■クロスロード2(1)

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(C)Eriko Kawagucho 2011-10-07
 
青葉、千里、桃香、あきら、和実、淳、ケイ(冬子)の7人は6月19日、大船渡の避難所で偶然遭遇し、お互いのことに興味を持ったのだが、その場では慌ただしかったので日を改めてまた集まろうと約束した。その機会は意外に早くやってきた。 
このメンツの中で集まりにくいのが歌手として慌ただしい生活を送っている冬子と、北陸に住む青葉で、他のメンツはだいたい東京の近くに住んでいる。 
それが6月29日の水曜日に政府系の団体が主宰した「震災遺児を励ます会」というのが、横浜で開かれ、津波で両親・祖父母・姉を一気に失った青葉もそれに招待されて前日28日火曜日に上京してきた。
 
火曜日は美容室が休みなので、美容師をしているあきらが動きやすい。また月曜・火曜が冬子は基本的に公休日になっているので、参加することが可能であった。(冬子は7月1日が新しいCDの発売日なのでそれ以降は時間が取れなくなる所であった)また震災ボランティアをしている和実と淳もだいたい土日は東北方面に行くが、平日なら参加可能であった。
 
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そういうことで6月28日の夕方、あきらの奥さんの小夜子の叔母さんが経営しているビストロに、多少?の付き添い付きで全員が集まってきた。
 
あきらは場所がそういう場所なので当然小夜子と一緒である。ふたりは着物が好きと言うことで(食事会なので汚しても大丈夫なように)ウールの着物を着てきていた。ちょっと見には姉妹のように見える。
 
あきらは美容師で、ふたりは1月に結婚していた。
 
和実は大学2年生で、バイトで都内のメイド喫茶に勤めている。メイド喫茶は岩手に住んでいた高校時代からやっていたということで女装を始めたのもそれがきっかけということだった。彼女は石巻の姉の家に寄っていた時に被災したが、ちょうどその前後に知り合った淳といっしょに震災ボランティアの活動をしていた。淳は都内のソフトハウスに勤めるプログラマーだが、震災当時は青森にいた。震災直前に知り合った和実と、急速に親密になり、現在は同棲中であった。和実の姉の胡桃もふたりの家に同居している。
 
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和実はフルタイム女装しているが、淳は職場には男装で出かけ、日常生活は女装という二重生活であった。ふたりは「私達はレスビアン」と言っていた。今日は胡桃も一緒に来ていた。和実はインパクトのあるゴスロリ風の服を着ている。胡桃と淳もゴシック系の服を着ているが「和実に無理矢理着せられた」
などと2人は言っていた。
 
千里と桃香は千葉の大学生で大学3年である。和実たちがレスビアンだと言った時にピクっと反応したのが(天然女性の)桃香で「私達もビアン!」と言ったが、千里は困ったような顔をしている。千里は昨年の秋頃からフルタイム女装になったということだったが、ふたりは現在同棲(千里の見解では同居)していて、とりあえず見た感じでは凄く仲の良い(ビアン)カップルに見えた。千里は白いワンピースを着ているが、桃香はパンツルックである。
 
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その2人の妹というのが青葉で、震災で家族を亡くした所を千里たちに保護され、いろいろあった末に現在は北陸に住む桃香の母が保護者になって、現地の中学に通っている。今日集まったメンツの中では最も若いが、最も「女性度」
が高い感じだった。彼女の場合、そもそも男の子の格好をして暮らしていた時期が全く存在しない。幼稚園の頃から自分の意志で女の子の服を着て暮らしていたのである。
 
そして冬子は大学2年生で歌手をしていて(芸名:ケイ)、歌手歴は途中ブランクはあるものの高校2年の夏から3年になり、その歌手を始めた時から女装をするようになっていて女装歴もまた3年ということだった。彼女はこの春に性転換手術を受けていた。彼女は親友で歌手としてもコンビを組んでいる(天然女性の)政子(芸名:マリ)と一緒に来ていた。
 
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「最初に今日の話はみんなオフレコということでお願いします。芸能人さんもいるので、始まる前に念のため専門家に依頼してこのお店の中の盗聴器チェックもさせてもらいましたので安心してください。今日は貸し切りですし、このお店のスタッフは小夜子さんの叔母さんとその娘さんだけですから信用してもらっていいです」
と、今回の集まりの幹事役である和実が言う。
 
「さて最初にみなさん質問です。ここには何名のMTFあるいはMTXと、何名の天然女性がいるのでしょう?」
 
みんなお互いの顔を見回しているが、判断に迷っている感じだ。
「うーんと、MTFは5人くらい?MTXって何だっけ?」と政子。
「こないだ大船渡で会った時は6人いたと千里から聞いた。でもあの時より人数増えてるし、もしかして7〜8人いたりして?」と桃香。
「私、さっぱり分からない」と小夜子。
 
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「ちなみに今発言した3人はみんな天然女性」と和実。
 
「たぶん正確に天然女性とMTFを見分けられるのは私と和実さんだけだよ」
と青葉が笑って言っている。
 
「はい、今発言した子はMTFです」と和実。
「うっそー!?」という声が数人から出る。
 
「今日付き添いで来てくれた人はみんな天然女性なのよね。だから正解は桃香姉さんがこないだ6人いたと言ったように6人」と青葉。
 
「はーい、出生届が男だった人、手を挙げよう」と和実が言い、和実・青葉・千里・あきら・淳・冬子が手を挙げる。
「で、生まれた時から女の子だった人、手を挙げて」と言うと、胡桃・桃香・小夜子・政子が手を挙げた。
 
