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■少女たちの卒業(7)

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保健所が終わってから、照絵はボックスヒル松戸店(現アトレ松戸店)に寄り、チョコレートを買った。
 
「あの人、帰ってこないだろうし」
と思い、チョコの大袋も買う。
 
そして、いったん自宅に戻ると、龍虎のおむつを交換(またちんちん紛失中!)してから、自分の車(スズキ・カルタス:チャイルドシートはいつも設置している)に龍虎を乗せ、東京まで走る。青山の★★スタジオの地下駐車場に入れ、夫にメールする。
 
英世は10分くらいで降りてきてくれた。
 
「仕事中ごめんね。龍虎を1歳半健診に連れて行って、帰りにボックスヒルに寄ったから」
と言い、英世に買った2000円の高級生チョコ、そして
「こちらは皆さんで」
と言って、チロルチョコ100個入り(義理チョココーナーにあった)を渡した。
「たくさん入ってるね!」
「何人いるか分からなかったから」
 
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それで英世がスタジオに戻り、チロルチョコを出すと
「これは凄い」
と言う声があがった。
 
早い者勝ちで取っていたら、スコア見ながら悩んでいた高岡の口には1個も入らなかった!(声を掛けるのが悪いような感じだった)
 
きれいに無くなってしまってから
「あれ?チョコがあったの?」
などという。
 
「仕方ないから私のあげる」
と言って夕香がコーヒーガナッシュを1個だけくれたのを食べていた。
 
その1個だけ渡されたコーヒーガナッシュを食べている高岡を見て、夕香が“青いボールペン”で、唐突に紙に詩を書き始めた。
 
みんな静かに見守る。
 
夕香が書き上げたのは『空っぽのバレンタイン』という詩で、上島はこの詩に早速曲を付けた。この曲はワンティスの演奏・保坂早穂の歌でシングル化され、4月2日(水)に発売された。
 
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コラボ作品なので、ワンティスのCDとしてはカウントされておらず、クレジットは“保坂早穂 with ワンティス”である。しかしこの曲は140万枚を売るビッグ・ヒットとなり、年末のRC大賞の金賞に輝く。
 
(賞状は代表して早穂が受け取った。早穂は自分の所にはカラーコピーを残し、原本を上島雷太に渡した。なおこの年のRC大賞は松原珠妃『黒潮』)。
 
一般にワンティスはデビュー以来8連続ミリオンと言われるのだが、実はこのシングルも入れると9連続ミリオンになる(セールス的にも『秋風のヰ゛ォロン』、『紫陽花の心』に次ぐ売上3位)。
 
そしてこの曲は、保坂早穂にとって(2021年時点で)最後のミリオンとなった。
 

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2月15日(土).
 
いつものメンバーが今日は蓮菜の家に集まった。一応“勉強会準備会”という名目である。この日は美那が「途中で会ったから」と言って留実子も連れてきていた。もっとも留実子は
「ぼくは勉強とか分からないから、みんな頑張ってね〜」
などと言って、蓮菜の部屋にあった『おたんこナース』を読んでいた。
 
勉強会の方針については、蓮菜・玖美子の“トップ2”会談でだいたい決まる。
 
「じゃ進研ゼミの中学コースをベースにして、それに適宜問題集を加えていくという方式で」
 
「それで行こう、それで行こう。まずは基礎学力を上げることが大事だと思う。多くの受験の失敗は、基礎を固めずに入試問題ばかり解くことなんだよ」
と蓮菜が言うと
 
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「基礎ができてないのに難しい問題やってたら受験テクニックをあげるだけ。それより基礎力を底上げしないと、何とか入試に合格しても、高校の授業に付いていけないよ」
と玖美子も言う。
 
「ところでみんなバレンタインは渡したの?」
と恵香が言うと、話はそちらに完全にシフトしてしまう。
 

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美那はS中スキー部の藤代君、恵香はS中野球部の広瀬君に渡したらしいが、どちらも女子に人気の子だから、きっと向こうはチョコをくれた女の子をいちいち覚えていない。
 
