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■トワイライト・魂を継ぐもの(2)

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「へー。今日はプール行ってくるんだ」
「うん。そんなに遅くならないとは思うけど」
和実は朝御飯の席で、そんな会話を胡桃としていた。
 
「どこのプール行くの?」と胡桃。
「東京アクアパーク」
「ああ、こないだできたところね」
 
「でもプールと温泉の併設施設って、ありそうで無いよね。昨夜ちょっと検索してみたんだけど、大きなプールにおまけみたいにお風呂があるところとか、大きなお風呂に小さなプールがひとつ付いてるところとかはあるんだけど」
「そういわれたらそうかもね」
 
「東京アクアパークのオーナーとこないだ仕事で話したよ」と休日出勤で出かけようとしていた淳が言う。
 
「わあ」
「オーナーのお父さんが、昔北陸のほうで、そんな感じの施設を経営していたんだって」
「ふーん」
「でもオーナーが子供の頃に潰れちゃったらしいのよね」
「あらら」
「それで、自分がいつかそれと同じようなものを再度作るのが夢だったんだって」
「すごいね・・・・魂が引き継がれていくんだね」と胡桃が言った。
 
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「あれ・・・なんか、最近そんな話をしたね」と淳が言う。
「そうだね」と和実は少し遠くを見るような目をした。
 

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その日、現地集合で集まったのは和実の他、麻衣・若葉・瑞恵・秋菜・マユミの合計6人であった。
 
「可愛い!チーフ、こんな格好もするんですね!」
とマユミが声を上げた。
「あ。今日は仕事じゃないから『チーフ』とか『サブチーフ』とか無しね。名前は呼び捨て、タメ口にしよ」と和実。
「うんうん。プライベートと仕事は別ね」と麻衣。
 
「でもふだん、和実といえばゴスロリだもんね。学校にもよくゴスロリで来てるし。マリンルックの和実なんて、なかなか見れないよね」と若葉。
 
若葉は和実と同じ大学・学部であるが、1年生の頃はクラスが違うこともありあまり話す機会が無かった。2年生になって梓と若葉が同じクラスになったことから、梓も含めて3人でよく話すようになった。
 
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「いや、さすがにゴシックの衣装でプールに来るのは違和感あるよ」
「和実なら、ビクトリア朝の水着を着たりしかねん」
「スリップドレスみたいなの? あんなのじゃ泳げないじゃん」
 
などと最寄り駅で言っていたものの、いざ施設に入場し更衣室で和実が服を脱いで水着になったのを見て若葉が
「和実〜、それ泳ぐぞって水着じゃない」と笑って言う。
 
「そうかな? いつもこれで泳いでるけど」
「去年もビキニだったけど、今年は去年のとは違う奴だね」と麻衣。
 
「あ・・・・」とマユミが声を上げるので
「どうしたの?」と訊くと、
「私、和実さんがそもそもどちらの更衣室に入るのかな?とか、女子更衣室だったら着替えどうすんのかな?とか、考えてたのに、あんまり自然にこちらに来て、ふつうに服を脱いじゃったから、そんなこと考えてたこと忘れてた」
などと言う。
 
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「ふだんもみんなと一緒に着換えてるじゃん」と和実は言う。
「今日は着換えと言っても、水着は最初から着てたから、上を脱ぐだけだったしね」
「でもふつうにおっぱいあるんですねー」
などと言って、マユミはしげしげと和実の胸を見ている。
 
「何か去年はもう少し大きかったような気がするんだけど」と麻衣。
「去年は実は上げ底してたのよね。Bしか無かった胸を上げ底でDに見せてた。今はリアルでCあるから、今年は上げ底せずに来たんだよ」
「わあ、成長してるんだ。ホルモンですか?」
「ふふふ。ホルモン剤は飲んでないんだよねー。どうして大きくしてるかはちょっと秘密」
 
