【春一】(6)
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8月31日(水).
金沢で開かれていた第2回ビスクドール展が閉幕した。最終日前の27日(土)には、渡辺薫館長が、来訪した石川県知事を案内して色々説明するシーンもあった。
31日の内にお人形は全て梱包され、特にVIPドールたちは、真珠と明恵が交代で運転する千里のVolvo XC40 でS市に運ばれた。それ以外の人形は放送局が手配した運送屋さんの手で翌日運ばれた。そしてこの後、遙佳と歩夢で頑張ってレイアウトすることになる。
真珠が何人かに電話を掛けていた。
「半月ほど完全女装生活してボランティアしない?食事・宿泊所は提供するから」
2022年9月2日(金・友引・ひらく).
ムーランエアー4つ目の飛行場である氷見飛行場が正式オープンした。この飛行場は4月30日に完成し5月1日には播磨工務店からムーランエアーに引き渡されていたのだが、9月1日に正式の免許が交付され、日和の良い日を選んで、この日の11:07の月出と同時に正式オープンとなった。
正式オープンの前から農業用のヘリや警察・消防のヘリなどが駐機していた。この日は正式オープンを記念して、熊谷から Do228旅客機(定員19)が飛来した(若葉自身が乗ってきた)が、通常はヘリポートとして使用する。
でもこういう小型機までは離着陸できるというのは、地元商工会・農協・漁協関係者の興味を引いたようであった。
2022年9月2日(金・友引・ひらく/日出5:13入18:08 月出10:53入21:19 旧8/7)、越谷F神社で、青葉は彪志と結婚式を挙げた。
(10:53の月出は越谷での時刻。↑の11:07は氷見での時刻。東経が2.8度違うから2.8÷360度×86400秒=672秒程度はズレる。実際には緯度も違うので14分差になった)
結婚式は11時からで、青葉は白無垢に綿帽子、彪志は紋付き袴で臨んだ。結婚式に出席したのは下記である。
彪志系
鈴江宗司&文月(彪志の両親)
鈴江大介夫妻(宗司の弟と妻)
小比類巻弥生夫妻(文月の妹と夫)
仲村愛奈夫妻(弥生の娘(彪志の従妹)と夫)
青葉系
古賀太兵夫妻(青葉の父の両親)
高園朋子(青葉の義母)
高園桃香A(青葉の義姉:季里子の夫)
村山千里2A(青葉の義姉:貴司の妻)
佐竹慶子(青葉の大船渡祭壇管理者)
野中菊枝(青葉の姉弟子:実質的な師匠)
ケイ(友人代表)
夫婦なのは桃香Bと千里1なので、ここに出た桃香と千里は夫婦ではない!桃香Bと千里1はその後の祝賀会のほうに一緒に参加した。
ケイは音楽関係の友人代表とクロスロード代表を兼ねている。
結婚式は越谷F神社の辛島広幸宮司が祭主を務め、栄子巫女長と常勤巫女の佐力梨沙(千里の小さい頃からの親友)、半常勤巫女・深耶と久美の4人が補助を務める。
参列者が拝殿に並び、そこに深耶と久美に先導されて新郎新婦が入ってくる。そして祭主と巫女長・梨沙が入ってくる。
最初に深耶が大幣(おおぬさ)でお祓いをする。それから祭主の祝詞が始まるが、巫女長が太鼓、梨沙が龍笛、深耶が笙(しょう)、久美が篳篥(ひちりき)を吹いた。そして祝詞はとっても長かった!(大サービス)
三三九度は深耶が提子(ひさげ)を持ち、久美が銚子(ちょうし)を持ち、梨沙が杯を渡す役を務めて行われた。これは青葉が妊娠中なのでノンアルコール清酒を使用して行われた。三三九度の方式は正式なものなので、これもとても長い。
小杯:新郎が3回で飲む→新婦が3回で飲む→新郎が3回で飲む
中杯:新婦が3回で飲む→新郎が3回で飲む→新婦が3回で飲む
提子から銚子にお酒を注ぎ足す
大杯:新郎が3回で飲む→新婦が3回で飲む→新郎が3回で飲む
そのあと舞が奉納される。
巫女長の太鼓と梨沙の龍笛に合わせて、深耶と久美が舞を奉納した。
その後、青葉と彪志が結婚指輪を交換する。青葉は2019年にもらったエンゲージリング、彪志はお返しにもらったスピードマスターを付けており、青葉は2つの指輪を重ねて付ける形になった。
(婚約指輪をいったん右手薬指に移し、結婚指輪を着けてから、婚約指輪を重ね着けする)
その後、誓詞を読み上げ、玉串奉奠(たまぐしほうてん)をする。親族固めの盃が行われるが、これも三三九度に使ったのと同じノンアルコール清酒で行われた。
最後に祭主の話があるが、これもとても長かった!
かくして、この結婚式は普通なら30分程度のものが1時間掛けた!
結婚式の出席者はそのままマイクロバスで近くの小鳩シティに移動した。
小鳩シティには結婚式出席者全員分のお部屋が取られているので、そこに入る。その部屋からネットで祝賀会に出席する!取り敢えず結婚式に出た人にはお部屋に昼食が置き配方式でデリバーされた。
リアルでこの人数が会食するのは、会食人数制限オーバーである。
なお、今回“披露宴”ではなく“祝賀会”方式で行われている。“招待状”ではなく“案内状”で出している。
参加してくれる人は事前に会費を指定口座に振り込み、原則として前日までに冷凍のお食事と飲み物が届けられている。ただしムーランの配達地域では、生の料理を夕方頃配達した地域もある。
御祝儀は原則として受け取らない。
古賀太兵は定額貯金を解約して御祝儀を奮発しようとしたが「御祝儀は受け取らないので、フルムーン旅行にでも使って」と言われて、九州に戻った後、南九州の青島・鵜戸神宮とかにでも行こうかなあと言っていた。
受け取らないと言っているのに無理矢理押しつけて行った人たちがある。これは特につながりが強く、また充分な経済的余裕のある人からだけ頂いた。括弧内の単位は万円。
千里(3000)、越智純之介(3000)、マリ&ケイ(500)、アクア(300)、秋風コスモス(300)、山吹若葉(300)、丸山アイ(300)、子牙!?(300)、海藤天津子(300)、野中菊枝(300)、竹田宗聖(100)、高美原瞬法(100)、石崎柚布部長(10)、玉梨乙子&桜アキナ(10), 峰川イリヤ(10)、月山和実(10)、宮崎会長(10)、吉田邦生&伊勢真珠(5)、夏野明恵(5)、
越智純之介さんは青葉の小さい頃からのパトロンである。札幌で食品会社を経営している。竹田宗聖はテレビ大好きの霊能者。青葉の後見人のひとりである。石崎柚布は〒〒テレビの制作部長。宮崎さんは百万石スイミングクラブの会長。
子牙(しが)は実態が見えないが、虚空・羽衣と並ぶ、現在の日本の最強霊能者のひとりである。性別や年齢もさっぱり分からない。連絡が取れるのは多分、虚空(丸山アイ)と千里だけ。虚空が自分の祝儀と一緒に
「これ子牙さんから言付かった」
と言って持って来た。虚空は祝賀会にも参加したはずだが、どの人が虚空か参加者があまりに多すぎて分からなかった。参加者の中に瞬嶽師匠(2013年没)も居たような気もしたが、きっと気のせい。
祝賀会の発起人は下記14名である。
(以下名前は一部を除いて旧姓で書く)
ケイ、伊勢真珠、夏野明恵(*36)、高園桃香、村山千里、月山和実、山吹若葉、川内峰花(音楽関係)、峰川イリヤ(松本花子関係)、石井美由紀(高岡関係)、海藤天津子(霊関係)、桜池布恋(水泳関係)、佐竹真穂(大船渡関係)、小比類巻愛奈(鈴江家関係)
絶対引っかき回されるから入れなかった人!
