広告:メイプル戦記 (第1巻) (白泉社文庫)
[携帯Top] [文字サイズ]

■女子高校生・3年の夏(7)

[*前頁][0目次][#次頁]
1  2  3  4  5  6  7  8 
前頁次頁目次

↓ ↑ Bottom Top

義浜裕恵は1月に本当は小登愛の子供である登志恵を産んだが、それから約半年経ったところで、きーちゃんは新たな体外受精をおこなった。武矢の身体から採取した実は千里の精液と佐藤小登愛の卵子を受精させたものである。この受精卵は数日培養した上で義浜ハイジの子宮に移植された。これで順調にいけば来年の3-4月に小登愛の4人目の子供が産まれるはずである。
 
小登愛の子供たち
従姉妹の音香 2005.05.17 理住
義浜ハイジ 2006.03.30 小弓
義浜裕恵 2008.01.08 登志恵
義浜ハイジ 2009.3-4月 愛
 

↓ ↑ Bottom Top

7月7日(月)、小登愛の最初の子供を産んだ音香はこの日、自身が産む子供としては2人目の子供となる女の子(美笛)を出産した。
 
この子は法的には彼女の第2子だし、彼女の夫にとっても(本当の)第二子だが、実は自身の遺伝子を継ぐ子としては最初の子である。彼女は卵管閉塞で自然妊娠ができない。しかし卵巣自体は正常なので、卵巣から卵子を採取し、夫の精子と体外受精させ、子宮に入れると自分達夫婦の子を妊娠できる。しかしこういう医療には物凄い費用が掛かる。そこで彼女はきーちゅんと取引したのである。最初に小登愛の卵子と音香の夫の精子を受精させ、その受精卵を子宮に入れてまず1人子供を産む。要するに代理母である。そして次は自身の卵子を体外受精させて子供を産む。きーちゃんが2度の体外受精の費用を出す。きーちゃんとしては、小登愛の孫を作るのが目的なので小登愛の子供がこの世に出現すれば良かった。だからその子はきーちゃん自身が育てても音香が育てても良かったが音香は自分が育てたいといったので彼女に託した。そして今度は彼女自身の本当の子供である。
 
↓ ↑ Bottom Top

音香は出産前にきーちゃんの前で宣言した。
 
「私は理住(りずむ)とこの子を等しく愛し、決してえこ贔屓はしない」
と。
 
きーちゃんは、どうしても2人の子供に差を付けてしまいそうなら、理住は自分に渡して欲しいと言ったのだが、音香は絶対に愛情に差は付けないと誓った。
 

↓ ↑ Bottom Top

7月11日(金)、この日は留萌のP神社会議室では午後から桜組の勉強会が行われ、夕方からはそのまま宴会に突入した。今年千里は「早めの土用の丑」と言って、みんなにうな丼を配った。
 
「これどこの鰻?」
「種子島産」
「おお。国産うなぎとは素晴らしい」
「銀馬車亭では特選台湾産を使ったうな丼を1000円で、鹿児島産を使ったのは2000円で売ってる」
「国産が倍の値段になるのは仕方無いだろうな」
「他に瀬戸内海産の穴子を使った穴子丼も1000円で売ってる」
「ああ、そもそも姫路は穴子飯が名物だよね」
「そうなんだよね」
「銀馬車というのは峠の丼屋さんの子会社?」
「正確には孫会社になる」
「ほほお」
「峠の丼屋さんの運用会社が天野産業というのだけど、この配下に天野海運、西日本新鮮産業、万桜、幾つかの牧場や農園などがある。天野産業の社長は実は留萌新鮮産業の会長でもある」
「ほほお」
「ああ時々見るね。凄く頭の切れそうな女の人」
「天野貴子さんといって、私が未成年で会社役員になれないからだいたい彼女に代行してもらってるんだよね。以前は東京で警察に勤めていたんだけど、4年くらい前に北海道に移住したんだよ」
「へー」
「万桜の配下に飴屋さんの万代堂、最中屋さんの桜製菓、洋菓子のふらんす亭、スーパーのプリンセス、パン屋の銀馬車、そしてお弁当の銀馬車亭と並べている」
「かなり大きな事業になってる」
「成り行きで業務が拡大してる気もするけどね」
「誰か元々出資者がいるんだっけ」
「そそ。本当にお金を出しているのは山形のほうの投資家集団なんだよ。私は委託されて投資先の選定をしてるだけ」
 
