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6月3日、埼玉県川越市今泉の駐車場で、男2人が拳銃を持ったまま車内に立てこもる事件が発生。車から拳銃を持って降りてきた1人は公務執行妨害の現行犯で逮捕され、拳銃を所持したまま車内に立てこもっていたもう1人は、約9時間後に拳銃で頭を撃って自殺を図ったところを銃刀法違反の現行犯で逮捕された。病院に搬送されたが、のちに死亡が確認された。
6月8日、東京都千代田区外神田の路上でレンタカーと思われるトラックが通行人を多数跳ね飛ばし、更にトラックの運転席から飛び出した男が刃物のようなもので次々と通行人を襲撃した。この事件で7人が死亡し警官ら10人が負傷。男は警察に身柄を確保され、殺人未遂の現行犯で逮捕された。(秋葉原通り魔事件)。
犯人はSNSでトラブルを起こしていたことで注目された。2015年に死刑が確定し2022年に執行されている。
この事件の影響で秋葉原の歩行者天国は2011年1月まで休止された。また犯行に使用されたダガーナイフが販売禁止になった。
また犯人の弟さんが2014年に自殺している。
なお7年前の同日には池田小学校襲撃事件が起きている。
6月9日(月)、礼文島(れぶんとう)に住む貴司の祖父・細川宝蔵が亡くなった。“東の千里”は貴司とも電話で話し、“細川貴司・千里”の名前でお花を贈った。
千里は“細川千里”の名前を使ったことでかなりドキドキした。
東の千里は3月に宝蔵と一度会っており、その時、H大神の許可を得て彼に7年後に生まれる予定の京平の写真を見せていた。そんな写真を見せるお許しがあったことで、この人きっと長くは無いんだろうなと千里は思っていた。この写真は宝蔵だけに見せていて、妻(貴司の祖母)の淑子などには見せていない。
なお宝蔵の位牌が仏檀で亡き前妻・貞子の位牌の隣に置かれたのを見て淑子は「自分の収まる場所が無い」と感じ、後に「どうぶつの森をしたい」と言って留萌に出てくることになる。(貴司が大阪に行ったことで空いていた部屋に入る)
当時礼文には高速インターネット回線が無かった。また礼文で同居していた芳朗は、前妻・貞子が産んだ息子である。留萌に住む望信(貴司の父)は、淑子自身が産んだ子である。
6月上旬、西の千里は西宮銀行さんから連絡を受けて、播磨アルミの前社長の自宅に赴いた。
「実は開け方の分からない金庫がありましてね」
その金庫は先々代社長(会社を潰した息子の父)が管理していたもので、先々代社長が亡くなったあと誰も開けられなかったらしい。息子はここに金目のものが入っているのではと期待したものの開けられないので活用できなかった。
「先々代社長の奧さんから、うちにたくさん借金をしているので、この中にひょっとして金目のものがあったらその返済に使えないかとご相談があったのですよ」
「うちはどういう関係が」
と千里は尋ねた。
「播磨アルミさんの全ての資産をそちらにお売りしたのでこの金庫もそのお売りした資産の中に含まれるかもしれないと思いまして」
「うーん。微妙ですね」
「まそれで立ち会って頂けないかと思いまして。今金庫屋さんを呼んでますから」
金庫屋さんは来ると1時間ほどでその金庫を開けてくれた。
中には若干の宝石、金の延べ板、そして国債や株券が入っていた。宝石は奧さんが若い頃着けていたもので多分200-300万程度だと思うと奧さんは言っていた。金の延べ板は刻印を信用すると428gだった。時価で換算すると130-140万円くらいと銀行の支店長さんは言った。つまり大した金額ではない。国債も70万円分だった。この家が銀行から借りたお金は2億円を超えている(当時貸した担当者は責任を取って退職している)。
株券は古いものが多い。少なくとも株券というものがあった時代のものである。
ほふり(証券保管振替機構)は1991年に始まっている。もう17年前である。
松下電器、日立製作所、八幡(やはた)製鐵!などといった名前が並んでいる。結構な枚数である。
(八幡製鐵所は1970年に富士製鉄と合併して新日本製鐵(新日鉄)となった。つまり株券はその合併以前のもの)
「なんで“ほふり”にしてなかったんでしょう」
「きっと本人もこの金庫を開けられなくなってたんですよ」
と奧さんが言っている。
