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■夏の日の想い出・2年生の夏(6)

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8月前半は○○○屋などのCMの撮影があった他、FM局への出演、CDショップなどでのキャンペーンを続けた。また頻繁に顔を出している幾つかのライブハウスで短いライブを行ったりした。
 
そしてサマーロックの日がやってきた。
「冬がステージの方に出るならチケットはどうなるの?」と礼美は心配そうに訊いたが「政子が配るから大丈夫」と笑って答えた。
政子は礼美・仁恵・博美・小春の4人を連れて観客席に入った筈である。
 
私達の出番は11時からなのでマキたちは10時に入ると言っていたが、私は朝一に入り、他の出演者の演奏を特別席のほうで見ていた。上島先生がいたので、挨拶してしばらく話していた。
 
「『夏の日の想い出』売り上げが絶好調だね」
「先生のおかげです。ありがとうございます」
「でも、あの曲書いてほんと凄いの出来たぞと思ったのに、君の『キュピパラ・ペポリカ』見て、負けたぁと思った」
「えー?そんな勝ち負けとか。先生の作品は格が違いますから」
「感性じゃ、40代の僕は20歳の君にかなわないよ。でも頑張ったんだけどなあ。君の『聖少女』は譜面を見ていて凄いと思ってたから、それには負けないのを書こうと張り切ったのに」
「個別ダウンロードでは『夏の日の想い出』のほうが『キュピパラ・ペポリカ』
より若い層にダウンロードされてますよ」
「僅差だけどね」と先生は笑ってる。
 
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「若い人の作品はしばしば感性だけで突っ走った作品が多いのに、君は技巧もしっかりしてるんだよね。音楽理論、かなり勉強してるね」
「和声法とか対位法とかコード進行理論とかの本はよく読んでます。あとうちのリーダーのマキがそういう話好きなんで、ビートルズとかクイーンとか、少し古いのではベンチャーズとかグレン・ミラーとか、日本ではYMOとかスクェアとかの曲を題材に楽曲の分析を一緒にしたりしてます」
「なるほどね。その手の勉強するなら、参考書のリスト送ってあげるよ」
「わあ、ありがとうございます」
 
やがて10時になったので、出演者の控え室の方に行く。しばらくマキたちと話していたら、スイート・ヴァニラズのメンバーが入ってきたので、私は駆け寄ってEliseとハグした。ハグだけのつもりだったのに、続けて唇にキスされた。
 
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「ケイ〜、『キュピパラ・ペポリカ』ツボにはまっちゃったよ〜、もう最近、ずっと聴いてるよぉ」
「わあ、ありがとうございます」
「もうカバーしちゃおうかと思ってるくらい」
「事務所に確認しますけど、いいと思いますよ」と私は笑って言う。
「よーし、やっちゃおう」
「でさ、今日はケイたちに続いて私達でしょ。回転舞台で間隙無しで登場だからこういうことしない?」
といってEliseが私の耳にささやく。
「いいですよ。私も嬉しい」
「よし、やろうやろう」
 
私はその場で美智子に電話をしてスイート・ヴァニラズが『キュピパラ・ペポリカ』
をカバーしたいと言っているということを伝える。美智子は「OK。OK。私達もいろんなアーティストの曲をカバーしてるし」と笑って言っていた。すぐそのことをEliseに伝えた。
「よーし。カバーしてライブでやろう。今度のアルバムにも入れちゃおう」
「ありがとうございます。嬉しいです」
 
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午前中のメインステージ、最初の3組の演奏が終了し、短い休憩に入る。その間にスタッフの人がドラムスとキーボード、マイクなどを設置し、やがて私達は脇からステージに登る。
 
物凄い歓声が上がる中、私は
「やっほー!ローズクォーツだよぉ!」
と挨拶する。両手を高く上げて歓声に応える。気持ちいい!今日は晴天。観衆は満員。多分8万人超。私はメンバーがそれぞれの位置に付いたのを雰囲気で感じ取ると「さあ、元気に行ってみよう!」と言う。
 
サトのドラムスが景気よく鳴り始めた。続けてマキのベースとタカのギターが鳴り始め、私はキーボードで前奏を弾くと最初の曲『キュピパラ・ペポリカ』を歌い始めた。
 
曲は、『聖少女』『峠を越えて』『一歩一歩』『不思議なパラソル』『南十字星』
と続いていく。他のバンドはだいたい5〜6曲を演奏したが、ローズクォーツの曲は短いものが多いので、30分の持ち時間に8曲ほど演奏することが可能であった。『あの街角で』を歌ってから最後の曲『夏の日の想い出』になる。バロック風の分散和音に乗せて、私はこの曲を熱唱した。物凄い大観衆を前にして、私はちょっと3年前の宇都宮のデパートでのライブを思い出していた。なぜか突然涙が出てきた。
 
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その涙に気付いたのは最前列の付近にいた観衆だけであったようだ。胸が熱くなる。「ケイちゃん、どうしたの〜?」「大丈夫〜?」という声をもらった。「ありがとう!ケイは元気だよ!」と間奏の間に声援に応える。
 
