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■トワイライト・魂を継ぐもの(7)

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その日はその後、紫波SAで休憩を取ってから、夜8時頃に盛岡市内に入り、まずは梓の家に行って梓を降ろし、お母さんにも挨拶をする。その後、和実たちの実家に行って、和実と胡桃が降りて、淳はいったん郊外のファミレスに行って待機した。
 
「ただいま」とごく普通に言って、和実は家の中に入った。震災の直後に帰った時は、モヘアのセーターにジーンズのスカートなどという格好だったのだが、今日はローラアシュレイの花柄のワンピースの上に、フェミニンなモスブルーのカーディガンを着ていた。髪は昨日、姉にセットしてもらっていた。メイクはナチュラルメイクである。
 
「お帰り」と母が笑顔で迎えてくれたが、父は、ちょっと見てから
「どなた様でしょう?」などと言っている。和実は父の真ん前に座った。
 
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「お父ちゃん、しばらくこちらに戻って来なくて御免ね。去年はなんか凄く忙しくて」
 
「・・・・かなりボランティアしていたようだけど、勉強の方もしてるか?」
「うん。学校はほとんど休まず行ってるよ」
「その・・・・いろいろ手術とかしたのか?」
「まだしてないけど、今年の夏くらいに手術しちゃうつもり。卒業するまでに戸籍上の性別をきちんとしておきたいし、4年生では忙しくて手術とか受けてられないし。性転換手術が終わってないと戸籍は変更できないんだよね」
「そうか。。。後悔しないな?」
「うん」
「分かった」
 
「まあ、御飯にしましょうね」と母が言う。
「えっと、実は私の恋人の車で今日は戻って来たんだけど、呼んでいい?」
 
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「そ、そうか?来て頂きなさい」と父が言うので、和実は淳を呼び出す。「10分くらいで来れるって」と和実は電話を切って言った。
 
「淳ちゃんには、震災の直後、和実と胡桃を仙台からここまで運んでもらったのよ。そもそも、和実たちが避難所で食べ物も無くて困っていた時に、トラックで食料を運んでいってくれたのよね」と母。
 
「そんなにお世話になってたのか」と父。
「そういう訳で、今、私と和実と淳ちゃんの3人で一緒に暮らしてるんだよ」と胡桃。
「なんだ、そこまで進んでたのか?聞いてなかったぞ」
「私、言ったけど、聞いてくれなかったじゃない」と母。
「そうだったか?」と父は少し焦っている。
 
「ちょっと待て。その恋人って、男なのか?女なのか?」と父。
「私と同類」と和実。
「おかまなのか!?」
「うん」
「同類だから、よく理解しあえてるみたい」と胡桃。
「淳ちゃんと和実、ほんとに仲がいいんだよ」
 
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そんなことを言っているうちに淳が到着し、母が玄関に出て迎え入れた。「お邪魔します」と言って入ってくる。
今日の淳はシックなスカートスーツを着ている。
 
「こちら、私のフィアンセの月山淳。こちら私の父です」と和実が相互を紹介する。
 
「初めまして。月山淳と申します。お世話になっております。御挨拶が遅れまして、たいへん申し訳ありません」
「あ、えっと、いや、和実の父です。お世話になっております」
と父は何だか、しどろもどろである。
 
「しかし・・・・女の人のようにしか見えないのだけど?」と父。
「すみません。性同一性障害でして。戸籍上は男性になっています」と淳。
「だって、声も女の声なのに」
「和実だって、声は女の子じゃん」と母。
「そういえばそうだった」
 
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「将来的にはね、和実は性転換して戸籍も女性にするから、淳さんは戸籍をそのままにしておいて、入籍しようと言ってるのよ」と胡桃。
「なんだ、なんだ。そういう話までしてるのか?」と父。
「私、言ったけど」と母。
 
「といったところで、そろそろ御飯にする?」と和実。
「そうそう。私も、おなか空いちゃった」と胡桃。
「うん。御飯にしようね」と母は笑顔で言って、台所から鍋を持ってくる。和実と胡桃も手伝って食卓に食器を並べた。
 
その日は御飯を食べたあと、お酒を飲みながら5人でいろいろ話していたが、淳がお酒の席での話の運び方がうまいので、父と完璧に打ち解けてしまっていた。
「じゃ、結婚式では淳さんがタキシード着て、和実がウェディングドレスを着るんですか?」父。
「ええ、それが無難かな、なんて言ってます。裏バージョンでふたりともウェディングドレス着た写真も撮っておこうかな、などと。あ、どうです?もう一杯」と淳。
「お、頂きます。しかし淳さんも、かなりお酒行けますね」
と父はかなりご機嫌になっている。
 