マリ ケイが出てる
雨宮 ケイに話して
虚空 千里に言って
(*36) 明恵の本名は夏野明恵だが番組上沢口明恵を名乗っている。沢口は明恵の曾祖母(=慈眼芳子の姉)の旧姓。遠い将来(20年くらい先?)、明恵が番組を継承することになった場合の備えで、神谷内さんが名乗らせた。
祝賀会には結局何人参加してくれたのか、実は発起人にも正確な数字は分からなかった。取り敢えず、ネット接続数は185, 食事の配送数は273食だった。
しかし夫婦や姉妹などでひとつの接続を共用した人があるし、接続せずに食事だけ頂いて!あけぼのテレビの中継を見ていた人もある。
またごく一部、法的な規制で会費を払えないものの参加してくれた人もあった(*37)。また少食なのでといって会費は2人分払ったものの食事は1人前でいいと言った人たちもあった。だから参加者はたぶん300人を越えている。
(*38) 法的規制で参加費を払えないが参加してくれた人は、真珠が把握している範囲では下記。しかし他にもいたかも知れない。
文部科学大臣、富山県のN知事、石川県のH知事、高岡市のK市長、F小学校校長、富山県警の春脇警部
このほか、(樺太に居るらしい)羽衣が
「今、日本円やドルが入手出来ないので」
と言って、ルーブル紙幣で参加料を送って来たが、戦争が終わるまで両替できないかも!?と思った。
(多分若葉なら両替できると思う:人民元を経由する)
この祝賀会は、あけぼのテレビで2時間にわたり生放送(一部が定額で視聴可能な有料放送)された。だからあけぼのテレビを通してお祝いしてくれた人は数十万人に及ぶ。
あけぼのテレビはだいたい月に2〜3回、タレントの結婚式披露宴を生中継している。あけぼのテレビとしては、オリンピックのゴールドメダリストで、アクアのメインライターである青葉の結婚式は充分放送する価値があったし、接続数はかなりの数に及んだ。
今回の放送を完全無料ではなく一部定額有料にしたのは、全部無料放送すると回線がダウンするのが確実だからである。今回の“売上”は全て若いアスリートを支援する基金に寄付することを青葉は表明している。
なお、あけぼのテレビでの接続と、祝賀会会場からの直接接続の主な違いは、後者はこちらの音声が新郎新婦に届くし、チャット機能が使えることである。もっとも接続数が多いので、メッセージは高速スクロールになった!また直接接続している人は、直接接続している人の映像一覧を見ることができる。
この祝賀会の司会を務めたのは、あけぼのテレビの小林雪恵アナウンサー(アナウンサー室長)である。
「青葉ちゃんが結婚式あげる時は司会してあげるね」
と以前言っていた、森本メイにも声を掛けてみたのだが
「祝賀会を生放送して秒単位の狂いもなくピッタリ時間通りに進行させる自信無い」
と言って辞退したので、あけぼのテレビの祝賀会中継に慣れている小林アナに頼んだ。
テレビ放送は18:30にスタートするが、最初の15分間に結婚式のダイジェストが放送される。ここで、カメラ技師のリクエストに応じて、青葉が結婚指輪と婚約指輪を重ね着けしているところ、彪志が手首にスピードマスター、薬指に指輪を着けているところが映された。
結婚式ダイジェストの後、ケイが出て、青葉のプロフィールをあらためて紹介する。これは青葉の活動範囲が多数のジャンルに跨がっているため、説明できるのがケイ以外には考えられなかった。
●水泳選手で東京五輪・ブダペスト世界水泳のゴールドメダリスト・日本記録保持者
●作曲家“大宮万葉”でアクアのメインライター
●作曲家“桜蘭有好(おうらん・あるす)”で羽鳥セシルのメインライター
●槇原愛のメインライター“鈴蘭杏梨絵斗(すずらん・あんりえっと)”の一部
●創作集団“松本花子”の主宰者のひとり
●あけぼのテレビの大株主のひとり
●石川県の火牛スポーツセンターのオーナー
●〒〒テレビのアナウンサーで『ラピスラズリのミュージシャン・アルバム』担当。
●住職の資格を持ち“瞬葉”の名前を使うこともある
●心霊関係の膨大な資料を集め電子化を進めている(曾祖母から受け継いだ事業)
●“金沢ドイル”の名前で北陸ローカルの心霊番組を担当
ケイは細かい点を略してザクッと説明したのだが、それでも10分以上掛かった。
そしてケイの説明の後で青葉が「皆様へ」といメッセージを述べ、あらためて出産後必ず水泳に復帰し、パリオリンピックでメダルを目指すことを約束した。
これが終わったのが19:00ジャストである。生放送で生スピーチして時間ピタリで終えるのはさすが本職のアナウンサーである。
この30分間は無料で放送された。実は19:25までは無料である。
19:00 ここから祝賀会が始まり、そのまま生中継される。
エレクトーン係・南田容子が演奏する、瀧廉太郎『花』に合わせて新郎新婦が腕を組んで入場してきて、メインテーブルに就く。発起人代表のケイが短い挨拶をしたらウェディングケーキの入刀になる。
エレクトーンでメンデルスゾーン『結婚行進曲』を前奏無しで演奏する(ドッシーミ・ラソファレ、ドシドレソレミ)。
ここで司会者は“初めての共同作業”などという白々しいセリフは言わない。だいたい芸能人の結婚式は新婦が妊娠中というのが多い。(妊娠でもしないと結婚させてもらえないため)
ちなみにこのケーキと同じ物をカットしたものが、小鳩シティに泊まった人にはデリバーされている。コロナの折、会場でカットしたものを配ることはしない。
なお新郎新婦と同じ部屋に居るのは、南田容子と小林アナだけである。ただし新郎新婦の前には100個のモニターが並んでおり、サイクリックに参加者が表示されている。声は全員の声が届く。
お祝いのスピーチがおこなわれるが、時間が限られているので1人3分以内と指定されており、3分過ぎたら強制的に打ち切る!これも時間厳守の生放送ゆえであるが、スピーチしている本人以外は打ち切り歓迎である!