千里は提案した。
「この宝石とか金の延べ板とか国債とか、あと松下や日立・八幡製鉄とかの株券は西宮銀行さんに差し上げますからそこの王実運輸の株券だけ私にもらえませんか」
「ああ、この企業に何か関わりがあるんですね」
「ええ。何枚くらいありますかね」
「数えましょう」
と言って支店長さんは株券の枚数を華麗に数えてくれた。さすが銀行屋さんである。
「美しい」
「入社したての頃に鍛えられましたから」
それで王実運輸の株券は1258枚ということだった。
「金銭的価値は1500万円くらいですね」
「松下と日立だけでもこれ3000万円分くらいありますよ。八幡製鉄を入れるとたぶん4000万を超えます」
「それはいりません」
「分かりました。では王実運輸の株券だけ村山さんにお渡しします」
それで覚え書きを作りその場で双方署名した。
そして支店長はこの金庫の中身で借金はもう残額返済不要ということにしますと奥さんに言った。実際には金庫から出て来たのは5000万円程度だがこれだけ回収すれば充分と考えたのだろう。なおここの土地・家屋(4000万円相当)は既に西宮銀行の所有になっている。奧さんは曖昧にここに住んでいる。
(家賃を払うか供託していれば借地権を主張できるが何も払ってないので不法占拠に近い)
なお宝石はメモリアルなものだし、そもそも換金性が悪いのでそのまま奧さんに贈呈することにした。それでも奧さんは金・プラチナの指輪に関しては「地金として売れると思う」と言って辞退したので宝石屋さんの手で石だけ取り外して奧さんに渡すことにした。(そもそも今の奧さんの指に入らない!)
千里はこの金庫から出て来た王実運輸の株券を再度証券会社に持ち込んだ。むろん大量保有報告書も出した。それで千里はプリンスの26%の株主となった。社長の所有する株を抜いて筆頭株主になる!
6月上旬、H大姫路ではインターハイ予選の代表選手を決める選考会が実施された。
女子ではOGの島根芽依(双葉の姉・現:大阪体育大)が女子部員全員と対戦して下記を代表候補に「合格」とした。
3年:博美・双葉・千里・清香
2年:恵里・知代・香織・光
1年:志織・春佳・寿恵・大
そしてこの12人で総当たりの試合をした。結果:−
10勝1分:千里・清香
9勝2敗:双葉
7勝3敗1分(勝点15):香織
7勝4敗(勝点14):大
6勝4敗1分(勝点13):光
5勝6敗(勝点10):知代
香織は光と引き分け、大に勝った。光は香織と引き分け大に負けた。大は香織に負けて光に勝った。それで今回は僅差ながら香織と大が代表になり、光が代表から落ちた。
「私とピカちゃん引き分けだったのに」
と香織。
「この3人の内どの2人を代表にしても悪くないほどの僅差だね」
と芽依。
「大ちゃんとの直接対決で私が負けたから仕方無いです。個人戦で頑張ります」
と光。
来月の玉竜旗ではまた分からないよなと双葉は思った。
大はここ2ヶ月毎日千里・清香と対戦したことで物凄く伸びた。千里の目でも香織・光・大の実力は横一線だと思った。しかし今回はこういうオーダーが決まった。
先鋒:花田大(1年)
次鋒:春風香織(2年)
中堅:島根双葉(3年)
副将:村山千里(3年)
大将:木里清香(3年)
6月14日、平成20年岩手・宮城内陸地震が発生。
6月19-22日、北海道ではバスケットのインターハイ予選がおこなわれ、千里が所属する旭川N高校は準優勝で埼玉で行われる本選への出場権を手にした。
6月21-22日(土日)、兵庫県では剣道のインターハイ予選がおこなわれた。H大姫路のオーダーはこのようになっている。
女子
先鋒:花田大(1年)
次鋒:春風香織(2年)
中堅:島根双葉(3年)
副将:村山千里(3年)
大将:木里清香(3年)
男子
先鋒:栗原洋介(1年)
次鋒:山崎一(2年)
中堅:谷口春恵(3年)
副将:福田一鉄(3年)
大将:工藤公世(3年)
男子は春の大会と同じである。
女子では光と知代が補欠登録されている。知代はマネージャー兼任である。男子のマネージャーは1年生の環奈ちゃんという子に交代した。自身(女子)二段を持っている。男子と一緒に準備運動や素振り・切り返しなどをしているが、そのあと、時々女子剣道部にも来て稽古もしている。
「ここの剣道部は女子のほうが男子より強い」
と言っている。