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■クロスロード2(3)

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「千里姉さんにやってるのは時間限定でしかも部分麻酔に似た感じで、ターゲット付近のみを男性ホルモン優位にして男性機能を活性化させているんだけど、常時、あの周囲だけ男性ホルモン優位、それ以外の部分は女性ホルモン優位にもできます」
 
「それって、ほとんどふたなり状態?」と和実。
「近いね」と青葉。
「和実さんの、さっきからちょっと見てたんだけど、男性機能はまだ死んでないよ。わずかに残ってるから、活性化させることもできるよ」
「いや、いい。私は使う気無い。精子の保存もいいや」
 
「でも私、和実と3ヶ月以上一緒に暮らしていて、和実の男の子部分、一度も見たことない」と淳が言うと
「好きな人にそんなもの見せられません」と和実は答える。
「あ、その気持ち分かる」と千里さん。
「ふふーん」と桃香。
 
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「でもあそこで和実に子供が出来るって言いましたよね?青葉さん」と淳。「そんなこと言ったっけ?」と青葉。
「言ってた」と千里。
「うーん。記憶無いなあ」
「後ろのお姉さんが言ったとか言ってたよ、青葉」と桃香。
 
「え?」
というと青葉は斜め後ろの方に気を集中するような仕草を見せた。そして
 
「この部屋の中にいる人、みんな子供が出来るか、既に子供がいるかだって。あ、子供が既にいるってのは、あきらさんと小夜子さん、ビストロのオーナーさんの3人だね。あきらさんと小夜子さんには、もうひとり出来るって」と言った。
 
「ほほぉ」と桃香がニヤニヤして言う。桃香はこの手の青葉の発言はあまり信じないのだが、この発言だけはどうも信じている感じであった。
 
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「うーん。やはりそうなのかなぁ。ひょっとしたらそんなことあるかもな、という気がしたことは以前あるんだけど、青葉ちゃんに言われると本当かもという気がしてきた」と和実。
 
「私はさすがに無理だよね。完全撤去済みだから」と冬子。
「うーん。。。」と言って青葉はまた斜め後ろの方に気を集中していたが
「えーん。後ろのお姉さん、微笑んでるだけで何も教えてくれない」
その時、政子が一瞬微妙な表情をしたことに気付いたのは、小夜子だけであった。
 
「ところで青葉ちゃん、今日のヒーリングの代金はおいくらくらい払えばいい?」
「お気持ちで。学校で同級生にやってるのとかは、おやつ1個ですよ」
「へー」
「岩手に住んでいた時は、これで生活してたから現金でもらってたけど」
「え?」
「この子、親からネグレクトされてて、御飯ももらってなかったのよ」と桃香。
「きゃー」
「それで同級生からヒーリングの代金100円とか200円とかもらったりおにぎりやパンもらったりして暮らしてたんだけど」
「なんか壮絶ね」
 
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「高岡に来てからは、新しいお母さんにちゃんと御飯もらってるから、ヒーリングの代金はおやつということにしたんです」
「御飯もらってるというより、朝晩の御飯は青葉が作ってるから、母ちゃん、楽でいいと言ってたよ」と桃香。
「お。すごい」
 
「料金は、一般の人の相談とかは大抵3000円くらいでやってるよね」と桃香。
「うん。ふつうの相談はそんなもの。難易度の高いものとか危険なものとかはもっともらうけど」
「津波で行方不明になった遺体の捜索は1件3万円取ってたね」
「あれはその値段にしないと、依頼が殺到してたまらなかったのよ」
 
「えー?遺体の捜索とかもできるんですか!」
「そういうのとか霊的な相談とかの方がむしろ本職だよね」
「うん。ヒーリングはむしろ余技」
「凄い。霊能者さんなんだ」
「ひいおばあちゃんが凄かったんだって」と千里。
「幼稚園の頃から、ひいおばあさんの助手みたいなことしてて、小学2年の時にひいおばあさんが亡くなった後、実質継承したの」
「形式的にはお弟子さんだった人が継いだのよね」
「うん。小学生が出ていっても信用してもらえないから」と青葉。
「で、実際には青葉ちゃんがやってたんだ」
 
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「田舎だからね。病気平癒祈願とか多かったよ。でも万一、お医者さんに見せるべき患者さんだったら、やばいじゃん。だから医学や薬学はいっぱい勉強した」
「青葉、注射うまいよね」と桃香。
「それあまり人前で言わないで。医師法違反だから」
 