「沙苗(さなえ)がさぁ」
と恵香は言った。
 
「S中の野球部が練習してるグランドのそばでモジモジしてたのよ」
「ん?」
「もしかして誰かにチョコ渡したいの?と訊いたら、あの子、真っ赤になって広瀬君に渡したいけど勇気が無いというからさ」
「おぉ」
 
「一緒に渡そうよ、と言って手を握って連れてって、私に続けて渡した」
「それは良いことをした」
 
「広瀬君には20人くらいの女の子が渡してたから、私のことも沙苗のことも覚えてないだろうけどね」
「でもバレンタイン渡すとか、あの子もだいぶ女の子としての自覚が出てきたね」
 
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「沙苗(さなえ)、どんな格好してた?」
「赤いセーターに赤緑チェックの巻きスカート穿いてたよ。だから広瀬君は普通に女の子だと思ったと思う」
 
「あの子は、女の子の服を着ればちゃんと女の子に見えるよね」
「それで学校にも出てくればいいのに」
「ほんとほんと」
 
「こないだの中学の説明会には女の子の服で来てたのに」
「学校外ではわりと着れるらしい」
「それは変だ」
と美那などは言っていたが、その気持ち分かると千里は思った。
 
「でもあの子、自身が下級生の女の子から3つもチョコもらってた」
と玖美子が言う。
 
「ああ、実態を知らないと、美形男子に見えるからなあ」
「性格も男子として見ると優しいしね」
「ある意味、気は優しくて力持ち」
「理想の男子じゃん」
「問題は、ずっと男のままでは、いてくれなさそうなことかな」
 
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留実子は鞠古君に、蓮菜は田代君にちゃんと渡したようである。どうも蓮菜はついでに一晩一緒に過ごしたようだが、ふたりの交際は双方の両親も認めているので、避妊だけはしっかりするよう言われたようだ。
 
2人は高校を卒業したら結婚してよいと言われている。蓮菜は医師志望なので、実際大学在学中に結婚してしまわないと、医師研修を終える29歳まで結婚のタイミングが無くなってしまう。蓮菜自身、大学在学中に1年休学して子供を産むつもりでいるようである(育児は主として田代君がすることになる!)。
 
「千里も晋治君に渡したんでしょ」
「郵送しといたよ」
「会わなかったの?」
「3月1日に会う約束した」
「その時、もうセックスしちゃいなよ」
「え〜〜?」
「だって見ててじれったいんだもん」
「2年も付き合っててキスもしてないとかさぁ」
 
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と煽られたが、実際には千里は晋治とこれを最後のデートにすることにしていた。晋治はそれに“同意”はしていないが“否定”もしないので、千里はそれを返事と受け取っていた。
 

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2月28日(金).
 
“卒業生を送る会”が行われた。
 
5年生の鼓笛隊が演奏する『地上の星』の演奏に合わせてN小体育館に6年生が入場する。開会の言葉の後、1年→2年→5年→4年→3年の順に、主として歌や楽器演奏のパフォーマンスがあった。この微妙な順序は、鼓笛隊をする5年を真ん中に置いて、準備時間を作るためである。
 
1年生(歌)さんぽ・ちゅうりっぷ
2年生(器楽)ドレミの歌・はるがきた
5年生(歌)亜麻色の髪の乙女・ソーラン節
4年生(器楽)さくらさくら(歌)みどりのそよ風
3年生(器楽)ミッキーマウスマーチ(歌)パフ−魔法のドラゴン
教職員(器楽)主よ人の望みの喜びよ(歌)花(瀧廉太郎)
 
最後に6年生がお返しで「わかれ(ドイツ民謡)」「夢で逢えたら」を歌い、閉会のことばで終了となる。そして5年生の鼓笛隊が演奏する『ヤングマン』の演奏にのせて6年生は退場した。
 
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この日の服装は「くだけすぎないものなら」自由ということだったのだが、千里は黒いワンピースを着て参加した。「おお、すごいすごい」とみんな感心していた。でも他にも数人、黒ワンピの子は居た。
 