スピーチをしてくれたのは下記である。
・彪志の会社の社長
・鈴木一郎(∞∞プロ社長)
・金井瞬高(長谷川一門主座)
・山下和行(〒〒テレビ社長)
新郎系と新婦系のバランスが悪いがやむを得ない。4人の中でピタリと3分でまとめたのは、こういうのに慣れている鈴木社長のみであった!山下社長は話途中で打ち切られて不満そうだったが、放送局の社長なら放送時間厳守を理解してくれないと困る。
ここまで済んだのが19:25で、ここから有料放送になる。ただし定額契約している人は追加料金無しでそのまま視聴することができる。
余興が始まる。この余興のラインナップが凄かった。それゆえにここは無料放送できなかったのである。
アクア(大宮万葉から楽曲を提供されてる)
常滑真音(§§ミュージック代表)
ラピスラズリ(番組をしている縁)
羽鳥セシル(桜蘭有好から楽曲を提供されてる)
薬王みなみ(説明が無かった!)
槇原愛(鈴蘭杏梨絵斗から楽曲を提供されてる)
ローズ+リリー(友人代表)
KARION(和泉と青葉がアクアプロジェクトの共同リーダー)
高崎三姉妹(先日若杉千代のアルバムを歌った)
ステラジオ(大恩人とホシとナミは言う)
ラララグーン(ソウ∽が青葉さんは恩人と言う)
ワンティス(自称?後見人)
以上12組で1組5分である。例によって5分経ったら強制的に打ち切る!
しかしローズ+リリーとステラジオが同じステージに出るというのはめったにないことである。そもそもどちらもテレビには出ないことで有名なアーティストである。しかもステラジオがローズ+リリーに物凄い対抗心を持っていて共演したがらないという問題がある。しかし青葉という接点で出てくれた。
(高崎三姉妹が緩衝材となった。槇原愛はケイの従姪なので緩衝材にならない)
「青葉さんのおかげで私は女になれたから」
とホシは言う。
「えーっと元は男でした?」
「あの頃は性転換手術されちゃう夢を沢山見た」
青葉はケイ・和実と3人で“クロスロード”の中核を形成しているが、青葉自身が、様々なものの“クロスロード”である。
20:25. 余興が終わり、無料放送に戻る。
ここで新郎新婦から、今日直接またはあけぼのテレビを通して接続してくれた人たちへの謝辞が述べられた。これは2人で書いた文章を彪志が読み上げた。
「私たちはひとつになりました。色々大変なこともあるかも知れませんが、何でも協力して頑張って行きます」
最後に、日本水連のS会長(ネット参加)の音頭で乾杯が行われた。一応無料放送に切り替わったところで、そろそろシャンパンまたはシャンメリーの栓を開けて下さいというメッセージが各参加者の所には表示されていたものの・・・
・え?今開けるものだったの?もう飲んじゃった!
・栓が開かなーい!
といった人たちが多数居たのは愛嬌である。
エレクトーン係の南田容子が新郎新婦にシャンメリーを注ぎ、2人がグラスを合わせてから飲み、カメラに向かって手を振るところで放送は終了した。
9月2日に結婚式・祝賀会が終わり、青葉と彪志はそのまま小鳩シティに来週いっぱいまで(9/11のお昼まで)滞在する。
高岡組は敬子に1日東京見物をさせた。東京の道になれている千里が運転して皇居、スカイツリー、浅草寺、相撲博物館、羽田空港、と見学させた。
彪志の両親、大介夫妻、弥生夫妻はディズニーランドに行って子供のように楽しんでいた。
なお桃香Bと緩菜・由美はこの機会に浦和の家に帰還した。10ヶ月ぶりの帰宅である。青葉の出産はまだ先なので、期日が迫っている千里の出産をサポートする。
古賀夫妻も敬子同様、皇居とスカイツリーは行きたいと言っていたので、そこまでは敬子たちと同行し、そのあと浅草寺には行かずに熊谷まで戻り、ホテル昭和に宿泊した。
レトロにあふれた室内に2人とも「懐かしー」と喜んでいた。パンが焼けたら飛び出すトースターとか、“回す”チャンネルのブラウン管テレビとか
「50年くらい前に戻ったようだ」
と言っていた。
翌日九州に戻るが、夫妻が
「フルムーンで青島や鵜戸神宮見に行こうかなあ」
と言っていたので、千里が同乗していき、飛行機は熊谷から宮崎空港に飛んだ。そこでレンタカーを借り千里がドライバーを務めてまずは鵜戸神宮に行く。ここは公共交通機関では到達できない場所にある。(最寄りバス停から結構歩く必要があり、年寄りの足では無理)
神社は海岸の崖中腹にあり、
「よくこんな所に神社を作ったよなあ」
と夫妻は感心していた。
そのあと、青島まで戻り、青島神社にお参りしたあと、ANAホリデイ・イン・リゾート宮崎(旧・青島パームビーチホテル)に泊まった。
翌日は、東霧島神社(つまきりしまじんじゃ:読み方注意)→霧島岑神社(きりしまみねじんじゃ)→狭野神社(さのじんじゃ)→霧島東神社(きりしまひがしじんじゃ:こちらは普通に“ひがし”と読む)と回る。この4つは霧島神宮が噴火の度にあちこち移動した結果、6つに分裂してしまった内の5つである(6つの内の1つ夷守神社は霧島岑神社と合体している)。
古賀夫妻は御池(みいけ)を真下に見る、霧島東神社に感動していた。
「これは知ってる人に案内してもらわないととても来れなかった」
と夫妻は言っていた。
そのあと霧島神宮に行く。
普通にお参りした後、来たついでにと思い、藤野沙耶さんに声を掛けたら
「昇殿して。祈祷くらいしてあげるよ」
と言うので、千里は古賀夫妻を連れて昇殿した。
沙耶の清々しい祝詞に古賀夫妻は心が洗われて寿命が延びた思いだなどと言っていた。どうも“親切”をしてくれたようなので、千里はたくさん初穂料を納めておいた。
霧島市で1泊して、翌日は正八幡に行った。ここも一度来てみたいと思っていたと夫妻は言っていた。お参りしたあと、鹿児島ラーメンを食べてから千里の運転(?)で、夕方佐賀に辿り着いた。熊本ではいきなり団子も食べた。
古賀夫妻が千里にたくさん感謝していた。千里はレンタカーを佐賀空港で乗り捨てて佐賀空港に回送してきていたエリッサの飛行機に乗って帰還した。
古賀さんが払ったのは、このレンタカー代、車のガソリン代とホテル代・食事代である。
9月3日(土).
