと」
「あ、でも女の子で彪志って名前は無いから、男の子に戻るまで名前は月子にする?」
などと青葉は言った。
どうも自分が女になった場合の名前は月子で確定のようだ。
(本人がその名前を意識してるから夢でも言われるのだと思う)
そこで目が覚めた。
「夢かぁ!びっくりした」
と彪志は思った。
時刻はまだ2時である。取り敢えずトイレに行ってこようと思う。それで車を出て空港駐車場のトイレに行く。
「なんか最近性転換されちゃう夢をよく見るなあ。もう10回くらい見てる気がする」
などと彪志は思った(偶数回性転換されたら元に戻らない?)。
もちろん男子トイレに入るが、小便器を使う気分では無かったので個室に入る。アルコールで便座を拭いてから座る。そしておしっこをする。
え!?
何?おしっこの出方がおかしい。凄い後ろのほうから出る。
彪志はお股を覗き込み、声も出ないほどのショックを受けた。
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【春一】(7)