↓ ↑ Bottom Top

もっとも天野産業の資産は既に最初にH大神が渡した金額の10倍以上になっている。
 
「製材所とかはまた別でしょ?」
「うん。そちらは道内の投資家集団。営林事業、製材所、製紙会社、合板メーカー、アルミ屋さん、工務店、家具屋さん、ホームセンター」
「食品関係と建築関係か」
 
後の“朱雀”はこれに東の千里が始めた化学関係が加わることになる。このほかに後に青葉と2人で始めた松本花子も加わる。ほかに虚空との共同事業(ミューズなど)、若葉との共同事業もある。更に§§ミュージックとかあけぼのテレビの事業も巨額の利益を生むようになる。
 

↓ ↑ Bottom Top

7月12日(土)早朝。
 
今年も宴会の後、そのままP神社に泊まっていた(ゴロ寝していた)桜組の手で神輿が船に乗せられる。和弥が同乗し船は沖に出る。そして日の出と同時に和弥は神降ろしの祝詞を奏上した。
 
神霊の乗った神輿を浜に持ち帰り、今年もP神社の夏祭りが始まる。
 
神輿は町内を一周して神殿に収められる。巡回コースは表C町とA町である。養殖場や新鮮産業の工場・風力発電所などの近くにも行く。
 
高校生巫女による巫女舞のあと、町内会長や市会議員さん、漁協の三泊支部長、留萌新鮮産業の専務さん、桜水産の社長(柳里)などによる玉串奉奠がある。柳里君は
「何かお偉いさんになったみたい」
と照れていた。
「柳里君は充分偉い」
「ああ、網元(千里)がすれば良かったのに」
「私はただの三味線弾きだよ」
 
↓ ↑ Bottom Top

 
その後、幼稚園児(+小学1年生)の巫女舞が奉納され、続いて稚児衣裳の男の子たちが今朝穫れた魚を奉納する儀式が行われる。小6の翠花ちゃんの笛が鳴る中、和弥が祝詞奏上をした後、祭りは小休止に入る。
 

↓ ↑ Bottom Top

今年は出店は8軒であった。千里は今年も峠の丼屋さんと銀馬車(パン屋)を出した。小学校の児童会はいつものように鈴カステラ屋さんである。
 
峠の丼屋さんは、熊カツカレー、猪カレー、(冷凍牡蛎の)牡蛎丼、かしわ丼、うま飯、牛飯、特選台湾産うなぎのうな丼と出したが、今年も牡蛎丼がいちばん売れた。もうここで牡蛎丼を買うのが定着してるのかも?
 
今年も常弥さんからのリクエストで、藁を立てて、村正で試斬りをしたら、やはり物凄い好評だった、その後、今年も公世を召喚!して模範試合をし、それから彼に審判をしてもらって、小学生剣道大会をする。今年は最初から公世に頼んでおいた。優勝者には、特性の木刀を贈呈する。これも定着してきた感じだ。常弥さんの字で「平成二十年・留萌三泊P神社」という文字が入っている。
 
↓ ↑ Bottom Top


午後からは留萌オロロン太鼓 の奉納の後、近隣で活動するバンドの演奏が今年は6件あった。うち3つは桜観光の船でも演奏しているバンドであったが、新顔のバンドには田崎さんがクルーズ船で演奏してくれないかと勧誘していた。1組は
「ぼくたちまだ高校生です」
と言っていたが、田崎さんは
「こちらは休日だけの運行だしJAASRACとかの申請はこちらでやるから」
と言っていた。
「JASRACとか考えた事も無い!」
 
N小のブラスバンド部の演奏の後、19時からはお神楽が奉納された。
 

↓ ↑ Bottom Top

星弥と月弥は2台のB型ベビーカーに乗せ、まゆりと睦美が押していた。2人は氏子さんたちのアイドルと化していた。
 
「2人乗りのベビーカーとかは使わないの?」
「ここは曲がり道や坂が多いから無理です」
「そうだね。この辺坂ばかりだもん」
「2人乗りは曲がりにくそうね」
「それに2人乗りは重たいです」
「力が3倍くらい必要かもね」
「お乳飲む?」
「凄い食欲です。たくさん吸い取られています」
「2人で吸われると大変ね」
「あんまり大変だから、先月はお父ちゃんのおっぱいを吸わせてました」
「あはは」
 