「でも、和実って男の子の体臭はしないよね?」と麻衣。
「あ、私もそれできっと女性ホルモン飲んでるんだろうと思ってた」と若葉。
「ホルモン剤は飲んでないけど、体内は女性ホルモン優位になってるよ。でなきゃ、胸は発達しないよ」
「なるほどー」
「手術したりヒアルロン酸打ったりしてる訳じゃないのね?」
「ああ、その手のは一切してない」
「あ、分かった。実は卵巣があるんでしょ?」と若葉。
「無い、無い」と和実は笑って否定する。
 
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「下もそんなに面積の小さいの着てるのに、付いてるようには見えないですね」
「ふふ。そちらもまだ手術はしてないよ。まあ、大学卒業するまでには手術しちゃうけどね。戸籍の性別も変えたいし」
「わあ」
「性別変えたら、結婚するの?」
「するよ」
 
「あれ?でも和実さんの恋人って、時々来てる女の人ですよね?性別変えたら結婚できなくなるのでは?」とマユミ。
「いや。あの人も実は男の人」と若葉。
「えー?うそ−!?」
 
「私たちはお互いMTFでレスビアンなのよ。ふたりとも戸籍上は男性でも実質的には女同士として付き合ってる」
「付き合ってるというより同棲してるよね」
「なんか複雑」
「だからHする時もアレは使わないよ。ふたりとも女の子の形にして、レスビアン・セックスしてる」
「きゃー」
「なんか不思議な関係よね」
「私も前にその話を和実から聞いて、世の中にはいろんなカップルがいるんだなと思った」と麻衣。
 
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「ふたりとも性転換はするつもりだけど、私だけ戸籍上の性別を変えようかって話をしてるんだよね。そしたら結婚できるから」
「なるほど」
「向こうが男役で、和実が女役なの?」
「ううん。Hの時は私が男役」
「え?」
「でも御飯作ったりとかは私がメインだから、生活上はこちらが奥さんかもね」
 
シャワーを浴びてプールの中に入る。中ではお互い連絡が取れないので集合場所を決め、12時にいったん集合して、一緒に御飯を食べに行こうということになった。
 
和実は若葉・マユミと一緒にスライダーに行って3種類のスライダーを1回ずつ滑った後、25mプールに行き、上級者コースで若葉と一緒に30分ほど泳いだ。マユミは最初初心者コースで泳いでいたが、そのうちプールサイドに上がって和実と若葉の泳ぎを見学していた。
 
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「ふたりとも凄いなあ。スピードありますよね」とマユミ。
「若葉は高校の時に水泳部にいたんだよね」と和実が言う。
「1年生の時だけね。みんな凄いから付いてけないと思って1年生の時だけで、やめちゃったけど」と若葉。
「私は以前は泳げなかったんだよね。男の子時代、水泳パンツになるのが何となく嫌でさ。。。小学校の頃、体育の時間の水泳というと、たいてい見学してたし。でも、こんなふうになっちゃってからは、女の子水着でプールに来るのが快感になってしまったから練習して、何とかこのくらい泳げるようになった」
 
「へー。いつから、こんなふうになっちゃったんですか?」
「この仕事始めたのは高1の夏なんだけどね。当時は胸無かったから。高2の春から夏にかけて胸を大きくして、その夏からプールに行くようになって。でも最初の年はひたすら初心者コース。高3の夏からは上級者コースでも泳げるようになった。高3の時は友だちにもカムアウトしちゃってたから、夏休みは毎週、友だちと一緒に市民プールに行って泳いでたよ」
 
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「あれ?でも高3なら受検で忙しいですよね」
「そうそう。だから図書館に集合して3時間くらい勉強してからプールに移動して1時間泳ぐコース。お弁当持参で」
「わあ」
「気分転換にもなるし受検には体力が必要ですから、なんて親には言い訳」
「ちょっと楽しそう」
 
「そのグループはひとりも浪人せずに、みんな希望の大学に合格できたからね。東京近辺に来た子たちとは、時々集まってるよ」
「時々、お店に来てる昔からの友だちって言ってた人もその仲間ですか?」
「そうそう。梓ね。彼女は小学校の時からの友だちだよ。同じ大学の同じ学部に進学したから、授業などもよく一緒に受けてるしね」
 