ホーライTVで墓場劇団・死国巡礼の特別合同公演『クラインの墓穴』が生中継された。いつもは小学校の体育館からの中継なのだが、今回は火牛アリーナからの中継で、火牛アリーナのリアルタイム・フィードバック・システムを利用しているので実際の観客の笑い声や拍手が入り、それがまた放送にも流れるという臨場感あふれる公演となった。
視聴率もかなり高くなり、再放送の希望があったので、翌週9月10日にも再度生中継することが決定した。
再放送ではなく、再中継にするのは、喜劇は“生物(なまもの)”なので再放送はしてもらいたくない、という泣原死亡のポリシーをホーライTVも理解してくれるからである。「だってスポーツ中継の再放送とかつまらないじゃん」と死亡は言う。ただしタイムシフト視聴は許容する。
今回合同公演だったこともあり出演者が多かったこと、新人で高校生女優の境界迷子が初登場して良い演技を見せたこと、美少女だという噂の高かった、歌音の“妹”安里愛(ありあ)が初登場して本当に凄い美少女だったこと、台本が矛盾だらけで、それがまた独特の雰囲気を醸し出していたことも話題になった。
(アリアを歌音の“弟”と認識している人は少ない)
フィードバックによって出演者が乗りに乗ってアドリブも随分出たし、いきなりムチャ振りして、能力の高い成仏霊子や歌音、境界迷子などがきちんと返す場面もあり、爆笑や拍手もたくさん起きていた。
出演者たちも気持ち良く公演ができた。
「このフィードバックシステム、いいね〜」
とみんな言っていた。
2022年9月3日、バスケット女子日本代表の第5次合宿が終わった。この日、千里は代表落ちを通告された。さすがにショックだったが、
「練習に励んでまた呼んでもらえるよう頑張ります」
と言った。
しかし監督は言った。
「君はね、チームの方針にあれこれ口出ししすぎるんだよ。もっとこちらの言う通りにしなさい」
「申し訳ありません」
「ベテランだと思って偉そうなこと言いすぎだよ。その癖を直さないと誰も使ってくれないよ」
と監督は言っていた。
代表に残った寺島奈々美が千里に言った。
「私が落とされると思ったのに」
「これでシューターは奈々美ちゃんだけだから頑張ってね」
「私不安です。美希さんも王子さんも千里さんも居ないチームでオーストラリアやカナダに勝てる気がしません」
千里は笑顔で言った。
「そこを奈々美ちゃんが頑張るんだよ」
「無理です〜!」
と奈々美は弱音を吐いていた。
9月11日(日).
結婚に伴う休暇が終わるので、青葉と彪志はホテルをチェックアウトし、いったん浦和に戻った。
「明日からまたひとりって寂しい」
と彪志。
「しょうがないね。じゃまた来月」
と青葉。
10月8-10日の連休に彪志が伏木に来てくれることになっている。
来週9月17-19日の連休は青葉がお仕事である。また9月24-25日の土日だと、9月26日が千里姉(2番と青葉は思っているが正確には本当は2A)の出産予定日なので、あまり浦和を離れたくない。それで10月最初の連休に来ることにしている。10月8日なら千里姉の出産ももう終わっているだろう。
それで青葉は千里姉(3と青葉は思ったが実際は1(*44))の運転するアテンザに乗って浦和の家を出発した。でも千里は「ほんとに車で移動したら青葉が疲れるから」と言って、いきなり射水市内に転送してしまい、ほんの30分ほど走って伏木の家に到着した。
楽でいいけど、実は手抜きじゃないのか?と青葉は思った。
(*44) 青葉はこう思っている。
グラナダに居るのが1、妊娠しているのが2、日本代表してたのが3。実際はグラナダにいるのは2B。妊娠中なのは2A。日本代表してたのは3。
青葉は9月12日、彪志がそばに居ないので「さびしいよー」という思いで1日過ごした。
9月13日(火)、千里姉が来て言った。
「気分転換に真白ちゃんちを見に行かない?」
「行く」
表に出ると、千里姉のCX-5に、明恵と真珠も乗っている。それで青葉は運転手の後ろの席に乗り、助手席には真珠が乗って、4人でN町の真白の家まで行った。真白が担当する番組は、水木の平日昼間と金曜日の夕方、土日の午前中で、月火はお休みである。(そのほか金土日はニュースも読む。CMも読むがこれは録音)
「なんか凄い場所ですね」
と明恵・真珠は言っている。
「基本的には近寄りたくないよね」
と青葉も言う。明恵も真珠も自分の身は自分で守れるだろうが、念のため、小紫と笹竹を2人に付けている。
4人は車で坂道を上って行っているのであるが、車の窓は閉めているし、空気も車内循環にしている。
ところが真白の家のひとつ手前の家からひとつ後ろの家までの間が“非武装地帯”になっていた。
「これは凄い」
と4人とも言った。
「いらっしゃーい」
と真白と奧さん?夫?の女性が出て来て青葉たちを歓迎してくれた。
「ここはお客様なんて普段無いから」
などと2人は言っている。
「たまに近所の人が来て『この家に来るとホッとする』とか言うんですよ」
「ああ、この近くの家も辛いでしょうね」
「お母さんはお仕事ですか?」
「そうです。看護師ってほんと激務みたいですね。ここ2年ほどはとにかく感染しないように感染しないようにと凄く神経使ってるから精神的に疲れると言ってました」
「大変だぁ」
「でもこの家の防御は凄いね。7年前に見た時から遙かにグレードアップしてる」
「押し寄せてくる軍勢は相変わらずです。450年経ってもひたすら同じ事の繰り返しなんですね」
「よく続いてるよね」
「でも前衛・後衛を作ったからだいぶ守りやすくなりましたよ」
「うん。人が少なくなったからできることかな」
青葉と千里は“神社からの受信機”となっている神棚にお伊勢さんの金杯を置いた。
「凄い。パワーがあがった」
と真白が驚くが、真白の後ろに居る“子”があまり面白く無さそうな顔をした。神社からパワーが供給されれば彼自身のパワーも上がるはずだが、神様の監督が厳しくなるから、勝手なこともできないので不愉快なのだろう。