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結局、その夜は母は途中で寝たものの、1時くらいまで残り4人でひたすら話を続けた。和実と胡桃はお酒は飲まなかったものの、父と淳でビール5本と1升瓶の清酒(淳が持って来たもの)を1本、きれいに空けてしまった。
 

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翌日は父と淳は10時くらいまで寝ていた(和実と胡桃はちゃんと朝起きて母と一緒に朝食を取った)。お昼5人で盛岡市内の海鮮料理店に行き、簡単な食事会をした。これですっかり、和実と淳の仲は、和実の両親に認められた形になった。
 
「一度、和実をそちらの御実家にも挨拶に行かせますね」と母。
「兄には認めてもらっているのですが、うちの親にはまだ言っていなくて。というか、私自身が性同一性障害というのもカムアウトしてなくて」
「いっそ、出来ちゃった婚にしちゃった方が手っ取り早いかもね」と和実。
「はあ!?」
 

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7日の午後からは高校時代の友人たちでショコラに集まり、ミニ同窓会にした。ショコラもかなりメンバーが入れ替わっていたが、和実が東京に移動した後でチーフを引き受けた和奏、最年長の利夏、それに菜々美の3人が残っていた。その他のメンバーの内3人は、春に1度来た時に会っている子たちだが、初めて見る顔もある。和実は店長の神田に「うちの創業時からのメンバーで、今は東京のエヴォンでチーフをしている、『はるか』こと和実ちゃん」と紹介され、新しいメイドさんたちと握手を交わした。
 
その日集まった同級生は、和実・梓・奈津・照葉・弥生・美春・麗華・綾乃の8人である。2年生の時の同級生であるが、けっこう団結力が高く、普段はmixiを通して、交流をしている。
 
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「じゃ、着付けするのは、梓・照葉・美春・麗華の4人でいいね?」
「私はお母ちゃんが着せてくれるから」と綾乃。
「私は美容師になりたての従姉が張り切ってて」と弥生。
「千佳子はおばあちゃんが、やってくれるらしい」と麗華。
千佳子もこのグループなのだが、今夜遅く盛岡に戻ってくるので、今日のミニ同窓会には不参加である。
 
「私は着付け覚えたから自分で着るし、私もみんなの着付け手伝おうか?」
と奈津。
 
「あ、じゃ、そうしよう。私のうちに朝9時集合にする? 私と姉ちゃんと奈津の3人で、えっと、私・梓・奈津・照葉・美春・麗華の6人に着付けするんだから1人30分で1時間で終わるよね?」と和実が言うが、「でも和実と奈津も着付けしてもらわないといけないよ?」と照葉が疑問を挟む。
「えーっと・・・」
 
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「最初に、着付けできる人3人で、照葉・美春・麗華に着せる。そのあと、和実と奈津は自分で着て、和実のお姉さんに梓が着せてもらえばいい」
と綾乃。
 
「わ、さすが。頭良い!」
「私、この手のパズルみたいなの苦手」と梓。
「数学屋さんが何で?」
 
「でも、帯は自分ででも締められるけど、人にしてもらった方が良いから、私と奈津でお互いに相手の帯を締めない?」と和実。
「うん。そうしようか」と奈津。
 

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翌日は朝8時頃に梓がお母さんと一緒に来て、その後ぞろぞろとみんなも集まってきた。唯一の男性である父は母から「邪魔」と言われ、淳が連れ出して、外にお茶を飲みに行った。このふたりはかなり意気投合した感じである。
 
所々和実の母と梓の母が手伝ったりしながら、わいわいと着付けをし、10時少し前までに全員振袖を着ることができた。みんなでお互いに写真の撮り合いをする。和実が淳に着付け完了のメールをすると、10分ほどで父を連れて戻ってくる。
 
母と一緒に選んだ加賀友禅の振袖を着た和実を見て、父は一瞬和実と認識できなかったようであったが、母から「どう?和実の振袖姿?」と言われて
「いや、あまりの美人で・・・何と言ったらいいか・・・」
などと見とれている。
 
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「でも私の振袖姿、毎年見てたのに」と和実。
「いや、胡桃の着付けの練習台になってるだけだと思ってたし、あまりじろじろは見てなかったし」と父。
 
「だけど、和実の着てるの、凄くいい振袖だよね」と奈津。
「梓のには負けるけどね」と和実。
「私のはお友達からの借り物だから。でも麗華のも凄くきれい」と梓。
「それ、京友禅だよね。刺繍がきれい」
 