「梓は今年から私と同じクラスになったんだよ」と若葉。
「わあ、そういう関係が」
「色々、和実の昔の話を聞き出してる」
「もう・・・」
「あ、それ聞きたい」とマユミ。
「そのうちね」と若葉。
 
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喉がかわいたね、などと言って集合場所近くのスナックコーナーで飲み物を飲んでいるうちに12時の休憩時間となった。このプールは1時間ごとに10分間の強制休憩時間が設けられていて、スライダー以外の利用者はいったんプールから上がらなければならない。
 
やがてみんな集まってきたので、いったん更衣室に行って身体を拭き、水着の上に、施設のリラックスウェアを着て2階の飲食店街に行った。
 
ここはプール施設の中にもスナックコーナーがあるが、2階に飲食店街が入っており、プールや温泉の利用者は、腕に付けているタグで利用して、チェックアウト時にまとめて払うことができる。この2階の飲食店街は、プールなどを利用しない人でもそこだけ現金払いで利用できるので、周囲のオフィスなどからも食べに来る人がいるようである。逆に施設利用者が館内着のまま行くと、一般の利用者と混じることにもなるが、この館内着が結構おしゃれで、ワンマイルウェアっぽい雰囲気なので、あまり抵抗がない。このあたりはよく考えられているなと和実は思った。
 
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和実達はしばらく店を見てまわってから、和食の店に入り、800円のランチを頼んだ。
 
「ここ大衆的な店が多くていいね」
「うんうん。たぶん、家賃が安いんだろうね。こういう所に入ってる飲食店ってしばしばやたらと高い店が多かったりするんだけど。ここ御飯食べにだけでも来たい感じがする」
「私たちは終日共通パスを買ったけど、温泉のみ1時間限定チケットなら500円ってふつうの銭湯の料金と変わらないもん。集客優先の料金設定だよね」
「うん。良心的過ぎて潰れなきゃいいけどね」
「ほんと。心配したくなる」
 

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プールもまだまだ楽しみたいけど温泉のほうも楽しみ、ということで午後から1時間だけ泳いで、2時の休憩で温泉のほうに移動しようということになった。
 
和実は午後は瑞恵・マユミと一緒に、流れるプールで歩きながら、ひたすらおしゃべりをしていた。麻衣・若葉・秋菜は浅いプールでピーチボールで遊んだり、スライダーに行ったりしていたようであった。
 
午後2時になり、いったん集合場所に集まってから、プール中央の階段を下りて地下の温泉エリアのバーデゾーンに行く。地下1階の温泉エリアは、中央に水着で温浴するバーデゾーンがあり、左右に男女別の脱衣場があって、その先に裸で入るふつうのお風呂がある。脱衣場は1階の更衣室とも直接行き来できる階段とエレベータが設置されていて、更衣室で脱いでそのまま裸で下りてくる人も結構いるようである。エレベータは車椅子でもそのまま利用できるサイズである。施設は全体的に段差が少なく設計されていて、バリアフリーにもよく配慮してあるようであった。トイレも全ての個室に手すりが設置されていた。
 
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和実たちはバーデゾーンのジャグジーに入って温浴を楽しみながらしばらく6人でおしゃべりをしていたが、やがてふつうのお風呂の方にも行こうということで、脱衣場に移動する。和実はマユミと若葉の視線が来ているのを半ば楽しみながら、まずはビキニのブラを取り、バストを顕わにする。
 
「触っていい?」などと若葉が言うので触らせる。
「うーん、ふつうのおっぱいだ」
「ふつうじゃない、おっぱいて何よ?」と和実は笑う。
麻衣も笑っている。
 
続けて和実がビキニのパンティーとその下のアンダーショーツも脱ぐと、一同から「おぉ」という声が上がった。
 
「付いてないように見えるんだけど」と若葉。
「実は付いてるのよ。正直な人にだけ見えるの」と和実。
「私たち、みんな嘘つきなのか!」と麻衣が笑って言った。
「和実こそ嘘つきなのに」
「うん。だから私にも見えない」
「なるほど!」
 
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みんなで浴場に入り、身体を洗ってからまずは大浴槽につかった。
 