「うーん。面白いものが見られるからぜひおいでよと冬に言われてやってきたけど、これはなかなか刺激的だ。こんなメンツの集合、なかなか見られない」
と政子が言っている。
「創作意欲が湧くでしょ?」と冬子。
「うん。芸能界にもニューハーフさん結構いるからね。ある程度は勘が働くつもりでいたけど、今日来ている人は、みんな女の子にしか見えないんだもん。これは凄いや」
 
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「あ!やっと分かった。おふたり『ローズ+リリー』ですよね?」と小夜子。 
「はーい、ローズ+リリーのケイです」「ローズ+リリーのマリです」
 
「何?何?有名な歌手なの?」とあきら。
「結構騒動になったんだけどなあ、当時」と小夜子が語る。
「彗星のごとく現れた女子高生デュオだったんだけど、個人的な情報をあまり明らかにしてなかったのよね。しかもテレビには出ず、ラジオ出演とライブ活動だけだったし、いきなり売れっ子作曲家・上島雷太が曲を提供していたから、ひょっとして有名アイドル歌手の覆面なのではとか、本当は存在してなくて、ボカロイドではとかまで言われたんだけど」
「へー」
「実はメインボーカルのケイちゃんが男の子だったというのが週刊誌にスッパ抜かれて」
「参りました、あの時は」と冬子(ケイ)。
「騒動で1ヶ月以上、学校に出て行けなかったもんね」と政子(マリ)。 
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「私、そういう活動してたこと親にも言ってなかったから、親からも随分詰問されて、精神的にきつかったです」と冬子。
「親もショックだったと思うよ。知らない内に息子が女の子の格好して歌手をしてたなんて」と政子。
 
「おふたり現役復帰したんですか?あの騒動のあと休養状態になってたと思ったけど」と小夜子。
 
「実は1年前に私だけ『ローズクォーツ』というバンドで復帰したのです」
「あ、避難所に来たのが、そのバンドか!」とあきら。
「でもバンド名を名乗りませんでしたよね?だからてっきり地元のアマチュアバンドか何かとばかり・・・。演奏がプロ級だからメジャーデビューしたら人気出るんじゃないかと思ったんだけど」
 
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「あの避難所訪問の企画を作ったレコード会社の方針で、バンド名を名乗らない、持ち歌を歌わない、物販をしない、というのをやってたんです」
「何それ?」
「いっさいの売名行為をせずに純粋に避難所の皆さんを元気付けようという企画で。今月は1ヶ月で300ヶ所以上回りました」
「凄い。かなりのハードスケジュールですね」
 
「でもあの男声・女声を切り替えながらの『ふたりの愛ランド』は凄かったです」
「あれは、避難所限定のスペシャル版です。私はもう2度と男声は使わないよ」
「じゃもう聴けないの?」とあきら。
「まあCD音源にはあるけどね」とニヤニヤしながら政子。
「えー?教えて教えて」
「ローズクォーツの『萌える想い』というシングルに収録されてるよ」
「もう」と冬子が不満そう。
 
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「あの・・・おふたりはビアンではないんですよね?」とあきら。
政子と冬子は顔を見合わせている。
「それ、高校時代からよく訊かれたんだけど」と政子。
「友達だよねえ」と冬子。
 
「ごめんなさい。仲の良さがハンパじゃない感じだから」
「ううん。いいんです。よくそう思われたりするみたいだし。でも、あきらさんと小夜子さんって、基本的にビアンなんでしょうけど、ふつうのビアンとはまた微妙に違う感じ」と冬子。
 
「私達はね。男と女とか、女と女という枠に自分たちをはめてないの。私は晃が好き。晃は私が好き。ただ、そういう事実があればいい。だからHする時は、晃の男の子機能使うこともあれば、タックした状態でビアンのままやることもあるし。あまり形にこだわってないの」
「ああ、素敵ですね」と和実。
「だけど、ここに来ている4組のビアン・カップルの中でヘテロ型でもしてるのはもしかして私達だけだったりして」
と小夜子。
 
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「あれ・・・4組って、誰々だっけ」と冬子。
「冬、気にしない、気にしない」と政子が笑っている。
小夜子は自分の『謎掛け』を政子が受け取ってくれたので微笑んでいる。 
「私達最初何度かヘテロでもしたけど今はビアンでしかしてないね」と和実。「私達、セックスレスなの。でも1回だけヘテロでしたね」と桃香。
「おふたりもまた雰囲気が特殊ですね。桃香さんはビアンと言ってるけど千里さん、それに同意してない感じ」
千里はまた何も言わずに微笑んでいる。
 
「でも否定はしないんだ、千里は」と桃香。
「もっとも私は千里が男の子を好きになったりした時はいつも応援してるけどね。でもいつも一緒に寝てるし、触りっこはいつもしてるし」と桃香。「同棲してるんですよね?」
「うん。でも千里は同居だと主張するの。友人たちはみんな同棲だと思っているみたい」
千里は微笑んだままノーコメントを続けている。
 
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「政子さんと冬子さんは一緒に住んでいるんじゃないですよね」
「ええ」
「でも、泊まる時は同じベッドに寝るよね」
「うん、まあ。冬がまだ女の子の身体になってなかった頃からそうだよね」
「一緒には寝るけど、何もしないよね」
「うん、Hは1度しかしてないね」
「ちょっとちょっと」
「オフレコ。オフレコ」
「もう・・・・あと、政子はいつも私の身体、あちこち悪戯するけどね」
 
「あ、何となく私達の関係に似てるのかも」と桃香。
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