留実子は学生服!で参加していた。
 
「その学生服はどうしたの?」
「これ兄貴のお下がり」
「よく、るみちゃんに入ったね!」
「兄貴はウェストが細くてヒップの大きな女性体型なんだよ。だから標準の学生服を自分の身体に合うように裁縫して調整してるんだよね。それでぼくでも着られる」
「へー、すごい」」
 
「それで中学に通うの?」
「先生に叱られるだろうなぁ」
と留実子は悲しい目をした。一応セーラー服はお母さんのお友だちの娘さんから譲ってもらえるらしい。その娘さんはバレー選手で背が高く、留実子でも着ることができるだろうということだった。
 
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千里の家より更に貧乏な、留実子の家で、新品のセーラー服を買うのは辛すぎるだろうからなあと千里は思った。
 
でもあれ!?
 
そういえば、るみちゃんのお兄さんって、どんな人だっけ?と千里は疑問を感じた。留実子が転校してきたのは3年生の12月で、私、この3年間に何度もるみちゃん家(ち)に遊びに行ってる。でも、お姉さんには何度か会ってるけど、お兄さんには会ったことないぞ!?旭川かどこかの中学にでも行ってるんだっけ??
 

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卒業生を送る会が終わった後の3月1-2日(土日)、千里は旭川に出た。美輪子のアパートに1泊して、旭川で少し買物をしたかった。また1日は晋治と最後のデートをした。
 
2人は旭川駅で落ち合い、旭山動物園を散策し、最後は美輪子のアパートに行った。美輪子が気を利かせて外出してくれたので、ふたりはお部屋でいろいろお話しした。キスもし、抱き合ったので、このまま“しちゃっても”いいよね?と思ったのだが、そこで晋治はブレーキを掛けてしまった。
 
彼は二股していたことを正直に告白した。でも今日は千里だけを自分の恋人と思うと言ってくれた。結局は、二股しているという負い目が晋治にブレーキを掛けてしまったようにも感じた。やはり“普通の女の子”の方がいいのかなぁ?と千里はコンプレックスを感じた。そしてそのまま別れた。
 
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美輪子は彼を下宿先まで車で送り届けてくれたが、戻って来てから
「晋治君、今夜ここに泊まっていくのかと思ったのに」
などと言っていた。
 
「でも今日で別れたんだよ」
「なんで?いい男なのに」
「でも今も他に彼女いるし、付き合ってたら多分しょっちゅう浮気に悩まされると思うし」
と千里はこの時言った。
 
なお、美輪子には、性別が訂正された住民票を見せた。
「ちゃんと女の子になったんだね。おめでとう」
と言ってもらい、千里は涙が出た。
 

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翌日、3月2日は、まだ買っていなかった通学用品を旭川の町で買った。
 
通学用バッグは実用的なリュックサックにする。軽登山にも使えそうな、7000円のかなりしっかりしたものを選んだ。こういう品を母に買わせると500円くらいの安物を買い、教科書やノートの重みに耐えられずにすぐダメになると思ったので自分で買うと言ったのである。サブバッグとしては防水性のあるファスナーで口を閉じられるトートバッグを買う。これも3000円した。バッグだけで1万円だ。サブバッグも母に買わせると絶対100円ショップので済まされる。
 
そして千里はスポーツ用品店に行き、通学用に、8000円するミズノのジョギングシューズ、そして同じくミズノのスポーツブラのしっかりしたものを売場のお姉さんにサイズを測ってもらって3着購入した。代金はシューズと合わせて3万円を越える。やはり私、金運よくないみたいと思う。
 
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それでレジで精算してお店を出ようとした所で
《スポーツウォッチ旧型売り切れ御免セール》
という看板を見る。
 
ん?旧型?安くなってるのかな?
 
と思って寄って見る。実は腕時計が欲しいとは思ったものの、どこで買うか悩んでいたのである。先日友人たちとも話していたのだが、家電量販店や大型スーパーの時計コーナーに並んでいるのは安い輸入品が多く、とにかく壊れる確率が高い。時計専門店に行くと“万”の単位のものばかり。で、ひとつの穴場としてコンビニという手もある、という意見も出ていた。
 

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少女たちの卒業(7)

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