「この子、知識が偏ってるんだ。医学とか薬学とか外国語とか、魔術とか神道とかそういう知識は物凄いのに、この春まで『落語』とか『ジェットコースター』を知らなかった」と桃香。
「あはは」
「面白い子だなあ、なんかいっぱい個人的に話したくなった」と和実。
「私のおっぱいも少し大きくしてよ」
「いいよ」
 
「で、料金はこの子、相手の懐具合に応じて取るみたい」と桃香。
「うん。それで同級生からはおやつ1個だし、ふつうの人からの一般的な相談は3000円とかだし」
「お金持ちからはどっさり取ってるよね」
「というより、向こうが払ってくれる。払ってくれたものは遠慮無く頂く」
 
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「じゃ、今日の代金、このくらいでどうかしら?」と冬子は万札を3枚出す。「多すぎです」と言って青葉は1枚だけ受け取り、2枚は返した。
「遠慮無くもらうんじゃなかったの?」
「いや、それでも多すぎだから」
「ふふふ」
 
「そういえば私、こないだ会った時に、青葉ちゃんのインパクトが凄すぎてさ」
「はい」
「歌を作っちゃったの。ちょっと聴いてくれる?」
「ええ、聴きたいです」
 
冬子はお店の端に置いてあるアップライトピアノを「貸してください」と言ってオーナーさんに断ってふたを開くと、弾き語りで『聖少女』を歌った。
 
「すごーい。生で聴いたの初めてだけど、上手い!」と小夜子が感動している。
 
「これ11月くらいにシングルで発売しようと思ってるの」
「冬子さん・・・・」
「何かまずかった?」
「その歌に、私のヒーリングの波動が入ってる」
「え?ほんと?ごめん」
「ううん。いいんです、というより、冬子さん、私がヒーリングしている所、ちょっと見ただけなのに、それを取り込んじゃうって凄い。それにそもそも波動は耳で聴けるものでもないのに。やはり冬子さんって、天才なんですね!」
 
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「この歌聴いた人、みんなヒーリングされちゃったりして」と胡桃。
「多少の効果あると思います。悩んでる人とか聴くと少し楽になると思う」
「わー。でもそれなら、私この歌の作曲印税の半分、青葉ちゃんに払う。というより、青葉ちゃんを共同作曲者として登録するよ」
「いや、別にいいですよ」
「ううん。だってそうしないと、私の良心が許さない」
「分かりました。じゃお願いします」
 
この時点では冬子も青葉もその「作曲印税の半分」が1千万円を超えることになるとは、思いもよらなかった。
 
「だけど、みなさん声がちゃんと女の子だよね」と胡桃。
 
「私の場合は変声期前に去勢しちゃったからね」と青葉。
「私の場合は変声障害で、ほとんど変声しなかったのよ」と和実。
 
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「私はメラニー法の練習頑張った」と淳。
「私、そのメラニー法を知らなかったのよね」と冬子。
「カラオケ屋さんで色々練習してるうちにこの声を発見したの」
「私は桃香にだいぶ指導されて、女の子らしい声を見つけてもらった」と千里。
 
「私はある日突然、何かの拍子に女の子の声が出ちゃったのよね。そのあとしばらくは、男の子の声のほうが出し方分からなくなっちゃって」とあきら。「結局、もう男の子の声、使ってないよね」と小夜子。
「うん。当時、男の子の声思い出すのに一週間くらいかかった。それから一時期は両声類してたけど、最近はもう女声ばかりで。男声出そうとしてもすぐ出ないことが多い」
 
「淳さん以外は、もうフルタイムですよね?」と青葉。
 
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「私、美容室のスタッフ一覧の所に、最初は『男性』と書かれていたのだけど、そのうち性別『?』にされちゃって、ついに先月からは『女性』にされた」
と、あきら。
 
「ふつうに女性客の着付けをしてるよね」と小夜子。
「そうそう。男性扱いだった時は、着付けの技術はあっても、あまりさせてもらえなかったんだよね」
「あ、そうだ、昨年着付け技能士1級取られたんですよね」と胡桃。
「ええ、そのモデルしてもらったのが縁で小夜子と結婚したんです」
「おお、おめでとうございます」
 
「私も今年1級受けてて、年末に実技の方、受ける予定です」と胡桃。
「まだ学科の結果は出てないけど、まさかあれで落ちてはないと思うので」
「おお、頑張って下さい」
「私の場合、モデルは妹の和実使いますけどね」
「だいぶこないだから振袖を着せられてます」
 
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「私達もだいぶ着たね」と小夜子。
「うん、毎日やってたからね」
 
「でも和実さんは『妹』さんなんですね、もう」と小夜子。
「だってこれを『弟』と言えないもん。諦めました」
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