「これ前衛・後衛も強化できます?」
「強化しよう」
と言って、青葉と千里は前衛・後衛の家の神棚には銀杯を置いた。
「でもここって根本的な解決は難しいんでしょぅね」
「どうも薔薇が結界として効果あるみたいだから。このあたり一帯薔薇園にしちゃうとか」
「それ町内会で提案してみようかな」
「いいかも知れないね」
「取り敢えず今残っている住人さんたちにも薔薇の生け垣を作るの勧めるのは価値ありますよね?」
「それは間違い無く効果ある」
帰り際、千里は「御守り」と言って、真白・美里、真白のお母さん、そして真白の“後ろの子”にもひとつずつ鈴をあげた。
「これ財布とかに付けといたら守ってくれるはず」
「ありがとうございます」
真白の後ろの子もこれは喜んでいた。
それでこの日はこの地区を後にしたが、青葉は里まで下りてから千里に訊いた。
「ちー姉、最後に何したのさ?」
「真白ちゃんが見落としていた穴を“通した”だけだよ」
「へー」
「バイパスを作ったように見えました」
と真珠が言う。
「私もトンネルか何かを作ったように見えました」
と明恵。
「きみたちよく見てるね〜」
と千里は言った。
「真白ちゃんはあの凄まじい霊集団を堰き止めようとしていた。でも堰き止めるだけではいつか決壊する。私がしたのは、そのパワーの通り道を作ってやっただけ」
「通るとどうなるの?」
「里から来る上杉軍と山から来る長(ちょう)軍が戦うだろうね」
「なるほどー」
「それでお互い消耗してくれればいい」
「毒を持って毒を制す、みたいな」
「ま、それに近いかもね」
真白は町内会で、
「このあたり寂しいから薔薇を植えませんか」
と提案。それが受け入れられて、この集落の入口一帯に薔薇が植えられた。
また真白は今残っている家にも薔薇の生け垣を作ることを勧めた。それを作った住民が、凄く過ごしやすくなったと喜んでいたので、結局今残っている全戸が薔薇の生け垣を作った。年寄りだけの家は、真白と美里が手伝ってあげた。
そういう経緯でこの地区は“薔薇の集落”としてテレビなどでも紹介されることになる。わざわざ見に来る人もあったが、昼間なら霊感の弱い人には特に異常は感じられない。昼間なら、薔薇の写真を撮っても変な物は写らない。
真珠が言った。
「真白ちゃんに聞いたんですけど、今あの地区に残っている住人って全員女性なんですって」
「へー」
「やはり女のほうが男より耐性あるのかな。コロナも男の死亡率高いし」
と明恵は言うが、青葉はあることを思い出した。
「あの子が初めてあの式神と会話した時、式神が言ったらしい。男の子はみんな戦争に行って死んでしまったって」
「うーん・・・・」
「あの後ろの子、女装してましたよね?」
と明恵。
「君たち“視力”がいいねぇ」
「青葉さん言ってましたでしょ?真白ちゃんの大伯母さんが“間違って”真白ちゃんに女の子用の部屋、妹さんに男の子用の部屋を指定したって」
「あっ」
「大伯母さんは間違ってなかったんだ」
「真白ちゃんは男の子として生きられなかったのかも。女の子になっちゃったから生き延びられたのかも」
「奧さんの美里さんの家は全部女ばかりの姉妹だと言ってた。第1子は男の子だったけど3歳で亡くなったんだとか」
「男が生きられない土地か・・・」
「こないだ話してた時、美里さんのお父さんも実は女装好きなんだって言ってた。特に下着は女物しか着ないし、ブラジャーして会社にも行ってるって。お化粧とかお母さんより上手いから、美里さんはお化粧をお父さんから習ったらしい。女装してるお父さんを見慣れてたから彼氏の女装も気にならなかったって」
「なるほどー」
「じゃ真白ちゃんも守護霊とかの働きで女性化したのかな」
「いや、女の子になっちゃったのは本人の性格だと思う」
「確かに確かに」
「女の子しやすい環境があったからそれを本人も利用しただけだよね」
9月中旬、七尾警察署は、石川県内に住む40代の男性2人を呼び、まずは任意で取り調べをおこなった。
被疑者のひとりが所有していた車は4月25日に廃車にされており既にスクラップになっていたので、車自体からは証拠を収集できなかった。ただ廃車手続きをした中古車屋さんは、車の前部に何かに激しくぷつかった跡があったことを証言した。被疑者は「電柱にぶつかった」と言っていたらしい。
9月16日、七尾警察署はこの2人を死体遺棄容疑で逮捕したことを発表した。2人が、被害者が行方不明になった4月23日15時に七尾市内のホームセンターでスコップを2つ買っていたことがクレジットカードの記録とお店の記録から判明したこと、被疑者の自宅に残っていたスコップに付着していた土が遺体発見現場の土と同じ物であるという鑑定が出たこと、被疑者2人のGoogleMapの情報から2人がともに当日七尾城に行っていたことが判明したこと。
そして、遺体を埋めた穴の中から回収されていた毛髪が、被疑者のものとDNA鑑定で一致した。
決定的な証拠を突きつけられた被疑者2人も犯行を認めた。警察の発表を受けてマスコミは被疑者を実名報道した。
この2人に警察が到達した経緯は、匿名の電話があったからと説明された。マスコミは被疑者周辺の人物からの情報提供を推察していたようだが、被害者の父親は、金沢ドイルさんが実は霊視に成功していたのではと思った。
でもきっと騒がれたくないから匿名の密告という形で警察に情報提供したのではと考え、その想像は誰にも言わなかった。そして伏木に向かって深く頭を下げた。
逮捕の発表があってから、2人の友人たちの複数が、彼らが
「女を撥ねてしまった」
と言っていたというのを証言した。
この友人たちは犯人隠匿罪の疑いで事情聴取されたが、いづれも書類送検のみで不起訴となった。それらの友人たちは「捕まる前に警察に自首した方がいい」と本人たちに勧めたらしい。警察はこの友人たちの誰かが情報提供者ではと考えたようだが、全員が通報を否定した。警察は恐らく他にもこの話を聞いた人物がいて、その人が通報したのだろうと考えたようである。
9月17日(土・8/22大安たつ).