「地震がほんと多いよね」
「やはりあれだけの巨大地震が起きたら、どうしてもね。地殻が落ち着くまで時間が掛かるでしょ」
「関東大地震来るかな?」
「誘発される可能性はあると思うよ。いざ来た時に、津波から逃れるのにどこに行けばいいかとか、ふだんいる場所で考えておいたほうがいいと思う」
 
「今関東で大地震が起きたら、凄い死者が出るでしょうね」
「人口密集地帯だからね。最初の地震でやられちゃった場合はどうにもならないけど、その後をどうやって生き延びるかというのは、少し考えておいたほうがいいと思う」
 
「でも和実さん、女湯に場慣れしてる感じ」とマユミ。
「高2の頃以降、ずっとこちらにしか入ってないからね。高校の修学旅行でもみんなと一緒に女湯に入ったし」
「わあ」
「女子高生として通ってたんですか?」
「そのあたりは曖昧なまま卒業した感じ。高3の頃は、女子制服着てる時が多かったよ。卒業アルバムも女子制服で写ったし。卒業式はもちろん女子制服で参加したし」
 
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「声も女の子の声ですよね」
「私、ほとんど声変わりしなかったんだよね。だから中学から高1の頃までは男の子みたいな声色作って、それで話してたんだけど、高2の頃からは友だち同士ではこんな感じの声で話すようになって、高3くらいになると授業中とかもこの声しか使わなくなった」
 
「あ、和実って、いろんな声が出せるよね」と若葉。
「うん。声優になろうかと思ったこともあるよ。ふだん友だちとかとはこの声で話してるけど・・・・お店でお客様に対応する時はこんな声・・・・電話に出る時に使う声・・・・ビジネス的な打ち合わせで使う声・・・・・中学とかで使ってた男の子っぽい声」
「男の子ってか、少年っぽい声だね」
「アニメの男の子みたいな声だ」
「ああ、よく言われる」
 
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「でもさ、こういう話をよく和実から聞くんだけど」と麻衣。
「時々、こういうのが全部大嘘で、実は和実って、ほんとの女の子なんじゃないかって思いたくなるのよね」と麻衣。
 
「あはは、そうだったらいいけど」と和実。
「和実って、かなり嘘つきだもんね。特に性別問題に関しては」と若葉も言う。「あ、私も思う。和実って真顔で嘘つくんだもん」と瑞穂。
「本当のこと言ってる時と冗談言ってる時の区別もつかないよね」と秋菜まで言う。「震災の体験談とかは、かなり誇張したり冗談が混じってましたよね」とマユミ。
 
「私、こないだ将来子供が産まれるって言われたしな。凄い霊能者さんに」
と和実も言う。
「それは、和実が実際に女の子だからなのでは?」と若葉。
「一度、和実が男のだという証拠を見て見たい気もしてしまう」と麻衣。「あ、それは恋人にも見せてないから」と和実。
「見せてないのではなくて、そもそも存在していないということは?」と麻衣。
 
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「だよね。そしてある日、性転換手術終わりましたって触れ込みで、もう完全に女として振る舞い始める」と若葉。
「そして子供3人くらい産んで」と秋菜。
「ありそう・・」とマユミ。
「ああ、なんか自分の将来が分からなくなっちゃう」
と和実も頭を掻きながら言った。
 
「実はさ・・・先月から性同一性障害の診断書もらうのに病院に行ってるんだけどね」
「へー」
「最初、身体のMRIとか取られて、お医者さんに『あれ?あなた子宮がありますね』
と言われたのよ」
「え!?」
「あなた実は半陰陽なんじゃないですかとか言われて『えー?うそー!?』なんて言ってたら、実は写真が他の人のと取り違えられてたんだ。私の次にMRI取られた女性と入れ替わってたらしい。向こうもびっくりしたろうけど」
「なんだ」
 
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「でも本当に子宮があったりしないの?」と若葉。
「あったらいいなとは思うけどねー。ちなみに染色体は間違いなくXYだった」
「いや、実は子宮あるんだよ、本当に」と麻衣。
「染色体検査はきっと、次に検査受けた男の人と検体が入れ替わってた」
「まさか!」
 

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