「安物は安物同士で団結しようか」と照葉が奈津と美春の肩を抱いている。
「いや、照葉の振袖もプリンター染めだからこそできる大胆なデザインだもん。これからはこの手の、手染めの模倣じゃなくて、今までとは別世界の振袖がけっこう増えるんじゃないかなあ」と和実。
「奈津のも凄く可愛いと思う。私、自分で選んでたら、やはりそんな感じの選んでたかも」と梓。
「美春のはまるで洋服みたいなデザインで、これもまた斬新だよね」と和実。
 
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「おお、フォローが上手」などと言う奈津も、まんざらではない感じであった。
 
父の車、淳の車、梓の母の車の3台に総勢11人が分乗して会場方面に向かう。まずは会場の近くのショッピングモールに行き、ここで弥生・綾乃・千佳子たちと合流した。梓の父や、麗華や美春たちの親もここで待ち合わせていた。成人式を迎える女子9人とその付き添い総勢30人ほどで、予約していたお店に入り(お店の半分くらいを占領してしまった)、各自持参のエプロンを付けて、お昼御飯を食べた。この人数になると、何だか凄い騒ぎであった。
 
「マイクロバスでもレンタルしとけば良かったかなあ」
などと照葉が言っていた。
 
「女の子たちとその親御さんの集まりに、うちみたいなのが混ざっていいのかしらと、昨日まで少し不安だったんですけど、もう開き直りました」
と和実の母が言うと、綾乃の母が
「あら、だって和実さん、とっても女らしいもの。普通に女の子ですよ」
と言っている。
 
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13時前にお店を出て、各自親などの運転する車で会場入りした。会場の前で高校のクラスで記念写真撮ろうよと言って、呼びかけていたのだが、13時半までに、和実の高2の時のクラスの内25人ほど、高3の時のクラスの内30人ほどが集まってきた。高2の時の担任の小比類巻先生と高3の時の担任の滝田先生も来てくれたので、一緒に写真を撮った。
 
小比類巻先生は黒い背広の礼服だったが、滝田先生はきれいな色留袖を着ていた。女子の元生徒たちとハグしている。和実や梓もハグしてもらった。
 
「和実ちゃん、すっかり女らしくなっちゃって。素敵なお召し物」と滝田先生。「先生の服も素敵です」と和実。
「私も一応独身だから、振袖着ようかと思ったんだけど、妹から停められた」
「振袖着て来て、新成人に紛れれば良かったのに」
「そうなのよね、やってみたかった」
 
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「梓ちゃんも、凄い豪華なの着てるわね」と先生。
「これ、友だちが貸してくれたんですよ。彼女も新成人で成人式のために作ったのに、都合で他のを着なければいけなくなっちゃってということで、浮いてしまったのを借りてきました」
「へー。でも成人式はいろいろドラマがあるよね」
「私も一応去年のお正月に自分の振袖頼んでたんだけど、震災でその呉服屋さんが潰れちゃって」
「そうそう、その手の話も、多いのよ」
 
男子の方の友人では、近藤君や小野寺君はふつうにブラックスーツを着ていたが、伊藤君は受け狙い?でゴーカイジャーの《バスコ・タ・ジョロキア》のコスプレをしてきている。
 
「工藤ちゃーん、会いたかったよぉ」と言って寄ってきて、和実に抱きつこうとするが、和実に拒否される。梓にも抱きつこうとしてパンチを食らっていた。
 
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「えー?だって滝田先生や溝口さんとは、さっきハグしてたじゃん」と伊藤君。「それは女の子同士だもん」と和実。
「工藤、もう女の子になっちゃったの?」
「今年中には女の子になっちゃうよ」
「あ、だったら、俺と結婚しない?」
「ごめーん。私、もうフィアンセいるから」
「えー!?ショック」
 
そんなことをしていた時、紺野君と目が合った。周囲に7〜8人女の子が集まっている。軽く会釈をしたら、向こうも会釈を返してくれた。和実は心が暖かい気分になった。
 

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やがて14時近くになり、みんな会場に入った。
 
市長をはじめ何人か来賓の挨拶、新成人の代表のことば、などが行われたあと、VTRが上映された。「へんしん」というタイトルが紹介されると、和実の斜め後の席に座っていた伊藤君が肩をトントンと叩き、メモを手渡した。
 
「和実ちゃんの『へんしん』はどのくらい完了してますか?」と書いてある。和実は笑って『心は100%、身体は60%くらい変身完了です』と書き、ついでに『これセクハラ』と書き添えて、返した。『手の甲でいいからキスさせて』というメモが戻って来たので『いいよ』と書いたメモと一緒に手を伸ばしたら、そこにキスされた。和実は少し楽しい気分になった。
 

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