S市の人形美術館がリニューアル・オープンした。式典には、市長、N県議、なども列席して、コロナの折短時間ではあったものの、華やかな式典が行われた。
〒〒テレビはもちろん、他の民放局にNHK、地元のケーブルテレビなども取材に来ていた。ラジオηηの真白も取材に来ていて、真珠と目が合い手を振っていた。
しかし多くのテレビ局は
「お堀に囲まれた素敵な美術館です」
と言っていた。まさかこの建物自体が池に浮かんだ船であるとは思いも寄らなかったようである。
膨大な数のビスクドールたちが、春・夏・秋・冬の4つのゾーンに分けて展示されている様子、スイスイ1号にナビゲートされたウォーキングドールのマリアンが人形たちの間を巡回している様子、とても広くなった喫茶室などがテレビ映像では紹介される。この日は遙佳がピアノを弾き、歩夢がフルートを吹いたが、その様子もテレビ画面には流れていた。
ちなみに人形のレイアウトは最初遙佳1人でやっていたのだが
「とても間に合わない!」
と言って、歩夢や広詩も動員され、高田舞花・晃の姉妹も応援に駆け付け、最後は遙佳・歩夢のクラスメイトたち、更に真珠・初海などTIFのメンバーも泊まり込みで手伝いに行って、何とかリニューアルオープンに間に合わせた。
並びには若干不満はあるものの、少しずつ調整していくと遙佳は言っていた。
「人形が勝手に動くんじゃなくて、遙佳ちゃんが動かすのね」
「そうそう。勝手な移動は禁止」
「でもきっと仲のいい子同士夜中は勝手に近くに寄っておしゃべりしてるよね」
「そういうの想像するのはやめよう」
9月17-19日(土日祝).
青葉は伏木の自宅でミュージシャンアルバムの取材をした。
9月16日夕方、Gulfstream G450 に、下記の人々が乗って、熊谷の郷愁飛行場から能登空港に飛来する。
ラピスラズリ、ケイ、赤いトマトとマネージャー、倉田ミチコと付き人、白浜イズミと付き人、羽鳥セシル
以上13名の他にパイロットが2名乗って定員いっぱいである。今月からパイロット複数制で運用するようになったのでG450は13人しか乗らない。それで羽鳥セシルについては『ケイが乗っているからマネージャーさんいいよね』ということにした!
(これ以外にベビーベッドがあるが、ベビーベッドに乗れそうな人は居ない)
飛行中に羽鳥セシルの性別が話題になる。
「羽鳥セシルちゃんって、元男の子だったけど性転換して女の子になりましたって言ってるけど、なんかキャロル前田ちゃんとかローズクォーツのタカコさんみたいな普通の性転換した元男性とは雰囲気違う気がする」
と倉田ミチコちゃんが言った。
(↑キャロルはいいとしてタカまで性転換した元男性と思われている)
「それ私自身もよく分からないんですよねー」
などとセシルは言っている。
「私、2年前の夏までは確かに男の子だったんですけどね〜。町でスカウトされて(*39) 『君、女の子みたいに可愛いから、女の子の服着て写真集撮らない?』って言われて。私、小さい頃から『男の子にするのもったいない、女の子になっちゃいなよ』とか言われてたから、女装も少し興味あって時々スカート穿いたりはしてたんですよ。それで写真集とか恥ずかしいけど若い内しか女装写真なんて撮れないしと思って応じたんですよ」
(時々ではなくいつもだと思う)
「それがファースト写真集だよね。だからあれを撮った時はまだ男の子だったハズ」
とケイが補足する。
「ちょうどスカウトされたのが夏休み入ってすぐで、夏休みいっぱいかけて写真集の撮影したんですけど、結果的に夏休み中、ずっと女の子の服を着てたら、もう男の子の服を着たくない気分になったんですよ。それで夏休みが終わったら、女子制服で学校に行けないかと母に相談したら、性同一性障害の診断書もらおうと言われて病院に行って」
「セシルちゃんの話はそのあたりからがどうもよく分からない」
とケイは言う。
「それで診断書もらってから学校に女子制服で出ていったけど、実際には女子制服で登校しても何も言われなかったから診断書も提出しなかったんだよね。そのうち、あんたは法的な性別を変更したほうがいいと母から言われたから、裁判所に申請して法的には女性になって。それでしばらく学校に通ってたけど、法律上女になったのに身体がまだ男の子なのは後ろめたい気がして。それで性転換手術受けて、身体も女の子に変えたんだよね」(*40)
と羽鳥セシルは言う。
「その話は矛盾している」
と赤いトマトの岸森由美代が言う。
「みんなからそう言われますー」
とセシル。
「性転換手術を受ける前に性別が変更できるわけがない」
と倉田ミチコ。
「その辺り私も法律のこと詳しくなくて。でも性別変更を申請したのが9月で11月に認可がおりて、でも性転換手術を受けたのは12月なんですよねー」(*40)
「そういう訳でセシルちゃんの話はさっぱりわからないんだけどね」
とケイは言う。
「ただ性別の“変更”は未成年の内はできないから、セシルちゃんがしたのは性別の“訂正”じゃないかと思うんだよね」
とケイ。
「変更と訂正って何か違うんですか?」
と赤いトマトの更田比奈子。
「独立した肉体的性別を持っていたのが手術によって性器の形を変更して異性になるのが“変更”。元々男なのに女の子みたいな外見だったり、女なのに男みたいな外見で生まれて性別を誤認されていたのを本来の性別に登録変えするのが“訂正”」
「よく分からない」
「だからセシルちゃんは本来女の子だったんだと思うよ。セシルちゃん生理あるでしょ?」
「ちょうど法的な性別の変更申請をした頃、急に始まりました。最初はどこ怪我したかと思った」
「生理があるということは元々本当の女の子だったんだと思う」
と赤いトマトの水埜香奈絵。
「セシルちゃん、やはり普通の女の子なんじゃないかなあ。こうしてそばに居ても男の子だったような雰囲気全く感じられないもん」
と倉田ミチコ。