みんなジョークと思っている(普通そう思う)
 
「今何ヶ月だっけ」
「3ヶ月ですね」
「動き回るようになったら大変そう」
「3ヶ月の頃は楽だったと思うかも」
「うんうん」
「落ちてるものは何でも口に入れそうだから部屋の中をきちんと掃除しておくように亭主をしつけているところです」
「ああ、それはパパの仕事だ」
 
↓ ↑ Bottom Top


「でも産むの大変だったから次は旦那に産んで欲しいです」
「ああ、交互に産むといいかもね」
「和弥さん、子供産めそうな顔してるよ」
「お仕事は私が頑張るから」
「ああ、まゆりさんも祝詞うまいよね」
「姫路の神社ではまゆりさんが宮司なんでしょ」
「そうなんですよ」
「そちらは誰かお留守番の神主さんいるの?」
「花絵さんが神職の資格取ったのでお留守番してもらってます」
「ああ、花ちゃんがお留守番か」
「花絵さんの方が私より祝詞うまいです」
「すごいねー」
 
「お陰で夫婦揃って留守にできます」
「またジェット機で飛んできたの?」
「ええ。6月30日に大祓で飛んできました」
「ジェット時?」
「和弥さんとまゆりさん、ビジネスジェットで姫路と留萌を往復してるんだって」
「凄いね」
「向こうからこちらへは1時間半くらい。帰りは2時間くらいですね」
「向こうに行くのが時間かかるんだ?」
「ジェット気流の風上に向かって飛ぶから時間かかるんですよ」
「へー」
「夏はまだましだけど冬にはかなり強くなるみたいですね」
「冬の方が強いんだ」
「戦時中の日本軍の飛行機とかジェット気流に押し戻されて後ろ向きに飛んでたそうです」
「そんなに強いのか」
 
↓ ↑ Bottom Top

「次は秋祭りに来ますよ」
「2年ぶりになるね」
「ええ。去年は妊娠中だったから」
「来年も妊娠中だったりして」
「あり得るかもー」
「来年は和弥さんが妊娠中だったりして」
「あはは」
「その時は私が姫奉燈の先導しますね」
「よろしくー」
 

↓ ↑ Bottom Top

日曜日はまた午前中に神輿が町内を練り歩き、昼間は民謡大会、オロロン太鼓の演奏、千里の試し斬りのあと、昨日に続いてバンドの演奏があり、カラオケ大会があった。児童会が主催したビンゴ大会も盛り上がった(今年も景品は留萌新鮮産業さんが提供:大当たりは東京ディズニーリゾートのチケット)。
 
夕方、最後はソーラン節が奉納される。民謡をやっている人が10人ほど拝殿に並び歌う。参拝者が歌いながら踊り、境内は熱狂となった。そのあと、神輿を船に乗せ和弥も一緒に沖合に出る。そして日没と同時に和弥が神上げの祝詞を奏上して祭りは終わった。
 

↓ ↑ Bottom Top

この日は札幌で旅行会社が募集したバスツアーの人たちが30人ほど来ていて、オロロン太鼓、試し斬り、バンド演奏、ビンゴ大会、ソーラン節と楽しんでくれた。この人たちはそのあとクルーズ船に乗って明朝は稚内である。なお祭り見学の間、バスは漁協の駐車場に駐めていた。風力発電所の見学もセットされていたようである。
 
なお、今年は市の納涼船は運航されていない。去年トラブったのでどこも料理を提供しなかったし、歌手の事務所とも話がつかなかったという。この人なら出せるという人の歌を聴いたら素人未満だったらしい。市は船の売却も考えているようである。
 

↓ ↑ Bottom Top

↓ ↑ Bottom Top

前頁次頁目次

[*前頁][0目次][#次頁]
1  2  3  4  5  6  7  8 
女子高校生・3年の夏(7)

広告:ストップ!!ひばりくん!コンプリート・エディション2