歌い終わった時、凄まじい拍手がわき起こった。私は深々とお辞儀をした。進行係の人が『もう1曲』というサインを出している。
「みんな、ありがとう!もう1曲行っちゃうね!」といって一瞬後ろを振り返る。みんな頷いている。脇から悠子(桜川さん)が走ってきて、私が弾いていたキーボードを台から降ろし、持ってきた和音階に調音したキーボードを置く。それを待っていたかのようにサトの力強いドラムスワークが始まる。私はそちらのキーボードを弾きながら『花鳥風月』を歌い始めた。
 
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観客が沸いている。手を振っている人達がいる。ほんとにこれは凄い。その中で私は和音階ロックを熱唱した。その西洋音階と微妙に違う音階に大きな歓声と共に当惑のような空気があるのを面白く感じた。ちゃんと音階が違うことに気付いている人たちだ!
 
最後の音を歌い終わるのと同時に私は両手を大きくあげて歓声に応える。そして、深々とお辞儀をした。歓声と拍手が鳴り止まない。メンバーのひとりひとりに手を向け、そのひとりひとりがお辞儀をする。更に盛り上がる歓声。
「ありがとう!ありがとう!」と私は大きな声で叫んだ。
 
「さあ、次はお待ちかね、スイート・ヴァニラズだよ!」と言って、私はステージの前端に立つ。回転舞台が回り始めたが、私が立っている所は回らない。客席の前の方で、あれ?という顔をしている人達がいる。その時、まだ回転舞台の裏側にいるスイート・ヴァニラズの Carolさんのドラムスワークが鳴り響いた。更に続いてギターやベースの音も鳴り始める。
 
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そして私はスイート・ヴァニラズの『祭り』を歌い始めた。
 
観衆が戸惑うようにどよめくのを感じる。やったね!ちょうど回転舞台が回って、スイート・ヴァニラズが表側に出てきた時、私は1メロを歌い終わった。そして私はマイクをEliseに手渡すと、再度観客に向かって両手を挙げ、舞台から駆け下りた。その背中でEliseが2メロを歌い始めたのが聞こえる。観客の物凄い歓声。
 
「面白い面白い。観客はびっくりしたろうね」と舞台下に立っていた町添さん。
「はい。Eliseさんと話して決めたサプライズ企画でした」
「フェスならではだね」と町添さんも笑いながら、私に握手を求めてきた。しっかりと握り返して握手する。
「でも君もすっかりスターになったな」
「お褒めの言葉、ありがとうございます。でもこれが出発点だと思っています」
「うん。頑張ってよ」
「はい」
 
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「君はスターに必須の才能を1つ持ってるな」
「はい?」
「カリスマ性だよ。この30分間、8万の観衆が君の信者になっていた。さしずめ教祖様という感じかな」
「じゃ、次は女王になります」
「あはは、期待しておくよ。でもやはり君はスターだよ。こういう言葉を掛けられて謙遜するような子は絶対大成しない」
「厚かましいだけです」
「うん。僕は厚かましい子が大好き」と部長は笑っている。
 
そこに政子たちが走り寄ってきた。政子が私に抱きついてキスする。
「凄かったよ〜、冬。感動した」
「ありがと」
「休憩時間にフリーエリアに来て観てたんだけど、興奮抑えきれなかったからこっちまで来ちゃった」
「いいけど、他の観客を刺激しないようにね」と私は笑って言う。
実際、政子たちに続いてこちらに来ようとして止められている観客の姿を見た。政子の場合はこの近辺も顔パスだ。
 
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ローズクォーツの他のメンバーも舞台の裏側から出てきた。町添さんがひとりひとりに握手を求めている。
 
こうして私達の最初の夏フェスのステージは終了したのであった。いったん上がって昼食を兼ねた打ち上げをすることになる。私達はスイート・ヴァニラズのステージを見終わってから、関係者出入り口からタクシーで駅前に行き、イタリアンレストランで祝杯(私はオレンジジュース)を挙げた。
 
政子・美智子に花枝・悠子も含めて8人でがやがやと談笑していた時、私の携帯が鳴った。スカイヤーズのYamYamさんだ!
「おはようございます、ケイです」
「おはよう。会場で捕まえようとしたらもう上がったというから」
「今、こちらの打ち上げですが、終わったらスカイヤーズが始まるまでに会場に戻りますよ。フェスを最後まで見たいので」
「スイート・ヴァニラズと一緒に楽しいことしたんだから、俺達とも楽しいことしようよ」
「は、はい、何をすればいいんでしょう?」と私は笑いながら訊く。
「はい。。。。了解です」
 
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ということで、私はみんなより一足早く会場に戻ることになった。出演者の控え室に行き、スカイヤーズの面々と挨拶して、打ち合わせをする。やがて午後の部がもうすぐ始まることを告げるアナウンスがある。そして時間となった。
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