(小さい頃から女の子の服を着ていて周囲からも半ば女の子扱いされていたせいだと思う。彼はよくFTMと思われ「男子の服着たいだけろうけど、こういう場ではちゃんと女子の服着て」と言われていた。セシルの小さい頃の写真って全部スカート穿いてる)
「そうなのかなあ。ちんちんあったし、立っておしっこしてたんですけどねー」
とセシルは納得いかないようだった。
(立っておしっこしてたというのは絶対嘘だと思う。だいたいスカートや女児用ズボンで小便器が使える訳無い)
この話の最中、東雲はるこは、いつ自分のほうに話が飛んでこないかとビクビクしていた。町田朱美は話を聞いていて、なんとなく状況が掴めて、ひとり頷いていた。たぶんセシルに起きたことを最も正解に近い形で理解したのは町田朱美である。
(*39) セシルをスカウトしたのは雨宮三森。“可愛い男の娘”として売り出すつもりが、女装にハマった(元々ハマっていた?)セシルはむしろ女の子になりたい気持ちになってしまった。それで丸山アイが親切心を起こして8/20 完全な女の子に変えてしまった。
(*40) 丸山アイに完全性転換させられたので、その時点で完全な女性であり、性別の訂正が認められた(9/28申請 11/4認可)。ところが本人は自分が女の子になっていることに全く気付かなかった(生理が来ているのになぜ気付かない?)
それで丸山アイは12/27の夜、再度セシルを連れ出し、性転換手術をしてくれる病院まで連れて行った。セシルは確かに手術台に寝て「本当に手術していい?手術が終わったらもう戻せないよ」と言われて「女の子になりたいです。手術お願いします」と言って麻酔を掛けられた。それでセシルは性転換手術を受けて本物の女の子になったと思い込んでいる。セシルは翌朝退院してそのまま学校に登校した。
性転換手術の翌日に普通に学校に行った人はたぶん羽鳥セシル以外に存在しない!
でも実際に性転換手術されちゃったのは甲斐絵代子である!
甲斐絵代子は普通に夜寝て朝起きたらお股が猛烈に痛いので何が起きたか理解できなかった。
それで甲斐絵代子はお正月のローズ+リリーのライブにゲスト出演できなくなり、代わりに常滑真音が出て、そこから常滑真音はスター街道を歩むことになる。
つまりセシルがあまりにも鈍かったのが常滑真音ブレイクのきっかけである!
7.26 雨宮にスカウトされ、完全女装させられて写真集の撮影を始める
8.09 女子制服注文
8.19 女子制服受け取り。アクアの映画に出演
8.20 GIDの診断書を取りに病院に行くが付添いの丸山アイが勝手に性転換させてしまい“完全な女”という診断書を書かれてしまった。
8.21 丸山アイは余ったブレストフォームを男子寮の適当な部屋の入口に下げておいた。花園裕紀が自分の胸に取り付ける
8.24 女子制服で登校するが何も言われず
9.03 初めての生理(8.20+14)
9/25 2度目の生理
9.26 法的性別の変更をアナオナ姉妹(*41) から勧められる
9.28 性別訂正の申請
10/05 裁判所の面談
10/25 3度目の生理(9/25+30)
10/29 去勢手術を受ける(?)
11.04 性別訂正と改名(恵馬→恵真)が認可される
12.27 性転換手術を受けさせてやると言われて丸山アイの車で病院へ。手術台に乗せられて最終意思確認してから麻酔を打たれる
12.28 退院して学校に登校!同日朝、甲斐絵代子は猛烈な激痛で目を覚ます。
01.01 ローズ+リリー新年ライブ。絵代子の代わりに常滑舞音が出る。
(*41) 身体に穴を開けたから“アナ”、女になったから“オナ”らしい。しまうららの双子の息子だったが、揃って性転換して双子の娘になった。しまうららは「あら可愛くなったね」と新しい娘たちに言ってあげた。
赤いトマトや羽鳥セシルなどを乗せた飛行機は9/16 19時過ぎに能登空港に到着した。そこから千里が運転する大型バスで(後述の2名を除き)高岡市まで行き、市内のホテルに宿泊した。
「醍醐先生、すみません」
とラピスラズやお赤いトマトが恐縮していた。
「いや、今日・明日はいつものまこちゃん・あきちゃんがふさがってるから、代わりに私が出て来た」(*42)
「琴沢先生先生もお忙しいのに」(*43)
と羽鳥セシル。
「ああ。私は7人いるから大丈夫」
などと千里は言っている。
「ケイなんて10人居るから」
ケイは聞かなかったふりをしていたが、町田朱美が
「同時に2人までは見ました」
と楽しそうに言っていた。
(*42) 真珠や明恵は人形美術館のリニューアルオープンを翌日に控えて準備の手伝いにS市に行っていた。
(*43) 千里はセシルへの提供曲は全て琴沢幸穂名義を使用している。
9月17日は、午前中赤いトマト、午後から羽鳥セシルのインタビューを伏木の青葉邸で行った。セシルについては性別のことには触れず、単に雨宮にスカウトされて写真集を撮ったのがデビューのきっかけだったことから話し始め、その後のことを中心に色々話した。
赤いトマトはインタビューの後で、能登島水族館とその近くのガラス美術館を訪問して映像を撮っていた(ドライバーは初海)。羽鳥セシルは午前中に新湊の橋巡りをしてきた(放送局のドライバー)がその時、有磯海クリニックの傍を通り
「あれ〜。ここぼくが性転換手術を受けた病院だ。やっぱりあれ夢じゃなくて実在したのね」
と思った。でも東京から一晩でこんな所に来れる訳無いし、と首をひねっていた。
赤いトマトはそのまま初海の運転で能登空港に移動した。羽鳥セシルはインタビューの後、河合さくらの運転する黒いインプレッサで能登空港に送り届けた。そこで両者は合流して、Honda-Jet
blackで熊谷に帰還した。Honda-Jetはパイロットを2人乗せているので、赤いトマトの4人をサロン席、セシルが補助席、赤いトマトのマネージャーさんがトイレ席に乗った。
なお、河合さくらは、この日は青葉のドライバーが出払っているので、能登の道に絶対的に慣れている人として、邦生のコネで臨時にお願いした。彼女は七尾市在住である。
セシルは彼女の性別がよく分からなかった。
「ドライバーさん、たくましい腕ですね」
「あ、私元男だから」
「え?そうなんですか?」
「1年前にちんちん切ってもらって女になったんですよ」
「へーすごい。実は私も2年前に手術してもらって女の子になったんですよ」
「へー。そんな感じには見えないのに」
「この近くの**クリニックなんですけどね」
「私もそこだけど、あそこの院長は凄く差別的なので有名です」
「差別的?」
「あなたみたいに女の子にしか見えないような美少女は、お金は出世払いでいいからと言って速効で手術しちゃうし、本人に女になる気がなくても、女の子になるのはどんなに素晴らしいことか、君は絶対女の子になった方がいい、とか口説き落として手術受けさせちゃうんですよ」
「あはは」
そういえば手術受けに行った時もそんなこと言ってたなとセシルは思った。やはり自分が手術を受けたのはあの病院で間違いないようだ。
「でも普通の患者は順番待ちで2〜3年待たされるから、ぼくなんて4年待ちましたよ」
「ああ」
「手術の前にも、あんた性器を女の形に変えても全然女としてパスしないよ。女湯に入ろうとして警察に逮捕されるかもよ。それでも手術する?なんて意志確認されましたよ」
「でもパスするかどうかって重要ですよね」
「そそ。私はそれでもいいから手術してほしい。ちんちんあるのが我慢できないと言って女の子にしてもらったんですけどね」
「でもドライバーさんはスカート穿いてれば一応女に見えると思うなあ」
「ありがとうございます。少しでも女らしくなれるよう頑張ります」
「ええ。頑張ってください」
むろん、河合さくらが元男なんてのはジョークである!
でも彼女が手術して女になった元男と言うとほぼ全ての人が信じる!
9/17 夕方に赤いトマトとセシルを乗せたHonda-Jet
blqckが能登空港から郷愁飛行場に飛んだのと入れ替わりに、“玄関”の6人を乗せたHonda-Jet
goldが郷愁飛行場から富山空港に飛んできた。
放送局の男性ドライバーにより高岡市内に移動してホテルに泊まった。
9.18は南砺市の道の駅・井波に行き、木彫り作品を多数見てくる。午後4時からインタビュー。そのあと小松空港に運んでもらい、そこからHonda-Jet
Silverで熊谷に帰還した。
つまり彼らは来る時は金色の機体、帰りは銀色の機体に乗ったことになる。
9月18日の午前中は、倉田ミチコちゃん、12時からは白浜イズミちゃんのインタビューをおこなった。イズミちゃんのインタビューが終わり一休みしてから退出したのは午後3時頃で、玄関が来たのは4時頃なので、玄関とイズミは遭遇してない。
倉田ミチコは実は9/16には高岡市まで来ず、途中の和倉温泉で付き人と2人降ろしてもらい、和倉温泉の有名旅館・加賀屋に泊まっており(倉田ミチコの事務所が宿泊費を負担)、そこの部屋の様子や施設も取材している。17日は七尾市内で花嫁のれん、七尾漁港などを取材、高岡市に移動して一泊した。そして18日朝から青葉邸でのインタビューに臨んだ。そのあと富山空港まで送ってもらった。
白浜イズミは9.16 高岡市内に泊まった後、17日は津幡の火牛アリーナを取材、アクアゾーンではしゃいだりした(水着姿初公開!)。その後ヘリコプターで氷見飛行場に移動。オープンしたばかりの飛行場をレポートした。そのまま高岡市内に戻って連泊。18日のお昼から青葉邸でインタビューを受ける。リビングでおやつを頂いた後、15時頃、放送局のドライバーが運転する車で富山空港に移動した。
そして倉田ミチコと白浜イズミは玄関が乗ってきたHonda-Jet
goldの帰りの便に乗って熊谷に帰還した。
19日の午前中はインタビューはなく、町田朱美と東雲はるこは18日の玄関のインタビューが終わったあと実家に戻り、19日の昼過ぎ、伏木に戻ってきた。
羽田小牧は、小牧基地から小松基地までF15に乗せてあげようか?と言われたものの、とっても嫌な予感がしたのでそれを断り(賢明だと思う)、普通に熊谷からHonda-Jet
silverで9/18 午後、小松空港に飛んだ。この飛行機の帰りの便に玄関が乗った。
羽田小牧は金沢市内のホテルに泊まり、19日の午前中は金沢市内でレポートをした。お昼を食べてから伏木に移動し、青葉邸でインタビューを受けた。それが終わると、ラピスラズリ・ケイと一緒に真珠の運転するVolvo XC40 で能登空港に移動し、Gulfstream G450で帰還した。
男女を混合して乗せたのはこの便だけである。でも羽田小牧ちゃんは今でも充分女装が行けそうな優しい雰囲気の子なので、女性タレントとの同乗は全く問題無かった。
彼はデビュー当初の頃、みんなが面白がって女装させるので
「女装するお仕事はお断りします!」
と宣言して、持ち込まれてくる仕事で
「女装は無いですよね?」
と念押ししている。
町田朱美は
「女装なんてできる内にどんどんしてればいいのに」
などと言っていたが。
「なんかいつも女装させられていると、女装が好きなんだろうと思われそうだし」
「実際好きでしょ?家の中だけでもスカートとか穿けばいいのに」
「唆すのやめてよー、町田さん」
(↑絶対穿いてそう。彼の所には多分ファンから可愛いスカートとかドレスとか送られてきてそう)
「そんな他人行儀に苗字で呼ばなくても名前呼びでいいのに」
「そう?朱美ちゃん」
「そうそう。小牧ちゃん」
でも彼は女の子が好むような話題によく乗ってきて、朱美はこの子、本当は女の子になりたい気持ちも少しあるのでは?と思った。
だから自分を暴走させないように女装拒否と言っているのかも!?
だいたいこんな美少年は絶対小さい頃から
「男にするのもったいない」
「女の子だったらよかったのに」
とか言われているはずだ!
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【春一】(6)